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○特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律の施行について

(平成七年三月一七日)

(労働者発職第六三号)

(各都道府県知事あて労働事務次官通達)

特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法及び雇用促進事業団法の一部を改正する法律については、第一三二回通常国会において、平成七年三月一〇日に成立し、同月一七日、平成七年法律第二七号として公布され、特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法附則第一〇条の改正規定(同法の廃止期限の延長)は公布の日から、その他の規定については本年七月一日から施行されることとなった。

今回の法改正の趣旨及び概要は左記のとおりであるので、十分理解の上、その施行に万全を期せられたく、命により通達する。

第一 改正の趣旨

円高、国際化の進展等による産業構造の変化により、産業別の労働力構成は大きく変化することが見込まれている。このような変化に伴い、趨勢的に雇用量の減少が余儀なくされる業種においては、産業間・企業間の労働移動が避けられない場合が増加することが見込まれることから、これらの業種においては、できるだけ失業を経ることなく労働移動すること等による失業の予防及び労働移動前後の能力の開発及び向上を中心とした雇用の安定のための施策を積極的に進めていくことが必要である。また、現在特定不況業種に指定されている業種等においては、設備廃棄等を余儀なくされることに伴い、一時に多数の離職者が発生することも予想されるため、これらの業種については、失業の予防のための対策のみならず、離職者に対する再就職の促進のための特別の対策を引き続き講じていくことが求められている。

このため、特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法について、その廃止期限の延長を図るとともに、雇用調整を余儀なくされている業種において、産業間・企業間の労働移動による雇用機会の確保、労働移動の前後の能力開発等の措置についての支援を拡充することとし、所要の法的整備を行うものである。

第二 改正の概要

一 特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の一部改正関係

(一) 目的の改正

この法律は、最近における内外の経済的事情の著しい変化により、特定不況業種及び特定雇用調整業種に属する事業分野において一時に多数の離職者が発生する等の雇用量の減少が見込まれること等の事情にかんがみ、特定不況業種及び特定雇用調整業種に係る事業所に雇用される労働者等に関し、失業の予防、再就職の促進等のための特別の措置を講じ、もってこれらの者の職業及び生活の安定に資することを目的とするものとしたこと。(第一条関係)

(二) 定義

① 製品又は役務の供給が相当程度減少しており、かつ、その状態から長期にわたり回復しないことが見込まれることに伴い雇用量が相当程度減少しており、又は減少するおそれがあると認められる業種であって、失業の予防等のための措置等を講ずる必要があるもの(特定不況業種を除く。)として労働大臣が指定する業種を特定雇用調整業種とするものとしたこと。(第二条第一項第二号関係)

② 特定雇用調整業種に属する事業の事業主(特定雇用調整業種に係る関連下請事業主を含む。)を特定雇用調整業種事業主とするものとしたこと。(第二条第一項第四号関係)

③ 特定不況業種又は特定雇用調整業種に属する事業分野における事業活動及び雇用に関する状況に準ずる状況が生じていると認められる一定の事業所を特例事業所とする等特例事業所の要件を改正したこと。(第二条第一項第六号関係)

(三) 事業主の責務等

① 特定不況業種事業主若しくは特定雇用調整業種事業主(以下「特定不況業種等事業主」という。)又は特例事業所の事業主は、事業規模の縮小等を行おうとするときは、その雇用する労働者について、失業の予防その他の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとしたこと。(第三条第一項関係)

② 特定不況業種事業主及び当該特定不況業種に係る事業主団体又は特定雇用調整業種事業主及び当該特定雇用調整業種に係る事業主団体は、当該特定不況業種事業主又は当該特定雇用調整業種事業主の雇用する労働者の雇用の安定に関し、相互に協力するよう努めなければならないものとしたこと。(第三条第二項関係)

(四) 国の責務

国は、特定不況業種に係る事業所及び特定雇用調整業種に係る事業所並びに特例事業所に関し行われる事業規模の縮小等の雇用に及ぼす影響等に的確に対処するため、これらの事業所に雇用されている労働者及び特定不況業種離職者について、失業の予防、再就職の促進、能力の開発及び向上その他の雇用の安定を図るために必要な施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めなければならないものとしたこと。(第四条第一項関係)

(五) 雇用維持等計画

① 特定不況業種等事業主は、相当数の労働者が離職等を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小等を行おうとするときは、労働組合等の意見を聴いて、その雇用する労働者について講じようとする雇用の維持及び再就職の援助のための措置に関する計画(以下「雇用維持等計画」という。)を作成し、公共職業安定所長の認定を受けなければならないものとしたこと。(第六条関係)

② 特定不況業種等事業主は、その行おうとする事業規模の縮小等が①に該当しない場合においても、労働組合等の意見を聴いて、雇用維持等計画を作成し、公共職業安定所長の認定を受けることができるものとしたこと。(第七条関係)

(六) 失業の予防、雇用機会の増大等のための助成及び援助

① 政府は、特定不況業種に係る事業所若しくは特定雇用調整業種に係る事業所(以下「特定不況業種等事業所」という。)若しくは特例事業所に雇用されている労働者又は特定不況業種離職者に関し、失業の予防、雇用機会の増大その他の雇用の安定並びに能力の開発及び向上を図るため、雇用安定事業又は能力開発事業として、次の助成及び援助を行うものとしたこと。(第九条第一項関係)

イ 雇用の安定を図るために必要な措置について、事業主等に対して相談その他の援助を行うこと。

ロ 公共職業安定所長の認定を受けた雇用維持等計画又は失業の予防のための措置に関する計画(以下「認定計画」と総称する。)に基づき、事業の転換による雇用機会の確保、職業の転換のために必要な教育訓練その他の失業の予防並びに能力の開発及び向上に特に資すると認められる措置を講ずる事業主に対して、必要な助成及び援助を行うこと。

ハ イ及びロのほか、特定不況業種等事業所若しくは特例事業所に雇用されている労働者又は特定不況業種離職者の失業の予防、雇用機会の増大その他の雇用の安定並びに能力の開発及び向上を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、必要な助成及び援助を行うこと。

② 政府は、①の事業の全部又は一部を雇用促進事業団に行わせるものとしたこと。(第九条第二項関係)

(七) 雇用促進事業団の行う職業訓練施設に係る資金の貸付け等

① 雇用促進事業団は、特定不況業種等事業所又は特例事業所に雇用されていた、認定計画に係る労働者の雇用の安定を図るために必要な職業訓練を実施するための職業訓練施設を設置し、又は整備する事業主に対して、雇用促進事業団法第一九条第三項に規定する業務として、必要な資金の貸付けを行うものとし、この場合において、その貸付け条件については、特別の配慮をするものとしたこと。(第一〇条の二第一項関係)

② 雇用促進事業団は、認定計画に基づき通常通勤することができる地域以外の地域の事業所に雇用されることとなる労働者であって、宿舎の確保を図ることが必要であると公共職業安定所長が認めるものに、宿舎を貸与することができるものとし、この場合においては、雇用促進事業団法第一九条第五項の規定は適用しないものとしたこと。(第一〇条の二第二項関係)

(八) 連絡及び協力

労働大臣及び関係行政機関の長は、特定不況業種等事業所に雇用される労働者等の失業の予防、再就職の促進等が円滑に行われるよう、相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならないこととしたこと。(第二五条関係)

(九) その他

① この法律の廃止期限(昭和七〇年六月三〇日)を六年延長し、平成一三年六月三〇日までとするものとしたこと。(附則第一〇条関係)

② その他所要の規定の整備を行うものとしたこと。

二 雇用促進事業団法の一部改正関係

(一) 役員の任期の改正

理事及び監事の任期を二年とするものとしたこと。(第一一条関係)

(二) 業務の範囲

① 1の(六)の①のイ及びロの事業を行うことを雇用促進事業団の業務に加えるものとしたこと。(第一九条第一項関係)

② 雇用促進事業団法第一九条第一項の業務は、雇用安定事業、能力開発事業又は雇用福祉事業として行うものとしたこと。(第一九条第二項関係)

(三) 財務諸表

雇用促進事業団は、労働大臣の承認を受けた財務諸表をその事務所に備えて置かなければならないものとしたこと。(第二四条関係)

(四) 罰金額の引上げその他所要の規定の整備を行うものとしたこと。

三 附則関係

(一) この法律は、平成七年七月一日から施行するものとしたこと。ただし、一の(九)の①については、公布の日から施行するものとしたこと。(改正法附則第一条関係)

(二) 所要の経過措置を定めるとともに、次に掲げる関係法律の規定の整備を行うものとしたこと。(改正法附則第二条から第五条関係)

① 船員保険法(昭和一四年法律第七三号)

② 雇用保険法(昭和四九年法律第一一六号)

③ 駐留軍関係離職者等臨時措置法(昭和三三年法律第一五八号)

④ 炭鉱労働者等の雇用の安定等に関する臨時措置法(昭和三四年法律第一九九号)

⑤ 勤労者財産形成促進法(昭和四六年法律第九二号)

⑥ 沖縄振興開発特別措置法(昭和四六年法律第一三一号)

⑦ 地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法(平成元年法律第六〇号)

⑧ 中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律(平成三年法律第五七号)

⑨ 介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成四年法律第六三号)

⑩ 旧日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法(昭和六一年法律第九一号)