○新職業訓練法の施行について
(昭和四四年一〇月一日)
(訓発第二四八号)
(各都道府県知事、雇用促進事業団理事長あて労働省職業訓練局長)
新職業訓練法については、昭和四四年一〇月一日付けをもつて労働事務次官から貴職あてに通達されたところであるが、職業訓練関係業務の運営にあたつては、なお左記に留意のうえ、遺憾のないよう御配意をお願いする。
記
第一 職業訓練計画の策定
一 職業訓練計画策定の意義
職業訓練計画策定の意義は、国、都道府県の職業訓練を全体として整合的、かつ、効率的に実施するため、職業訓練の目的とその施策を明らかにするとともに、民間における職業訓練の推進に当たつても本計画が指針となるべきものであること。
二 当面の方針
職業計画基本計画は、現在進められている「新経済社会発展計画」等国の他の関係諸計画の策定の動向をも勘案しつつ法第二条の規定に基づき鋭意策定作業を進めているところであること。
各都道府県においても、従来から職業訓練に関する基本的計画を策定し、行政の運営に資してきたところであるが、新制度に即応した都道府県職業訓練計画を策定し、推進するための体制を速やかに確立し、基礎資料の整備等諸般の準備を進められたいこと。
三 事業主団体に対する勧告
労働大臣又は都道府県知事は、職業訓練計画に基づき、国又は都道府県の区域内の技能労働者の職業能力の開発、向上に重大な責務を有しているので、当該産業又は当該職種の職業訓練の実施について関係のある事業主の団体に対して、職業訓練の実施について必要な勧告をすることができることとしたものであること。
第二 職業訓練の体系
一 法定職業訓練の訓練課程は職業訓練法施行規則(以下「規則」という。)第一条に定められているが、各訓練課程における職業訓練の目的は次のとおりであること。
(一) 専修訓練課程
主として新規学校卒業者を対象として、比較的短期間の訓練により基礎的な技能を付与することを目的とするものであること。
(二) 高等訓練課程
主として新規学校卒業者を対象として、比較的長期間の訓練により専門的な技能を付与することを目的とするものであること。
(三) 二級技能士訓練課程
専修訓練課程の養成訓練を修了し数年の実務経験を有する者又はこれと同等以上の技能を有する者を対象として、学科の訓練を行なうことにより、一般的及び専門的な知識を付与することを目的とするものであること。
(四) 監督者訓練課程
職長、組長等労働者の指導監督にあたる地位に就こうとしている者又は就いている者を対象として、労働者の指導監督に必要な技能及び知識を付与することを目的とするものであること。
(五) 生産技能訓練課程
二級の技能検定合格者又はこれと同等以上の技能を有する者を対象として、科学技術によつて裏付けされた高度な多能的技能及び管理能力を付与することを目的とするものであること。
(六) 職業転換訓練課程
主として転離職者等を対象として比較的短期間の訓練により基礎的な技能を付与することを目的とするものであること。
(七) 再訓練課程
(一)から(六)までの訓練課程を修了した者又はこれと同等以上の技能を有する者を対象として、生産技術の進歩による技能労働の変化等に対応させるため必要な技能及び知識を付与し、又はその有する技能及び知識をより完全なものとするために補習させることを目的とするものであること。
(八) 長期指導員訓練課程
高等訓練課程の養成訓練修了者又は高等学校卒業者等を対象として職業訓練指導員に必要な技能及び知識を付与するものであること。
(九) 短期指導員訓練課程
二級の技能検定合格後三年以上の実務の経験を有する者又はこれと同等以上の技能を有する者を対象として、職業訓練指導員に必要な指導方法及び担当する訓練科に関する専門的知識を付与することを目的とするものであること。
(一〇) 指導員研修課程
職業訓練指導員の免許を有する者を対象として、生産技術の進歩等に対応させるために技能及び知識を付与し、又はその有する技能及び知識をより完全なものとするために補習させることを目的とするものであること。
二 職業訓練に関する基準及び運用
規則第三条から第一四条までに定める職業訓練に関する基準についての留意点は、次のとおりであること。
(一) 養成訓練に関する基準(規則第三条及び第四条関係)
イ 訓練科
従来の訓練職種にかえて新しく訓練科を設定したこと。
なお、訓練科と訓練職種の対応は、別添(一)に示すとおりであること。
ロ 教科
(イ) 教科の科目は、普通学科を除き当該訓練科において訓練すべき最低限の科目を示したものであり、訓練生が訓練修了後に就業する職種に応じて、適宜必要とする科目を付加して訓練を実施することができるものであること。
(ロ) 普通学科については原則として選択制を採用していること。ただし、高等学校卒業者等を対象とする訓練については特に定めのある訓練科を除きその訓練の省略を認め、学校教育との重複を避けることとしていること。なお、中学校卒業者等と混合した訓練単位を編成して訓練を行なう場合には、その訓練を省略することが困難であるので、省略は原則として行なわないこととすること。
(ハ) 専門学科は実技の理論的裏付けとして訓練するものであって、その内容については、訓練を行なう実技の内容及びその程度に応じて決定すべきものであり、訓練の実施にあたってはそれぞれ遊離して行なわれることのないよう留意すること。
(ニ) 高等学校卒業者で職業教育を主とする課程を修了したものを対象として訓練する場合には、当該高等学校において履習した科目と訓練において履習すべき科目の内容を検討し、同一の内容を含むものであるときは、その科目の訓練が省略できるものであること。
ハ 訓練期間及び訓練時間
(イ) 訓練科ごとに定められた訓練期間は標準の訓練期間を、訓練期間については最少限の訓練時間を示すものであること。
(ロ) 各教科の下にそれぞれ掲げられた時間数は当該教科に属するものとして掲げられた科目を訓練するために充当すべき時間数を示すものとし、ロの(イ)により科目を付加して訓練を行なう場合には、その訓練に必要な時間数を追加しなければならないものであること。
ただし、その場合訓練総時間を延長して行なうか又は訓練総時間内で行なうかは自由であること。
(ハ) 普通学科の訓練は、特に必要があるときは訓練時間を独立して設けることなく専門学科の訓練を行なう際にあわせて実施することができるものであること。
(ニ) 認定職業訓練における基本実技の訓練は、訓練時間を独立して設けないで、基本実技と応用実技の訓練を行なう際にあわせて実施して差しつかえないこと。
(ホ) 訓練期間は必要とするときに一年を限度として延長が認められるが「必要とするとき」とは次のような場合であること。
a 養成訓練は日曜、祝祭日を除いた日の昼間を利用し連続して行なう訓練(以下「全日制訓練」という。)を原則とするが、訓練施設の状況等のため夜間等を利用して連続又は断続して行なう訓練(以下「定時制訓練」という。)によることがやむをえない場合
b 特に認定職業訓練等において必要により、特定科目の訓練時間を延長することにより規則別表第二又は第三に定める教科の最低限の訓練時間をこえて訓練を行なう場合、又は教科の編成にあたり応用実技の訓練に要する時間数を十分に組み込むとともに、他の教科についても定められた科目以外の科目を追加して訓練を行なう場合
c 天災地変等やむをえない理由により訓練を中断した場合
ニ 訓練を行なう一単位の訓練生の数は、当面、原則として、訓練科ごとに三〇人やむをえないときは五〇人として運営するものとすること((三)の転職訓練課程についても同様であること。)。
ホ 設備
公共職業訓練施設の設備の細目は、別に定めることとされているが、新たな細目が定められるまでの間、専修訓練課程については従前の基礎的な技能に関する訓練の基準の細目に、高等訓練課程については従前の専門的な技能に関する訓練の基準の細目によるものであること。
ヘ 当面留意すべき事項
(イ) 公共職業訓練施設において、高等学校卒業者が訓練生の大多数を占める特定の訓練科について、第二類の訓練期間及び訓練時間による訓練科の開設を計画している向きもあるが、特定の訓練科を高等学校卒業者のみを対象とする訓練科とすることは、当該訓練科について中学校卒業者が訓練を受けることを拒むこととなり、また、第二類の訓練期間及び訓練時間による訓練科が、設置されていないためやむをえず第一類の訓練期間及び訓練時間による訓練科の訓練を受けることになった高等学校卒業者との間に、訓練修了後における処遇上の相違が生ずる等公平を欠くおそれもあり、種々問題があるので、雇用促進事業団の設置する高等職業訓練校については、第二類の訓練期間及び訓練時間による訓練科の開設を昭和四六年四月一日以降とし、その間に円滑な訓練の実施を可能とする体制の整備に努めるものであること。
よって、各都道府県の設置する公共職業訓練施設についても同様の方針によることが適当であることと思料されるのでよろしく配意されたいこと。
なお、認定職業訓練にあっては事情は異なるが、同様のことが考えられる場合もあるので、訓練生の取扱い及び了者の処遇等に不均衡の生じないよう、第二類の訓練期間及び訓練時間による訓練科の設定にあたっては、十分慎重に対処する必要がある旨注意を喚起する等適切に指導されたいこと。
(ロ) 規則附則第四条第二項の規定に基づき新基準により職業訓練を行なう場合には、次の要件を満たさなければならないこと。
a 新基準によって一〇月一日以後訓練を行なおうとする期間が一年以上の期間であり、かつその期間と同日前までに旧基準によって訓練を行なってきた期間を合算した期間が、新基準による訓練期間に相当する期間を下まわらないこと。
b 新基準による教科の編成が適切に行なわれること。
この場合において、認定職業訓練を行なうものについては、あらかじめ管轄都道府県知事に次の事項を届け出るよう指導するものとすること。
(a) 規則附則第四条第二項の規定により職業訓練を行なう旨及びその開始年月日
(b) 新基準による訓練の訓練科別訓練生数、訓練期間、教科及び訓練時間
(c) 旧基準によって行なった訓練の訓練職種別、訓練期間、教科及び訓練時間
なお、高等訓練課程の養成訓練となるものとされた職業訓練のうち認定職業訓練を行なうものが、昭和四四年一〇月一日以降新たに職業訓練を受けることとなる訓練生に対して当該認定職業訓練を行なう場合において当該職業訓練の内容を新基準に適合するよう変更したときは、規則第三三条の届出を要すること。
(ハ) 中学校卒業者等に対して、公共職業訓練施設で行なう高等訓練課程の養成訓練のうち、訓練期間が三年の訓練科に係るものについては、当分の間、旧基準によって行なうものであるので留意すること(規則附則第五条)。
(二) 向上訓練に関する基準
イ 二級技能士訓練課程(規則第五条関係)
(イ) 全日制訓練による場合の訓練期間は、一月とし、定時制訓練による場合は六月以内とすること。なお、通信制訓練については、指定された施設における面接指導を必ず受講しなければならないものであること。
(ロ) 訓練修了時に行なう試験の基準は、技能照査の基準を準用するものとすること。
ロ 監督者訓練課程(規則第六条関係)
第一科、第二科及び第三科については、従前実施されていた「監督者訓練(T・W・I)方式」により、第四科については「訓練計画の進め方訓練(P・D・I)方式」により、第五科については「問題解決の仕方訓練(P・S・T)方式」によりそれぞれ実施するものであること。
ハ 生産技能訓練課程(規則第七条関係)
それぞれの教科の訓練に充当する時間数の合計は訓練総時間数を下回るものであるが、その差の時間は訓練生が専攻する技能及び知識に係る科目の訓練を受けるための時間に充当するものであること。
(三) 能力再開発訓練に関する基準(規則第八条関係)
養成訓練と同様に従来の訓練職種にかえて新しく訓練科を設定したが、訓練科と訓練職種の対応は、別添(一)に示すとおりであること。
また、職業転換訓練課程の基準は訓練生の従前の職業経験等を勘案し、弾力的な運用を行なうことができるものであること。
なお、定時制訓練による場合には、訓練期間を、一年をこえない期間に限り、延長できるものであること。
(四) 再訓練に関する基準(規則第九条関係)
再訓練課程は日々の生産活動に必要な一般的な又は専門的知識を内容とする各科目単位に一コースを編成し、必要があれば数科目を複合して実施するものであること。
(五) 指導員訓練に関する基準
イ 長期指導員訓練課程及び短期指導員訓練課程(規則第一〇条及び第一一条関係)
教科の科目の内容は、養成訓練及び能力再開発訓練における職業訓練指導員として訓練修了者が担当する訓練科で、訓練が実施される教科の科目の内容の全てを網羅するものであること。
なお、設備の細目については新たな細目が定められるまでの間、従前の細目によるものであること。
ロ 指導員研修課程(規則第一二条関係)
教科、訓練期間及び訓練時間は、訓練を受ける職業訓練指導員の経歴及び技能の程度に応じて、弾力的な運用を行なうことができるものであること。
三 教科書の認定及び技能照査
(一) 教科書の認定(規則第一六条~第二一条関係)
職業訓練教科書については、新たに教科書認定制度が設けられたが、その趣旨は職業訓練教科書を早急に整備し、認定教科書の活用により訓練内容の充実向上を図ることにあること。
ついては、労働大臣が認定した教科書は、その都度通知するから活用方を図られたいこと。
なお、養成訓練又は能力再開発訓練に適合するものとして認定することが適当と思われる市販の教科書がある場合にはその旨連絡されたいこと。
(二) 技能照査(規則第二二条~第二四条関係)
イ 訓練科ごとの技能照査の基準(規則第二二条)の細目は、昭和四五年一〇月までの間に全訓練科について定める予定であること。
ロ 技能照査の実施にあたっては、その公平を期するため、都道府県に技能照査実施委員会(仮称)を設ける等の措置を願うこととなるが、詳細な実施要綱については、別途通達する予定であること。
ハ 昭和四五年四月一日から同年一二月三一日までの間に訓練を終了した者を対象として行なう技能照査は、昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの間に訓練を修了した者を対象として技能照査を行なう際にあわせて実施するものとすること(規則附則第六条)。
第三 公共職業訓練施設等
一 公共職業訓練施設の業務
公共職業訓練施設の業務内容は、法施行により一段と拡充されることとなったが、専修職業訓練校又は高等職業訓練校の行なう向上訓練及び再訓練の実施の時期、方法等については、別途指示する予定であること。
二 公共職業訓練施設の認可(法第一九条第一項関係)
これらの施設の認可基準については、別途通達すること。なお、都道府県が設置する高等職業訓練校及び身体障害者職業訓練校並びに市町村の設置する専修職業訓練校及び高等職業訓練校の認可については、昭和四五年四月一日以降訓練を開始するものについて行なうこととなるので留意すること。
三 公共職業訓練施設の長(法第二〇条関係)
公共職業訓練施設の長の資質の向上を図り、職業人として有為な労働者を養成する施設の管理、運営を適切に行なうため、施設の長は職業訓練に関し、高い識見を有する者でなければならないこととされたことにかんがみ、施設の長の任命権を有する者は、施設の長の適切な人事配置を行なうよう、その資格基準を定めるよう措置されたい。この資格基準の準則については、別途指示するものであること。
四 法定職業訓練の実施
(一) 訓練課程
規則施行の際、現に行なわれている定時制訓練については、専修訓練課程の養成訓練における定時制訓練になるものであること。なお、新法においては、専修訓練課程の養成訓練及び能力再開発訓練の何れについても、定時制訓練を行なうことができるので留意すること。
能力再開発訓練については、新法においては訓練科、教科等、職業訓練に関する基準が新たに定められた(規則第八条)ので、実施方法等を検討し、積極的に推進するよう配意すること。
なお、法第二一条第二項に基づく法定職業訓練の委託訓練については、都道府県のほか、国、市町村及び雇用促進事業団が設置する公共職業訓練施設も、他の公共職業訓練施設、認定職業訓練を行なうもの又は職業訓練を的確に実施しうる能力を有すると労働大臣が認めるものに対して委託することができるものであること(法第二一条第二項)。この場合において、職業訓練を的確に実施しうる能力を有するものとは、教科、訓練期間及び設備が当該委託に係る法定職業訓練の訓練基準に合致し、かつ職業訓練指導員免許を有する者によって職業訓練を実施できるものをいうものとすること。
能力再開発訓練に係る委託訓練及び速成訓練については、従前の例によって実施されたいこと。
(二) 訓練基準
イ 身体障害者職業訓練校においては、身体に障害がある者のほか、精神薄弱者等に対して行なうものであること。
身体障害者に対する訓練はとくに能力に適応したものである必要があるので訓練基準については、規則第一三条に基づき弾力的な運用を図るよう配慮されたいこと。
ロ 昭和四四年一〇月一日現在職業訓練を受けている者の訓練基準については、原則として従来の基準によるものであること(規則附則第四条第一項)。
したがって、新基準は一〇月一日以降に専修職業訓練校、高等職業訓練校等の能力再開発訓練等を受けるため入校する者について新基準が適用されるものであることに留意すること。
(三) 訓練課程等の特例
規則第一五条の規定は、公共職業訓練施設の行なう養成訓練以外の法定職業訓練について規則第一条、第二条及び第三条から第一三条までに規定するところによって訓練を行なうことが適切でないと認められる特段の事情があるときの特例を示すものであり、訓練制度の硬直化をふせぎ、新たな訓練態様の開拓に資することを目的とするものであるから、実情に応じ本条の規定の積極的活用を図られたい。この場合都道府県、市町村及び雇用促進事業団は訓練課程、法定職業訓練を受けることのできる者の資格又は職業訓練に関する基準についての原案を作成して申請し、労働大臣の承認を得るものとすること。
(四) 職業訓練指導員
専修訓練課程、高等訓練課程及び職業転換訓練課程における職業訓練指導員の数は、従前通り一単位につき三人(三〇人をこえる訓練生を一単位とする場合は四人)を標準とするものであるが、これら職業訓練指導員の資質のいかんは、職業訓練の成果を左右するものであり、かつ、高等学校卒業者等を対象とする訓練の実施に備えて、その資質の向上にあわせて実数の確保に努められたいこと。
(五) 訓練生の募集等
イ 訓練生の募集
(イ) 新職業訓練法の実施に伴い公共職業訓練施設における養成訓練の訓練生の募集については、新法の趣旨を徹底し、職業安定機関、教育機関、関係事業主団体等と協力し、積極的に募集活動を行なうよう努められたいこと。
(ロ) 転離職者等求職者に対する能力再開発訓練についても積極的な推進を図るため、職業安定機関との協力を強化し、入校を促進すること。
ロ 訓練生の入校選考等
訓練生の入校あっせん及び就職あっせんの業務については、別途指示する予定であるが、従来転職訓練に入校あっせんされた者については、能力再開発訓練に、養成訓練に入校あっせんされた者については、専修訓練課程又は高等訓練課程の養成訓練に入校あっせんを行なうものであること。
なお、雇用対策法第二条第二項に該当する訓練手当の支給を受け、又は失業保険金受給資格者が失業保険金の給付延長の措置をうけることができる公共職業訓練施設の行なう職業訓練は、職業転換訓練課程の能力再開発訓練又は専修訓練課程の養成訓練であることに留意すること。
また、訓練生の入校選考については、規則第一条の訓練課程ごとに、法定職業訓練を受けることができる者の資格に従って選考することとなるが、選考の基準については、別に指示するまで、従来の例により実施されたいこと。
ハ 訓練生の災害防止
新法による教科においても、安全衛生作業法がほとんどの教科に採用されているところであるが、職業訓練の実施により有為な職業人を養成するためには、訓練生の安全確保と健康管理については、常に留意するとともに、危険業務及び危険有害業務に係る訓練にあたっては、労働基準法施行規則別表第一の措置に準じた措置を講じて訓練を実施することとし、特に一八歳未満の者については、格段の配慮をされたいこと。
五 経費の負担等
国の負担する交付金の交付の申請及び決定その他の諸手続は、従前どおり「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」によって行なわれるものであること。
第四 職業訓練の認定等について
一 職業訓練の認定(法第二四条関係)
事業主等の行なう職業訓練の認定は、当該職業訓練が規則第三条から第一二条までに規定する職業訓練に関する基準に適合し、当該事業主等がこれを的確に実施することができる能力を有すると認められる場合に行なうものであること。この場合、職業訓練を的確に実施することができる能力の判定は、養成訓練を中心として当面次の事項に留意して行なわれたいこと。
(一) 事業主の場合(規則第三〇条)にあっては、当該事業の内容等から勘案して職業訓練の永続性があると認められること。
(二) 事業主及び職業訓練団体を除く団体の場合(規則第三一条)にあっては、定款等に規則第三一条第二項の事項が記載されるとともにその業務又は事業の一つとして職業訓練について明確な定めがあるほか、職業訓練に要する年間経費の主たる収入源等から勘案して職業訓練について永続性のあると認められること。特に法人格のない団体については、当該団体が職業訓練を遂行しうる能力を現実に有する団体であるかどうかについて留意すること。
(三) 都道府県労働基準局長の許可を受けられないため、職業訓練の実施に支障を来たすと認める場合は、認定を行なわないこと。
(四) 養成訓練の訓練生数は、事業主の場合は総数でおおむね一〇人以上、事業主以外の団体の場合は一訓練科につき、おおむね一〇人以上であること。
(五) 監督者訓練課程の向上訓練については、監督者訓練員等特別の訓練を受けた職業訓練指導員が担当するものであること。
(六) 二級技能士訓練課程の向上訓練については、その修了者が、二級の技能検定の学科試験免除を受けられることにかんがみ、訓練修了時試験は、全国的にみて公平に行なわれる必要があり、その認定については、慎重に行なうものとするが、これについては、おって指示すること。
その他、職業訓練の認定にあたっては次の事項に留意のこと。
(一) 認定職業訓練を行なうものが、新たな訓練科に係る職業訓練について認定を受けようとする場合は、新たな認定申請を行なわせること。
(二) 労働組合については、規則第三一条第一項の構成員名簿への記載は、当該組合の行なう職業訓練の一部を行なう構成員のみで足りること。
(三) 職業訓練の認定については、認定番号、認定年月日、事業主又は団体の名称、職業訓練及び訓練課程の種類、訓練科別訓練生の概数等を記載した認定職業訓練台帳を備えること。
二 労働基準法上の許可
(一) 事業主等が職業訓練認定申請書を提出する場合、当該事業主等が労働基準法第七一条の規定による許可を受けようとするものであるときは、従前どおり当該申請書は、管轄都道府県労働基準局長を経由しなければならないが(規則第三〇条第一項、規則第三一条第一項及び第三項)、事業主以外のものの場合であってその構成員たる事業主に係る訓練生に対する認定職業訓練がすべて当該団体において行なわれるときは、経由する必要がないものであること(規則第三一条第三項)。これは法第二四条第二項の労働省令に定める場合であること。
(二) 都道府県労働基準局長の許可と都道府県知事の認定とは、そごを生じないよう認定及び意見の提出の前後を通じて極力連絡を密にすること。処分を行なった後の連絡についても同様とすること。
(三) 職業訓練の認定を行なった場合又は認定しなかった場合は、その旨を記載した書面に職業訓練認定申請書一通を添えて、都道府県労働基準局長に通知すること。
(四) 労働基準法施行規則別表第一の使用者の講ずべき個別的措置の基準の内容については、所要の改正を検討中であること。
三 職業訓練の認定の取消し(法第二四条第三項関係)
職業訓練の認定の取消しができる場合は、法第二四条第三項に規定されているところであるが、職業訓練を的確に実施することができる能力を有しなくなったと判定する際には、職業訓練の認定の場合の留意事項に準じて行なわれたいこと。
四 変更の届出(規則第三三条関係)
規則第三三条の認定職業訓練に関する事項の変更の届出については、次により指導すること。
(一) 第三号中訓練生の概数については、おおむね一〇人以上の増減のあった場合に届出をさせること。
(二) 第四号及び第五号に関する事項の変更の届出については、団体のみに限るものであること。
(三) 第四号後段に掲げる事項についての変更は、構成員である事業主で当初訓練を実施しなかったものが訓練を開始した場合又は訓練を実施していたものが、訓練を行なわなくなった場合に届出をさせること。
(四) 第五号に掲げる事項についての変更は、構成員が当該団体の行なう認定職業訓練の一部を行なっている場合において、当該訓練に変更があった場合に行なわれるものであること。
五 編入等(規則第一四条関係)
規則第一四条の運用については次の事項に留意されたいこと。
(一) 第一項の法定職業訓練を受けた者に対し同一の訓練課程に係る認定職業訓練を行なうという場合には、同一訓練課程及び同一訓練科で、訓練実施主体の間の転換があったとき及び訓練生が受ける認定職業訓練の訓練科について当該訓練開始後において同一訓練課程のままで訓練科の変更があった場合で、当該訓練生に対して当該変更のあった訓練科に係る認定職業訓練を行なうときとの両者を含むものであること。
(二) 第二項の相当程度の技能とは高等訓練課程の養成訓練に編入するのに十分な技能を有する意味であり、本項は例外的な場合を規定したものであるので、無原則に同項の規定による教科の省略が行なわれることのないよう注意すること。
六 施設の名称(規則第三五条関係)
専修職業訓練校又は高等職業訓練校の名称(以下「訓練校の名称」という。)は、公共職業訓練施設のほか認定職業訓練を行なうものが設置する職業訓練施設(以下「認定職業訓練施設」という。)についても規則第三五条の定めるところにより用いることができるが、同条の運用については、次によるものとすること。
(一) 管轄都道府県知事の承認に関する手続
イ 訓練校の名称を用いることについての管轄都道府県知事の承認の手続は、法第二四条第一項の認定の手続、法第三五条第一項の認可の手続若しくは法第三九条の定款又は寄附行為の変更の認可の手続をもってかえることができるものであること。
ロ イ以外の場合は規則第三三条第二号の認定職業訓練施設の名称に係る変更の届出の手続にあわせ、適宜承認申請の手続をとらせることができるものとすること。
ハ イ及びロの各手続の処理にあたっては、(二)に述べる施設の基準の適用について必要があると認められる場合に当該施設について実地調査等を行なうとともに、訓練校の名称についても必要がある場合は、(三)に述べるところにより指導を行なうなど、的確な処理を期するものとすること。
(二) 施設の基準
訓練校の名称を用いる場合適合すべき職業訓練施設の基準は、規則第三五条各号に定められているがその基準の適用はおおむね次によるものとすること。
イ 教室、実習場等(規則第三五条第一号)
少なくとも教室に備えているほか当該認定職業訓練を実施するうえにおいて、もっぱら職業訓練のための実習場又は運動場が必要と認められる場合はそれらの施設を備えているものであること。
なお、教室等の施設を借用している場合においても将来にわたって職業訓練施設としてその継続性がみとめられるものであれば差つかえないものであること。
ロ 教室の面積(規則第三五条第二号)
一教室において同時に職業訓練を行なう訓練生一人当りの面積は、公共職業訓練施設の基準に準じて、原則として一・六五平方メートル以上必要であるが、職業訓練上支障のない限度で減ずることができること。
ハ 建物の配置及び構造(規則第三五条第三号)
建物の配置については訓練生の通所の便、安全衛生上又は風紀上の附近の環境を考慮するものとし、建物の構造は、堅ろう度、換気、採光、照明、保温、防湿、清潔、避難その他訓練生の安全衛生等を考慮するものとすること。
ニ 教材、図書等(規則第三五条第四号)
当該訓練の実施に必要な、教材、図書等の設備は職業訓練上支障のないよう備えられているものであること。
(三) 訓練校の名称使用
イ 認定職業訓練を行なうものは、上記(一)の管轄都道府県知事の承認をうけて、専修訓練課程の養成訓練を行なうときは、専修職業訓練校、高等訓練課程の養成訓練を行なうときは、高等職業訓練校の文字を当該訓練施設の名称中に用いることができるものであるが、規則附則第八条の規定により高等職業訓練校の名称を用いる施設においては、当分の間専修訓練課程の養成訓練をあわせて行なうことができるものであること。
ロ 訓練校の名称使用にあたっては、当該認定訓練を行なうものの名称を冠する等他の職業訓練の名称とまぎらわしい名称を用いないよう指導をするものとするが、とくに職業訓練法人、職業訓練法人連合会及び職業訓練法人中央会が設置する職業訓練施設の名称については、すべて職業訓練法人等の名称を冠するよう指導をするものとすること。
ハ なお専修職業訓練校又は高等職業訓練校の名称を使用しない認定職業訓練施設であって、中小企業の事業主等が共同して職業訓練を行なう施設の場合は、その名称に「共同職業訓練校」の文字を用いるよう指導するものとすること。
七 事業主等の行なう職業訓練に対する援助(法第四条第二項及び法第二六条関係)
従来、事業主等の行なう職業訓練に対する援助は、旧法第一三条、第一七条及び第二〇条の規定に基づいて行なわれてきたところであるが、今後においても法第四条第二項及び第二六条に基づいて行なうこととなるので、援助体制の整備強化に努められたいこと。
この場合、特に向上訓練及び再訓練に対する援助については、従来これらの訓練に相当する追加訓練、再訓練等を事業主が行なう場合、旧法第二〇条に基づき、職業訓練指導員の派遣、委託による訓練実施等の援助を行なってきたところであるが、新法においてこれらの訓練はおおむね法定職業訓練として位置づけられ、事業主等は認定を受けて行なうことができるとともに公共職業訓練施設が自ら行なうこともできることとなったので、これに伴う援助体制の改編整備を当面次の事項に留意のうえ図られたいこと。
(一) 従来の監督者訓練は監督者訓練課程の向上訓練に、科目別再訓練、相互啓発訓練及び監督者訓練追指導は原則とし再訓練課程の再訓練に位置づけられるとともに職種別総合訓練は所要の整備によって二級技能士訓練課程の向上訓練に移行することが可能であること。
(二) 事業主、事業主団体等がこれらの訓練を実施することが可能である場合は、認定職業訓練として実施するよう指導するとともに必要に応じ特別の訓練を受けた職業訓練指導員の派遣、一部委託実施等の援助を行なう体制を確立すること。
(三) 認定職業訓練に対してのみならず事業主等が計画する各種の訓練についても従来と同様事情の許すかぎり訓練実施について援助する体制を整備されたいこと。
なお、(二)及び(三)の場合の援助の方法、手続、手数料等について、職業訓練援助条例又は規則を制定又は改正する場合の参考として職業訓練援助規則準則を示すと別添(二)のとおりである。
(四) 向上訓練及び再訓練に関する援助体制の改編整備と関連して、公共職業訓練施設が自ら向上訓練及び再訓練を行なう体制の確立を図ること。これについては別途指示する予定である。
第五 職業訓練指導員
一 職業訓練指導員免許について
旧法第二二条第一項の免許を受けた者は、新法附則第六条の規定により新法第二八条第一項の免許を受けた者とみなされるが、その場合の新旧免許職種の対応は別添(3)のとおりであること。
なお、これに伴う免許証の再交付は必要としないものであること。
二 職業訓練指導員免許を受けることができる者の資格について
職業訓練指導員免許を受けることができる者については施行規則第三九条に示すもののほか、当分の間、規則附則第九条及び昭和四四年労働省告示第三八号(職業訓練指導員免許を受けることができる者を定める告示)に示すとおりであること。
この場合において「免許職種に関する学科(課程を含む。)」とは学科名、課程名のいかんにかかわらず、履修した専攻科目及び実習の内容が、規則別表第一一の学科試験の科目の欄の関連学科を示す範囲のもの及び実技試験の科目の欄に掲げる科目とし、また「免許職種に関する実務の経験」とは、規則別表第一一の実技試験の科目の欄に示す実務の経験をいい、実務は現場における作業のみならず管理監督、訓練及び研究の業務を含めるものとすること。
また、その経験年数は、該当する期間をすべて通算してさしつかえないこと。
三 職業訓練指導員免許の申請について
(一) 新法第二八条第三項の各号のいずれかに該当する者は、職業訓練指導員免許の申請にあたって職業訓練指導員免許申請書に規則第三八条、第三九条、同附則第九条第一項又は昭和四四年労働省告示第三八号(職業訓練指導員免許を受けることができる者を定める告示)に規定する者に該当することを証明する書面を提出することになるが、この書面とは次の書面を指すものであること。
イ 免許職種に関する学科(課程)を証明する書面
(イ) 学校教育法による学校を修了した者は卒業(修了)証書及び専門学科の細目についての履修証明書
(ロ) 教職員免許法による免許を有する者は、その免許状
(ハ) 職業訓練法等による訓練の修了者は、修了証明書(修了証等)
ロ 実務の経験を証明する書面
雇用主の発行する雇用証明書、申請者が被雇用者でない場合は事業協同組合等同業組合の長の証明とし、これらの証明が得られない場合は、同僚その他第三者の証言をもって作成した確認書
(二) 前記の「イ 免許職種に関する学科(課程)を証明する書面」のうち卒業証書(修了証書)及び教職員免許状は、その正本又は写しを申請時に提出し、確認を受けること。
四 職業訓練指導員免許証の交付について
免許の申請又は免許の再交付申請があった場合、その申請が適正と認められるものについては、すみやかに免許証を交付するものとすること。
都道府県知事は免許証を交付した場合は、別添(四)様式により、免許証を交付した者について免許証交付者名簿を作成して備え付けること。
なお、従来、本籍若しくは氏名を変更したときに行なっていた書換交付については、今後再交付として取り扱うこととしたこと。
五 職業訓練指導員免許の取消し
(一) 職業訓練指導員の免許の取消しは、免許証を交付した都道府県知事が行なうものであること。
都道府県知事は、他の都道府県知事の免許を受けた職業訓練指導員について免許の取消理由に該当する具体的事実について情報を入手したときは、当該都道府県知事にその旨通報するものとすること。
(二) 免許の取消理由となる職業訓練指導員としてふさわしくない非行とは、いわゆる破廉恥罪に該当する行為、労働基準法の重大な違反行為及び児童福祉法に違反する虐待行為、暴行、脅迫、監禁又は卑わいな行為その他これに準ずる職業訓練指導員の行為としてふさわしくないものをいうこと。
(三) 聴聞については、当該職業訓練指導員が遠隔地に居住する場合は、その居住地を管轄する都道府県知事に実施を依頼することができること。
(四) 公示による通知は、当事者の住所、居所、その他通知すべき場所が不明であること等により聴聞に関する呼出状の到達が不可能である場合に、職業訓練指導員免許状の取消しに関し、取消しをしようとする理由、聴聞の期日、場所等を記載した呼出状を都道府県の掲示板に掲示するとともに、当事者に送付すべき呼出状は何時でも交付すべき旨を公報又は新聞広告に掲載して行なうものであること。
六 職業訓練指導員試験について(法第三〇条関係)
(一) 職業訓練指導員試験は、都道府県職業訓練基本計画、職業訓練指導員の充足状況等を勘案して、都道府県において実施を必要とする免許職種について実施するものとするが、具体的実施方法は別途通達すること。
なお、それまでの間は、昭和三三年八月一六日付け職発第六一八号「職業訓練指導員試験の実施について」別紙(一)「職業訓練指導員試験実施要領」を準用して実施されたいこと。
(二) 職業訓練指導員試験受験資格は暫定的に定めたものであり、職業訓練指導員試験の受験資格及び技能検定の受検資格に関する省令(昭和四四年労働省令第二五号)第二条に定める職業訓練指導員試験の受験資格については、近く、再検討する予定であること。
七 職業訓練指導員の講習について
実務経験一五年以上の者が職業訓練指導員免許を受けるため修了すべき労働大臣の指定する職業訓練指導員の講習については、旧職業訓練法施行令附則(昭和三四年政令第二五二号)により昭和四五年六月三〇日まで労働大臣の定める職業訓練指導員の訓練を行なうこととされているので、とりあえず、同日までの間は、従来の職業訓練指導員の三五時間訓練と同様の内容で実施することとしたこと。したがって、別途指示があるまで昭和三三年九月八日付け職発第六七〇号「職業訓練指導員の訓練(三五時間訓練)について」の別紙「職業訓練指導員の訓練(三五時間訓練)実施要綱」を準用して新法制定の趣旨にかんがみ、慎重に実施することとされたいこと。
なお、講習の科目、時間数等については内容を充実し、講習修了時に試験を行なう等所要の改正を検討中であるので念のため申添えること。
また、一級の技能検定の合格者に係るものについても同様であること。
八 職業訓練指導員免許証交付手数料等について
職業訓練指導員免許証を交付する場合、職業訓練指導員免許証を再交付する場合又は職業訓練指導員試験を受験させる場合は手数料を徴収することができるが、これに関しては職業訓練法施行令附則第七条により地方公共団体手数料令の一部が改正されたので、これに伴ない、これに関する都道府県手数料条例又は規則を変更する必要のある場合には適切な手続を進められたいこと。
第六 職業訓練団体
一 職業訓練法人(法第四章第一節関係)
職業訓練法人制度は、中小企業の事業主が共同して職業訓練を行なう場合、従来、旧法第一六条の共同職業訓練団体制度によってきたところであるが、共同職業訓練団体の大半が人格なき社団の態様を占める現状にかんがみ、その責任体制を明確にし、永続性を確保することをねらいとして設立されたものであるので、職業訓練法人の設立は下記事項に御留意のうえ当面従来の共同職業訓練団体のうち人格なき社団を中心にその推進を図られたいこと。
(一) 設立の認可
設立の認可は、法第三六条に定める準則によってなされねばならないことによっているが、同条の運用については、次によられたいこと。
イ 定款又は寄付行為に法第三五条第二項各号の事項が記載されているか否かその他定款又は寄附行為の内容が職業訓練法その他の関係法令に違反していないかどうか慎重に判定すること。
ロ 当該社団又は財団の資産状況、組織、運営の方法等から全般的に判断して永続性をもってその業務を的確に遂行する能力を有するかどうか判定すること。この場合、特に、次の事項に留意すること。
(イ) 設立の際の資産として負債、抵当権、質権等が設定されている財産、設立と同時に業務目的に従い運用しえない財産等の資産がある場合には経営的基盤を有するかどうか特に慎重に検討すること。
(ロ) 主たる事業が営利事業である団体又はその収益を構成員に分配する団体は認可しないこと。
(ハ) 設立の認可を受けた後認定職業訓練を行なうこととしている団体については、当該認可を受けたのち直ちに認定の申請をし、確実に認定を受けうるものを認可すること。
(ニ) 残余財産の帰属は、特に事情のないかぎり他の職業訓練事業を行なうものに帰属させるよう指導すること。
(ホ) 地方税法施行令第三六条の六の改正により職業訓練法人のうちその業務として求職者に対する職業訓練又は法第二七条の規定に基づく協力を行なうもので構成員の三分の二以上のものが中小企業の事業主であるものは、不動産取得税の免税を受けられることとなっているので、定款又は寄附行為に上記の業務を記載するよう指導されたいこと。
なお、職業訓練法人の名称については、職業訓練法人の文字を冠すること。
(二) 定款等の変更の認可(法第三九条関係)
定款又は寄附行為の変更の認可は、設立の認可の場合に準じて行なうこと。特に、業務の拡張又は附帯業務の運営により認定職業訓練の内容の低下を来たすことのないよう注意すること。
(三) 解散の認可(法第四〇条第二項関係)
目的とする事業の成功の不能による解散の認可を行なう場合には、解散により訓練生が訓練の機会を奪われることによる混乱等をさけるよう適切な指導を行なうこと。
(四) 監督について
職業訓練法人の監督は都道府県知事が行なうものであるので所要の措置を講ずるとともに、認可番号、認可年月日、名称、事務所、目的、業務、資産等を記載した職業訓練法人台帳を備えること。
(五) その他
定款及び寄附行為は、別添(五)の定款(例)及び寄附行為(例)を参考とするよう指導すること。
二 職業訓練法人連合会(法第四章第二節関係)
職業訓練法人連合会に関する必要な事項は別途通達する。
第七 技能検定
一 技能検定の職種
新法による技能検定の職種は、職業訓練法施行令第一条の別表に掲げるとおりであるが、職種名については、従来「〇〇工」としてきたものを技能検定制度の発展と技能労働者の社会的経済的地位の向上を図るため、次の例に示すように「工」を削り、所要の整理をすることとしたこと。
(例) 自由鍛造工→自由鍛造
鋳鉄鋳物工→鋳鉄鋳物鋳造
なお、次に掲げる五職種は、新規に加わったものであること。
光学ガラス研摩
車両機器ぎ装
車両内部ぎ装
車両配管ぎ装
車両電気ぎ装
二 技能検定試験基準
技能検定試験の基準は、今回加えられた五職種については新しく定めたほか、従前のとおりとし、所要の整理を行なったこと(法第六二条第三項)。
三 受検資格及び試験の免除
新法による受検資格は、法定職業訓練を修了した者で、労働省令で定める実務の経験を有するものを中心として定められるものであるが、これについては、なお慎重な検討を要するので、当分の間は、旧法による受検資格の考え方を踏襲することとしたこと。
(一) 一級の技能検定の受検資格は、法第六三条第一号により定めるものとしては規則第一条の長期指導員訓練課程の指導員訓練を修了した者で、その後八年以上の実務の経験を有するものとし、法第六三条第二号により定めるものとしては、二級の技能検定に合格した者で、その後五年以上の実務の経験を有するもの及び職業訓練指導員免許を受けた者で二年以上法定職業訓練(法の施行前に行なわれた法定職業訓練に相当するものを含む。)において訓練を担当したものとしたこと。
なお、一級の技能検定について、従来、その職種が検定職種として定められた年の翌年から起算して「一〇年目に当たる年の六月三〇日まで」に行なわれる一級の技能検定試験について定められていた特例については、「一二年目に当たる年の九月三〇日まで」当該特例の期間を延長し、「ただし、起算年から起算して八年目に当たる年の七月一日以後に行なわれる技能検定については、同日前」にその要件に該当しなければならなかった点については「ただし、起算年から起算して八年目に当たる年の一〇月一日以後に行なわれる技能検定については、同日前」にその要件に該当することと改めたほか、従前の例のとおりとし、規則及び告示において所要の整理を行なったこと。
(二) 二級の技能検定の受検資格は、法第六三条第一号により定めるものとしては、 ①検定職種に関し、規則第一条の高等訓練課程の養成訓練であって訓練期間の基準が三年であるものを修了した者で、その後二年以上の実務の経験を有するもの ②検定職種に関し、規則第一条の高等訓練課程の養成訓練であって訓練期間の基準が二年であるものを修了した者で、その後三年以上の実務の経験を有するもの ③検定職種に関し規則第一条の専修訓練課程の養成訓練を修了した者で、その後四年以上の実務の経験を有するものとし、法第六三条第二号により定めるものとしては、検定職種に関し、長期指導員訓練課程の指導員訓練を修了したものを定めたほか、従前の例のとおりとし、規則及び告示において所要の整理を行なったこと。
(三) 技能検定試験の免除を受けることができる者は、旧法によるものとおおむね同一のものであるが、二級の技能検定については、新たに、的確に行なわれた技能照査に合格した者及び二級技能士訓練課程の向上訓練を修了した者に対して学科試験の免除をすることとしたこと。的確に行なわれた技能照査の合格者であるか否かは、規則第二四条第三項の知事の証明によるものであること。
なお、旧法に基づき、技能検定の実技試験の免除を受けることができることとされた者(技能競技大会において技能証の交付を受けた者等)及び技能検定の学科試験の免除を受けることができることとされた者(昭和三九年度以降学科試験に合格した者及び職種別再訓練通信講座を修了した者等)については、新法の施行後五年を経過する日までに行なわれる技能検定の実技試験又は学科試験を免除することとしたこと。
四 技能検定の実施
(一) 旧法においては、労働大臣が指定する団体が行なう技能競技大会において労働大臣が定める基準以上の成績を収めた者に実技試験を免除してきたところであるが、新法においては、この制度を廃止し、実技試験及び学科試験を実施することとしたこと。
(二) 国際職業訓練競技大会へ派遣する選手の選抜に係る技能競技大会は、今後、都道府県協会(都道府県協会が設立されていない場合にあっては都道府県。以下同じ。)が開催するように指導すること。都道府県協会が、労働大臣の認定した課題(当面は二級技能検定の実技試験問題)を用いてこの大会を開催した場合において労働大臣が定める基準(当面は二級技能検定の実技試験の合格点)以上の成績を収めた者には、従前のとおり技能証を交付すること。
技能証を交付された者には、従前のとおり二級技能検定の実技試験の全部を免除する予定であること。
なお、都道府県協会が技能労働者の技能向上意欲を喚起するため上記以外の技能競技大会を積極的に開催するよう指導されたいこと。この場合において技能検定の実技試験と二枚看板で実施してもさしつかえないこと。
(三) 都道府県知事は、都道府県協会をすみやかに設立するよう努めるとともに別添(六)「都道府県技能検定協会に行なわせる業務を定める告示準則」により都道府県協会に行なわせる業務を定めなければならないこと。
なお、この場合、都道府県知事は、技能検定の実施計画の策定、技能検定の実施公示、合格発表及び合格証書の交付等を行なうほか、技能検定が国家検定としての権威を十分に保ち得るように、試験問題等の秘密の保持をはじめ都道府県協会に対する指導監督に十分な配慮を願いたいこと。
(四) 技能検定の受検の申請は、都道府県協会を経由して都道府県知事に対して行なうものとし、都道府県知事は、別添(七)を参考として、公報により、実施公示及び合格発表をしなければならないこと。
規則第七〇条の規定に基づき技能検定試験を実施した都道府県協会又は都道府県知事は、技能検定の実技試験又は学科試験のいずれかに合格した者であって、技能検定に合格しなかったものに対して、その旨を書面で通知しなければならないこと。
(五) 技能検定試験に係る試験問題及び試験実施要領は、中央技能検定協会に作成させることとするので、今後の技能検定試験は中央協会が作成し、労働大臣が認定した試験問題及び試験実施要領を用いて行なわなければならないものであること。
五 合格証書
合格証書の再交付の申請をすることができる者は、合格証書又は合格証明書を滅失し、若しくは損傷した者、又は本籍若しくは氏名を変更した者であること。
なお、従来、本籍若しくは氏名を変更したときに行なっていた書換交付については、今後再交付として取り扱うこととしたこと。
また、法附則第七条により、旧法の技能検定に合格した者は、新法の技能検定に合格した者とみなされているが、これらの者に交付された合格証明書は、新法の合格証書と同一のものであるので、再交付の場合を除き改めて合格証書の交付は行なわないものであること。
六 合格者の名称
(一) 技能検定に合格した者は、従前の例のとおり一級〇〇技能士又は二級〇〇技能士と称することができること。なお、職種名が改められたものについても技能士の名称は、従前のとおり呼称するものであるので念のため申し添えること。
(二) 新法により、技能士でない者は、技能士という名称を用いてはならず、違反者には罰則の適用があることとされているので、技能検定に合格した者でない者は、技能士の名称を使用しないよう周知を図られたいこと。
七 手数料
(一) 手数料の額は、技能検定が国家検定の性格をもっていることにかんがみ、都道府県間に格差が生ずることは好ましくないので、原則として、別添(八)職種別技能検定手数料準則によることとされたいこと。
(二) 手数料は、規則で定めるものとし、都道府県知事は、手数料を定めた場合、それを都道府県協会に通知しなければならない。
なお、手数料は、都道府県協会が技能検定試験を行なう場合は、都道府県協会に、都道府県協会の成立がおくれる場合等都道府県協会に技能検定試験を行なわせることができない場合は、都道府県知事に納付させるものであること。
第八 都道府県技能検定協会
一 都道府県協会は、都道府県ごとに都道府県知事がその地区を都道府県の区域として設立を認可する法人であること。都道府県協会でないものは、その名称中に都道府県名を冠した技能検定協会という文字を用いてはならず、違反者には罰則の適用があることになったので、指導の徹底を図られたいこと。
二 都道府県協会が、本年一一月一日までに設立された場合には、昭和四四年度後期の技能検定試験を当該協会に行なわせるよう第七、四、(三)に規定した公示を定める等必要な措置をとられたいこと。
第九 その他
労働省設置法及び労働省組織令の改正
新職業訓練法の施行に伴い、労働省設置法に定める職業訓練局の所掌する事務に関し、職業訓練法人、職業訓練法人連合会、職業訓練法人中央会、都道府県技能検定協会及び中央技能検定協会に関することが加えられたほか、所要の改正が行なわれるとともに、労働省組織令に定める職業訓練局の各課の所掌事務についても、所要の改正が行なわれたこと。
別添(一)
1 旧職業訓練法施行規則別表第一の訓練職種と新職業訓練法施行規則別表第二及び別表第七の訓練科との対照表
旧訓練職種 |
新訓練科 |
|
専修訓練課程 |
職業転換訓練課程 |
|
(金属材料製造) |
|
|
鍛造工 |
鍛造科 |
鍛造科 |
鋳物工 |
鋳造科 |
鋳造科 |
(金属加工) |
|
|
機械工 |
機械科 |
機械科 |
精密機械工 |
機械科 |
機械科 |
フライス盤工 |
機械科 |
機械科 |
仕上げ工 |
機械科 |
機械科 |
金型工 |
金型科 |
金型科 |
機械部品検査工 |
機械科 |
(機械部品検査科) |
機械組立て科 |
|
|
板金工 |
板金科 |
板金科 |
建築板金科 |
|
|
製かん工 |
製罐科 |
製罐科 |
金属プレス工 |
金属プレス科 |
金属プレス科 |
溶接工 |
溶接科 |
溶接科 |
めっき工 |
めっき科 |
めっき科 |
配管工 |
配管科 |
配管科 |
建設機械整備工 |
建設機械整備科 |
建設機械整備科 |
農業機械整備工 |
農業機械整備科 |
農業機械整備科 |
製材機械工 |
整材機械整備科 |
整材機械整備科 |
ミシン組立て工 |
縫製機械整備科 |
縫製機械整備科 |
構造物鉄工 |
構造物鉄工科 |
構造物鉄工科 |
冷凍機器設備工 |
冷凍機器設備科 |
冷凍機器設備科 |
(精密加工) |
|
|
時計修理工 |
時計修理科 |
時計修理科 |
(電気工事及び電機製造) |
|
|
電工 |
電気工事科 |
電気工事科 |
電気機器工 |
電気機器科 |
電気機器科 |
ラジオ・テレビ修理工 |
電子機器科 |
電子機器科 |
電子機器工 |
|
|
無線技術員 |
無線技術員 |
|
電機部品組立て工 |
電気機器科 |
電気機器科 |
電機巻線工 |
電気機器科 |
電気機器科 |
(化学製品製造) |
|
|
製紙工 |
製紙科 |
製紙科 |
化学分析員 |
化学分析科 |
化学分析科 |
(紡織及び織物加工) |
|
|
織機調整工 |
織機調整科 |
織機調整科 |
染色工 |
染色科 |
染色科 |
洋服工 |
洋服科 |
洋服科 |
洋裁工 |
洋裁科 |
洋裁科 |
和裁工 |
和裁科 |
和裁科 |
ミシン縫製工 |
縫製科 |
縫製科 |
編物工 |
編物科 |
編物科 |
刺しゅう工 |
|
|
(運輸装置製造) |
|
|
自動車整備工 |
自動車整備科 |
自動車整備科 |
内燃機関整備工 |
自動車整備科 |
自動車整備科 |
内燃機関科 |
|
|
造船工 |
造船科 |
|
(建設) |
|
|
左官 |
左官科 |
左官科 |
タイル張り工 |
タイル施工科 |
タイル施工科 |
ブロック建築工 |
ブロック建築科 |
ブロック建築科 |
配筋工 |
鉄筋科 |
鉄筋科 |
(木材加工) |
|
|
建築大工 |
建築科 |
建築科 |
大工 |
木工科 |
木工科 |
木型工 |
木型科 |
木型科 |
製材工 |
製材科 |
製材科 |
竹・とう細工工 |
竹工芸科 |
竹工芸科 |
(土石製品製工) |
|
|
石工 |
石材科 |
石材科 |
陶磁器工 |
陶磁器製造科 |
陶磁器製造科 |
陶磁器図案工 |
陶磁器図案科 |
陶磁器図案科 |
ブロック製造工 |
|
コンクリートブロック製造科 |
(製図及び印刷) |
|
|
機械製図工 |
機械製図科 |
機械製図科 |
建築製図工 |
建築製図科 |
建築製図科 |
写図工 |
写図科 |
写図科 |
活版印刷工 |
製版・印刷科 |
印刷科 |
写真植字工 |
軽印刷科 |
軽印刷科 |
謄写印刷工 |
軽印刷科 |
軽印刷科 |
タイプ印刷工 |
軽印刷科 |
軽印刷科 |
(各種製造) |
|
|
塗装工 |
建築塗装科 |
塗装科 |
塗装科 |
|
|
皮製品工 |
皮製品製造科 |
皮製品製造科 |
製くつ工 |
製くつ科 |
製くつ科 |
水産加工製造工 |
水産加工製造科 |
水産加工製造科 |
義肢・装具工 |
義肢・装具科 |
義肢・装具科 |
印章彫刻工 |
印章彫刻科 |
印章彫刻科 |
合成樹脂製品成形工 |
合成樹脂製品成形科 |
合成樹脂製品製形科 |
紙器工 |
|
紙器製造科 |
バフ研摩工 |
|
バフ研摩科 |
(工芸) |
|
|
銅器工 |
金属工芸科 |
金属工芸科 |
鋳金科 |
鋳金科 |
|
装身具工 |
金属工芸科 |
金属工芸科 |
漆器工 |
漆器科 |
漆器科 |
(運転) |
|
|
冷凍機運転工 |
|
|
建設機械運転工 |
建設機械運転科 |
建設機械運転科 |
ブルドーザ運転工 |
建設機械運転科 |
建設機械運転科 |
ショベル運転工 |
建設機械運転科 |
建設機械運転科 |
ロードローラ運転工 |
建設機械運転科 |
建設機械運転科 |
自動車運転員 |
|
自動車運転科 |
クレーン運転工 |
クレーン運転科 |
クレーン運転科 |
ボイラ工 |
ボイラ運転科 |
ボイラ運転科 |
(その他) |
|
|
事務員 |
事務科 |
事務科 |
秘書事務員 |
事務科 |
事務科 |
経理事務員 |
事務科 |
事務科 |
英語事務員 |
事務科 |
事務科 |
英文タイピスト |
英文タイプ科 |
タイプ科 |
和文タイピスト |
和文タイプ科 |
タイプ科 |
作業管理・品質管理作業員 |
工場管理科 |
工場管理科 |
無線通信員 |
無線通信科 |
|
理容員 |
理容科 |
理容科 |
美容員 |
美容科 |
美容科 |
園芸員 |
(園芸科) |
園芸科 |
測量員 |
測量科 |
測量科 |
意匠図案工 |
意匠図案科 |
意匠図案科 |
玉掛け作業員 |
|
玉掛け科 |
荷扱い作業員 |
|
荷扱い科 |
港湾荷扱作業員 |
港湾荷扱科 |
港湾荷扱科 |
人材セミナー |
|
経営実務科 |