添付一覧
○農村地域工業導入促進法の運用について
(昭和四六年一二月二四日)
(46農政第六六九二号・46企局第一五〇五号・職発第四四〇号)
(農林省構造改善局長、通商産業省立地公害局長、労働省職業安定局長通達)
農村地域工業導入促進法(昭和四六年法律第一一二号。以下「法」という。)の施行については、「農村地域工業導入促進法の施行について」(昭和四六年一一月八日付け四六農政第五六八六号、四六企第八四三五号、職発第一五九号農林・通商産業・労働事務次官通達。以下「次官通達」という。)によりその運用に関する大綱が定められたが、その実施に当たつては、左記事項に留意されたい。
記
第一 農村地域の要件の判断時点について
法の対象となる農村地域は、法第二条の規定及び農村地域工業導入促進法施行令(昭和四六年政令第二八〇号)第一条から第三条までの規定により定められているが、これらの規定により定められている要件は、農村地域工業導入実施計画(以下「実施計画」という。)を樹立する時点で満たされていなければならないが、実施計画の樹立後これらの要件を満たさなくなつたとしても、その実施計画は有効なものであると解する。
第二 農村地域工業導入基本計画の策定又は変更について
1 農村地域工業導入基本計画(以下「基本計画」という。)は、昭和六〇年度を当面の目標年次として策定又は変更するものとし、その策定又は変更に当たつては、次官通達の記の第三の2によるほか、次の事項に留意するものとする。
(1) 前文
都道府県における農業、工業及び雇用の現状とその見通し及び農村地域への工業の導入の実態にふれ、今後における農村地域への工業の導入に関する基本的な考え方を総括的に記載するものとする。
(2) 導入すべき工業の業種その他農村地域への工業の導入の目標
農村地域へ工業を導入するに当たつての基本的な考え方、工業の導入の目標及び導入すべき工業の業種等について記載するものとする。
なお、都道府県内をいくつかの区域に区分することが適切な場合には、その区域別に記載するものとする(以下(3)及び(4)において同じ。)。
ア基本的な考え方は、どのような考え方のもとに、また、どのような性格の工業を農村地域に導入するかを総括的に記載するものとする。この場合に、工業の導入のあるべき姿を実現するに際しての留意事項についても併せて記載するものとする。
イ 工業の導入の目標については、今後における農村地域への工業の導入は、国土利用計画、土地利用基本計画、都市計画、農業振興地域整備計画等の各般の土地利用計画との調整を行つた結果定められた工業導入地区(法第五条第二項第一号の工業導入地区をいう。以下同じ。)において行われるよう誘導することを旨とした考え方を記載するものとする。この場合において、既存の工業導入地区であつて、いまだ工業の導入が十分に行われていない地区については、広域的な観点に立つて、諸情勢の変化に対応して当該実施計画の見直しを行いつつ工業の導入が行われるよう誘導する旨を明らかにするものとする。
ウ 導入すべき工業の業種については、成長性と安定性のある工業、特に雇用効果の大きい内陸型の業種のものを基本とし、立地条件、地場産業の現況、労働力の特質、環境の現況及び環境保全上の観点からの制約条件等地域の特性を十分考慮して具体的な業種を例示しつつ、業種の選定についての考え方を記載するものとする。この場合において、公害のおそれのない業種又は公害防止設備を完備した企業の導入を図る旨を明らかにするものとする。
エ 農村地域への工業の導入に当たつては、導入企業と既存企業を含めた関連企業等との機能分担を促進することによつて複数の工業導入地区にわたる広域的な工業配置を進める旨を記載するものとする。この場合において、地場産業の活用、環境の保全に留意したローカルエネルギーの開発利用を図る等地域の特色を生かした工業の導入に努める旨を明らかにするものとする。
オ 農村地域への工業の導入に際しては、在宅通勤圏の広域化を踏まえ、関係市町村の連携の下に、地域の労働力需給が量的にも質的にも整合性のとれたものとなるよう努める旨を記載するものとする。
(3) 農村地域に導入される工業への農業従事者の就業の目標
工業の導入に伴い増加する労働力の需要に対しては、農業生産の担い手の育成・確保に十分配慮しつつ、導入された工業の特質に応じ、農業以外の産業に就業を希望する農業従事者(その家族を含む。以下同じ。)の労働力を重点的に充てることにより、これらの者の安定した就業機会の確保を図るとともに、雇用構造の改善に資することを旨とした基本的な考え方を記載するものとする。この場合において、農業以外の産業に就業を希望する農業従事者の就業を促進するに当たつての留意事項を明らかにするものとする。
(4) 農村地域への工業の導入と相まつて促進すべき農業構造の改善に関する目標
農村地域への工業の導入により農業従事者、特に不安定な就業状態にある農業従事者の地元における安定就業を促進しつつ、これら安定兼業農家を含めた地域ぐるみの対応の中で農用地の流動化と有効利用を進め中核農家の育成・確保及び地域農業の組織化を図ることを旨とした基本的な考え方を記載するものとする。この場合において、農村地域への工業の導入とどのように関連付けて、農業構造の改善を図つていくか、その考え方を明らかにするものとする。
また、農業従事者の他産業への就業動向に即しつつ、農業生産基盤の計画的整備を図るとともに、農村地域における定住条件の整備を推進する等活力ある農村社会の建設に関する基本的な考え方を併せて記載するものとする。
(5) 農村地域への工業の導入に伴う工場用地(工場の附帯施設の用に供する土地を含む。以下同じ。)と農用地等(農業振興地域の整備に関する法律第三条に規定する農用地等をいう。以下同じ。)との利用の調整に関する方針
農村地域への工業の導入に当たつては、合理的な土地利用を図ることを旨として、今後とも農業的な土地利用を図ることが適当である集団的優良農地の保全及び周辺農業への影響を考慮しつつ、工業の導入が適正かつ円滑に行われるよう工業用地等と農用地等との利用の調整方針を記載するものとする。この場合において、特に工業導入地区の設定又は変更に伴う農業振興地域の整備に関する法律第八条に基づく農用地区域との調整方針も併せて記載するものとする。
(6) 工業用地その他の施設の整備に関する事項
農村地域への工業の導入を促進するためには、産業基盤及び生活基盤の整備を促進することが重要であることにかんがみ、将来の見通しを的確に把握した上で必要な工業用地、道路、工業用水道、通信運輸及び生活関連施設等の整備に関する考え方を記載するものとする。この場合において、優良な農用地が確保されるよう留意しつつ、農村地域に導入される工業が必要とする工場用地の確保を図るとともに、工業用地の計画、造成に際しては、地域全体の工業立地の動向、工業団地の需給状況等工業の導入の可能性を十分に勘案の上実施するよう指導する旨を明らかにするものとする。
また、その他工業用地の確保、施設の整備に当たつての配慮事項についても併せて記載するものとする。
(7) 労働力需給の調整及び農業従事者の工業への就業の円滑化に関する事項
導入企業の労働力需要と地域の労働力供給との円滑な結合を促進するため、雇用情報の提供、職業紹介の充実、職業訓練の実施、特に中高年齢層の雇用の促進のための指導及び援助、雇用の安定等についての導入企業への指導及び援助、労働者の福祉の増進等に関する措置について記載するものとする。
(8) 農村地域への工業の導入と相まつて農業構造の改善を促進するために必要な農業生産の基盤の整備及び開発その他の事項に関する事項
農村地域への工業の導入と相まつて促進すべき農業構造の改善のための施策として、農用地の流動化を進め、中核農家の経営規模の拡大と農用地の有効利用及び地域農業の組織化を進めるための諸施策、需要の動向に即応した農業生産の再編成及び農業の生産性の向上を図るために必要な農業生産の基盤の整備、農業生産近代化施設及び農産物の流通加工施設の整備、農村地域における定住条件の整備を推進するために必要な総合的な環境の整備と農村地域における安定した就業機会の確保を図るために必要な諸施策等について記載するものとする。
(9) 農村地域への工業の導入に伴う公害の防止に関する事項
地域の環境特性を踏まえ、公害の防止及び自然環境の保全等農村地域の環境の保全に十分配慮するという基本的立場のもとで、実施計画の策定に先立つて必要に応じ環境に与える影響を調査検討し、その結果を踏まえ、環境の保全に配慮しつつ実施計画を策定するとともに、具体的な工業の導入及び導入後においても必要に応じて環境の監視、環境に与える影響についての調査検討の補完等を行う旨を明らかにする等公害の防止及び自然環境の保全に関する事項について記載するものとする。
(10) その他必要な事項
ア 農村地域への工業の導入の広域的推進
農村地域への工業の導入の円滑な推進を図るため、複数の市町村からなる広域の地域ごとに指針となるべき事項を示して、関係市町村の協力の下に、的確な工業の導入を図る旨を記載するものとする。
イ 工業導入地区に関する情報等の周知徹底及び立地後の企業の指導
工業導入地区に関する情報、法に基づく優遇措置等について周知徹底を図り、工業導入地区へ重点的に優良な工業の導入のあつせんに努めるとともに、立地後の企業についてもその定着化を図るため、必要な措置を講ずるよう指導する旨を記載するものとする。
ウ 下請関連企業等の育成
農村地域に導入された工業の円滑な活動を確保するため、過密公害移転等貸付制度等中小企業に対する立地関係助成制度を活用し、下請関連企業の移転を円滑に進めるほか、地元中小企業を積極的に育成する旨を記載するものとする。
エ 過疎地域等への配慮
農村地域への工業の導入が過疎地域、山村地域等における人口の流出の抑止、地域経済の発展等地域振興に果す役割が大きいことにかんがみ、工業の導入に当たつては、これらの地域の振興に関する施策との連携に留意しつつ、その円滑な実施が図られるよう配慮する旨を記載するものとする。
オ 農業団体等の参画
農村地域への工業の導入に当たつては、実施計画の策定の段階から農業団体、商工団体等の関係団体の参画を図り、その円滑な実施が図られるよう配慮する旨を記載するものとする。
カ 連絡調整体制の確立
農村地域へ導入された企業と地域社会との相互理解を含め、活力ある地域社会の形成を図るため、市町村、導入企業、農業団体、商工団体等の連絡調整体制の整備に努める旨を記載するものとする。
キ 農村地域工業導入促進センターの活用
農村地域への工業の導入を円滑に推進するため、農村地域への工業の導入に関する情報の収集及び提供、立地企業のあつせん、実施計画の策定等に関する指導、助言等を行う財団法人農村地域工業導入促進センターの活用に努める旨を記載するものとする。
ク その他
(ア) 新たな実施計画の策定に当たつては、既存の実施計画の進捗状況、地域住民の意向、工業導入の可能性、産業関連施設の整備状況、農業の基礎条件の整備状況等を総合的に勘案し、原則として、工業の導入の可能性のある場合に限り行うよう指導する旨を記載するものとする。
(イ) 既存の実施計画についても、いまだ工業の導入が十分には行われていない工業導入地区については、広域的な観点に立つて、諸情勢の変化に対応して当該実施計画の見直しを行うよう指導する旨を記載するとともに、その留意事項についても併せて記載するものとする。
2 基本計画の協議方法について
(1) 都府県知事は、法第四条第四項の規定により、基本計画を策定又は変更しようとするときは、あらかじめ地方農政局長及び通商産業局長が定める期日までに基本計画(案)を提出(一〇部)するものとする。
なお、他の国の行政機関の地方支分部局とも連絡調整を行うものとする。
(2) 地方農政局長及び通商産業局長は、都府県知事から提出された基本計画(案)について、それぞれの局内において関係部課に十分協議検討を行わせるものとする。
(3) 地方農政局長及び通商産業局長は、それぞれの局内において検討した事項を持ち寄り、基本計画(案)について合同して協議検討の上統一した意見を取りまとめるものとする。
(4) 地方農政局長及び通商産業局長は、(3)による意見の取りまとめを了した後、関係都府県を指導して、三者による合同協議の上、所要の指示を行うものとする。
(5) 都府県知事は、(4)による指示に基づき、当初の基本計画(案)につき所要の修正を加えた後、別添の参考資料(現況及び見通し。以下同じ。)を添付して農林水産大臣に対しては地方農政局長を経由して農林水産大臣に、通商産業大臣に対しては通商産業局長を経由して通商産業大臣に、労働大臣に対しては直接労働大臣に、それぞれ所定の部数(農林水産大臣及び通商産業大臣には各三〇部、労働大臣には二〇部)を提出するものとする。
(6) 地方農政局長及び通商産業局長は、管内の各都府県から提出された基本計画(案)に参考資料を添付して所定の部数(農林水産大臣及び通商産業大臣に対しては各二〇部)を農林水産大臣及び通商産業大臣に提出するものとする。
この場合、地方農政局長及び通商産業局長は、同文により、各都府県ごとの指示事項及びこれに対する各都府県の処理状況を付すとともに、所要の意見を付すものとする。
(7) 北海道知事は、農林水産大臣及び労働大臣に関する協議については直接農林水産大臣及び労働大臣に、通商産業大臣に関する協議については通商産業局長を経由して通商産業大臣に、それぞれ基本計画(案)に参考資料を添付して所定の部数(農林水産大臣及び労働大臣には各二〇部、通商産業大臣には三〇部)を提出するものとする。
(8) 地方農政局長、通商産業局長が各都府県から事情聴取を行う場合は、可能な限り、共同して行うものとする。
(9) 地方農政局と通商産業局の管轄区域を異にする都府県の取扱いについては、別途関係地方農政局長と関係通商産業局長が協議の上定めるものとする。
(10) 農林水産省、通商産業省及び労働省は、(5)、(6)及び(7)により提出された基本計画(案)について協議を行うとともに、必要に応じ地方農政局長及び通商産業局長並びに当該都道府県から事情を聴取する等の措置を行つた後、関係行政機関の長と協議するものとする。
(11) (10)により関係行政機関の長との協議を了した基本計画(案)については、三大臣連名により各都道府県知事あて通知するとともに、その旨を地方農政局長及び通商産業局長あて通知するものとする。
3 都道府県の審議会における調査審議について
都道府県知事は、農林水産大臣、通商産業大臣、労働大臣に基本計画(案)を提出する前に当該基本計画(案)について審議会等の調査審議を了しておくものとする。
4 参考資料について
基本計画(案)に添付する参考資料は、次官通達の記の第三の2の(2)のイに掲げる人口等の推移に関しては、別添様式により作成し、将来の見通しに関しては、別添様式の各項目について可能な限り文章又は適宜の様式によりその時点(例えば昭和六〇年)及び出典を明らかにした上で作成するものとする。
5 様式について
基本計画(案)及び参考資料の様式は、日本工業規格B列五版横書きとするものとする。
別添
第三 農村地域への工業の導入の広域的推進を図るための指針の策定について
農村地域への工業の導入の円滑かつ効率的な推進を図るため、近年の工業立地の動向、在宅通勤圏の広域化、労働力の需給状況等社会情勢や地域の実態の変化に対応し、より広域的な視点に立つた工業の導入を推進するものとする。
このため、都道府県は、次により、自然的、経済的、社会的諸条件が密接に関連する複数の市町村からなる広域の地域の設定、当該地域ごとの労働力需給、交通事情、工業立地の状況、農業経営の状況等に照らした指針(以下「広域指針」という。)の作成を行うとともに、関係市町村に対し同指針に基づく的確な工業の導入に関する指導等を行うものとする。
なお、広域的な視点に立つた工業の導入の推進に当たつては、その適正かつ円滑な推進が期待できるような条件の成熟した地域から順次実施するものとする。
1 対象地域の設定について
(1) 対象地域の基準
ア 広域指針の対象となる地域(以下「対象地域」という。)は、自然的、経済的、社会的諸条件が密接に関連する複数の市町村からなる広域の地域であつて、次の要件を具備した地域から設定するものとする。
(ア) 都市及びその周辺農山漁村地域が一体として形成されており、住民の日常生活上の通常の需要がその地域内でほぼ充足されるような地域であること。
(イ) 拠点的な工業導入地区及び相当数の小規模な工業導入地区が存在する地域であること。
(ウ) 在宅通勤圏の形成された地域であること。
イ 対象地域の設定に当たつては、次の事項に留意するものとする。
(ア) 工場立地法に基づく工場適地調査における調査対象地区のほか、必要に応じ広域市町村圏、地方生活圏、モデル定住圏等の圏域を参考とすること。
(イ) 既存の工業導入地区であつて、情勢の変化により工業用地以外の用途に供することが適当と考えられるものについても、対象地域から除外されることのないよう配慮すること。
(2) 都道府県は、あらかじめ農村地域工業導入審議会等の意見を聴し、かつ、関係のある市町村と協議の上、対象地域の設定を行うものとする。
2 広域指針の作成について
(1) 広域指針の内容
広域指針は、対象地域における工業開発の状況、地域振興の将来像及びその中における農村地域工業導入の位置づけを明らかにするとともに、次の事項について定めるものとする。
ア 工業導入地区の再編成の方針
工業立地の動向、工業の立地条件、労働力の需給状況等工業の導入の可能性を総合的に勘案しつつ広域的な観点に立つて既存の工業導入地区の再編成の方針を明らかにするものとする。この場合において、今後とも工業の導入を促進すべき工業導入地区、その中でも特に積極的に工業の導入の促進を図るべき工業導入地区を明らかにするとともに、工業導入地区間の機能分担、導入すべき業種、導入企業と既存企業を含む関連企業等との広域的配置等に関する考え方を示すものとする。
イ 実施計画の見直し等の方針
工業導入地区の再編成の方針に基づく工業導入地区の縮小、取消しを内容とする実施計画の見通し等の方針を明らかにするものとする。
ウ 市町村の役割分担の方針
対象地域における関係市町村の特性を生かした役割分担に関する方針を明らかにするものとする。
エ 関係市町村の連携協力体制の整備の方針
対象地域における工業の導入を関係市町村の協力の下に的確に推進するための連携協力体制の整備に関する方針を明らかにするものとする。この場合において、連携協力体制の構成、連携協力の内容等を示すものとする。
オ その他必要な事項
(2) 広域指針と他の計画との関係等
都道府県は、広域指針の作成に当たつては、基本計画の内容に即し、かつ、都道府県の計画その他法令に基づく地域振興に関する計画等との調和に努めるものとする。
(3) 広域指針の作成手続
ア 都道府県は、対象地域ごとに広域指針を作成するものとする。この場合において、都道府県はあらかじめ4の(1)に定める協議会の意見を聞くものとする。
イ 都道府県は、広域指針を作成又は変更したときは、当該指針を関係市町村長並びに地方農政局長(北海道にあつては、農林水産省構造改善局長)、通商産業局長及び労働省職業安定局長に送付するものとする。
ウ 都道府県は、アの手続に準じて広域指針を変更することができるものとする。
3 広域指針に基づく指導等について
(1) 都道府県は、広域指針に基づき都道府県実施計画の作成及び既存の都道府県実施計画の見直しを行うとともに、必要な施設の整備、企業誘致活動等を行うものとする。
(2) 都道府県は、広域指針に基づき関係市町村に対し、市町村実施計画の作成及び既存の市町村実施計画の見直しを行うよう指導するとともに、必要な施設の整備、企業誘致活動等を行うよう指導するものとする。この場合において、既存の実施計画の見直しに当たつては、関係市町村と協議の上、見直しの時期、見直しの内容等処理方針を明らかにするものとする。
4 その他
(1) 都道府県は、対象地域における工業の導入を推進するため、対象地域における関係市町村の代表者で構成する協議会を開催するものとする。
(2) 都道府県は、対象地域の設定、広域指針の作成、広域指針に基づく指導等を円滑に推進するため、企画、農林水産、商工、労働、都市計画、土木、環境等の関係部課による総合的指導推進体制を整備するものとする。
第四 実施計画の策定又は変更について
実施計画の策定又は変更については、基本計画の内容に即するとともに、次官通達の記の第三の3によるほか、次の事項に留意の上別添参考様式例を参考として定めるものとする。
1 実施計画の策定について
新たに実施計画の策定については、既存の実施計画の推捗状況、地域住民の意向、産業関連施設の整備状況、農業の基礎条件の整備状況等を総合的に勘案し、原則として、工業の導入の可能性のあるものに限り行うものとする。
なお、実施計画の策定に当たつては、次の事項に留意するものとする。
(1) 国土利用計画、土地利用基本計画、都市計画、農業振興地域整備計画等の各般の土地利用計画との調整を図ること。
(2) 地域住民の就業の意向、農業経営の意向等について的確に把握し、農業生産の中核的担い手の確保、地域の就業構造の特性及び農業の構造改善の熟度等を勘案しつつ、適正な労働力需給の調整を図ること。
(3) 最近における通勤圏等の拡大にかんがみ、地域の自然的、社会的等諸条件を勘案し、広域的な観点に立つて計画すること。
(4) 都道府県から広域指針が示されている場合には、当該広域指針の内容に即して計画すること。
(5) 地域全体として過大計画を防止するとともに、計画的な工業の導入の推進を図るため、拠点的な都道府県の実施計画と小規模な市町村の実施計画との配置、規模等が調和のとれたものとなるよう配慮すること。
(6) 地域労働力の特質を十分把握した上で適切な業種の選定を行うとともに、成長性と安定性のある堅実な企業の導入を計画すること。
(7) 工業立地は、産業関連施設等の整備状況に影響されることが大きいことにかんがみ、幹線道路から工業導入地区への取付道路、河川等の排水施設のほか、住宅、厚生施設等生活基盤の整備等についても配慮し、計画すること。
(8) 公害の防止及び自然環境の保全に十分留意すること。特に、工業導入地区の面積が二〇ha以上の場合、その他導入業種及び地域の特性等から見て環境保全上特別の配慮を要する場合で必要があるときは、実施計画の策定に先立つて環境に
与える影響についての調査検討を行うこととし、その結果を踏まえて計画すること。
2 実施計画の変更について
実施計画は、国土利用計画、土地利用基本計画、都市計画、農業振興地域整備計画等の各般の土地利用計画との調整及び農地転用に関する所要の調整調議を了して定められていることにかんがみ、その変更については、当該地域における工場用地の採来の見通しを十分に検討し、慎重に行う必要がある。しかし、実施計画の策定後相当の期間を経過したにもかかわらず、既存の工業導入地区であつていまだ工業の導入が十分には行われていない地区については、広域的な観点に立つて、諸情勢の変化に対応して当該実施計画の見通しを行い、遅滞なく所要の変更を行うものとする。
また、広域指針が示されている場合には、当該広域指針の内容に即して、既存の実施計画の見通しを行い、遅滞なく所要の変更を行うものとする。
なお、実施計画の変更に当たつては、1の事項に留意するほか、次により行うものとする。
(1) 工業導入地区の拡大について
既存の実施計画に即して工業の導入が完了し、又は完了することが確実な場合で工場用地に不足を来す場合において当該実施計画の工業導入地区を拡大する場合においては、次により取り扱うものとする。
ア 既存の実施計画の工業導入地区の隣接地において工業導入地区を設定しようとするときは、当該実施計画の変更とする。
イ 隣接地以外の土地に工業導入地区を設定する場合で土地利用計画、相互間の距離、工業導入企業間の関連性等の観点からみて、既存の実施計画と密接な関連のある工業の導入をしようとするときは、当該実施計画の変更とする。
ウ 隣接地以外の土地に工業導入地区を設定する場合で、既存の実施計画と関連の少ない工業の導入をしようとするときは、新たな実施計画の策定とする。
(2) 工業導入地区の縮小又は取消しについて
実施計画の工業導入地区の縮小又は取消しをする場合においては、当該実施計画の変更として取り扱うものとし、変更に当たつては次の事項に留意するものとする。
なお、工業導入地区の縮小又は取消しに関連して他の土地に工業導入地区を設定しようとするときは、(1)に準じて取り扱うものとする。
ア 地域住民の意向を十分反映するとともに、縮小又は取消しに係る土地の地権者(実施計画策定時における土地の地権者を含む。)の利害関係を十分調査の上行うこと。
イ 優良農用地の確保の観点から縮小又は取消しに係る土地の形状等からみて農用地区域に含めることが相当であると認められるときは、農用地区域に編入すること。
ウ 縮小又は取消しに係る土地が、実施計画策定時において農地の転用(転用のための農地等の権利の取得を含む。)について「農村地域工業導入実施計画と農地転用許可との調整について」(昭和四七年四月一八日付け農地B第六七三号農林省農政局長、農地局長連名通達)によつて所要の調整を了しているものについては、実施計画の変更に先だつて、都道府県の関係部局間において、その適否について協議(上記通達により農地等の転用について都道府県知事と地方農政局長(北海道にあつては構造改善局長。以下同じ。)とが協議しているものである場合には、縮小又は取消し後の工業導入地区に含まれる農地等の面積にかかわらず地方農政局長に協議)し、所要の調整を行うものとする。
なお、この場合に縮小又は取消しに係る農地等について転用の許可を行つている場合には、その実施計画の変更につき「農地転用許可後の転用事業の促進等に関する事務処理について」(昭和五一年九月三〇日付け構改B第一九三九号構造改善局長通達)に十分留意して調整を行うものとする。
(3) 目標年度の延長について
実施計画の目標年度を延長しようとする場合においては、当該実施計画の変更として取り扱うものとし、その変更に当たつては、実施計画策定後の諸情勢の変更に対応して、当該実施計画を見直し、所要の変更を行うものとする。
したがつて、従来のように実施計画策定後の諸情勢の変化に対応して、実施計画の内容について変更を要するにもかかわらず、当該変更を行うことなく、単純に目標年度の延長を行うことのないように留意するものとする。
なお、目標年度の延長と併せて、工業導入地区を拡大又は縮小する場合は、(1)又は(2)に準じて取り扱うものとする。
(4) 目標年度を経過した実施計画の取扱いについて
工業の導入が完了していない既存の実施計画であつて、目標年度を経過したにもかかわらず、目標年度を延長しない場合は、都道府県知事は、当該実施計画の策定主体に対し、工業導入地区の縮小又は取消しのための実施計画の変更を行うよう指導するものとする。
3 連絡調整等について
(1) 都道府県知事は、都道府県が実施計画を策定又は変更しようとする場合及び市町村が策定又は変更しようとする実施計画について法第五条第七項の規定による協議に応じようとする場合には、あらかじめ地方農政局(北海道にあつては、農林水産省構造改善局)及び通商産業局並びに労働省職業安定局と十分連絡調整を行うとともに、必要に応じ、他の関係行政機関の地方支分部局と連絡調整を行うものとする。
(2) 既存の実施計画の変更は、当該実施計画の公表の日から一年間は原則として認めないものとする。
(3) 実施計画の変更内容は、変更個所について変更前と変更後が容易に比較対照できるように作成するものとする。
4 実施計画書の写しの送付について
法第五条第八項の規定に基づく実施計画書の写しの送付については、次によるものとする。
(1) 農林水産大臣に対しては、地方農政局長を経由して一七部(北海道にあつては、直接農林水産大臣に一五部)送付するものとし、地方農政局長は、農林水産大臣に一五部送付するものとする。
(2) 通商産業大臣に対しては、通商産業局長を経由して五部送付するものとし、通商産業局長は通商産業大臣に三部送付するものとする。
(3) 労働大臣に対しては、直接労働大臣に三部送付するものとする。
別添参考様式例①
別添参考様式例②
第五 その他
都道府県及び市町村における実施計画の樹立及び実施に関する推進体制の整備については、次官通達の記の第四の二に定められているところであるが、農村地域への工業の導入の一層の推進を図るためには、実施計画達成のための推進体制の強化及び推進方策の確立が重要であることにかんがみ、従来の推進体制の点検強化に努めるものとする。