添付一覧
○労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令等の施行について
(昭和六三年一二月二八日)
(基発第七七八号)
(各都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)
労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令(昭和六三年労働省令第四一号。以下「改正省令」という。)、労働者災害補償保険法の規定による年金たる保険給付の受給権者がその日までに報告書を提出すべき日として労働大臣が指定する日を定める告示(昭和六三年労働省告示第一○九号。以下「指定日を定める告示」という。)及び昭和六四年においてその生年月日の属する月が七月から一二月までの月に該当する年金たる保険給付の受給権者が当該日までに報告書を提出すべき日として労働大臣が指定する日を定める告示(昭和六三年労働省告示第一一○号。以下「指定日の特例に関する告示」という。)並びに労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める告示の一部を改正する告示(昭和六三年労働省告示第一一一号。以下「改正告示」という。)が昭和六三年一二月二八日に公布され、昭和六四年二月一日から施行されることとなった。ついては、下記の事項に留意の上、事務処理に遺漏なきを期するとともに、改正内容について受給権者等関係者に周知徹底を図られたい。
記
第一 年金たる保険給付の受給権者の定期報告に関する改正
一 改正省令等の趣旨及び内容
(一) 年金たる保険給付の受給権者の定期報告書の提出期限の分散
イ 年金たる保険給付の受給権者(以下「受給権者」という。)の定期報告(以下「定期報告」という。)は、労働者災害補償保険法施行規則(昭和二二年労働省令第三○号。以下「労災則」という。)第二一条の規定に基づき、受給権者の受給条件の変動状況等を的確に把握し、適正な給付を図るため実施しているところである。受給権者は今後も累増していく情勢にあり、また、従前は受給権者の定期報告書(以下「定期報告書」という。)の提出期限(二月末日)が厳寒期に当たっていたため、寒冷積雪地域の受給権者の診断書作成のための通院に支障をきたしていたといった状況に鑑み、寒冷積雪地域の受給権者の負担の解消を図るとともに、受給権者の累増に対応できる事務処理体制を確立するため、定期報告書の提出期限を二月末日から労働大臣が指定する日(以下「指定日」という。)に改めることとし、受給権者をその生年月日(遺族補償年金又は遺族年金の受給権者にあっては、当該年金たる保険給付を支給すべき事由に係る労働者(すなわち、死亡した被災労働者)の生年月日)に応じて二グループに分け、それぞれ次のとおり指定日が定められた(改正省令による改正後の労災則(以下「新労災則」という。)第二一条第一項、指定日を定める告示)。
a 生年月日の属する月が一月から六月までのいずれかの月に該当する受給権者(以下「Aグループ提出者」という。)は、毎年五月三一日までに提出する。
b 生年月日の属する月が七月から一二月までのいずれかの月に該当する受給権者(以下「Bグループ提出者」という。)は、毎年一〇月三一日までに提出する。
ロ この改正は、昭和六四年二月一日から施行し、昭和六四年の定期報告から実施することとされた(改正省令附則第一項)。
なお、Bグループ提出者については、改正省令による改正前の労災則(以下「旧労災則」という。)の規定に基づく最後の定期報告書の提出期限(昭和六三年二月二九日)から新労災則の規定に基づく最初の定期報告書の提出期限(昭和六四年一〇月三一日)までの間隔が二〇カ月となり、受給権者の状況を定期的に把握するという定期報告の趣旨に照らし適当でないことから、経過措置として、昭和六四年二月二八日までに特例的に報告を求めることとした(改正省令附則第二項において読み替えて適用する新労災則第二一条第一項及び指定日の特例に関する告示)。このため、Bグループ提出者については、昭和六四年に限り、年二回、定期報告を行うこととなる。
(二) 定期報告書の記載事項及び添付書類の変更等
イ 労災保険の年金たる保険給付(以下「労災年金」という。)と同一の事由により支給される厚生年金保険の障害厚生年金、遺族厚生年金等の社会保険年金(以下「厚生年金保険の障害厚生年金等」と総称する。)の支給額等を的確に把握し併給調整を行うことについては、昭和六三年三月三一日付け基発第二〇二号「労災年金と厚生年金等との併給調整事務について」等において指示しているところであるが、労災年金と厚生年金保険の障害厚生年金等との併給調整の事務処理を適正かつ円滑に進めるため、労災年金と同一の事由により厚生年金保険の障害厚生年金等が支給される場合には、当該厚生年金保険の障害厚生年金等の支給額を証明することができる書類を添付させることとした(新労災則第二一条第三項)。
ロ 定期報告は、その趣旨に照らし、毎年一回、受給権者の最新の状況を的確に把握すべきものであり、このため、定期報告書に添付すべき書類については、指定日前一カ月以内に作成されたものに限ることとされた(新労災則第二一条第二項)。
ハ 障害補償年金又は障害年金の受給権者にあつては、定期報告書に「障害の部位及び状態に関する医師又は歯科医師の診断書」(以下「診断書」という。)を添付しなければならないこととされている(旧労災則第二一条第二項第一号)が、事務処理上は昭和四六年一二月二一日付け基発第八二〇号「労災保険法施行規則第二一条の規定による年金等の受給権者の定期報告にかかる事務処理の改正について」(以下「昭和四六年基発第八二〇号通達」という。)により、器質的障害(例えば、上下肢の切断等)のみにより障害補償年金又は障害年金の受給権者となつている者については、診断書の添付を要しないこととして取り扱つてきたところである。このため、かかる場合においては、受給権者本人の生存を確認し得る書類がなく、労災年金の適正給付の見地から問題を生じる恐れがあることから、障害補償年金又は障害年金の受給権者にあつては、住民票の写し又は戸籍の抄本を定期報告書に添えなければならないこととした(新労災則第二一条第二項第一号)。
ニ 定期報告書の様式を労災年金の種別ごとに三種類とするとともに、今回の改正内容に従い記載欄を整備した(改正告示による改正後の労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める告示(以下「新告示」という。)様式第一八号(一)から(三)まで)。
ホ この改正は、昭和六四年二月一日から施行することとされた(改正省令附則第一項)。
二 改正省令等の施行に伴う事務処理について
(一) 定期報告を必要としない者の範囲
労災則第二一条第一項ただし書の規定により定期報告を必要としない者の範囲については、昭和四六年基発第八二〇号通達の記の一の(一)により取り扱つてきたところであるが、今後、定期報告を要しない者は、次のとおりとする。
イ Aグループ提出者のうち、
a その年の二月一日以降定期報告時(五月三一日)までに支給決定を受けた者
b その年の二月一日以降定期報告時(五月三一日)までに、定期報告の内容と同一の内容について所轄労働基準監督署長(以下「所轄署長」という。)の職権による調査が行われた者
ロ Bグループ提出者のうち、
a その年の七月一日以降定期報告時(一〇月三一日)までに支給決定を受けた者
b その年の七月一日以降定期報告時(一〇月三一日)までに、定期報告の内容と同一の内容について所轄署長の職権による調査が行われた者
なお、Bグループ提出者のうち改正省令附則第二項の規定により経過措置として昭和六四年二月に定期報告を提出すべきものとされる者(以下「経過措置対象者」という。)のうち、
a 昭和六三年一一月一日以降定期報告時(昭和六四年二月二八日)までに支給決定を受けた者
b 昭和六三年一一月一日以降定期報告時(昭和六四年二月二八日)までに、定期報告の内容と同一の内容について所轄署長の職権による調査が行われた者
については、昭和六四年二月二八日を期限とする報告を要しないものとする。
(二) 住民票の写し又は戸籍の抄本の添付を要する者の範囲
障害補償年金又は障害年金の受給権者のうち新労災則第二一時第二項の規定により定期報告書に住民票の写し又は戸籍の抄本の添付を要することとされる者は、上記第一の一の(二)のハにおいて述べた今回の改正の趣旨に鑑み、昭和四六年基発第八二〇号通達の記の一の(二)により労災則第二一時第二項の規定による診断書の添付を要しないこととされている器質的障害(例えば、上下肢の切断等)のみにより障害補償年金又は障害年金の受給権者となつている者に限るものとする。
(三) 厚生年金保険の障害厚生年金等の支給額を証明することができる書類
新労災則第二一条第三項に規定する「厚生年金保険の障害厚生年金等の支給額を証明することができる書類」とは、厚生年金保険の障害厚生年金等に係る「裁定通知書」、「年金改定通知書」、「支給額変更通知書」等のうち定期報告時の直近の時点のものの写しとする。
(四) 添付書類の作成日付
新労災則第二一条第二項の規定により定期報告書に添付する診断書及び住民票の写し等の書類は、毎年、定期報告書の提出すべき日の属する月中に作成されたものに限ることとする。
ただし、指定日の属する月の前月に作成されたものにあつては、内容を審査の上、返戻又は保留することなく、所轄署長の判断による職権決議を行つても差し支えない。
(五) 定期報告書未提出者に対する措置
労働者災害補償保険法(昭和二二年法律第五〇号)第四七条の三の規定に基づく受給権者に対する保険給付の一時差止め(以下「支払差止め」という。)に係る事務処理については、労災保険給付事務取扱手引(昭和六〇年一一月一一日付け基発第六三七号の別添。以下「給付事務手引」という。)及び昭和六一年二月一〇日付け基発第六〇号等により取り扱つてきたところであるが、今般、改正省令等により定期報告書の提出期限が分散されたことに伴い、以後、定期報告書未提出者に対する督促及び支払差止めの措置については次によることとする。
イ 定期報告書未提出者に対する督促については、定期報告書の提出期限(毎年五月三一日又は一〇月三一日。なお、経過措置対象者の昭和六四年の報告については、二月二八日を含む。)までに定期報告書の提出がない受給権者に対して「年金たる保険給付の受給権者の定期報告書の提出について」(年金照会様式第四号)により、督促すること。
ロ 支払差止めにより措置については、イによる督促を行つたにもかかわらず、定期報告書を提出しない受給権者又は、定期報告書が宛先不明等の理由により返送され、その親族、所属事業場、受診していた医療機関等に照会しても所在が判明しない受給権者について、上記イの督促を行つた日より相当期間経過後においても定期報告書の提出がない者に対して支払差止め決議を行い、「年金たる保険給付及び特別支給金の一時差止めについて」(年金通知様式第一〇号)により、受給権者へ通知すること。
なお、支払差止め決議後、当該年金受給権者の支払差止めに係るOCR端末機からの入力処理は、データ入力締切日を踏まえて処理すること。
(六) 留意事項
Aグループ提出者に係る定期報告書の提出時期がいわゆる年度更新事務の処理時期と重複することとなるため、定期報告に係る事務処理を行うに当たつては、年度更新事務に支障をきたさないよう十分配慮すること。
第二 年金たる保険給付の受給権者の住所・氏名、年金の払渡金融機関等変更届の届出先に関する改正
一 改正省令等の趣旨及び内容
(一) 受給権者が住所・氏名を変更した場合又は年金の払渡金融機関等を変更しようとする場合には、従前は変更届を労働大臣(労災保険業務室)あて届け出ることとしていたところであるが、全国の労働基準監督署にOCR端末機が配備されたことを踏まえ、郵送に要する時日を省略すると同時に変更処理手続を迅速に行い、受給権者の利便を図るため、当該変更届の届出先を所轄署長に変更することとした(新労災則第二一条の二第一項、第二一条の三第一項)。
また、当該変更届は、受給権者の住所を管轄する労働基準監督署長を経由して行うことができることとされた(新労災則第二一条の二第二項、第二一条の三第二項)。
(二) (一)の改正により、変更届の届出先が所轄署長に改められたことに伴い、遺族補償年金又は遺族年金の請求及び受領についての代表者が選任されている場合における当該代表者以外の受給権者が行う変更届の届出先に関する特例の規定(旧労災則第二一条の四)を廃止した。
(三) 当該変更届の様式をOCR端末機による直接読取を可能にするものに変更した(新告示様式第一九号)。
(四) この改正は、昭和六四年二月一日から施行することとされた(改正省令附則第一項)。
二 改正省令等の施行に伴う事務処理上の留意事項
(一) 上記一の改正に伴い、所轄置長へ提出された変更届は、受理し内容審査の上、所轄労働基準監督署のOCR端末機から入力処理を行うこと。
(二) 今回の改正により、変更届の提出は受給権者の住所を管轄する労働基準監督署長を経由して行うことができることとされたが、改正の趣旨に鑑み、新労災則第二一条の二第二項(新労災則第二一条の三第二項で準用する場合を含む。)に規定する「受給権者の住所を管轄する労働基準監督署長」を「所轄労働基準監督署長以外の労働基準監督署長」と読み替えて取り扱つて差し支えないものとする。
したがつて、所轄労働基準監督署長以外の労働基準監督署長(以下「経由署長」という。)に提出された変更届についても、これを受理し内容審査の上、当該経由労働基準監督署(以下「経由署」という。)のOCR端末機から入力処理を行うこと。
(三) 変更届の入力処理は、円滑な支払事務を行うに当たり重要なことであるので、受理後速やかに行うよう努めること。
(四) 以上の改正に伴う機械事務処理等の詳細については、別途通達する。
第三 保険給付の請求書等に関する改正
一 改正省令の趣旨及び内容
(一) 労災年金等の請求があつた場合、現行の給付事務手引で指示している労災年金等と厚生年金保険の障害厚生年金等との併給調整の事務処理を適正に行うための厚生年金保険の障害厚生年金等の給付内容の確認事務について、法令上の根拠を与えるため、労災年金等の支給を受けようとする者は、労災年金等と同一の事由により厚生年金保険の障害厚生年金等が支給される場合には、当該厚生年金保険の障害厚生年金等の支給額を証明することができる書類を請求書等に添付させることとした(新労災則第一三条第三項(第一八条の七第二項で準用する場合を含む。)、第一四条の二第四項(第一八条の八第三項で準用する場合を含む。)、第一五条の二第三項(第一八条の九第三項で準用する場合も含む。)及び第一八条の二第四項(第一八条の一三第二項で準用する場合を含む。))。
(二) この改正は、昭和六四年二月一日から施行することとされた(改正省令附則第一項)。
二 改正省令の施行に伴う事務処理上の留意点
今回の改正の関係規定に規定する「厚生年金保険の障害厚生年金等の支給額を証明することができる書類」又は「厚生年金保険の遺族厚生年金等の支給額を証明することができる書類」とは、厚生年金保険の障害厚生年金等に係る「裁定通知書」、「年金改定通知書」、「支給額変更通知書」等の写しとする。