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○「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」の一部改正について

(平成15年8月25日)

(/基発第0825003号/職発第0825003号/能発第0825002号/雇児発第0825002号/)

(各都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長、厚生労働省職業安定局長、厚生労働省職業能力開発局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

(公印省略)

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号。以下「法」という。)第8条に基づく「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」(平成5年労働省告示第118号。以下「指針」という。)については、平成5年12月1日付け基発第663号、婦発第272号、職発第839号、能発第280号「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」(以下「基本通達」という。)及び平成11年2月26日付け基発第89号、女発第36号、職発第128号、能発第41号「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針の一部改正について」により通達したところであるが、本日、「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針の一部を改正する件」(平成15年厚生労働省告示第297号。別紙1。)によりその一部が改正され、平成15年10月1日から適用することとされたところである(以下、改正後の指針について、「改正指針」という。別紙2。)。

改正の趣旨、概要等は下記のとおりであるので、その円滑な実施を図られたい。

Ⅰ 改正の趣旨

平成15年3月18日の「労働政策審議会雇用均等分科会報告」において、短時間労働者の雇用管理の改善は、企業における関係労使が通常の労働者も含めた処遇のあり方について、従来の雇用慣行や制度の見直しに取り組むことや、さらには関連する法令の整備も含む社会制度の改革等とともに図られていくものであるとされ、通常の労働者とパートタイム労働者との間の公正な処遇を実現するための方策については、「パートタイム労働法をはじめ、労働関係・社会保障関係法制の整備が行われてきていることなども踏まえつつ、今後とも必要な法的整備が着実に行われてゆくべきであるが、当面は、通常の労働者との均衡を考慮した処遇の考え方を指針に示すことによって、その考え方の社会的な浸透・定着を図っていくことが必要である」と記述されたこと等を踏まえ、必要な改正を行ったものであること。

Ⅱ 改正の概要

1 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方を次のように追加すること(改正指針第2関係)。

事業主は、短時間労働者について、労働者保護法令を遵守するとともにその就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して処遇するべきであること。中でも、その職務が通常の労働者と同じ短時間労働者について、通常の労働者との均衡を考慮するに当たっては、事業主は、次の考え方を踏まえるべきであること。

(1) 人事異動の幅及び頻度、役割の変化、人材育成の在り方その他の労働者の人材活用の仕組み、運用等(人材活用の仕組み、運用等)について、通常の労働者と実質的に異ならない状態にある短時間労働者については、当該短時間労働者と通常の労働者との間の処遇の決定の方法を合わせる等の措置を講じた上で、当該短時間労働者の意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇することにより、通常の労働者との均衡の確保を図るように努めるものとすること。

(2) 人材活用の仕組み、運用等について、通常の労働者と異なる状態にある短時間労働者については、その程度を踏まえつつ、当該短時間労働者の意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡を図るように努めるものとすること。

2 事業主が講ずべき適切な措置として、以下の事項を追加すること(改正指針第3関係)。

(1) 通常の労働者への転換に関する条件の整備(改正指針第3の2の(7)関係)

事業主は、短時間労働者の通常の労働者への転換について、これを希望し、かつ、その能力を有する短時間労働者のニーズが自らのニーズに合致する場合において、当該事業所の実情に即して、これが可能となる制度の導入、必要な条件の整備等をするように努めるものとすること。

(2) 職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置の実施(改正指針第3の3関係)

事業主は、短時間労働者の職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置を講ずるように努めるものとすること。

(3) 労使の話合いの促進のための措置の実施(改正指針第3の5関係)

① 事業主は、短時間労働者を雇い入れた後、当該短時間労働者から当該短時間労働者の処遇について説明を求められたときは、その求めに応じて説明するように努めるものとすること。

② 事業主は、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっては、当該事業所における関係労使の十分な話合いの機会を提供する等短時間労働者の意見を聴く機会を設けるための適当な方法を工夫するように努めるものとすること。

③ 事業主は、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮した処遇について、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、当該事業所における苦情処理の仕組みを活用する等その自主的な解決を図るように努めるものとすること。

Ⅲ 改正箇所の解説

1 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方(改正指針第2関係)

(1) 前文

イ 改正前の指針第2「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置」の前文では、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働者保護法令は短時間労働者には適用されないのではないかといった誤った認識がいまだに一部にあることに着目し、事業主は、短時間労働者について、労働基準法等の労働者保護法令を遵守しなければならないことを確認的に明記するとともに、事業主は、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して労働条件を定めるべきことを併せて明記していたところである。

改正指針においては、この規定を「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方」に位置づけ、事業主は、すべての短時間労働者について、労働者保護法令を遵守するとともに、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して処遇するべきことを明記したものであること。

また、通常の労働者との均衡を考慮した処遇の考え方について具体的に示す観点から、中でも、「職務が通常の労働者と同じ短時間労働者」について、通常の労働者との均衡を考慮するに当たって踏まえるべき考え方を示すこととしたものであること。

ここでいう「処遇」とは、賃金等の労働条件、教育訓練、福利厚生等、法第3条第1項の「適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(雇用管理の改善等)」に係る事業主による具体的な取扱いを指すものであること。

ロ 指針改正に伴い、改正前の指針第2に既に規定されており、改正指針第3において同様に規定されることとなる雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法についても、短時間労働者には適用されないのではないかといった誤った認識がいまだに一部にあることから確認的に明記するため、その法令名を労働者保護法令の例示として追加したものであること。

ハ 「職務が通常の労働者と同じ短時間労働者」の判断に当たっては、まず、「職務」の範囲を比較すること。その場合、通常従事する作業が同じかどうかについて、個々の作業の幅や組合せについて比較することとすること。したがって、臨時的ないし付随的な作業(例えば、作業後の清掃)の有無に違いがあっても、同じ「職務」として考えることが適切であること。ただし、作業の幅や組合せが大きく異なる場合、例えば、通常の労働者が短時間労働者の行う作業に加えて生産計画の策定、顧客対応等も行うような場合などは、「職務」そのものが異なると考えられること。

個々の作業を比較する際には、作業の遂行に当たって求められている責任や付与されている権限の範囲についても考慮することとなること。責任が同じかどうかは、トラブル発生時や臨時・緊急時の対応、ノルマ等が同じように職務上の責任として含まれているかどうかを判断することとなること。

また、当該作業を遂行するために必要な最低限の能力や当該作業を実施する上での難易度、複雑度などの職務レベルや労働の負荷(肉体的・精神的負担等)についても、「職務」が「同じ」かどうかの判断基準となること。

法第2条中「同種の業務」とは、職種(労働省編職業分類の細分類)の区分等であり、個々の作業の責任や権限などの要素を含めて判断する「職務」よりは広いものであること。

なお、「職務」が同じであるかどうかの判断が困難な場合においては、各企業の実態を踏まえ、現場の労使において具体的に検討されることが適切であること。

(2) 改正指針第2の1及び2関係

イ 趣旨

職務が通常の労働者と同じ短時間労働者のうち、人材活用の仕組みや運用等について、通常の労働者と実質的に異ならない状態にある者については、通常の労働者との間の処遇の決定の方法を合わせる等の措置を講じた上で、意欲、能力、経験、成果等に応じて処遇することにより、通常の労働者との均衡の確保を図るよう努めるものとしたものであること。

また、職務が通常の労働者と同じ短時間労働者のうち、人材活用の仕組みや運用等が通常の労働者と異なる状態にあるものについては、その程度を踏まえつつ、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡を図るように努めるものとしたものであること。

ロ 「人材活用の仕組み、運用等」の判断

(イ) 「人材活用の仕組み、運用等」が実質的に異ならない状態にあるかどうかを判断するに当たっては、人事異動の幅及び頻度、役割の変化、人材育成の在り方等、労働者が時間的経過の中で、どのような職務経験を積む仕組みが設定されているかをみるとともに、実際に運用されている実態をみることとするものであること。

「人事異動」については、複数の事業所がある場合などでは転勤が含まれる場合があるが、同じ事業所内の異動や職種間の異動も含まれ、その範囲を「幅」として比べるものであり、「頻度」についても、単に回数を比べるものではなく、「幅」とも関連してみる必要があること。

「役割の変化」では、職務に課された責任・権限の重さの変化をみていくこととなること。

「人材育成の在り方」では、労働者が時間的経過の中で、労働者にどのような職務経験を積ませていく仕組みを有しているかということについて、制度化または慣行化され客観的に把握できるものによってみていくこととなること。

これらを例示として、総合的に勘案して「人材活用の仕組み、運用等」を判断していくこととなるが、「仕組み」とは、これが制度として設けられていること、「運用」とは、「仕組み」(制度)が実際に運営されていることを指すものであり、これらをともに判断していくこととなること。単に労働時間が短いということだけでは、「人材活用の仕組み、運用等」が異なることにはならないこと。なお、「運用等」の「等」は、「仕組み」がない場合でも、実態として行われている場合を指すものであること。

「通常の労働者と異ならない状態にある」とは、「人材活用の仕組み、運用等」が通常の労働者と差異が明らかでなく同様の実態にあると判断される場合を指しているものであること。

(ロ) 「人材活用の仕組み、運用等について、通常の労働者と実質的に異ならない状態にある」かどうかの判断が困難な場合においては、各企業の実態を踏まえ、現場の労使において具体的に検討されることが適切であること。

(ハ) 短時間労働者と職務が同じ通常の労働者がいる場合、職務が同じ通常の労働者に関する「人材活用の仕組み、運用等」について、当該短時間労働者の「人材活用の仕組み、運用等」と同じかどうかを判断することになること。比較の対象となりうる同じ職務を行う通常の労働者の「人材活用の仕組み、運用等」の状態が複数ある場合には、その中に当該短時間労働者の「人材活用の仕組み、運用等」と実質的に異ならない状態にあるものがあるかどうかについて検討することになること。

(ニ) 育児又は家族介護などの家族的責任を有する労働者については、その事情を配慮した結果として、その労働者の異動の幅、頻度が少ないことがあるが、「人材活用の仕組み、運用等」を比較するに当たって、そのような事情を考慮することが望まれること。考慮の仕方としては、例えば、通常の労働者や短時間労働者で、異動があり得る労働契約が締結されている者や異動があり得る人材活用の仕組みに位置づけられている者が、育児又は家族介護に関する一定の事由(短時間労働者についても通常の労働者と同じ範囲)で配慮がなされ、その配慮によって異なる取扱いを受けた場合、「人材活用の仕組み、運用等」を比較するに際しては、その取扱いについては除いて比較することが考えられること。

ハ 改正指針第2の1における措置等

(イ) 「処遇の決定の方法を合わせる」とは、賃金等の処遇の決定の方法を同じにすることであり、例えば、賃金については、通常の労働者と短時間労働者で同じ体系の賃金表を適用すること、支給基準、査定や考課の基準、支払形態等を合わせていくことが考えられること。

なお、「処遇の決定の方法」が同じであっても、査定や業績評価等を行うに当たり、意欲、能力、経験、成果等を勘案することにより、個々の労働者の賃金水準は異なり得ること。

「合わせる等」の「等」とは、事業所の実情に応じて、処遇の決定の方法を合わせることに相当するような取組が考えられること。

(ロ) 「短時間労働者の意欲、能力、経験、成果等に応じ」とは、処遇に係る措置を実施する際の判断要素について、一般に、通常の労働者についても判断要素とされているものについて例示として挙げているものであること。これらの要素について、どの要素に基づいて判断するかは各企業の実情に応じて決められるべきものであるが、単に主観に基づくものではなく、総合的かつ客観的な判断がなされるべきものであること。

また、改正指針第3の5の(1)において、事業主は、短時間労働者から本人に係る処遇について説明を求められたときは、その求めに応じて説明するように努めるものとすることとされており、短時間労働者の処遇が意欲等を含めた総合的な評価の結果である場合も、評価の要素・基準等について客観的な説明ができることが求められるものであること。

ニ 改正指針第2の2における措置等

(イ) 「その程度を踏まえつつ」とは、「人材活用の仕組み、運用等」が「通常の労働者と異なる状態にある短時間労働者」について、一律に異なるものとして取扱うのではなく、「異なる状態」の程度を踏まえつつ「意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置等を講ずる」ことにより、「通常の労働者との均衡を図るように努めるものとする」旨明らかにしたものであること。

(ロ) 「意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置」の例としては、意欲、能力、経験、成果等を踏まえた、①賃金水準の見直し、②昇給・昇格制度や成績等の考課制度の整備、③職務手当、役職手当、成果手当の支給等が考えられること。この場合において、「意欲、能力、経験、成果」の判断の行い方については、上記ハ(ロ)と同様であること。

なお、「成果等」の「等」としては、例えば、勤続、業績が考えられること。また、「措置等」の「等」は、事業所の実情に応じて、多様な取組が考えられること。

2 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置(改正指針第3関係)

(1) 前文

改正指針第2において、「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方」が規定されたことに伴い、改正指針第3で規定された各措置について、第2の基本的考え方に立って適切になされるよう「第2の基本的考え方に立って、特に、次の点について適切な措置を講ずるべき」と規定したこと。

(2) 通常の労働者への転換に関する条件の整備(改正指針第3の2の(7)関係)

短時間労働者から通常の労働者への転換については、短時間労働者の意欲を高め、能力発揮に資するものと考えられ、また、企業にとっては有能な人材を確保する有効策になると考えられることから、事業主は、短時間労働者の通常の労働者への転換について、これを希望し、かつ、その能力を有する短時間労働者のニーズが自らのニーズに合致する場合において、当該事業所の実情に即して、これが可能となる制度の導入、必要な条件の整備等をするように努めるものとする規定を新たに設けたものであること。

「必要な条件の整備等」には、転換制度を設けることの他、転換制度以外の転換に関する条件の整備が含まれるが、その例としては、①能力・経験に応じて職務ランクを設け、一定のランク以上は通常の労働者とするような制度を導入すること、②通常の労働者への転換に向けた教育訓練・能力開発を行うこと、③通常の労働者への転換に関する情報提供を行うこと等が考えられること。

(3) 職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置の実施(改正指針第3の3関係)

短時間労働者について、能力発揮、意欲・モラール向上等の観点も踏まえて処遇をしていくことは重要であり、このため、事業主は、短時間労働者の賃金を単一の時給とするのではなく、短時間労働者の職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇に係る措置を講ずるように努めるものとする規定を新たに設けたものであること。

本規定は、他の改正指針第3の措置にみられるように、すべての短時間労働者に及ぶものであるが、職務が通常の労働者と同じ短時間労働者については、改正指針第2の1及び2の考え方を踏まえることとなるので、実質的には職務が通常の労働者と異なる短時間労働者に関するものとなること。

どのような措置を講ずるかは、短時間労働者の職務内容等、個々の事業所の事情に応じて決められることになること。

措置の例等については、1(2)ニ(ロ)と同様であること。

(4) 労使の話合いの促進のための措置の実施(改正指針第3の5関係)

企業内における労使の自主的な取組を促進する観点から、労使の話合いの促進のための措置の実施に係る規定を新たに設けたものであること。

イ 事業主は、短時間労働者を雇い入れた後、当該短時間労働者から本人の処遇について説明を求められたときには、誠意をもって求められた内容について説明するように努めるものとしたものであること。なお、雇入れ時については、改正指針第3の1の(1)「労働条件の明示」に規定されているものであること。

「説明」に当たっては、短時間労働者と通常の労働者の職務の内容、人材活用の仕組み、運用等との関係についても「説明」をするなどにより納得性を高めることが重要であること。また、短時間労働者が処遇についての「説明」を求めたことを理由として、当該短時間労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないことは当然のことであること(改正指針第3の5の(1)関係)。

ロ 事業主は、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっては、当該事業所における関係労使の十分な話合いの機会を提供する等短時間労働者の意見を聴く機会を設けるための適当な方法を工夫するように努めるものとしたものであること。

「関係労使」とは、集団的労使関係に限定されるものではないこと。

また、「意見を聴く機会を設けるための適当な方法」は事業所の事情に応じ、各事業所において工夫されるべきものであるが、例として、職場での労使協議、職場懇談会、意見聴取、アンケート等が挙げられること(改正指針第3の5の(2)関係)。

ハ 事業主は、短時間労働者の就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮した処遇について、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、当該事業所における苦情処理の仕組みを活用する等その自主的な解決を図るように努めるものとしたものであること。

「苦情処理の仕組みを活用する等」とは、事業所内の苦情処理制度を活用すること、人事担当者が窓口となって対応すること、あるいは短時間雇用管理者が選任されている事業所においては、これを活用することも考えられること。

このような苦情処理の仕組み等について、短時間労働者に対し、周知を図ることが望まれること(改正指針第3の5の(3)関係)。

(5) その他

指針の改正に当たり、「処遇」を法第3条第1項の「適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(雇用管理の改善等)」に係る事業主に係る具体的な取扱いとして位置づけたことに伴い、改正指針第3の4「所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱い」において、「労働条件その他の処遇」とする等、指針の改正による所要の整備を行ったこと。

Ⅳ 指針の周知及び啓発について

基本通達記の14の(1)及び平成15年2月3日付け基発第0203003号、職発第0203006号、雇児発第0203001号「パートタイム労働旬間の廃止及びそれに伴うパートタイム労働に係る啓発について」を踏まえ、都道府県労働局においては、(財)21世紀職業財団と連携を図りつつ、雇用均等室が中心となり、労働基準監督署及び公共職業安定所とも密接に連携を図り、集団指導、各種セミナー、説明会、事業所訪問、個別の相談等の機会の活用により、事業主等に対する周知及び啓発を行うこと。また、指針に定める事項の指導等を分担する各機関においては、それぞれ連携を図ることはもとより、それぞれの分担に応じ、同様に事業主等に対する周知及び啓発を図ることとすること。

なお、短時間労働者の雇用管理の改善を進めるためには、労働者自身が法及び指針についても正しい知識を持つことが重要であることから、雇用均等室を中心として、地方公共団体・労働組合等の協力を得ての周知及び啓発等、労働者に対する啓発が図られるよう工夫すること。

Ⅴ その他

改正指針の適用に伴い、基本通達の記の8(2)ハを次のように改める。

ハ 削除

記の8(2)ヘ中「処遇や労働条件等」を「労働条件その他の処遇」に改め、記の14(5)を次のように改める。

(5) 指針(法第8条)

指針に定める事項についての指導等は、次のとおり行うものであること。

(イ) 第2の1又は2に係る判断については、雇用均等・児童家庭局が事案の内容に応じ関係局と協議して決定するものであること。

(ロ) 第3の1については、適正な労働条件の確保は労働基準局が、雇用管理の改善は職業安定局が、妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置は雇用均等・児童家庭局が行うものであること。

(ハ) 第3の2のうち(2)及び(4)から(6)までは職業安定局が、(1)は職業能力開発局が、(3)は雇用均等・児童家庭局が、それぞれ行うものであること。

(ニ) 第3の2の(7)及び第3の3については、短時間労働者の福祉の増進の観点から、雇用均等・児童家庭局が、適正な労働条件の確保に係るものについては労働基準局、雇用管理の改善に係るものについては職業安定局と協議しながら、行うものであること。

(ホ) 第3の4については、都道府県労働局が窓口となって対応するが、重要であると認められるか否かの判定及び指導等の具体的内容については、雇用均等・児童家庭局が事案の内容に応じ関係局と協議して決定するものであること。

(ヘ) 第3の5及び第3の6については、雇用均等・児童家庭局が行うものであること。