添付一覧
○総合的雇用情報システムの実施並びに職業紹介業務及び産業雇用情報業務等の取扱いについて
(昭和六一年八月三〇日)
(職発第四九五号)
(各都道府県知事あて労働省職業安定局長通達)
労働省においては、かねてより「総合的雇用情報システム」(以下「システム」という。)の開催を進めてきたところであるが、今般、昭和六一年一〇月一日より、東京、茨城、埼玉、千葉、神奈川の一都四県の首都圏地域において当該システムを先行して実施することとした。
当該システムを公共職業安定所(以下「安定所」という。)の業務に導入する意義は、
① 安定所の職業紹介業務、雇用情報提供業務、調査統計業務等を効率化すること。
② 求職者に必要とする事業所の詳細な情報、労働市場の状況等をシステムに蓄積し、これを職業相談、職業紹介に活用することにより就職や求人の充足について専門的な相談や情報提供サービスを充実すること。
③ 求人・求職の結合可能性を広げるため求人連絡又は求人や求職者の探索等広域的サービスを充実すること。
④ 求職者や求人者にそれぞれ必要な個別の求人情報、求職情報の提供等きめ細かなサービスを充実すること。
⑤ 安定所利用者はもとより、広く地域社会に対して職業安定機関が蓄積した雇用や職業に係るデータをきめ細かに分析・加工して提供すること。
等により、安定所の需給調整機能を強化するとともに、利用者等に対するサービスの一層の充実を図ることにある。
したがつて、今後システムを導入する安定所は以上の点を十分踏まえた業務運営に努めなければならないものである。
ついては、下記により、当該関係業務の実施を図ることとしたので、システム実施地域の都県にあつては業務効果の向上、利用者サービスの充実に努めるよう、また、システム実施地域以外の道府県にあつては、システム実施地域との広域職業紹介業務の実施に当たつて、実施地域の業務実施方法に留意するとともに、当該システムの今後の導入に当たつて職員の理解を深め、諸々の準備業務に遺憾のないようご配慮をお願いする。
記
一 職業紹介業務の取扱いについて
(一) 一般職業紹介業務取扱要領の改正について
システム実施地域の都県については、昭和六一年三月六日付け職発第八五号「一般職業紹介業務取扱要領の改正について」により定めた「一般職業紹介業務取扱要領」(以下「八五号一般紹介要領」という。)を別添一(以下「四九五号一般紹介要領」という。)のとおり改正し、これに基づいて業務の実施を図ることとしたので、以下に留意し、的確かつ効果的な業務の運営に努めること。
イ 主要改正事項及び業務実施に当たつての留意事項
「四九五号一般紹介要領」における主要な改正事項及び当該要領に基づいて業務を実施するに当たつて業務効果の向上を図る上で留意すべき事項は別紙一のとおりであること。
ロ 当面の取扱いについて
システムの円滑かつ的確な実施を図るため「四九五号一般紹介要領」のうち、システムを活用して実施する業務については段階的な実施を図るものとし、昭和六一年一〇月一日より実施する業務は、各安定所単位で行う業務(他安定所と関連しない業務)に限るものとする。
したがつて、以下に示すシステムを活用した広域的業務等については当面実施しないものとし、当該業務の実施時期等については、一〇月一日より実施する業務の実施状況等を勘案し、おつて通達するものであること。
(当面実施しない業務)
① システムを活用した他安定所との広域職業紹介関係業務及び連絡業務
② システムを活用した統計業務及び当該統計に係る情報作成業務
③ その他
なお、「四九五号一般紹介要領」上当面実施しない業務を具体的に示すと別紙二のとおりとなるものであり、当該業務については、「八五号一般紹介要領」に基づいて当面実施するものであること。
おつて、システム実施地域の安定所間における広域職業紹介業務において、求人連絡を行う場合、システムに入力した求人にあつては求人票又は求人票の写をもつて行うものとすること。
(二) 障害者職業紹介業務の取扱いについて
システム実施地域の都県については、昭和六一年一月一六日付け職発第一八号「身体障害者等職業紹介業務取扱要領(職業安定行政手引四―四)の改定について」により定めた「身体障害者等職業紹介業務取扱要領」(以下「一八号障害者紹介要領」という。)第二章第一節から第四節までの規定にかかわらず昭和六一年一〇月一日より別添二「総合的雇用情報システム導入後における障害者職業紹介業務取扱要領」(以下「四九五号障害者紹介要領」という。)により業務を実施することとしたので、以下に留意し、的確かつ効果的な業務の運営に努めること。
イ 主要改定事項
「四九五号障害者紹介要領」は、「一八号障害者紹介要領」第二章第一節から第四節までに規定する取扱いについて改定を行つたものであり、主要改定事項は次のとおりであること。
① 求職登録関係業務については、システムを活用して行うこととし、その事務処理手順等を一部改めるとともに、求職登録票の様式等の改定を行つたこと。
② 職業指導、職業紹介についてシステムを活用して行うこととし、これら業務の実施方法及び業務実施上の留意点等を示したこと。
③ 重点安定所が行う求職情報の提供関係業務について、システムを活用して行うよう事務処理手順を一部改めるとともに、障害者を対象とする求人等の情報提供関係業務を重点安定所の業務として新たに加えたこと。
ロ 当面の取扱いについて
障害者関係の職業紹介業務についても上記(一)のロに準じた取扱いとするものであるが、障害者関係の職業紹介業務については、上記(一)のロに掲げるもののほか、求職登録関係業務の一部及び自安定所における求職情報一覧(援護対象者)処理についても当面実施しないものとすること。
なお、当面実施しない業務及び当該業務の取扱方法については別紙三のとおりであること。
(三) システム実施地域の安定所とシステム実施地域以外の安定所間における広域職業紹介業務の取扱いについて
システム実施地域の安定所とシステム実施地域以外の安定所との間における広域職業紹介業務については「八五号一般紹介要領」(障害者に係る業務については「一八号障害者紹介要領」)に基づいて実施するものとするが、使用する帳票類にあつては、システム実施地域の安定所からシステム実施地域以外の安定所に求人連絡、求職連絡を行う場合は、システム実施地域で使用する求人票若しくは当該求人票の写又は求職票の写(障害者については求職登録票の写)をもつてそれぞれ行うものとすること。
なお、システム実施当初にあつて、システムに入力しない求人(後記四の(二)参照)にあつては、連絡求人票(C票)により行うものとする。
また、連絡求人、連絡求職に対して紹介を行う場合、システム実施地域にあつては、当該地域で使用するシステム用の紹介状用紙を活用(手書き)して行うこと。
(四) 公共職業訓練施設の職業訓練終了予定者に係る職業紹介業務の取扱いについて
システム実施地域の都県における公共職業訓練施設の職業訓練終了予定者に係る職業紹介業務の取扱いについては「四九五号一般紹介要領」に基づいて行うものとするが、更に、別紙四に留意した取扱いを行うものとすること。
二 産業雇用情報業務の取扱いについて
(一) 産業雇用情報業務取扱要領の改正について
今後の安定所の労働力需給調整機能を強化するためには、職業紹介業務の充実、強化とともに、産業雇用情報業務の充実、強化をも図る必要があること、また、今後、システムの実施に伴い種々の雇用情報がシステムを活用して作成できるようになることから、今般、昭和五六年四月七日付け職発第一八九号「産業雇用情報業務の推進について」により定めた「産業雇用情報業務取扱要領」を昭和六一年一〇月一日より別添三のとおり改正するので以下に留意し、的確かつ効果的な業務の運営に努めること。
イ 主要改正事項及び業務実施に当たつての留意事項
当該要領における主要な改正事項及び当該要領に基づいて業務を実施するに当たつて業務効果の向上を図る上で留意すべき事項は以下のとおりであること。
(イ) 主要改正事項
① 産業雇用情報業務は安定所全体の業務として明確に位置づけ、産業雇用情報官と各部門との分担、連携の関係について整理したこと。
② 情報の作成、提供に係る意味、ねらいを明確にし、かつ整理したこと。
③ 上記観点から、「民間等労働市場の円滑な需給調整に資するため、広く地域社会への提供を必要とする情報」を情報提供業務の目的の一つとして明確に位置づけたこと。
④ システムを活用したデータの収集、情報の作成等について記載したこと。
(ロ) 業務実施に当たつての留意事項
① 業務の実施に当たつては、産業雇用情報官(産業雇用情報官が配置されていない安定所にあつては当該業務の総括担当者)及び各部門との業務の分担、連携方法を定める等安定所の業務実施体制を明確にして組織的に行うこと。
② データ・資料の収集、情報の作成・提供は、各安定所(管内)の実情に応じて弾力的かつ重点的に実施することとして差し支えないものであるが、この場合、安定所は職業紹介、雇用情報に係る専門機関たるべきことに留意し、当面、収集、整備するデータ・資料、提供する情報のうち事業所に係るデータ・資料の収集、整備については重点事項として加えること。
③ 情報は活用目的を明確にし、目的(ねらい)に応じた適切な内容となるよう留意すること。
ロ 当面の取扱いについて
システム実施地域以外の道府県にあつては、システム導入まではシステムを活用して実施する業務は実施しないものであり、また、システム実施地域の都県にあつても、前記一の(一)のロに示すとおり当面実施しないものであること。
三 システムに係る事務処理等の取扱いについて
システムを活用して実施する業務に係る事務処理の方法、端末装置の取扱方法等については別添四「総合的雇用情報システム事務処理要領」を定めたので、これに基づいて業務の効果的な実施を図ること。
四 システム実施地域における移行業務について
システム実施地域の都県にあつては、昭和六一年一〇月一日からシステムの実施に当たり以下の措置を行うこと。
(一) システムに入力する障害者関係以外の求職データ(求職票)の取扱いについて
システムへの障害者関係以外の求職データの入力は、昭和六一年四月一日以降受理した求職にあつては、昭和六一年一〇月一日以降有効なものについて行うものとし、昭和六一年三月三一日以前に受理した求職にあつては、昭和六一年一〇月一日以降有効なもののうち、緊要度等から判断して早期にシステムを活用したサービスが必要と判断されるものについては、システム用求職票への書き替えを行つておくこと。
(二) システムに入力する障害者関係の求職データの取扱い
① 昭和六一年一〇月一日以降求職申込みを行つた障害者については、「四九五号障害者紹介要領」に基づき、その都度当該要領に定める求職登録票で求職を受理し、システムに入力すること。
② システムには(1)のほか、昭和六一年九月三〇日以前に求職登録を行つた者が昭和六一年一〇月一日以降引き続き有効求職者として取り扱われる場合、昭和六一年九月三〇日以前に求職登録を行い就業中又は保留中となつている者が昭和六一年一〇月一日以降再求職申込みを行つて有効求職者となつた場合(システムに入力されていない場合に限る。)、システムに入力されていない求職登録者が昭和六一年一〇月一日以降において他の安定所から移管された場合についても求職データの入力を行うこととし、これらの場合における取扱いについては、「四九五号障害者紹介要領」第一の七及び昭和六一年三月二八日付け職発第一四七号「総合的雇用情報システムで使用する障害者求職登録票の取扱いについて」に基づき行うものとすること。
なお、昭和六一年九月三〇日以前に求職登録を行つた者が昭和六一年一〇月一日以降引き続き有効求職者として取り扱われる場合の求職データの入力に当たつては次に留意するものとすること。
イ 長期間職業相談が行われていない者等については、事前に呼出しによる職業相談又は書面等による近況調査を実施して求職意思等の再確認を行い、就業扱い、保留扱い又は求職登録の取消し扱いとすべき事実が判明した者については有効求職者から除外するとともに、引き続き有効求職者として取り扱うものについては最近の状況を整理した上でシステムに入力するよう留意すること。
ロ 求職データの入力期間は昭和六一年一〇月一日から昭和六一年一二月末日までとすること。ただし、有効求職者数が多い等特別の事情のある場合には、昭和六二年三月末日までに入力を行うこととして差し支えないものとすること。
(三) システムに入力する求人データの取扱いについて
システムへの求人データの入力は、昭和六一年一〇月一日より受理した求人について行うものとするが、各安定所の業務量等の実情及び求人者の了解のもとに必要に応じて昭和六一年九月中に受理した求人については、求人申込書及び現行求人票の二部をもつて求人を受理し、当該求人については、昭和六一年一〇月一日以降システムへの入力を行い、その切換えを行つても差し支えないものであること。
なお、システムに入力されない求人に係る紹介を行う場合、紹介状については、システム用の紹介状用紙を活用(手書き)して行うこと。
(四) 事業主等に対する周知について
システム実施に当たつては、特に事業主、事業主団体等に対して求人申込みの手続及びシステムを活用して安定所が行うサービスについて、次の方法を活用して事前の周知を積極的に行い、安定所利用の促進を図ること。
① 都県にあつては、道県の公報等を活用する。また、新聞発表等を行い、報道機関を活用すること。
② 各安定所にあつては、事業主向け情報(職安ニュース等)を活用する。また、事業主向け周知パンフレットについては、別途労働省で作成して各都県に配付するので、事業主、事業主団体等との各種会議、事業主訪問、雇用保険部門・職業紹介部門等安定所の窓口業務における事業主との接触機会等を通じて配付、周知すること。
五 その他
学生職業センター、人材銀行及び高年齢者職業相談室での取扱いに係る業務並びに季節関係業務については、システムを活用した統計的処理及び業務処理(システムへの入力)は当面行わないものであることに留意すること。
ただし、学生職業センターに求職申込みを行つた障害者については、「四九五号障害者紹介要領」に基づき、当該要領に定める障害者求職登録票により求職を受理し、システムに入力すること。
別紙1
別紙2
別紙3
別紙4