添付一覧
○林業労働力の確保の促進に関する法律に基づく委託募集業務の取扱い等について
(平成八年五月二四日)
(職発第三七一号)
(各都道府県知事あて労働省職業安定局長通達)
標記については、「林業労働力の確保の促進に関する法律の施行について」(平成八年五月二四日付け8林野組第一二〇号、労働省発職第一四一号)及び「林業労働力の確保の促進に関する法律の運用について」(平成八年五月二四日付け8林野組第一二一号、職発第三七〇号)によるほか、左記によることとするので、御了知のうえ、その円滑かつ的確な実施につき特段のご配慮をお願いする。
記
第一 委託募集業務の取扱い(法第一三条及び第一四条関係)
一 委託募集の届出
(一) 林業労働力確保支援センター(以下「センター」という。)が、林業労働力の確保の促進に関する法律(平成八年法律第四五号。以下「法」という。)第一三条の規定により、認定事業主(法第一三条第一項の認定事業主をいう。以下同じ。)の委託を受けて林業労働者の募集を行う際には、センターは、労働大臣に対して、委託募集の届出を行うものとする。
(二) 委託募集の届出の対象となる委託募集の期間は六か月以内とし、開始日をその月の一日、終了日をその月の末日とする。
(三) センターは、委託募集の届出書を正本一通、副本二通を作成し委託募集を開始する月の二四日前までに、センターの主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長(以下「所在地公共職業安定所長」という。)に対して提出するものとする。
(四) 委託募集の届出書の様式は、様式第一号とする。
二 委託募集の届出の受理
(一) 所在地公共職業安定所長は委託募集の届出の受付を行い、届出の受付から七日以内に、副本一通を保管のうえ、正本一通及び副本一通を労働大臣へ送付するものとする。
(二) 届出書の送付を受けた労働大臣は、届出に係る募集の内容が、認定計画(法第六条第二項の認定計画をいう。以下同じ。)に従った募集の内容であること及び募集を委託している事業主が認定計画において改善措置に取り組むこととしていることを確認したうえで当該届出を受理し、その副本一通に確認の印を押し、届出の送付を受けてから一五日以内に、所在地公共職業安定所長を経由して届出を行ったセンターに交付するものとする。
(三) 所在地公共職業安定所長、就業地を管轄する公共職業安定所長(以下「就業地公共職業安定所長」という。)及びその募集地を管轄する公共職業安定所長(以下「募集地公共職業安定所長」という。)が異なる場合は、労働大臣は、受理した届出書の写しを、就業地公共職業安定所長及び募集地公共職業安定所長に対して送付するものとする。
三 公共職業安定所の援助
(一) 公共職業安定所は、委託募集が効果的かつ適切に行われるよう、法第一三条第一項の規定により林業労働者の募集に従事するセンター及び認定事業主に対して採用計画の策定、求人条件の設定、募集対象の設定、募集方法等について助言及び指導に努めるものとする。
(二) 公共職業安定所は、センターが主催する合同求人説明会、合同就職面接会等が効果的に行われるよう、説明会場に公共職業安定所の臨時窓口を開設する等により職業相談や説明会の参加求職者を説明会に参加していない委託募集を実施する事業主に迅速に紹介できるよう配慮するものとする。
(三) 公共職業安定所は、求職者に対する職業紹介に際して、当該募集に係る求人が認定計画により雇用管理の改善及び事業の合理化に取り組む事業主からの求人である場合にはその旨説明するよう配慮するものとする。
四 林業労働者募集報告
委託募集に従事するセンターは、毎四半期(一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び一〇月から一二月までの各期間をいう。)の委託募集の状況をとりまとめ、様式第二号の林業労働者募集報告を作成して翌四半期の最初の月の末日までに委託募集の届出の受付を行った公共職業安定所長に報告するものとする。
五 その他の留意事項
(一) 認定計画に定められた改善措置の実施時期の終了後及び都道府県知事が改善措置についての計画の認定の取消しを行った場合における当該取消しの日後には、届出による委託募集を行うことはできないものであること。
(二) 委託募集の業務を停止する場合には、様式第三号により行うこと。
(三) センターは、いかなる場合も、求職者を事業主に就職あっせんを行うことはできないものであること。
第二 雇用管理者の選任(法第三〇条関係)
一 趣旨
雇用管理者は、各事業体の内部において、林業労働者に係る雇用管理に関する事項を管理させるために、事業主が選任するものである。また、法令上事業主に義務づけられている雇用管理に関する事項についての責任が雇用管理者に移行するというものではない。
二 選任
(一) 雇用管理者は、常時五人(林業労働力の確保の促進に関する法律に基づく委託募集等に関する省令(平成八年労働省令第二六号。以下「省令」という。)第五条)以上の林業労働者を雇用する森林施業を行う事業所ごとに選任するように努めなければならないものである(第一項)。
(二) 選任の単位となる「事業所」とは、労働基準法(昭和二二年法律第四九号)第一〇七条(労働者名簿)及び第一〇八条(賃金台帳)の「事業場」と同一の概念である。すなわち、森林組合の本部、支部等が、原則として、それぞれ独立した事業所となるが、その規模が小さく、組織的関連、事務能力等からみて、一の事業所という程度の独立性を有しないものは、直近上位の機構と包括して一の事業所として取り扱うこととなる。
(三) 省令第六条においては、雇用管理者は、法第三〇条第一項に定める事項を管理するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから事業主が選任することとされている。この「必要な知識及び経験を有していると認められる者」とは、雇用管理者の職務を遂行するに足る能力を有する者をいい、人事労務担当部課長以上の者等事業所の人事労務管理について責任を有する者が望ましいものである。
三 職務
雇用管理者が管理すべき事項は、次に掲げる事項のうち法令により、又は経営上その選任に係る事業所において処理すべきこととされている事項である。
なお、雇用管理に関する事項を管理するとは、これらの事項が適正に処理されることについて責任を持って管理するという意味であって、必ずしも、自らこれらの事項を処理しなければならないものではない。
(一) 林業労働者の募集、雇入れ及び配置に関する事項(第一項第一号)
イ 法第一三条第一項の規定によるセンターへの募集の委託、公共職業安定所に対する求人の申込み、募集活動等林業労働者の募集に関する事項。
ロ 法第三一条の規定による雇用に関する文書の交付、労働基準法第一五条第一項の規定による労働条件の明示等林業労働者の雇入れに関する事項。
ハ 職業適性検査、職場適応訓練の実施、配置転換等林業労働者の配置に関する事項。
(二) 林業労働者の教育訓練に関する事項(第一項第二号)
イ 職業訓練の実施
ロ 教育訓練の受講又は職業能力検定の受検の奨励
ハ その他林業労働者の教育訓練に関する事項
(三) 労働者名簿及び賃金台帳に関すること(省令第七条第一号)
イ 労働基準法第一〇七条の規定による労働者名簿の調製及び記入
ロ 同法第一〇八条の規定による賃金台帳の調製及び記入
(四) 労働者災害補償保険、雇用保険及び中小企業退職金共済制度その他林業労働者の福利厚生に関すること(省令第七条第二号)
イ 労働者災害補償保険及び雇用保険に係る手続に関すること。
ロ 中小企業退職金共済法(昭和三四年法律第一六〇号)の規定による退職金共済契約及び特定業種(林業)退職金共済契約に係る手続に関すること。
ハ 健康保険、厚生年金保険その他の社会保険に係る手続に関すること。
ニ レクリエーションの実施、林業労働者の相談に応ずることその他の林業労働者の福利厚生に関すること。
四 雇用管理者の資質の向上
(一) 事業主は、雇用管理者について、必要な研修を受けさせる等雇用管理を行うための知識の習得及び向上を図るよう努めなければならない。(第二項)
(二) この指導に当たっては、センター等が行う雇用管理者研修等を受講するように指導するものとする。
第三 雇用に関する文書の交付(法第三一条関係)
一 趣旨
事業主は、林業労働者を雇い入れたときは、速やかに、雇用に関する文書を交付するよう努めなければならない。
二 記載すべき事項
この文書において明らかにしなければならない事項は、次のとおりである。
(一) 事業主の氏名又は名称
事業主が個人である場合はその氏名、法人である場合はその名称をいう。
(二) 雇入れに係る事業所の名称及び所在地
当該林業労働者を雇い入れた際、その事務処理を行った事業所の名称及び所在地をいう。すなわち、その者に係る雇用管理を行っている事務所等の置かれている場所をいう。
(三) 雇用期間
原則として年月日により明示しなければならないが、終了時を特定することが特に困難な場合は、終了予定日を記載し、「(予定)」と附記するものとする。
また、雇用期間の定めのない常用労働者については、その旨記載するものとする。
(四) 従事すべき業務の内容
伐木造林作業者等職種名とその具体的業務内容を記載するものとする。
(五) 雇用保険及び中小企業退職金共済制度に関すること。
当該林業労働者に対する雇用保険の適用の有無及び中小企業退職金共済制度(特定業種(林業)退職金共済制度を含む。)への加入の有無を記載するものとする。
三 指導上の留意点
(一) 労働基準法第一五条第一項において、使用者は、労働契約の締結に際し、労働条件のうち賃金に関する事項については、労働者に書面を交付することにより明示しなければならないこととなっているが、林業労働者については、法第三一条及び労働基準法第一五条第一項の両規定が相まって、雇用関係の明確化の実効を期することとしているものである。
(二) 雇用に関する文書については、前記(一)の点も留意し、様式第四号の「林業労働者雇入通知書」を林業労働者に交付するよう事業主に指導勧奨するものとする。
なお、林業労働力確保支援センター等に配置される林業雇用改善アドバイザーにおいても、雇用改善に係る相談指導の中で文書交付を指導勧奨することとしている。
(三) この規定の主眼は、とかく雇用関係の不明確な有期雇用労働者の雇用関係の明確化を図ることにあるので、指導に当たっては、特に、有期雇用労働者についてその趣旨が徹底するよう配慮するものとする。
なお、この規定は労働契約の締結が文書で行われ、又は、採用に当たり辞令が交付され、前記二の事項が明らかである場合においては、更に、この規定による文書を交付することを求めるものではない。
様式第1号
様式第2号
様式第3号
様式第4号