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障害等級

第一級

算定基礎日額の三一三日分

 〃     二七七〃

 〃     二四五〃

 〃     二一三〃

 〃     一八四〃

 〃     一五六〃

 〃     一三一〃

なお、既に身体に障害のあった者が、同一の部位について障害の程度を加重した場合(いわゆる加重障害の場合)にあっては、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害特別年金の額から既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害特別年金の額(既にあった身体障害の該当する障害等級が第八級以下である場合には、その障害等級に応ずる障害特別一時金の額の二五分の一の額)を差し引いた額とする(新特別支給金規則第七条第二項)。

(ロ) 傷病が再発して治った場合については、障害補償年金又は障害年金についての取扱いに準じて措置するものとする。

(ハ) 障害特別年金の支給の申請は、障害補償年金又は障害年金の支給の請求と同時に行わなければならない。この場合において、傷病特別年金を受けていた者を除き、申請書(告示様式第一〇号、第一六号の七)の記載事項のうち一定の事項については事業主の証明を受けなければならない(新特別支給金規則第七条第四項及び第七項)。

(ニ) 障害特別年金の支給を受ける労働者の障害の程度に変更があり、他の障害等級に該当することとなった場合には、その新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害特別年金又は障害特別一時金を支給し、その後は従前の障害特別年金は支給しない。この場合には、所轄労働基準監督署長は、当該労働者について障害等級の変更による障害特別年金の変更に関する決定をしなければならない(新特別支給金規則第七条第五項及び第六項)。

また、この決定を受けようとする者は、申請書(告示様式第一一号)を労災則第一四条の三第二項の請求書(告示様式第一一号)と同時に所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

(ホ) 障害特別年金の支給の申請は、傷病が治ゆした日(障害補償年金又は障害年金の受給権者となった日)の翌日から起算して五年以内に行わなければならない(新特別支給金規則第七条第七項)。

ハ 障害特別一時金(新特別支給金規則第八条)

(イ) 障害特別一時金は、新法の規定による障害補償一時金又は障害一時金の受給権者に対し、その申請に基づいて支給され、その額は、障害等級に応じ、次の表に掲げる額である。

この場合において、障害が二以上あり、その障害等級が労災則第一四条第三項本文の規定により繰り上げられた場合において、各々の障害の該当する障害等級に応ずる障害特別一時金の額の合算額が、その繰り上げられた障害等級に応ずる障害特別一時金の額に満たないときの障害特別一時金の額は、各々の障害の該当する障害等級に応ずる障害特別一時金の額の合算額とする(新特別支給金規則第八条第一項及び別表第三)。

障害等級

第八級

算定基礎日額の五〇三日分

 〃     三九一〃

一〇

 〃     三〇二〃

一一

 〃     二二三〃

一二

 〃     一五六〃

一三

 〃     一〇一〃

一四

 〃     五六〃

なお、加重障害の場合にあっては、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害特別一時金の額から既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害特別一時金の額を差し引いた額とする。

(ロ) 傷病が再発して治った場合については、障害補償一時金又は障害一時金の取扱いに準じて措置するものとする。

(ハ) 障害特別一時金の支給の申請は、障害補償一時金又は障害一時金の支給の請求と同時に行わなければならない。

この場合において、傷病特別年金を受けていた者を除き、申請書(告示様式第一〇号及び第一六号の七)の記載事項のうち、一定の事項については、事業主の証明を受けなければならない(新特別支給金規則第八条第二項)。

したがって、第三者行為災害の場合における損害賠償との調整により障害補償一時金又は障害一時金が支給されない者についても、障害特別一時金の支給の決定に当たっては、障害補償一時金又は障害一時金の受給権者であることの確認が必要であるので、障害特別一時金の支給の申請の際には、同時に障害補償一時金又は障害一時金の支給の請求を行わせるものであるから留意されたい。

(ニ) 障害特別一時金の支給の申請は、傷病が治ゆした日(障害補償一時金又は障害一時金の受給権者となつた日)の翌日から起算して五年以内に行わなければならない(新特別支給金規則第八条第二項)。

ニ 遺族特別年金(新特別支給金規則第九条)

(イ) 遺族特別年金は、新法の規定による遺族補償年金又は遺族年金の受給権者に対し、その申請に基づいて支給される年金の特別支給金であり、その額は、次の表に掲げる額である。ただし、遺族補償年金又は遺族年金の受給権者が二人以上ある場合の遺族特別年金の額は、次の表に掲げる額をその人数で除して得た額である(新特別支給金規則第九条第一項、第二項及び別表第二)。

遺族補償年金又は遺族年金の受給権者及びその者と生計を同じくしている遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族の人数

一人

算定基礎年額の三五パーセント。ただし、五五歳以上又は労災則第一五条に規定する廃疾の状態にある妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)にあっては算定基礎年額の四五パーセントとし、五〇歳以上五五歳未満の妻(当該廃疾の状態にある妻を除く。)にあっては算定基礎年額の四〇パーセントとする。

二人

算定基礎年額の五〇パーセント

三人

 〃     五六パーセント

四人

 〃     六二パーセント

五人以上

 〃     六七パーセント

(ロ) 遺族特別年金の支給の申請は、遺族補償年金又は遺族年金の支給の請求と同時に行わなければならない。この場合において、死亡した労働者が傷病特別年金を受けていた者であるときを除き、申請書(告示様式第一二号及び第一六号の八)の記載事項のうち一定の事項については、事業主の証明を受けなければならない(新特別支給金規則第九条第四項及び第七項)。

(ハ) 遺族特別年金の支給の申請は、遺族補償年金又は遺族年金の受給権者となった日の翌日から起算して五年以内に行わなければならない(新特別支給金規則第九条第七項)。

(ニ) 次の場合には、所定の申請書(告示様式第一三号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない(新特別支給金規則第九条第五項及び第六項)。

① 労働者の死亡の当時胎児であった子が、既にその他の遺族が遺族補償年金又は遺族年金の支給の決定を受けた後に遺族特別年金の支給を受けようとするとき。

② 先順位者が失権した場合又は所在不明により支給が停止された場合に、新たに遺族補償年金又は遺族年金の受給権者となった者が遺族特別年金の支給を受けようとするとき。

(ホ) 遺族補償年金の請求及び受領についての代表者の選任等に関する労災則第一五条の五の規定は、遺族特別年金の支給の申請及び受領について準用される(新特別支給金規則第九条第七項)。

ホ 遺族特別一時金(新特別支給金規則第一〇条)

(イ) 遺族特別一時金は、新法の規定による遺族補償一時金又は遺族一時金の受給権者に対し、その申請に基づいて支給され、その額は次のとおりである(新特別支給金規則第一〇条第一項及び別表第三)。

① 労働者の死亡の当時遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族がいないときに支給される遺族補償一時金又は遺族一時金の受給権者にあっては、算定基礎日額の一、〇〇〇日分。

② 遺族補償年金又は遺族年金の受給権者がすべて失権した場合において、既に支給された遺族補償年金又は遺族年金の合計額が給付基礎日額の一、〇〇〇日分に満たないときに支給される遺族補償一時金又は遺族一時金の受給権者にあっては、算定基礎日額の一、〇〇〇日分から既に支給された遺族特別年金の合計額を控除した額。

なお、受給権者が二人以上ある場合には、これらの額をその人数で除して得た額である(新特別支給金規則第一〇条第一項)。

(ロ) 遺族特別一時金の支給の申請は、遺族補償一時金又は遺族一時金の支給の請求と同時に行わなければならない。この場合において、申請書(告示様式第一五号及び第一六号の九)の記載事項のうち一定の事項については、事業主の証明を受けなければならない(新特別支給金規則第一〇条第三項)。

したがって、第三者行為災害の場合における損害賠償との調整により遺族補償一時金又は遺族一時金が支給されない者についても、遺族特別一時金の支給の決定に当たっては、遺族補償一時金又は遺族一時金の受給権者であることの確認が必要であるので、遺族特別一時金の支給の申請の際には、同時に遺族補償一時金又は遺族一時金の支給の請求を行わせるものであるから留意されたい。

(ハ) 遺族特別一時金の支給の申請は、遺族補償一時金又は遺族一時金の受給権者となった日の翌日から起算して五年以内に行わなければならない(新特別支給金規則第一〇条第四項)。

(ニ) 遺族補償年金の請求及び受領についての代表者の選任等に関する労災則第一五条の五の規定は、遺族特別一時金の支給の申請及び受領について準用される(新特別支給金規則第一〇条第四項)。

ヘ 傷病特別年金(新特別支給金規則第一一条)

(イ) 傷病特別年金は、新法の規定による傷病補償年金又は傷病年金の受給権者に対し、その申請に基づいて支給される年金の特別支給金であり、その額は廃疾等級に応じ次の表に掲げる額である(新特別支給金規則第一一条第一項及び別表第二)。

廃疾等級

第一級

算定基礎日額の三一三日分

 〃     二七七〃

 〃     二四五〃

(ロ) 傷病特別年金の支給の申請については、当分の間、休業特別支給金の支給の申請の際に特別給与の総額についての届出を行っていない者を除き、事務処理の便宜を考慮し、傷病補償年金又は傷病年金の支給の決定を受けた者は、新特別支給金規則第一一条第一項の申請を行ったものとして取り扱って差し支えない。

(ハ) 傷病特別年金の支給を受ける者の廃疾等級に変更があった場合には、その変更があった日の属する月の翌月から新たに該当するに至った廃疾等級に応ずる傷病特別年金を支給し、その後は従前の廃疾等級に応ずる傷病特別年金は支給しない(新特別支給金規則第一一条第三項)。

なお、この傷病特別年金の変更は、傷病補償年金又は傷病年金の変更があった場合には当然に行うものであり、受給者からの申請は要しないものである。

(ニ) 傷病特別年金の支給の申請は、新法第一二条の八第三項に規定する傷病補償年金の支給要件又は新法第二二条の六第一項に規定する傷病年金の支給要件に該当することとなつた日(傷病補償年金又は傷病年金の受給権者となった日)の翌日から起算して五年以内に行わなければならない(新特別支給金規則第一一条第四項)。

ト 特別給与を基礎とする特別支給金の額のスライド

年金たる特別支給金の額は、年金たる保険給付の額の改定の例により改定を行い、障害特別一時金及び遺族特別一時金は障害補償一時金及び遺族補償一時金の額の改定の例により、改定を行う(特別支給金規則改正省令附則第七条)。

なお、特別給与を基礎とする特別支給金の額がスライドされる場合において、そのスライド率を算定基礎年額に乗じて得た額が一〇〇万円を超えるときは、一〇〇万円をそのスライド率で除して得た額を算定基礎年額として特別給与を基礎とする特別支給金の額を算定する(特別支給金規則改正省令附則第八条)。

<例>

算定基礎年額九〇万円(算定基礎日額二、四六六円)の障害等級第一級の障害補償年金の受給権者の場合、スライド率が一・一八のときは、障害特別年金の額は、

2,466円×313×1.18=910,792円

ではなくて(90万円×1.18=106.2万円が100万円を超えるので)、

100万円÷1.18=847,458円

が算定基礎年額(算定基礎日額二、三二二円)となり、障害特別年金の額は、

2,322×313×1.18=857,607円

となる。

チ その他

(イ) 休業特別支給金は、傷病補償年金及び傷病年金の受給権者には支給されない(新特別支給金規則第三条第一項)。これは、従来の長期傷病補償給付又は長期傷病給付の受給権者の場合の取扱いを引き継いだものであるが、特別加入者については傷病特別年金の支給が行われないので、従来と異なり新たに新特別支給金規則第三条に規定されることとなった。

(ロ) 年金たる特別支給金の支給の始期、終期、支払期月、一時差止めの取扱いは、年金たる保険給付の始期、終期、支払期月、保険給付の一時差止めの取扱いと同様である(新特別支給金規則第一三条第一項及び第三項並びに第二〇条)。

(ハ) 遺族特別年金は、遺族補償年金又は遺族年金が、受給権者の所在不明又は若年により支給停止とされている間は支給しない(新特別支給金規則第一三条第二項)。

なお、遺族補償年金又は遺族年金の前払一時金が支給され、遺族補償年金又は遺族年金の支給が停止されている場合であっても、遺族特別年金については前払一時金の制度は設けられていないので、前払もされず、その支給が停止されることはない。

(ニ) 年金たる特別支給金は、年金たる保険給付の払渡しを受ける金融機関又は郵便局において払い渡すものとする(新特別支給金規則第七条第八項、第九条第七項及び第一一条第五項)。

(ホ) 休業特別支給金の支給の申請を行う者は、その申請の際に特別給与の総額を事業主の証明を受けたうえで、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない(新特別支給金規則第一二条、告示様式第三八号)。

なお、この届け出は最初の休業特別支給金の支給の申請の際に行えば、以後は行わなくてもよいものとする。

また、この届け出を行った者が障害特別年金、障害特別一時金又は傷病特別年金の支給の申請を行う場合及びこの届け出を行った者の遺族が遺族特別年金又は遺族特別一時金の支給の申請を行う場合には、申請書記載事項のうち、特別給与の総額については記載する必要がないものとして取り扱って差し支えない。

(ヘ) 未支給の特別給与を基礎とする特別支給金についても、従来からの特別支給金と同様に、未支給の保険給付の例により支給する(新特別支給金規則第一五条第一項)。

また、未支給の特別給与を基礎とする特別支給金の支給の申請は、原則として未支給の保険給付の支給の請求と同時に行わなければならない(新特別支給金規則第一五条第二項及び第三項)。

なお、未支給の年金たる特別支給金の支払いに関する事務は、未支給の年金たる保険給付と同様、所轄労働基準監督署において行うものである(事務指定告示第三号)。

(ト) 特別給与を基礎とする特別支給金は特別加入者には支給されない(新特別支給金規則第一九条)。

リ 経過措置

(イ)

a 障害特別一時金及び遺族特別一時金は、施行日以後に支給事由の生じた場合(施行日以後に障害補償一時金若しくは障害一時金又は遺族補償一時金若しくは遺族一時金の受給権者となった場合)に支給し、障害特別年金及び遺族特別年金は、施行日以後の期間に係る分から支給する。したがって、障害特別年金及び遺族特別年金は、施行日以後に障害補償年金若しくは障害年金又は遺族補償年金若しくは遺族年金の支給決定を受けた者に限らず、施行日前にこれらの保険給付の支給決定を受けた者に対しても、施行日以後の期間に係る分は支給される(特別支給金規則改正省令附則第二条第一項)。

なお、傷病特別年金については、改正法により新しく設けられた傷病補償年金及び傷病年金の受給権者に支給されるものであるので、年金たる特別支給金の始期に関する規定により、傷病補償年金及び傷病年金と同様、はやくても五月分から支給が行われることとなるが、施行日前において長期傷病補償給付又は長期傷病給付を受けていた者であって施行日において傷病補償年金又は傷病年金の受給権者となった者には、政令で措置された傷病補償年金及び傷病年金の場合と同様、本年四月分から傷病特別年金が支給される(特別支給金規則改正省令附則第二条第二項)。

また、施行日前に業務上の事由又は通勤により死亡した労働者に関し、施行日後に法第一六条の六第二号(法第二二条の四第三項において準用する場合を含む。)の場合の遺族補償一時金又は遺族一時金の支給事由が生じた場合における当該遺族補償一時金又は遺族一時金の受給権者に支給される遺族特別一時金の額の算定に当たり算定基礎日額の一、〇〇〇日分から減ずる額は、労働者の死亡の時から引き続き遺族特別年金が支給されていたとした場合に当該遺族特別一時金の支給事由が生ずるまでに支給された遺族特別年金の額の合計額とする(特別支給金規則改正省令附則第二条第四項)。

b 施行日前に障害補償年金又は遺族補償年金の支給の請求を行った者については、その請求があったときに、障害特別年金又は遺族特別年金の支給の申請があったものとみなして取り扱うこととする。

(ロ) 施行日前に生じた事故に関して支給される特別給与を基礎とする特別支給金については、給付基礎年額の一六・九パーセント相当額(その額が一〇〇万円を超える場合には一〇〇万円)を算定基礎年額として、これらの特別支給金の支給額を算定する(特別支給金規則改正省令附則第三条)。

(2) 改正法の施行に伴う規定の整備等

イ 長期傷病特別支給金の廃止及び暫定措置

(イ) 長期傷病特別支給金の廃止

改正法により長期傷病補償給付及び長期傷病給付が廃止され、傷病補償年金及び傷病年金が新設されたことに伴い、長期傷病補償給付及び長期傷病給付の受給権者に対して支給されていた長期傷病特別支給金は廃止された(労働者災害補償保険特別支給金規則第六条の改正)。

(ロ) 経過措置

a 改正前の労働者災害補償保険特別支給金支給規則の規定による長期傷病特別支給金のうち施行日前の期間に係る分については、従前通りである。

b 施行日前に改正前の労働者災害補償保険法の規定による長期傷病補償給付又は長期傷病給付の受給権者であつた者が、施行日において新法の規定による傷病補償年金又は傷病年金の受給権者となつた場合において、その受給権者の受ける傷病補償年金又は傷病年金の額と傷病特別年金の額との合計額がその者の給付基礎日額の二九二日分(施行日の前日において昭和四〇年改正法附則第一五条後段の規定により給付基礎日額の二四〇日分相当額の年金の支給のみを内容とする長期傷病補償給付を受けていた者については、その者が施行日以後に療養補償給付を受けるに至るまでの間は給付基礎日額の三一三日分)相当額(当該傷病補償年金又は傷病年金の額がスライドされるときは、そのスライド率を乗じて得た額)に満たないときは、その差額を特別支給金として、その受給権者に支給する(特別支給金規則改正省令附則第六条第一項及び第二項)。

(ハ) 暫定措置

休業補償給付又は休業給付の受給者が傷病補償年金又は傷病年金の受給権者となった場合において、その者の受ける傷病補償年金又は傷病年金の額と傷病特別年金の額との合計額が、その者の給付基礎日額の二九二日分相当額(当該傷病補償年金又は傷病年金の額がスライドされるときは、そのスライド率を乗じて得た額)に満たないときは、その差額を特別支給金としてその受給権者に支給する(特別支給金規則改正省令附則第六条第一項)。

(ニ) その他

業務災害に関して上記(ハ)の特別支給金が支給される場合には、その特別支給金は、療養の開始後三年を経過する日の属する月までの分は、その支給実額をメリット制の収支率の算定基礎に算入し、当該三年を経過する日の属する月後の分は、同一の傷病に関して同月後の分として支給される傷病特別年金と合わせて、次の額をメリット制の収支率の算定基礎に算入する(特別支給金規則改正省令附則第六条第四項)。

ロ 特別加入者の通勤災害に係る特別支給金の支給

(イ) 新法第二八条第一項の承認を受けている事業主である者及びその事業主の行う事業に従事する者(中小事業主等)並びに新法第二九条第一項の承認を受けている団体に係る新法第二七条第三号から第五号までに掲げる者(一人親方等)の通勤災害についても保険給付が行われることとなったことに伴い、これらの者の通勤災害について休業特別支給金、障害特別支給金及び遺族特別支給金の支給が行われることとなった(新特別支給金規則第一六条及び第一七条)。

なお、通勤災害保護制度の適用が除外される法第二九条第一項の労働省令で定める者(労災則第四六条の一七第一号の事業を行う者(個人貨物運送業者)及びその事業に従事する者、新労災則第四六条の一七第三号の事業を行う者(漁船による漁業者)及びその事業に従事する者、新労災則第四六条の一八第一号の作業に従事する者(特定農作業従事者)並びに新労災則第四六条の一八第三号の作業に従事する者(家内労働者)については、その通勤災害に関しては特別支給金を支給しないこととした(新特別支給金規則第一七条第五号)。

(ロ)新法の規定により新たに通勤災害保護制度が適用されることとなった特別加入者については、保険給付の場合と同様、施行日以後に生じた通勤災害について休業特別支給金、障害特別支給金及び遺族特別支給金を支給するものであること(特別支給金規則改正省令附則第四条)。

ハ 海外派遣特別加入者に対する特別支給金の支給

(イ) 新法第二七条第六号及び第七号に掲げる者(海外派遣者)が新たに特別加入者の範囲に加えられることとなったことに伴い、新法第三〇条第一項の承認を受けている団体又は事業主に係るこれらの者についても、その業務災害及び通勤災害(通勤災害については昭和五五年四月一日以後に発生した事故に係るものに限る。)に関し休業特別支給金、障害特別支給金及び遺族特別支給金の支給が行われることとなった。その支給事由、額、申請手続等は中小事業主等及び一人親方等の場合と同様、すべて労働者の場合と同じ取扱いとする(新特別支給金規則第一八条)。

(ロ) 海外派遣者については、改正法附則第六条の政令で定める日(昭和五五年三月三一日)までの間は通勤災害に関する保険給付は行われないこととされていることに伴い、その間は休業特別支給金、障害特別支給金及び遺族特別支給金も通勤災害に関しては支給されない(特別支給金規則改正省令附則第五条)。

ニ その他

休業補償給付及び休業給付のスライド規定が改正されたことに伴い、休業特別支給金のスライド規定について所要の整備が行われた(新特別支給金規則第三条第二項)。

一三 メリット制の改正(徴収法第一二条第三項、第一四条の二、第二〇条関係)

今回の改正法によるメリット制の改正の趣旨及びこの改正に伴う事務処理等に関しては、昭和五一年一二月二〇日付労働省発労徴第七三号、基発第八九一号において指示したところであるが、傷病補償年金の創設、特別給与を基礎とする特別支給金の創設等に伴い、メリット制に関し、更に次のような改正が行われた。

(一) 収支率の算定

メリット制に係る収支率の算定基礎に、年金たる保険給付及び年金たる特別支給金等を算入する場合には、次による。

イ 年金たる保険給付の額のうち、障害補償年金及び遺族補償年金を収支率の算定基礎に算入する場合の取扱いについては従前のとおりである。

また、傷病補償年金及びその受給権者に対して行われる療養補償給付については、療養開始後三年を経過する日の属する月の分までは、その実額を収支率の算定基礎に加え、その翌月分以後の分は、その受給者の廃疾等級に応じ、次の額を当該翌月の属する年の保険給付の額として収支率の算定基礎に加える。

① 廃疾等級第一級 給付基礎日額の一、三四〇日分

② 廃疾等級第二級 給付基礎日額の一、一九〇日分

③ 廃疾等級第三級 給付基礎日額の一、〇五〇日分

なお、長期傷病補償給付の受給権者が傷病補償年金を受けることとなった場合には、その者に支給される傷病補償年金及びその者に対して行われる療養補償給付に要した費用の額は、収支率の算定基礎には加えられない。

ロ 特別給与を基礎とする特別支給金のうち、障害特別年金、遺族特別年金及び傷病特別年金の額を、収支率の算定基礎に算入するに当たっては、次による。

(イ) 障害特別年金 算定基礎日額にその障害特別年金の受給者の障害等級に応じ労働基準法別表第一に定める日数を乗じて得た額を収支率の算定基礎に算入する。

(ロ) 遺族特別年金 算定基礎日額を一、〇〇〇倍した額を収支率の算定基礎に算入する。

(ハ) 傷病特別年金 療養開始後三年を経過する日の属する月までの分は、その実額を収支率の算定基礎に算入し、その翌月以後の分は受給者の廃疾等級に応じ次の額を、当該翌月の属する年の分の額として収支率の算定基礎に算入する。

① 廃疾等級第一級の場合

算定基礎日額を一、三四〇倍した額

② 廃疾等級第二級の場合

算定基礎日額を一、一九〇倍した額

③ 廃疾等級第三級の場合

算定基礎日額を一、〇五〇倍した額

なお、従来長期傷病補償給付の受給権者であった者が傷病補償年金の受給権者となった場合に、その者に支給される傷病特別年金の額は、一切収支率の算定基礎に算入しない。

ハ 特別給与を基礎とする特別支給金の支給に関する報告方法等については、別途指示する。

ニ 第三者行為災害に関して支給されることになった特別支給金を、収支率の算定基礎に算入するに当たっての取扱いは、保険給付の場合に準ずる。

ホ なお、収支率の算定は、従来どおり本省において行うものである。

(二) 有期事業のメリット制(新徴収則別表第六関係)

イ 一定の要件に該当する有期事業については、従来、その事業が終了した日から三箇月を経過した日又は九箇月を経過した日における収支率に応じ、その事業の確定保険料の額が一〇〇分の二〇の範囲内において引き上げ、又は引き下げられることになっていたが、改正法によりこの収支率に応じた確定保険料の引上げ又は引下げ幅が一〇〇分の二五に拡大された。これに基づき、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則(昭和四七年労働省令第八号)別表第六中「

三〇パーセント以下のもの

二〇パーセント減ずる。

」の部分が「

/二〇パーセント以下のもの/二〇パーセントを超え三〇パーセントまでのもの/

/二五パーセント減ずる。/二〇パーセント減ずる。/

」に、「

一三〇パーセントを超えるもの

二〇パーセント増加する。

」を「

/一三〇パーセントを超え一四〇パーセントまでのもの/一四〇パーセントを超えるもの/

/二〇パーセント増加する。/二五パーセント増加する。/

」にそれぞれ改正されることになった。

ロ なお、新徴収則別表第六の規定は、昭和五二年四月一日以後に保険関係が成立した事業に限って適用されるものであり、昭和五二年三月末日までに既に保険関係が成立している事業の収支率に応ずる確定保険料の額の調整については従前どおり取扱われる。

ハ 有期事業の労働者に関して支給される特別支給金も、昭和五二年四月一日からは収支率の算定基礎に算入される。ただし、昭和五二年三月三一日までに保険関係が成立した事業の労働者に支給される特別支給金は、収支率の算定基礎に算入されない(改正法附則第一三条)。

(三) 第三種特別加入保険料のメリット制上の取扱い

海外派遣者として特別加入した者(第三種特別加入者)の業務災害に関して支給された保険給付及び特別支給金並びに第三種特別加入保険料は、メリット制の収支率の算定基礎には一切算入されない。

一四 葬祭料及び葬祭給付の額の引上

(一) 最近の葬祭に要する費用の動向を勘案し、葬祭料及び葬祭給付の定額部分が、一二万五千円から一五万円に引き上げられることになった(新労災則第一七条)。

(二) この引上げは、施行日以後に支給すべき事由の生じた葬祭料及び葬祭給付(施行日以後に業務上の事由又は通勤により死亡した労働者に関して支給される葬祭料及び葬祭給付)について適用され、同日前に支給すべき事由の生じた葬祭料及び葬祭給付の額は従前どおりの算式で算定される(整備省令第二条第三項)。

一五 その他

(一) 労働者災害補償保険法の一部改正により傷病補償年金及び傷病年金が新設されたことに伴い、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の規定による特例による保険給付及び特例による保険給付の実施に伴い徴収される特別保険料に関し、次のような内容の整備が行われた。

イ 特例による保険給付を受ける労働者についても、療養開始後一年六箇月を経過しても治らず、かつ、その廃疾の程度が廃疾等級に該当する場合には、傷病補償年金又は傷病年金を支給すること。

ロ 継続事業の労働者に対し、特例による保険給付として傷病補償年金又は傷病年金が支給されることとなった場合、傷病補償年金又は傷病年金が支給されることとなってから療養の開始後一六年を経過する日までの間、特別保険料が徴収される。

ハ 特別加入保険料率の算定に当たっては、傷病補償年金又は傷病年金のうち療養開始後三年を経過する日の属する月の分まではその全額が算定基礎に加えられ、その翌月以後の分については給付基礎日額の一、二〇〇日分が算定基礎に加えられる。また、療養補償給付及び療養給付のうち傷病補償年金又は傷病年金の受給権者に対して行われるもので、その受給権者が療養を開始した後三年を経過する日の属する月の翌月以後の分は、特別保険料率の算定基礎には加えられない。

ニ なお、特例による保険給付として行われていた長期傷病補償給付及び長期傷病給付は、施行日以後は傷病補償年金又は傷病年金とみなして取り扱う。

(二) 労働者災害補償保険法の一部改正に伴い、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法の規定についても所要の整備が行われたが、改正後の取り扱いは、従前と全く同様であると解してよい。

(三) 様式の改正について

長期傷病補償給付及び長期傷病給付の廃止、傷病補償年金及び傷病年金の新設、特別加入者の範囲の拡大、特別給与を基礎とする特別支給金の創設等に伴い、保険給付の請求書等の様式について大幅な告示改正が行われたが、改正された保険給付の請求書等の用紙については、当分の間、別途指示するところにより、従来の用紙を補正して使用されたい。

(四) 労働福祉事業実施要綱等の一部改正について

長期傷病補償給付及び長期傷病給付の廃止並びに傷病補償年金及び傷病年金の新設に伴い、労働福祉事業実施要綱等の一部を次のように改正し、来る四月一日から実施する。

なお、労働福祉事業実施要綱等の運用に関する従来の通達については、労働者災害補償保険法の改正及び左記の改正の趣旨を勘案し適宜読み替えて運用されたい。

また、左記により様式が改正される介護料支給申請書の用紙については、当分の間、従来の用紙を補正して使用されたい。

イ 労働福祉事業実施要綱(昭和二五年基発第九五〇号)の一部改正

義肢等の支給の項中「又は長期傷病補償給付」を削り、通勤災害についての準用の項中「又は長期傷病補償給付」及び「又は長期傷病給付」を削る。

ロ 災鉱災害による一酸化炭素中毒症に係るアフターケアの実施要綱(昭和四三年基発第一四五号)の一部改正

アフターケアの対象者の項中「又は長期傷病補償給付」を削る。

ハ 介護料支給要綱(昭和四五年基発第七七三号)の一部改正

支給対象者の項中「長期傷病補償給付を受けている者」を「傷病補償年金を受けている者(当該傷病に係る療養の開始後三年を経過している者に限る。)」に改める。

支給手続の項中「長期傷病補償給付」を「傷病補償年金」に改める。長期傷病給付を受ける者についての準用の項中「長期傷病給付」を「傷病年金」に改める。

様式第一号(表面)中「長期給付」を「傷病(補償)年金支給」に改める。

ニ 労災就学援護費支給要綱(昭和四五年基発第七七四号)の一部改正

支給対象者の項中「長期傷病補償給付」を「傷病補償年金」に、「せき髄損傷者等傷病の程度が特に重篤であると認められる者に限る」を「せき髄損傷者等傷病の程度が特に重篤であると認められる者であって当該傷病に係る療養の開始後三年を経過しているものに限る」に改める。

支給期間の項中「長期傷病補償給付」を「傷病補償年金」に改め、「支給すべき事由の発生した月」の次に「(傷病補償年金を支給すべき事由の発生した月が当該傷病に係る療養の開始後三年以内の月であるときは、当該療養の開始後三年を経過する日の属する月)」を加える。

通勤災害についての準用の項中「長期傷病給付」を「傷病年金」に、「長期傷病補償給付」を「傷病補償年金」に改める。

別添1

傷病補償年金の取扱いについて

廃疾等級表

廃疾等級

廃疾の状態

第1級

1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの

2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの

3 両眼が失明しているもの

4 そしゃく及び言語の機能を廃しているもの

5 両上肢をひじ関節以上で失ったもの

6 両上肢の用を全廃しているもの

7 両下肢をひざ関節以上で失ったもの

8 両下肢の用を全廃しているもの

9 前各号に定めるものと同程度以上の廃疾の状態にあるもの

第2級

1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの

2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの

3 両眼の視力が0.02以下になっているもの

4 両上肢を腕関節以上で失ったもの

5 両下肢を足関節以上で失ったもの

6 前各号に定めるものと同程度以上の廃疾の状態にあるもの

第3級

1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの

2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの

3 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になっているもの

4 そしゃく又は言語の機能を廃しているもの

5 両手の手指の全部を失ったもの

6 第1号及び第2号に定めるもののほか常に労務に服することができないものその他前各号に定めるものと同程度以上の廃疾の状態にあるもの

廃疾等級認定基準

第1 廃疾等級認定の原則

1 「廃疾の状態」を判断する場合の期間的基準

廃疾等級表の各等級の各号に定められた「廃疾の状態」には、その状態が6箇月以上引き続く場合に、当該定められた廃疾の状態に該当するものとして取り扱うものであること(新労災第18条第2項)。したがって、傷病補償年金へ移行する場合の取扱いについては次によること。(「参考Ⅰ」参照)

(1) 療養開始後1年6箇月経過した日(以下単に「移行日」という。)において、その後6箇月以上にわたり、同様の状態が継続すると見込まれる場合は、移行日の廃疾の状態により、廃疾等級を認定すること。

(2) 移行日において、その後6箇月以内に廃疾の状態が変更すると見込まれる場合であっても過去6箇月間における廃疾の状態により、廃疾等級を認定すること。

(3) 移行日において、その前6箇月以内に廃疾の状態の変更がありさらに移行日後6箇月以内にも、変更すると見込まれる場合には移行日後6カ月以内の変更の時期、廃疾の状態が明らかに予測できる場合を除いて、移行日における廃疾の状態によって廃疾等級を認定して差し支えないこと。

2 「常に労務に服することができないもの」の取扱い

(1) 廃疾等級第3級の1号2号及び6号に定められた「常に労務に服することができないもの」とは、身体の機能的若しくは器質的障害により、療養管理上労務に服することが禁じられているか又は身体的能力からみて、労務に服することができない状態のものをいう。(「参考Ⅱ」参照)

(2) 移行日において、上記(1)のそれぞれの廃疾の状態に該当するか否かは、上記1の(2)及び(3)にかかわらず、上記(1)の状態がその後6箇月以上引き続くと見込まれる場合にこれに該当するものとして取り扱うこと。

3 廃疾等級表の各等級の末尾に定められたものの取扱い

廃疾等級表の第1級の9号及び第2級の6号の「前各号に定めるものと同程度以上の廃疾の状態にあるもの」並びに第3級の6号の「その他前各号に定めるものと同程度以上の廃疾の状態にあるもの」とは後記6、の併合の取扱いにより第1級又は第2級若しくは第3級に格付されるものがそれぞれ該当するが、その他の事案(療養管理上の制約のある場合等)でこれらに該当させて格付することが妥当と認められるものについては、本省にりん伺すること。

4 「介護」の状態による判断等

(1) 廃疾の状態を判断するに当って、傷病自体の障害(療養管理上禁じられているために、傷病自体の障害と同様の状態にあるものを含む。)の程度と介護の状態(「常に」又は「随時」)の双方をその要件としているのは、「神経系統の機能又は精神」の障害と「胸腹部臓器の機能」の障害である。

したがって、廃疾等級表の第1級の3号から9号まで及び第2級の3号から6号まで並びに第3級の3号から6号までに定められた廃疾の状態に該当する場合には、介護の状態に関係なく、それぞれ該当する廃疾等級に認定するものであること。

(2) 廃疾等級表の第1級及び第2級並びに第3級の3号から5号まで及び6号後段に定められた廃疾の状態に該当する場合には、労務に服することの可否に関する判断をまつまでもなく、それぞれ該当する廃疾等級に認定すること。

5 眼、上下肢等の廃疾の状態に関する判断基準

視力障害、上下肢の機能障害及び器質障害、そしゃく、言語の機能障害等に関する廃疾の状態の判断基準は、障害等級の認定基準によること。

〔例〕

① 「上肢をひじ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

((イ)) 肩関節において、肩甲骨と上腕骨とを離断したもの

((ロ)) 肩関節とひじ関節との間において、上腕を切断したもの

((ハ)) ひじ関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨とを離断したもの

② 「上肢の用を全廃したもの」とは、3大関節(肩関節、ひじ関節及び腕関節)の完全強直又はこれに近い状態及び手指の全部の用を廃したものをいう。

また、上腕神経叢の完全麻痺も含まれる。

③ 「下肢をひざ関節以上で失ったもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

((イ)) 股関節において、寛骨と大腿骨を離断したもの

((ロ)) 股関節とひざ関節との間(大腿部)において切断したもの

((ハ)) ひざ関節において、大腿骨と下腿骨を離断したもの

④ 「下肢の用を全廃したもの」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。

((イ)) 3大関節(股関節、ひざ関節及び定関節)及び足指全部の完全強直又はこれに近い状態にあるもの

((ロ)) 3大関節のすべての完全強直又はこれに近い状態にあるもの

6 併合の取扱い

(1) 同一原因により、障害等級表に掲げられている障害(障害等級表に掲げられていないものについては、準用等級による。以下同じ。)と同程度の廃疾の状態が2以上ある場合には、障害等級の準用、併合の方法により障害等級に準じた等級を定め、当該等級が第1級の場合には廃疾等級第1級に、当該等級が第2級の場合には廃疾等級第2級に、当該等級が第3級の場合には廃疾等級第3級にそれぞれ格付することとし、その取扱いは、前記4によること。

(2) 同一原因により、障害等級表に掲げられている障害と同程度の廃疾の状態が2以上ある場合であって、1の部位の傷病は治ゆしているが、他の部位の傷病が治ゆせず療養中の場合は、前記(1)により廃疾等級を認定し、他の部位の治ゆするまで、当該廃疾等級によって傷病補償年金を支給すること。

(例) 両上肢をひじ関節以上で失い、当該部位は治ゆしているが、両眼の傷病について治療を続けており、両眼の視力が0.6以下になっている場合には、廃疾等級第1級として取り扱う。

7 既存障害を加重した場合の取扱い

既に身体障害のあった者が、業務災害又は通勤災害によって廃疾の程度を加重した場合の廃疾等級の認定については、障害補償給付において加重の取扱いが行われる次の場合には、現在(加重後)の廃疾の状態に応じて、廃疾等級を認定すること。

(1) 同一部位について、障害の程度を加重した場合

同一部位とは、同一系列の範囲内をいうが、異なる系列であっても、「欠損」又は「機能の全部そう失」はその部位における最上位の等級であるから、既存障害に欠損又は機能の全部そう失が加わった場合には、同一部位の加重として取り扱う。

(2) 同一部位に障害の程度を加重するとともに、他の部位にも新たな障害が残った場合には、まず、同一部位の加重後の障害について等級を定め、次に他の部位の障害について等級を定め、両者を併合して、現在の障害の等級を認定する。

(3) 系列を異にする身体障害で、等級表上特にその組合せを規定しているために、同一系列とされている次の場合に、既存障害として一方に身体障害を有していた者が新たに他方に身体障害を加え、その結果、組合せ等級に該当するに至ったときは、新たな身体障害のみの該当する等級によることなく、加重として取り扱う。

イ 両上肢の欠損又は機能障害(第1級の6、第1級の7、第2級の3)

ロ 両手指の欠損又は機能障害(第3級の5、第4級の6)

ハ 両下肢の欠損又は機能障害(第1級の8、第1級の9 第2級の4、第4級の7)

ニ 両足指の欠損又は機能障害(第5級の6、第7級の11)

ホ 両眼瞼の欠損又は機能障害(第9級の4、第11級の2、第13級の3)

(例) 既に1上肢を腕関節以上で失っていた(第5級の2)者が 新たに他方の上肢を腕関節以上で失った場合は、その新たな障害のみ(第5級の2)により等級の認定を行うことなく、両上肢を腕関節以上で失ったもの(第2級の3)として認定する。

なお、障害補償給付においては、前記(2)の場合及び手指・足指・相対性器官(眼球及び内耳等)で身体障害の程度を加重した場合で、加重された身体障害の該当する障害等級の障害補償の額(日数)から 既に存していた身体障害の該当する障害等級の障害補償の額(日数)を控除して得た額が、新たな身体障害のみが生じたこととした場合の障害補償の額(日数)より少ないときは、その新たな身体障害のみが生じたものとみなして障害等級の認定を行うこととしているが、廃疾等級の認定に当たっては、これらの取扱いは準用せず、あくまで、現在(加重後)の廃疾の状態に応じて等級を認定するものであること。

第2 傷病別廃疾等級の認定基準

1 神経系統の機能又は精神の廃疾については、次により判断すること。

神経系統の機能又は精神については、その廃疾の状態により基本的には第1級は「自用を弁ずることができないもの」、第2級は「多少自用を弁ずることができる程度のもの」、第3級は「自用を弁ずることはできるが、常態として労務に服することができないもの」が該当するが、個々の疾病についての具体的取扱いは次によること。

(1) 中枢神経系(脳)の損傷

第1級 重度の神経系統の機能又は精神の障害のために常に介護を要するもの

失外套症候群(植物状態)高度の痴呆、記憶障害、情動障害、失見当識などのために常に厳重な注意を必要とするもの及び体幹の機能障害のため座位又は起立位を保つことが困難なものがこれに該当する。

第2級 高度の神経系統の機能又は精神の障害のために随時介護を要するもの

痴呆、情動障害、記憶障害、無関心、無為徘徊、寺火、不潔、性格変化、失認、失行、失語、幻覚、忘想、発作性意識障害の多発などのため随時他人による注意を必要とするもの及び体幹の機能障害によって自力のみで歩行することが困難(100m程度以上歩行困難)なものがこれに該当する。

第3級 著しい神経系統の機能又は精神の障害のために、常に労務に服することができないもの

知能低下 自発性減退 記憶減弱、判断力障害、計算力障害、体幹の機能障害による歩行障害などのため、常に労務に服することができないものが、これに該当する。

なお、外傷性てんかんで他の精神、神経障害を伴わない場合に、十分な治療にかかわらず、意識障害を伴う発作が多発(平均して1週1回以上程度のもの)するものについては第2級に、その他のもので常に労務に服することができないものについては、第3級に該当するものであること。

(2) せき髄の損傷

せき髄の損傷による廃疾については、次のいずれかによって廃疾等級を認定すること。

イ 両下肢の用を全廃しているものは、第1級とする。

ロ 外傷、減圧症又はその他の疾病によるせき髄の損傷による廃疾の状態は複雑な諸症状を呈する場合が多いので、前記(1)の中枢神経系(脳)の場合と同様に、諸症状を総合評価して、廃疾の程度により次の3段階に区分して等級を認定する。

第1級 生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に介護を要するもの

第2級 生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの

第3級 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、常に労務に服することができないもの

(3) その他

精神神経の障害で上記(1)及び(2)以外のものの認定に当たつては上記(1)及び(2)に準ずること。

2 胸腹部臓器の廃疾については、次により判断すること。

第1級 重度の胸腹部臓器の障害のために、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に介護を要するもの

胸腹部臓器の障害により、日常生活の範囲が病床に限定されている状態のものがこれに該当する。

第2級 高度の胸腹部臓器の障害のために、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの

胸腹部臓器の障害により、日常生活の範囲が主として病床にあるが、食事、用便、自宅又は病棟内の歩行など短期間の離床が可能であるか又は差し支えない程度の状態のものがこれに該当する。

第3級 著しい胸腹部臓器の障害のために、生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、常に労務に服することができないもの

胸腹部臓器の障害により、通院、自宅周囲若しくは病院構内の歩行が可能か又は差し支えないが、常に労務に服することができない状態のものが、これに該当する。

〔参考1〕

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〔参考Ⅱ〕

別添2

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