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○労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行について

(平成二年六月二二日)

(発基第四三号)

(各都道府県労働基準局長、各都道府県知事あて労働事務次官通達)

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(平成二年法律第四〇号)は、第一一八回特別国会において、平成二年六月一五日に成立し、本日公布された。本法律は、平成二年八月一日、同年一〇月一日、平成三年四月一日から、それぞれ内容に応じて施行されることとなった。ついては、下記事項を了知の上、今後の制度の運営に遺憾なきを期されるよう、命により通達する。

第一 改正の経緯及び趣旨

労働者災害補償保険制度については、高齢化の進展等経済社会の変化等に的確に対応し、また一層の公平・均衡を図る観点から、その改善について、昭和六三年八月以来労働者災害補償保険審議会において検討が行われてきた。

同審議会は、その検討の結果に基づき、平成元年一二月二五日、当面改正の必要のある事項について、労働大臣に対して建議を行った。

今回の改正は、この建議の趣旨に即して、法改正を要する事項について改善整備を行ったものである。

第二 改正の内容

1 労働者災害補償保険法の一部改正(第一次改正)

(1) 年金たる保険給付等のスライド制の改善

年金たる保険給付のスライドにつき、現在、賃金水準が六パーセントを超えて変動した場合にその変動率に応じて給付額を改定することとしていたものを、年度ごとに賃金水準の変動に応じて給付基礎日額を算定することとする(いわゆる完全自動賃金スライド制への移行)とともに、規定を本則化することとした。一時金たる保険給付の給付基礎日額の改定についても、同様とすることとした(第八条の二及び第八条の三関係)。

(2) その他

その他所要の規定の整備を行った。

2 労働者災害補償保険法の一部改正(第二次改正)

(1) 休業補償給付等のスライド制の改善

休業補償給付及び休業給付のスライドにつき、現在、賃金水準が二〇パーセントを超えて変動した場合にその変動率に応じて給付額を改定することとしていたものを、この賃金水準の変動幅の要件を一〇パーセントに緩和するとともに、現在、事業場の規模・産業により異なる変動率の算定方式を、全規模・全産業の平均賃金を用いて一本化することとした(第八条の二第一項関係)。

(2) 長期療養者に係る休業給付基礎日額への年齢階層別最低・最高限度額の設定

療養開始後一年六箇月を経過した者の休業補償給付及び休業給付に係る給付基礎日額につき、年金たる保険給付の例にならい、年齢階層別に最低限度額及び最高限度額を設定することとした(第八条の二第二項から第四項まで関係)。

(3) その他

その他所要の規定の整備を行った。

3 失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律の一部改正

(1) 農業に係る暫定任意適用事業の範囲の縮小

農業の事業のうち労働者災害補償保険に特別加入した者が行う当該特別加入に係る事業は、強制適用事業とすることとした(附則第一二条関係)。

(2) その他

その他所要の規定の整備を行った。

第三 施行期日等

(1) 施行期日

上記第二の改正内容のうち、一(年金・一時金スライドの改善)は平成二年八月一日から、二(休業補償給付等のスライドの改善及び年齢階層別最低・最高限度額の設定)は平成二年一〇月一日から、三(農業の適用拡大)は平成三年四月一日から施行することとしている(附則第一条関係)。

(2) 経過措置

上記第二の二の改正に伴う療養開始後一年六箇月経過者の休業補償給付等の給付基礎日額への最低・最高限度額の適用に関しては、その施行日前に療養を開始した者については当該施行日を療養を開始した日とみなすことなど、所要の経過措置を設けた(附則第二条から第六条まで関係)。

(3) 関係法律の改正

関係法律について、所要の規定の整備を行った(附則第七条から第一五条まで関係)。

第四 施行に伴う通達の変更

平成二年八月一日以後、現行の労働者災害補償保険法第六七条第二項が条文移動により同法第六四条第二項となるため、昭和五六年六月一二日付け労働省発基第六〇号通達別紙「民事損害賠償が行われた際の労災保険給付の支給調整に関する基準(労働者災害補償保険法第六七条第二項関係)」の題名中「第六七条第二項」は「第六四条第二項」に改められる。