添付一覧
○雇用保険法等の一部を改正する法律その他関係法令の施行について
(昭和五二年九月三〇日)
(労働省発職第一四六号)
(各都道府県知事あて労働事務次官通達)
雇用保険法等の一部を改正する法律については、第八○回通常国会において昭和五二年五月一三日に可決成立し、同年五月二○日、「昭和五二年法律第四三号」として公布され、同年一○月一日(雇用保険率の引上げに関する部分については、昭和五三年四月一日)から施行されることとなった。また、これに伴い、労働保険特別会計法施行令の一部を改正する政令(昭和五二年政令第二八六号)及び雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(昭和五二年労働省令第二八号)が昭和五二年一○月一日から施行されることとなった。
この改正は、景気の変動、産業構造の変化等が雇用の面に与える影響が大きくなるとみられる今後に備えて、失業の予防その他雇用の安定を確保するため、「雇用安定資金制度」を創設しようとすること等を内容とするものであり、その主たる内容は下記のとおりであるので、その趣旨を十分理解の上、その施行に万全を期せられたく、命により通達する。
記
第一 雇用保険法等の一部を改正する法律関係
Ⅰ 雇用保険法の一部改正
一 改正の趣旨
経済成長率が低下し、景気の変動、産業構造の変化等が雇用の面に与える影響が大きくなるとみられる今後に備え、雇用対策の面から積極的に失業を予防し、あわせて円滑な職業の転換を図ることにより、雇用の安定を確保するため、雇用保険事業の一環として、新たに雇用安定事業を行おうとするものである。
二 改正の概要
(一) 雇用保険事業の内容
雇用保険は、労働者の失業の予防等を図るため、新たに雇用安定事業を行うことができること。
(二) 雇用安定事業
イ 景気変動等雇用調整事業(第六一条の二第一項関係)
政府は、被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)に関し、景気の変動その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合における失業の予防その他雇用の安定を図るため、雇用安定事業として、次の事業を行うことができること。
イ 事業活動の縮小を余儀なくされ、その雇用する労働者を休業させる事業主に対して、当該休業に必要な助成及び援助を行うこと。
(ロ) 事業活動の縮小を余儀なくされる間においてその雇用する労働者に職業に関する教育訓練を受けさせる事業主に対して、当該教育訓練に必要な助成及び援助を行うこと。
(ハ) その他被保険者等の雇用の安定を図るために必要な事業であって、労働省令で定めるものを行うこと。
ロ 事業転換等雇用調整事業(第六一条の二第二項関係)
政府は、イに掲げるもののほか、被保険者等に関し、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業の転換又は事業規模の縮小(以下「事業転換等」という。)を余儀なくされた場合における失業の予防その他雇用の安定を図るため、雇用安定事業として、次の事業を行うことができること。
(イ) 事業転換等を余儀なくされ、当該事業転換等に伴い必要となる教育訓練をその雇用する労働者に受けさせる事業主に対して、当該教育訓練に必要な助成及び援助を行うこと。
(ロ) 事業転換等を余儀なくされ、当該事業転換等のための施設又は設備の設置、整備等に伴いその雇用する労働者を休業させる事業主に対して、当該休業に必要な助成及び援助を行うこと。
(ハ) その他被保険者等の雇用の安定を図るために必要な事業であって、労働省令で定めるものを行うこと。
(三) 保険料の充当(第六八条第二項関係)
雇用保険の保険料のうち一、○○○分の三・五に相当する部分の額は、雇用安定事業、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業(以下「四事業」という。)に要する費用に充てること。
(四) その他
その他所要の整備を行うこと。
Ⅱ 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正
一 改正の趣旨
新たに実施する雇用安定事業に要する経費に充てるため、雇用保険の保険料率のうち事業主のみの負担に係る部分を一、○○○分の○・五引き上げようとするものである。
二 改正の概要
(一) 雇用保険率の引上げ(第一二条第四項及び第三○条第一項関係)
雇用保険率を一、○○○分の○・五引き上げ一、○○○分の一三・五(農林水産業、建設業及び清酒製造業については、一、○○○分の一五・五)とするものとし、当該引上げに係る保険料は、事業主が負担すること。
(二) 雇用保険率の弾力的変更規定の整備(第一二条第五項及び第六項関係)
雇用保険率の弾力的変更の基準について、失業給付に係る徴収保険料額と失業給付に係る積立金の額とを比較する方式に改めること。
(三) その他
この改正の施行前の期間に係る労働保険料に関する経過措置その他雇用保険率の引上げに伴う所要の経過措置を定めること。
Ⅲ 労働保険特別会計法の一部改正
一 改正の趣旨
景気の変動等による波動性の大きい雇用安定事業を効果的に実施するため、その経費を平常時に段階的に積み立てておき、必要に応じて集中的に使用できるよう、労働保険特別会計の雇用勘定に雇用安定資金を設置しようとするものである。
二 改正の概要
(一) 雇用安定資金の設置(第八条の二関係)
イ 労働保険特別会計の雇用勘定に雇用安定資金を置き、同勘定からの繰入金及び四事業に係る剰余金をもってこれに充てること。
ロ 雇用安定資金は、雇用安定事業費及び労働保険料の返還金を支弁するため必要があるときは、予算の定めるところにより、使用することができること。
(二) 剰余金等の処理(第一八条第二項及び第三項関係)
イ 雇用勘定において、毎会計年度、失業給付に係る剰余があるときはこれを同勘定の積立金として積み立て、不足があるときは同勘定の積立金からこれを補足すること。
ロ 雇用勘定において、毎会計年度、四事業に係る剰余があるときはこれを雇用安定資金に組み入れ、不足があるときは雇用安定資金からこれを補足すること。
(三) 経過措置
この法律の施行の際、雇用勘定の積立金のうち四事業に係る額は、雇用安定資金に組み入れること。
Ⅳ その他の法律の一部改正
一 建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部改正
雇用保険率の引上げに伴い、同法附則の労働保険の保険料の徴収等に関する法律及び雇用保険法の改正規定について所要の整備を行うこと。
二 労働省設置法の一部改正
雇用安定事業の実施に伴い、労働者の権限として「雇用安定事業の実施に関し必要な基準を定めること」を加えること。
Ⅴ 施行期日
この法律は、昭和五二年一○月一日から施行すること。ただし、Ⅱの二の(一)、Nの一その他雇用保険率の引上げに関する部分は、昭和五三年四月一日から施行すること。
第二 労働保険特別会計法施行令の一部を改正する政令関係
Ⅰ 改正の概要
一 資金の前渡
資金の前渡をすることができるものとして、雇用保険の雇用安定事業費を加え、能力開発事業費のうち事業転換訓練費助成給付金を削ること。
二 剰余金等の処理
(一) 雇用勘定において、毎会計年度の失業給付に係る収納済歳入額から当該年度の失業給付に係る支出済歳出額及び歳出の翌年度への繰越額並びに一般会計からの超過受入額を控除して残余があるときはこれを積立金として積み立て、不足があるときは積立金からこれを補足すること。
(二) 雇用勘定において、毎会計年度の四事業に係る収納済歳入額から当該年度の四事業に係る支出済歳出額及び翌年度への繰越額を控除して残余があるときはこれを雇用安定資金に組み入れ、不足があるときは雇用安定資金からこれを補足すること。
Ⅱ 施行期日
この政令は、雇用保険法等の一部を改正する法律の施行の日(昭和五二年一○月一日)から施行すること。
第三 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令関係
Ⅰ 改正の概要
一 雇用安定事業の実施
(一) 景気変動等雇用調整事業
イ 雇用調整給付金(第一○二条の二及び第一○二条の三関係)
(イ) 雇用保険法(以下「法」という。)第六一条の二第一項第一号に掲げる事業として、雇用調整給付金を支給するものとすること。
(ロ) 雇用調整給付金は、労働大臣が指定する業種(以下イ及びロにおいて「指定業種」という。)に属する事業を行う事業主(次のa及びbに該当する中小事業主を含む。ロにおいて同じ。)であって、景気の変動その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされたものが一定の要件に該当する休業を行った場合に支給することその他雇用調整給付金の支給に関し必要な規定を定めること。
a 指定業種に属する事業を行う事業主(bにおいて「親事業主」という。)から、当該事業に関し委託を受けて製造、修理その他の行為(bにおいて「下請事業」という。)を業として行うこと。
b 最近一年間における親事業主に対する依存率が概ね五○%以上であること。
この場合において、「依存率」とは、aの業として行う下請事業に係る請負額を、総売上高(売上額、出荷額、請負額等の合計額)で除して得た率をいうものであること。
ロ 訓練調整給付金及び訓練調整費助成金(第一○二条の四から第一○二条の六まで関係)
(イ) 法第六一条の二第一項第二号に掲げる事業として、訓練調整給付金及び訓練調整費助成金を支給するものとすること。
(ロ) 訓練調整給付金及び訓練調整費助成金は、指定業種に属する事業を行う事業主であって、景気の変動その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされたものが一定の要件に該当する教育訓練を行う場合に支給することその他訓練調整給付金及び訓練調整費助成金の支給に関し必要な規定を定めること。
ハ 高年齢者雇用安定給付金(第一○二条の七及び第一○二条の八関係)
(イ) 法第六一条の二第一項第三号の労働省令で定める事業は、事業主に対して高年齢者雇用安定給付金を支給することとすること。
(ロ) 高年齢者雇用安定給付金は、労働大臣が指定する期間内において一定の要件に該当する高年齢者(五五歳以上六五歳未満の者をいう。)を常用労働者として雇い入れる事業主であって、当該雇入れに係る事業所における常用労働者に占める五五歳以上の者の雇用の割合を高めたものに対して支給することその他高年齢者雇用安定給付金の支給に関し必要な規定を定めること。
(二) 事業転換等雇用調整事業
イ 事業転換等訓練給付金及び事業転換等訓練費助成金(第一○二条の九から第一○二条の一一まで関係)
(イ) 法第六一条の二第二項第一号に掲げる事業として、事業転換等訓練給付金及び事業転換等訓練費助成金を支給するものとすること。
(ロ) 事業転換等訓練給付金及び事業転換等訓練費助成金は、次のaからcまでのいずれかに該当する事業主であって、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業転換等を余儀なくされたものが当該事業転換等の実施について公共職業安定所長の認定を受け、一定の要件に該当する教育訓練を行う場合に支給することその他事業転換等訓練給付金及び事業転換等訓練費助成金の支給に関し必要な規定を定めること。
a 労働大臣が指定する業種(地域を限って指定する業種を含む。以下イにおいて「指定業種」という。)に属する事業を行う事業主(次の(a)及び(b)に該当する中小事業主を含む。)であること。
(a) 指定業種に属する事業を行う事業主((b)において「親事業主」という。)から、当該事業に関し委託を受けて製造、修理その他の行為((b)において「下請事業」という。)を業として行う事業主であること。
(b) 最近一年間における親事業主に対する依存率が概ね五○%以上である事業主であること。
この場合において、「依存率」とは、(a)の業として行う下請事業に係る請負額を総売上高(売上額、出荷額、請負額等の合計額)で除して得た率をいうものであること。
b 労働大臣が指定する事業主の下請中小事業主(次の(a)及び(b)に該当する中小事業主をいう。)であること。
(a) 労働大臣が指定する事業主((b)において「親事業主」という。)から委託を受けて製造、修理その他の行為((b)において「下請事業」という。)を業として行う者であること。
(b) 最近一年間における親事業主に対する依存率が概ね五○%以上である事業主であること。
この場合において、「依存率」とは、(a)の業として行う下請事業に係る請負額を総売上高(売上額、出荷額、請負額等の合計額)で除して得た率をいうものであること。
c 中小企業事業転換対策臨時措置法(昭和五一年法律第八四号)第三条第一項の事業の転換に関する計画についての同項の認定を受けた同項第三号に該当する同法第二条に規定する中小企業者であること。
ロ 事業転換等休業給付金(第一○二条の一二及び第一○二条の一三関係)
(イ) 法第六一条の二第二項第二号に掲げる事業として事業転換等休業給付金を支給するものとすること。
(ロ) 事業転換等休業給付金は、イの(ロ)のaからcまでのいずれかに該当する事業主であって、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業転換等を余儀なくされたものが当該事業転換等の実施について公共職業安定所長の認定を受け、一定の要件に該当する休業を行う場合に支給することその他事業転換等休業給付金の支給に関し必要な規定を定めること。
ハ 事業転換等出向給付金(第一○二条の一五関係)
(イ) 法第六一条の二第二項第三号の労働省令で定める事業は、事業主に対して事業転換等出向給付金を支給することとすること。
(ロ) 事業転換等出向給付金は、イの(ロ)のaからcまでのいずれかに該当する事業主であって、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業転換等を余儀なくされたものが当該事業転換等の実施について公共職業安定所長の認定を受け、その雇用する労働者を他の事業主の事業所(設置後一年を経過しているものに限る。)へ一定の要件に該当する出向をさせる場合に支給することその他事業転換等出向給付金の支給に関し必要な規定を定めること。
(三) 調整等
イ 調整(第一○二条の一六関係)
(イ) 事業転換等の実施について公共職業安定所長の認定を受けている事業主に対しては、当該認定に係る事業所については、当該認定に係る事業転換等が終了するまでの間は、雇用調整給付金、訓練調整給付金及び訓練調整費助成金を支給しないものとすること。
(ロ) 雇用調整給付金又は訓練調整給付金及び訓練調整費助成金の支給を受けることができる事業主に対しては、当該給付金等の支給に係る事業所については、当該支給を受けることができる間は、事業転換等の実施について認定を行わないものとすること。
ロ 国等に対する不支給(第一○二条の一七関係)
雇用安定事業として支給するものとされる給付金等は、国、地方公共団体並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社に対しては、支給しないものとすること。
二 積雪寒冷地冬期雇用促進給付金の支給(附則第一七条関係)
(一)法第六二条第一項第二号に掲げる事業として、昭和五五年三月三一日までの間、暫定措置として積雪寒冷地冬期雇用促進給付金(冬期雇用奨励金及び冬期職業講習助成金とする。)を支給するものとすること。
(二) 冬期雇用奨励金は、積雪寒冷地において、季節労働者を一○日以上就労させ、又は職業講習を受講させること等一定の要件に該当する事業主に対して支給することその他冬期雇用奨励金の支給に関し必要な規定を定めること。
(三) 冬期職業講習助成金は、積雪寒冷地において、四五歳以上の季節労働者に二○日以上職業講習を受けさせる等一定の要件に該当する事業主に対して支給することその他冬期職業講習助成金の支給に関し必要な規定を定めること。
三 その他
(一) 雇用改善事業として支給するものとされる給付金等は、国、地方公共団体並びに日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社に対しては、支給しないものとすること。
(二) 事業転換訓練費助成金制度(第一三九条関係)の廃止その他雇用安定事業の創設に伴い、所要の整備等を行うものとすること。
Ⅱ 施行期日
この省令は、昭和五二年一○月一日から施行するものとすること。
