添付一覧
○新職業訓練法の施行について
(昭和四四年一〇月一日)
(発訓第二七号)
(各都道府県知事雇用促進事業団理事長あて労働事務次官通達)
新職業訓練法は、七月一八日に公布され、一〇月一日に施行されることとなったところであるが、この法律は最近の労働経済の変化及び技術革新の進展に対処して、技能労働者の職業能力を積極的に開発し、及び向上させるために職業訓練及び技能検定を段階的体系的に実施することにより、職業人として有為な労働者を養成し、もって職業の安定と労働者の地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的として制定されたものである。
すなわち、職業訓練制度は、昭和三三年に旧職業訓練法が制定されて以来一〇年余の間、職業訓練と技能検定を二つの柱として、技能労働者の養成、労働者の技能と地位の向上等制度の目的に沿って推進され、著しい発展を示してきたが、この間にわが国の経済は技術革新を基軸として世界にも類のない急速な発展を遂げ、こうした経済の成長発展と表裏して、職業訓練をとりまく労働経済の変化は著しく、特に若年労働者及び技能労働者を中心として労働力の需給は近年とみにひっ迫の度を加えてきている実情にある。また、技術革新の進展に伴ない、生産現場の技能労働も質的に多様な変化を遂げており、技術革新に対応できる新しいタイプの技能労働者が要請されている。これらの要請とともに、技術革新の進展等に伴う労働者の技能の陳腐化に対処し、その雇用の安定と生活の向上を図るうえからも職業生活の全期間を通じて、必要な段階において適切な職業訓練及び技能検定を実施しうる体制を確立することが必要である。
新職業訓練法は、このような諸情勢の変化と時代の諸要請に対処しうる職業訓練制度を確立するために旧職業訓練法を廃止して新たに制定されたもので、労働者の職業能力の各段階に応じて積極的にその能力を開発向上させようとするものである。
このような新職業訓練法の所期の目的を達成するためには、職業訓練及び技能検定をすみやかに拡充して、その社会的慣行化を図るとともに、わが国の社会一般に存在する学歴偏重、ホワイトカラー偏好の弊風を是正するため、地道な行政努力を展開する必要がある。
貴職におかれても、新職業訓練法制定の意義とその趣旨を十分に理解され、関係者に対するその周知徹底に努めるとともに、とくに下記に留意のうえ、本法の運用に万全を期せられたく、命により通達する。
記
第一 法の基本的な理念について(法第一章関係)
一 目的(法第一条関係)
本法は、雇用対策法とあいまって、技能労働者の職業能力を開発向上させるために職業訓練及び技能検定を行なうことにより、職業人として有為な労働者を養成することを直接の目的とし、これを通じて、職業の安定と労働者の社会的経済的地位の向上を図り、さらに経済及び社会の発展に寄与することを究極の目的とすることを定めたものであること。
二 職業訓練及び技能検定の原則(法第三条関係)
職業訓練及び技能検定について基本的な原則を明らかにしたものであること。
(一) 職業訓練は、労働者の職業生活の全期間を通じてその必要な段階において、一貫した体系のもとに適切に行なわれなければならないものであり、いわゆる「生涯―教育訓練」の視点を明確にしたこと。
(二) 職業訓練は、学校教育等とその内容、方法等の点において重複をさせるとともに、とくに学校教育との間に密接な連携を保って行なわなければならないこと。
(三) 青少年に対する職業訓練は、将来の職業生活上の変化等に備え、特に、その個性を伸ばすとともに、適性を生かすように配慮して行なわれなければならないこと。また身体障害者等に対する職業訓練は、訓練内容、訓練方法等について、その身体的事情等に配慮して行なわれなければならないこと。
(四) 職業訓練と技能検定は、相まって労働者の職業に必要な技能及び知識の向上を図るものであり、相互に密接な連携を保持して行なわれなければならないこと。
三 関係者の責務(法第四条関係)
雇用労働者に対する職業訓練を行なう必要性にかんがみ訓練実施の努力義務を事業主に課するとともに、職業訓練の国家社会において果す役割りの重要性にかんがみ国、都道府県及び雇用促進事業団は、その設置する職業訓練施設を整備充実して訓練受講の機会を増大させるとともに、これを当該地域のサービスセンターとして運営する等職業訓練全般の振興を図るように努めなければならないこととした。
第二 職業訓練計画について(法第二章関係)
職業訓練及び技能検定の計画的な推進を図るために、労働大臣は職業訓練基本計画を、都道府県知事は都道府県職業訓練計画を策定するものとし、その中で、技能労働力の需給の動向と職業訓練及び技能検定の実施目標を明らかにするとともに、職業訓練及び技能検定について講じようとする施策の基本となるべき事項を定めることとしたこと。この場合に、経済の動向、労働市場の推移等についての長期見通しに基づき、かつ、技能労働力の需給状況、労働者の労働条件、労働能率等を考慮して定められねばならないとするとともに、特定の職種、中小企業等に係る職業訓練の振興を図るために必要な施策を定めることができるものとしたこと。都道府県計画は、職業訓練基本計画に基づき、これとの整合性を保つべきものとしたこと。
また、とくに、職業訓練基本計画の策定にあたっては、労働大臣は、関係行政機関の長及び都道府県知事の意見をきき、かつ、中央職業訓練審議会の意見をきいたうえで、慎重に決定しなければならないものとして、労使及び学識経験者の意見を尊重するとともに、関係行政機関との連携を保ち、各地域の実情等に十分に即応した計画となるよう配意されているものであること。
第三 職業訓練の体系(法第三章第一節関係)
国、都道府県、市町村及び雇用促進事業団の行なう職業訓練及び事業主その他の関係者の行なう職業訓練の両者を通じて一貫した体系建てを行なうものであること。
一 職業訓練の種類(法第八条関係)
公共職業訓練施設の行なう職業訓練及び認定職業訓練(以下「法定職業訓練」という。)の種類は、職業訓練を労働者の職業生活の必要な段階に対応して行なうために、養成訓練、向上訓練、能力再開発訓練及び再訓練並びに指導員訓練としていること。その内容は次のとおりである。
(一) 養成訓練は、主として新規学校卒業者に対して、職業に必要な基礎的な技能を習得させることによって、技能労働者としての能力を養成するために行なう訓練としたものであって、ほぼ、従来、一般職業訓練所において行なわれていた基礎的な技能に関する職業訓練、総合職業訓練所で行なわれていた専門的な技能に関する職業訓練及び事業内で行なわれていた認定職業訓練はこれに該当するものであること。
(二) 向上訓練は、養成訓練を受けた労働者その他職業訓練に必要な相当程度の技能及び知識を有する労働者に対し、より高度の技能を習得させることによって、技能労働者としての能力を向上させるために行なう訓練としたもので、従来、追加訓練、監督者訓練等として行なわれてきた養成訓練の修了者等に対する各種の職業訓練は、これに該当するものであること。
(三) 能力再開発訓練は、転離職者等の労働者に対し、従前の職業等を考慮しつつ、新たな職業に必要な技能を習得させることによって、技能労働者としての新たな能力を開発するために行なう訓練としたものであって、ほぼ、従来、転職訓練、職業転換訓練等の用語で呼ばれていた職業訓練はこれに該当するものであること。
(四) 再訓練は、陳腐化した技能を補充し技能労働者としての能力を確保させるための訓練としたものであって、進展する技術革新に即応した訓練を時宜に適して実施しようとするもので、従来の狭義の再訓練はこれに該当するものであること。
(五) 指導員訓練は、職業訓練指導員になろうとする者又は職業訓練指導員である者に対して必要な技能を付与することによって職業訓練指導員を養成し、又はその能力の向上に資するために行なう訓練の総称としたもので、従来、職業訓練大学校において行なわれていた長期訓練又は短期訓練の課程の指導員訓練等はこれに該当するものであること。
二 訓練課程(法第九条関係)
労働者の職業訓練の必要な段階に対応して職業訓練を行なうために、一に述べた法定職業訓練を行なうための訓練課程を定めることとし、法第九条第一項に定めるところにより、養成訓練は専修訓練課程及び高等訓練課程に区分するほか、規則第一条に定めるところにより、原則として、向上訓練には二級技能士訓練課程、監督者訓練課程及び生産技能訓練課程を、能力開発訓練については職業転換訓練課程を、再訓練には再訓練課程を、指導員訓練には長期指導員訓練課程、短期指導員訓練課程及び指導員研修課程をそれぞれ置くこととしていること。
三 職業訓練に関する基準、教科書等(法第一〇条及び第一一条関係)
職業訓練の内容の充実を図るため、従来養成訓練及び転職訓練並びに指導員訓練の一部について職業訓練の教科等に関する基準が定められていたのをすべての訓練課程について基準を定めることとし、また養成訓練については高等学校卒業者等を対象として訓練を行なう場合の基準を設ける等により各種の訓練を積極的に行ないうるようにしたほか、法定職業訓練を受けることができる者の資格を定めていること。また、教科書の整備については、労働大臣の作成する教科書のほか、新たに教科書認定制度を設けたので、適切な教科書の選定に意を用いるとともに、認定職業訓練に対する指導方をお願いすること。
四 技能照査等(法第一二条関係)
技能照査の制度を新設して、高等訓練課程の養成訓練を受ける者に対してはその修了時に必ず技能照査を行ない、その合格者には「技能士補」の称号を与えて、その社会的地位の確立を図ることとしたこと。
第四 公共職業訓練施設等(法第一四条関係)
一 公共職業訓練施設
公共職業訓練施設は、国、都道府県、市町村及び雇用促進事業団が職業訓練を行なうために設置する施設であるが、法附則第四条第一項の規定によって、現行の一般職業訓練所、総合職業訓練所、職業訓練大学校又は身体障害者職業訓練所は、都道府県の条例の制定等により、新法第一五条から第一八条までの規定による専修職業訓練校、高等職業訓練校、職業訓練大学校又は身体障害者職業訓練校となるものであり、また、これらの施設の間の訓練分担を従前より明確にするものであること。
公共職業訓練施設は、国、都道府県及び雇用促進事業団が職業訓練の振興に努めなければならないこととされたことの一つの現われとして、関係地域における職業訓練の振興に資するためのサービスセンターとして運営されなければならないとされたこと。その他、公共職業訓練施設の名称使用の制限等に関する規定を整備していること。
二 公共職業訓練施設の設置の認可等(法第一九条関係)
公共職業訓練施設の設置の特例として、新たに労働大臣の認可を受けて、都道府県は高等職業訓練校又は身体障害者職業訓練校を、市町村は専修職業訓練校又は高等職業訓練校を設置しうることとなり、公共職業訓練施設の設置主体の拡大が図られていること。
公共職業訓練施設のほか、都道府県、市町村及び雇用促進事業団が設置する職業訓練に関し必要な施設について根拠規定を置いたこと。
三 公共職業訓練施設の長(法第二〇条関係)
公共職業訓練施設の長に関する規定が定められたが、これは公共職業訓練施設の長の適切な人事を図る趣旨であり、このため都道府県、雇用促進事業団等においては、本条に基づき公共職業訓練施設の長の任命に関する基準を定めて適切に運用することが肝要であると考えられること。
四 職業訓練を受ける求職者に対する措置(法第二三条関係)
訓練受講中の生活の安定を図るために、従来どおり、専修職業訓練校における養成訓練及び能力再開発訓練並びに身体障害者職業訓練校における法定職業訓練で、求職者に対して行なうものは無料とし、国及び都道府県は、これらの職業訓練を受ける求職者に対して雇用対策法の定めるところにより、手当を支給するものであること。
五 経費の負担(法第九九条関係)
国は、従前どおり、都道府県の設置する専修職業訓練校及び身体障害者職業訓練校の設備、職員給与、訓練の実施、設備の維持管理等に要する経費について労働大臣が定める基準により算定した合算額から労働大臣が定める基準によって算定した収入金額及び当該施設に関し補助金があるときは、当該補助金に関し労働大臣が定める額を控除した額の二分の一について行なうものであること。
六 公共職業訓練施設に関する労働大臣の助言等(法第九八条関係)
公共職業訓練施設の設置運営については、労働大臣は、全国において行なわれる職業訓練の適切な運営及び振興について責任を負うものであるところから、公共職業訓練施設の設置又は運営に関し、必要がある場合には、助言等を行なうことができるものであること。なお、都道府県知事は、当該都道府県区域内において行なわれる職業訓練の適切な運営及び振興について責任を負うものであり、当該都道府県における職業訓練の発展のために、雇用促進事業団と緊密な連絡を保つべきものであるところから、労働大臣の権限のうち、雇用促進事業団に対する高等職業訓練校の運営に関する権限を委任を受けて行なうことができるものとされていること。
第五 職業訓練の認定等(法第三章第三節関係)
一 職業訓練の認定制度の拡大(法第二四条第一項関係)
最近の労働経済の動向及び技術革新の進展に対応するためには、職業訓練の実施規模を急速に拡充して社会的慣行化を図る必要があるが、とくに、事業主その他の関係者の行なう職業訓練の振興については、行政の最大の重点の一つとする必要があること。このため、本法においては、職業訓練に関する基準が職業訓練全般にわたり作成されるようになったこと、並びに従来認定職業訓練の実施主体であった事業主及びその団体に加えて、事業主団体の連合団体、本法の規定により設立される職業訓練法人、職業訓練法人連合会(以下「連合会」という。)、職業訓練法人中央会(以下「中央会」という。)、民法の規定により設立される公益法人、法人である労働組合、及びその他の非営利法人が認定職業訓練の実施主体とされたことによって、職業訓練の認定の制度が著しく拡大されたこと。
二 労働基準法上の許可との関係(法第二四条第二項関係)
職業訓練の認定と労働基準法第七一条の規定による許可とは、従来どおり、両法の建前から表裏一体の関係にあるので、都道府県知事におかれては両法の運用上認定と許可がくい違いをきたすことのないよう当該都道府県労働基準局長と常時緊密な連絡を保つべきこと。
三 認定事務(法第二四条第三項関係)
職業訓練の基準については、法第一〇条に定められているところであるが、この職業訓練に関する基準等は従来にまして、事業主その他の関係者が弾力的に運用できるよう定められているので、積極的に認定を推進すること。職業訓練の認定にあたっては、都道府県知事におかれては職業訓練に関する基準によるほか、別途指示する遂行能力の判定基準により、当該事業主等が当該職業訓練を的確に遂行するに足る能力を有すると認める場合にこれを行なうものとすること。
四 認定職業訓練に対する援助助成等(法第二六条関係)
事業主その他の関係者の行なう職業訓練に対する援助助成は、認定職業訓練に対するものを中心に従来以上に積極的に行なうべきものであること。
本法においては、共同職業訓練団体に対する補助に関し、旧職業訓練法第三四条第二項の規定に相当する規定がなされていないが、これは立法技術的な問題であり、共同職業訓練団体の運営費についての補助金はもちろん、認定職業訓練に対する助成を従前にまして積極的に行なう方針であるので、念のため申し添えること。
第六 職業訓練指導員免許制度(法第三章第四節関係)
一 職業訓練指導員免許(第二八条及び第二九条関係)
職業訓練の成果を高めるためには、優秀な職業訓練指導員を積極的に確保することが喫緊の課題であり、職業訓練指導員免許に関する大臣の権限は従前どおり都道府県知事に委任されているところであるが、これについては引きつづき公正かつ適切な運用を図られたいこと。
職業訓練指導員免許資格のうち法第二八条第三項第三号関係については三五時間訓練(旧法第二二条第三項第二号の規定に基づく同法施行規則第一五条の二の職業訓練、同法施行令の一部を改正する政令(昭和三四年政令第二五二号)附則第二項第五号の規定に基づく同法施行規則の一部を改正する省令(昭和三四年労働省令第一九号)附則第二項第五号の労働大臣の指定する訓練等)を含め、その制度の整備のため、所要の改正を検討中であり、当面とりあえず、従前どおりとするものであること。
二 職業訓練指導員試験(法第三〇条関係)
職業訓練指導員試験を受けることができる者の資格が新たに規定され、技能検定合格者及びこれに準ずる者が当該試験を受けることができるものとされているが、法第三〇条第三項第二号関係については、技能検定の受検資格の再検討とあわせて、本資格は両整備を行なう予定であり、当面とりあえず、暫定的に定めた資格によるものであること。
第七 職業訓練団体(法第四章関係)
一 職業訓練法人(法第四章第一節関係)
事業主、とくに中小企業の事業主が共同して職業訓練を行なう場合等にその責任体制を明確にし、永続性を確保するための制度として職業訓練法人の制度が創設されたものであること。とくに、中小企業における共同職業訓練を強化するため、職業訓練法人の設立促進に努め、とくに、従来の任意団体である共同職業訓練団体はできるかぎりそのすべてを職業訓練法人とすることが望ましいこと。なお、職業訓練法人は、社団に限らず、財団としても設立することができるものであること。
二 職業訓練法人連合会及び職業訓練法人中央会(法第四章第二節関係)
わが国の事業内における職業訓練が今日なお必ずしも十分に行なわれていない原因の一つとして、産業界が主体となって職業訓練及び技能検定を自主的に推進してゆく体制が確立をみないでいることが挙げられるが、職業訓練法人連合会及び職業訓練法人中央会の制度は、かかる要請に応えるために導入されたものであること。したがって、同制度の運用については、産業界の自発的な設立が図られるよう、指導するものであること。なお、連合会も、中央会と同様に各産業別に設立されることが望ましいが、当該都道府県の区域内における事業主その他の関係者の訓練実施状況に対応して、当該都道府県を通じて一個としてさしつかえないこと。法第四五条第二項の産業は近く定めるものであること。
第八 技能検定(法第五章及び第六章関係)
一 検定職種、等級区分、受検資格等(法第六二条及び第六三条関係)
技能検定の制度は、労働者の技能の程度を公証することにより、労働者の技能の向上を図り、もって、当該労働者がその能力に応じて正当に評価され、処遇されるようにすることを目的とするものであるが、かかる制度の目的を達成するためには、技能検定を職業訓練との密接な関連のもとに、技能労働者の従事する職務の主要な段階に対応して行なうとともに、主要な技能職種についてはすべて検定が行なわれていることが望まれること。したがって技能検定の職種は、今後急速に拡大を図るものであるほか、本法においては、等級区分に弾力性をもたせる等所要の措置を行ないうるよう規定されているが、等級区分、受検資格等の本格的な制度については、なお慎重に検討を加えているところであり、本年度の技能検定は、従来の等級区分及び受検資格等により行なうこととしていること。
二 技能検定協会による技能検定試験(法第六章第一節及び第二節関係)
技能検定を主要な技能職種のすべてについて行なうためには、今後数年の間に二〇〇職種実施をめざし、急速にこれを拡大する必要があり、これが実施体制の整備を図るため、国家検定としての基本的な性格を維持しつつも労働大臣は中央技能検定協会(以下「中央協会」という。)に、都道府県知事は都道府県技能検定協会(以下「都道府県協会」という。)にそれぞれ技能検定試験に関する業務の一部を行なわせることにより、業務の効率的な運営を図るものであること。この結果、技能検定に関する事務分担はおおむね次のとおりとなるものであること。
(一) 労働大臣の処理する事務
イ 労働大臣が自ら処理する事務
(イ) 職業訓練基本計画の策定
(ロ) 技能評価のための基準の設定(検定職種、等級区分、受検資格等の決定)
(ハ) 試行技能検定の実施
(ニ) 技能検定試験の基準の設定
(ホ) 技能検定実施計画の策定とその周知
(ヘ) 中央協会の指導監督
(ト) 一級の技能検定に係る合格証書の作成
(チ) 特に必要な場合、特定の事業主又は事業主団体への技能検定試験の委託
ロ 中央協会に行なわせる事務
(イ) 技能検定試験に係る試験問題及び試験実施要領の作成
(ロ) 都道府県協会に対する技能検定試験に関する技術的な指導
(ハ) 技能検定に関する調査研究その他技能検定に関し必要な業務
(二) 都道府県知事の処理する事務
イ 都道府県知事が自ら処理する事務
(イ) 都道府県職業訓練計画の策定
(ロ) 技能検定の公示
(ハ) 技能検定の合否決定
(ニ) 二級の技能検定の合格証書の作成
(ホ) 一級及び二級の合格証書の交付、及び再交付並びに技能士台帳の作成
(ヘ) 都道府県協会の指導監督
ロ 都道府県協会に行なわせる事務
(イ) 技能検定試験の実施
(ロ) 技能検定の広報その他技能検定に関し必要な業務
第九 その他の事項について
一 職業訓練審議会(法第七章関係)
中央職業訓練審議会については、従来どおり当省の諮問機関として設置されるところであるが、都道府県職業訓練審議会は、職業訓練の重要性にかんがみ、必置機関としたので、未設置の都道府県においては早急にこれを設置するとともに、その活用を図られたいこと。
二 手数料(法第一〇〇条関係)
職業訓練指導員の免許、試験、技能検定試験等に関する手数料については、施行令第四条に規定するほか、地方公共団体手数料令(昭和三〇年政令第三三〇号)の一部改正を行なったことにより、次のように最高額を定めたところであるが、実技試験の手数料に関する免許職種又は検定職種別の細目については別途指示するところによること。
職業訓練指導員免許手数料 三〇〇円
職業訓練指導員免許再交付手数料 三〇〇円
職業訓練指導員試験手数料
実技試験 四、〇〇〇円
学科試験 一、〇〇〇円
技能検定試験手数料
実技試験 四、〇〇〇円
学科試験 一、〇〇〇円
技能検定合格証書再交付手数料 三〇〇円
三 通達の廃止について
昭和三九年五月六日付け発訓第二四号「技能競技大会実施促進要綱について」は廃止するものとすること。なお、国際職業訓練競技大会へ派遣する選手の選抜、都道府県における優秀技能者の表彰のための選抜等に係る技能競技大会については、別途指示すること。