添付一覧
○身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律の運用について
(昭和六三年四月一日)
(職発第一五六号・能発第七三号)
(各都道府県知事あて労働省職業安定局長、労働省職業能力開発局長通達)
身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律(昭和六二年法律第四一号。以下「改正法」という。)の施行については、昭和六二年七月一日付け労働省発職第一七一号をもつて労働事務次官より貴職あて通達されたところであるが、本年四月一日から改正法が全面的に施行となつたところである(障害者雇用継続助成金の支給に係る部分については、既に昭和六二年七月一日から施行となつている。)。
また、これに伴い、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令(昭和六三年政令第六八号。以下「改正政令」という。)及び身体障害者雇用促進法施行規則及び身体障害者雇用促進協会の財務及び会計に関する省令の一部を改正する省令(昭和六三年労働省令第七号。以下「改正省令」という。)が制定され、同じく本年四月一日から施行されるとともに、関係告示の制定及び改正を行つたが、その概要は、左記1のとおりである。
また、職業転換給付金関係支給要領、雇用安定事業関係支給要領、昭和六〇年八月七日付け職発第四四〇号「雇用保険業務(適用・給付・日雇関係)の業務取扱要領について」、昭和六二年五月二〇日付け職発第二九八号、能発第一一四号「職業転換訓練費(就職促進訓練関係費・職場適応訓練費)負担金要綱」及び昭和五〇年四月一日付け職発第一三〇号「四五歳以上の求職者等の範囲について」の一部を左記ⅡからⅥまでのとおり改正するので留意されたい。
なお、身体障害者等職業紹介業務取扱要領(職業安定行政手引四―四)その他の職業紹介関係業務取扱要領の改正については追つて通達することとしているので了知されたい。
ついては、改正法の施行に当たつては、前記通達によるほか、左記事項に御留意の上、遺漏のないよう格段の配慮をされたい。
記
Ⅰ 改正政令及び改正省令の概要
一 精神薄弱者の定義(新規則第一条の二)
改正法による改正後の障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三五年法律第一二三号。以下「新法」という。)第二条第四号においては、精神薄弱者とは「障害者のうち、精神薄弱がある者であつて労働省令で定めるものをいう」こととされているが、改正省令による改正後の障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則(昭和五一年労働省令第三八号。以下「新規則」という。)においては、精神薄弱者として「児童相談所、精神薄弱者更生相談所、精神衛生センター、精神衛生鑑定医又は法(注 「法」とは新法をいうものである。)第九条の障害者職業センターにより精神薄弱があると判定された者」を定めるものとしたこと。
これは、改正前の身体障害者雇用促進法施行規則(昭和五一年労働省令第三八号。以下「旧規則」という。)第四七条の「労働省令で定める精神薄弱者」の場合と同様に精神薄弱者であることの判定を行う機関を労働省令で定め、当該機関において精神薄弱があると判定された者を法律上の精神薄弱者として取り扱うこととしたものであるが、今般障害者職業センターにおいても精神薄弱者であることの判定を行うこととしたことに伴い、新たに判定機関に障害者職業センターを加えたものであること。
なお、障害者職業センターが行う精神薄弱者であることの判定に関しては、昭和六三年障雇発第一一号をもつて労働主管部(局)長あて通達したところであるので、これを参照されたい。
二 職業紹介等(新規則第三条)
今回の法改正により法律の対象を身体障害者から障害者全般に拡大したことに伴い、新規則第三条においては、公共職業安定所(以下「安定所」という。)は、障害者であるかどうかを確認するために必要があると認めるときは、求職者に対し、身体障害者福祉法(昭和二四年法律第二八三号)第一五条の身体障害者手帳その他の資料の提供又は提出を求めることができるものとしたこと。
ここでいうその他の資料には療育手帳(東京都にあつては、愛の手帳)、当該求職者である障害者の主治医の診断書、意見書等の資料が該当するものであること。
三 適応訓練の対象者(新令第一条)
新法第五条第一項においては、都道府県は、必要があると認めるときは、求職者である障害者(身体障害者、精神薄弱者その他政令で定める障害者に限る。)について適応訓練を行うこととされているが、改正政令による改正後の障害者の雇用の促進等に関する法律施行令(昭和三五年政令第二九二号。以下「新令」という。)第一条においては、この政令で定める障害者として精神分裂病、そううつ病又はてんかんにかかつている者を定めるものとしたこと。
精神分裂病、そううつ病又はてんかんにかかつている者に対する適応訓練については、昭和六一年職発第一七三号により、精神分裂病、そううつ病又はてんかんにかかつている者で症状が安定し就労が可能な状態にあるもののうち、公共職業安定所による職業の斡旋を受けることが適当であると公共職業安定所長により認定されたもの(以下「精神障害回復者等」という。)に対する適応訓練として既に実施されているところであるが、今回の政令改正は、この精神障害回復者等に対する適応訓練を新法に基づく適応訓練として位置付けたものであること。
なお、適応訓練を受ける精神障害回復者等に対する訓練手当及び精神障害回復者等に対する適応訓練を行う事業主に対する職場適応訓練費の支給については、それぞれ従来どおり雇用対策法(昭和四一年法律第一三二号)第一三条並びに雇用対策法施行規則(昭和四一年労働省令第二三号)第二条第五項及び第五条に基づくものであること。
四 障害者職業カウンセラーの資格(新規則第四条の五)
新法第九条の七の労働省令で定める資格を有する者(障害者職業カウンセラーの資格を有する者)として、新規則第四条の五においては、次のイ又はロのいずれかに該当する者を定めるものとしたこと。
イ 公共職業安定所において、五年以上障害者の職業紹介に係る事務に従事した経験を有する者
ロ イに掲げる者と同等以上の経験を有するものと労働大臣が認める者
五 身体障害者の採用に関する計画等
(一) 身体障害者の採用に関する計画の記載事項の変更(新令第三条関係)
新法第三九条の一〇第二項において「国及び地方公共団体の任命権者は、第一一条第一項の身体障害者の採用に関する計画を作成し、又は実施する場合においては、精神薄弱者の採用は身体障害者の採用に含まれるものとして、当該作成又は実施をすることができる」とされていることに伴い、新令第三条においては、国及び地方公共団体の任命権者(以下「任命権者」という。)が作成する身体障害者の採用に関する計画(以下「採用計画」という。)に記載すべき身体障害者の数について、任命権者が新法第三九条の一〇第二項の規定に基づき精神薄弱者の採用が含まれるものとして採用計画を作成する場合にあつては、身体障害者及び精神薄弱者の数を記載するものとしたこと。
また、新令第六条第一項の労働大臣が定める様式(身体障害者採用計画通報書及び身体障害者採用計画実施状況通報書)を改正したこと(改正後の身体障害者採用計画通報書については別紙一、身体障害者採用計画実施状況通報書については別紙二を参照。)。
(二) 身体障害者の雇入れに関する計画の記載事項の変更(新規則第九条)
新法第三九条の一一第四項において「事業主は、第一五条の身体障害者の雇入れに関する計画を作成し、又は実施する場合においては、精神薄弱者の雇入れは身体障害者の雇入れに含まれるものとして、当該作成又は実施をすることができる」とされていることに伴い、新規則第九条においては、事業主(国及び地方公共団体を除き、新令別表第二に掲げる特殊法人を含む。)が作成する身体障害者の雇入れに関する計画(以下「雇入れ計画」という。)に記載すべき身体障害者の数について、事業主が新法第三九条の一一第四項の規定に基づき精神薄弱者の雇入れが含まれるものとして雇入れ計画を作成する場合にあつては、身体障害者及び精神薄弱者の数を記載するものとしたこと。
(三) 特定身体障害者の採用に関する計画等に係る変更(新令第一一条及び第一二条並びに新規則第一二条及び第一四条)
新法第一七条において特定重度障害者が特定身体障害者に改められたこと等に伴い、特定重度障害者の採用に関する計画等について、新令第一一条等及び新規則第一二条等においても特定重度障害者を特定身体障害者に改める等所要の整備を行つたものであること。なお、改正の前後において、計画の内容の変更はないものであること。
また、新令第一二条において準用する新令第六条第一項の労働大臣が定める様式(特定重度障害者採用計画通報書及び特定重度障害者採用計画実施状況通報書)を改正したこと(改正後の特定身体障害者採用計画通報書については別紙三、特定身体障害者採用計画実施状況通報書については別紙四を参照。)。
六 身体障害者である職員の任免に関する状況の通報等
(一) 身体障害者である職員の任免に関する状況の通報等に係る変更(新令第八条関係)
新法第三九条の一〇第三項において身体障害者である職員の任免に関する状況の通報について精神薄弱者である職員は身体障害者である職員とみなすこととされていることに伴い、新令第八条の労働大臣が定める様式(身体障害者雇用状況通報書及び身体障害者職員名簿)を改正したこと(改正後の身体障害者雇用状況通報書については別紙五、身体障害者職員名簿については別紙六を参照。)。
(二) 身体障害者である労働者の雇用に関する状況の報告等に係る変更(新規則第七条及び第八条)
新法第三九条の一一第二項において身体障害者である労働者の雇用に関する状況の報告について精神薄弱者である労働者は身体障害者である労働者とみなすこととされていることに伴い、新規則第八条においては、事業主が精神薄弱者を雇用している場合には身体障害者及び精神薄弱者の雇用に関する状況を報告するものとしたこと。
また、新規則第八条の労働大臣が定める様式(身体障害者雇用状況報告書)を改正したこと(改正後の身体障害者雇用状況報告書については別紙七を参照。)。
なお、本年四月一日から事業主に係る身体障害者雇用率が一・六%に引き上げられたことに伴い、新規則第七条においては、身体障害者である労働者の雇用に関する状況を報告しなければならない事業主は常時六三人以上の労働者を雇用するものとしたこと。
七 子会社の特例
(一) 子会社の特例に係る認定の申請(新規則第八条の二)
新規則第八条の二においては、新法第一四条の二第一項の子会社に係る認定(以下「認定」という。)の申請に係る手続について、認定の申請を行おうとする事業主(申請は、親事業主と子会社の事業主の共同申請によつて行う。)は、労働大臣の定める様式(昭和五一年労働省告示第一一二号の様式第六号の二。別紙八を参照。)による申請書を、親事業主に係る管轄公共職業安定所の長に提出することによつて行うものとし、その際には労働大臣の定める様式(昭和五一年告示第一一二号の様式第六号の三。別紙九を参照。)による書面を添付するものとしたこと。
(二) 子会社の特例に係る認定の取消しに係る手続(新規則第八条の三から第八条の六まで)
新規則第八条の三から第八条の六までにおいて、認定の取消しを行う場合の事業主の弁明に係る手続について定めるものとしたこと。
これは、新法第一四条の二第二項においては、親事業主又は子会社の事業主が同条第一項に掲げる要件を満たさなくなつた場合等には認定を取り消すことができることとされているが、同条第三項においては、認定の取消しに係る事業主に対して弁明の機会を与えなければならないとされている等認定の取消しに当たつては慎重な手続を必要としていることから、事業主の弁明に係る手続について必要な事項を定めることとしたものであること。
(三) 親会社に係る管轄公共職業安定所の長に対する権限の委任(新規則第四六条)
新規則第四六条においては、新法第一四条の二の権限(認定、認定の取消し及び事業主の弁明に係る手続に係る権限)は管轄公共職業安定所の長に委任することとしており、これにより新法第一四条の二の権限は親事業主に係る管轄公共職業安定所の長が行うものとしたこと。
八 身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金の名称の変更等(新規則第一七条から第二五条の二まで)
身体障害者雇用納付金制度に基づく助成金のうち、重度障害者等職場適応助成金を重度障害者職場適応助成金に、重度障害者等特別雇用管理助成金を重度障害者特別雇用管理助成金に名称を変する等の整備を行つたものであること。なお、これらの助成金については、支給要件等その内容に変更はないものである。
また、障害者の雇用に関する研究等を行う事業主の団体に対する助成金については、その対象を身体障害者及び精神薄弱者から障害者全般に拡大したことに伴い、身体障害者職域拡大等研究調査助成金を障害者職域拡大等研究調査助成金に、身体障害者雇用管理等講習助成金を障害者雇用管理等講習助成金に、身体障害者等雇用啓発助成金を障害者雇用啓発助成金に名称を変更する等の整備を行つたものであること。
九 障害者職業生活相談員の選任及び解雇の届出に係る障害者
(一) 障害者職業生活相談員の選任に係る障害者(新規則第三九条第二項)
新法第七九条第二項においては、身体障害者、精神薄弱者その他労働省令で定める障害者を雇用する事業主は障害者職業生活相談員を選任しなければならないこととされているが、新規則第三九条第二項においては、労働省令で定める障害者として新令第一条の障害者(精神分裂病、そううつ病またはてんかんにかかつている者)であつて、新法第五条第一項の適応訓練を終了し、当該適応訓練を委託された事業主に雇用されているものを定めるものとしたこと。
なお、障害者職業生活相談員を選任しなければならない事業主は、これらの障害者を改正前と同じく五人以上雇用する事業主であること。
(二) 解雇の届出に係る障害者(新規則第四一条第二項及び第四三条)
新法第八〇条の解雇の届出の対象となる障害者は、身体障害者、精神薄弱者のほか新規則第三九条第二項に規定する障害者としたこと。
一〇 職業能力開発促進法施行令及び同法施行規則の改正
(一) 職業能力開発促進法施行令の改正(第三条及び第四条)
職業能力開発促進法(昭和四四年法律第六四号。以下「能開法」という。)において職業訓練の対象を身体障害者から障害者全般に拡大するとともに、同法第一五条において身体障害者職業訓練校の名称を障害者職業訓練校に改めたことに伴い、職業能力開発促進法施行令(昭和四四年政令第二五八号)第三条及び第四条について所要の整備を行つたものであること。
(二) 職業能力開発促進法施行規則の改正(第八条、第二〇条、第三七条及び別表第一)
職業能力開発促進法施行規則(昭和四四年労働省令第二四号。以下「能開則」という。)第八条において、日本障害者雇用促進協会に運営を行わせる障害者職業訓練校は、中央障害者職業訓練校及び吉備高原障害者職業訓練校としたこと。
また、能開則別表第一の国が設置する身体障害者職業訓練校について、その名称をそれぞれ身体障害者職業訓練校から障害者職業訓練校に改めるものとしたこと。ただし、兵庫職業訓練校については名称を改めていないものであること。
その他能開則第二〇条及び第三一条について能開法と同趣旨の所要の整備を行つたものであること。
一一 その他
その他、新法がその対象を身体障害者から障害者全般に拡大したこと等に伴い、改正政令及び改正省令においては、職業安定法施行令(昭和二八年政令第二四二号)及び同法施行規則(昭和二二年労働省令第一二号)、雇用対策法施行規則(昭和四一年労働省令第二三号)、高年齢者の雇用の安定等に関する法律施行規則(昭和四六年労働省令第二四号)、雇用保険法施行令(昭和五〇年政令第二五号)及び同法施行規則(昭和五〇年労働省令第三号)等関係政省令について所要の整備を行つたものであること。
(別紙1)
(別紙2)
(別紙3)
(別紙4)
(別紙5)
(別紙6)
(別紙7)
(別紙8)
(別紙9)