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○電離放射線障害防止規則第56条に規定する健康診断における被ばく歴の有無の調査の調査・評価項目及び健康診断の項目の省略等の可否について

(平成13年6月22日)

(基発第568号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令(平成13年厚生労働省令第42号)により改正された電離放射線障害防止規則(以下「改正電離則」という。)については、平成13年3月30日付け基発第253号「労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行等について」により、その運用を指示したところであるが、同通達中の記の第3の23の(9)により別途に示すこととしていた改正電離則第56条第1項第1号に規定する「被ばく歴の有無の調査及びその評価」の調査・評価項目及び同条第2項から第4項までに規定する健康診断の項目の省略等の可否の判断については、下記に示す事項に留意し、関係者への周知徹底を図るとともに、その適切な運用に遺漏なきを期されたい。

第1 改正電離則第56条第1項第1号に規定する被ばく歴の有無の調査及びその評価に係る調査・評価項目について

1 「その他放射線による被ばくに関する事項」について

改正電離則第56条第1項第1号に規定する被ばく歴の有無の調査において事業者が被ばく歴を有する者について調査及びその評価を行わなければならない項目については、作業の場所、内容及び期間、放射線障害の有無、自覚症状の有無その他放射線による被ばくに関する事項とされたが、そのうち「その他放射線による被ばくに関する事項」は、次の事項とすること。

(1) 前回の健康診断までに受けた累積の実効線量

(2) 前回の健康診断から今回の健康診断までに受けた実効線量並びに眼及び皮膚の等価線量

2 必要に応じ調査を実施し、その評価を行うことが適当である事項について

改正電離則第56条第1項第1号の評価に当たっては、同号において調査しなければならないとされている事項に加え、必要に応じ、次の事項について調査を実施し、当該調査結果を踏まえ評価を行うことが適当であること。

(1) 雇入れ時又は放射線業務に配置替えの際の健康診断

ア 放射線業務以外の有害業務歴(業務内容、時期及び期間)

イ 喫煙習慣の有無及び1日の本数

ウ 既往歴の有無

エ 現在治療中の病気及び服用している薬の有無及びその内容

オ アレルギー等の有無及びその内容

(2) 定期の健康診断

ア 事業者より聴取すべき事項

(ア) 健康診断を受ける労働者が作業を行っている作業場所の線量当量率

(イ) 放射線測定器の装着状況(不均等被ばくの有無及びそれに対する対応状況)

イ 労働者より聴取すべき事項

(ア) 放射線業務における電離放射線の種類

(イ) 保護具の種類及び着用状況

(ウ) 放射線業務以外の有害業務歴(業務内容、時期及び期間。ただし(1)アから変更がない場合は除く。)

(エ) 喫煙の習慣の有無及び1日の本数

(オ) 既往歴の有無

(カ) 現在治療中の病気及び服用している薬の有無及びその内容

(キ) 前回の健康診断後に発症したアレルギー等の有無及びその内容

第2 改正電離則第56条第2項から第4項までに規定する健康診断の項目の省略等の可否について

1 改正電離則第56条第2項に規定する健康診断の項目の省略について

次の(1)から(6)に示す業務については、第56条第2項の規定により健康診断の項目を省略することは適当でないこと。

(1) 原子炉(臨界実験装置を含む。)施設における原子炉の運転及び原子炉周辺設備の保守点検の業務(中性子線にさらされるおそれのないことが明らかな区域での業務を除く。)

(2) 次のような加速器を取り扱う業務(中性子線にさらされるおそれのないことが明らかな区域での業務を除く。)

ア 最大出力が6MeVを超える直線加速器

イ サイクロトロン、シンクロトロン及びシンクロサイクロトロン

ウ 陽子線、重陽子線その他の重荷電粒子線を発生させる加速器

エ その他中性子線が発生するおそれのある加速器

(3) 中性子線を発生させる次の放射性物質を取り扱う業務(中性子線にさらされるおそれのないことが明らかな区域での業務を除く。)

ア 252Cf

イ 226Ra-Be及び241Am-Be

(4) 核燃料物質(U、Pu及びTh)を取り扱う業務(核分裂を伴うおそれがないことが明らかな業務及び中性子線にさらされるおそれのないことが明らかな区域での業務を除く。)

(5) 核融合実験装置を取り扱う業務(核融合を伴うおそれがないことが明らかな業務及び中性子線にさらされるおそれのないことが明らかな区域での業務を除く。)

(6) エックス線装置又はガンマ線照射装置を使用する業務であって、露出した利用線錐に近づかざるを得ないような場合、長時間の透視又は撮影の作業を行う場合において照射中に受像器の後ろに待避せざるを得ない場合等、装置の仕様又は作業方法からみて当該業務に従事する労働者が眼に大量のエックス線又はガンマ線を受けるおそれのある業務

2 改正電離則第56条第3項に規定する健康診断の項目の省略について

次の各検査項目ごとに掲げる者については、第56条第3項の規定により、当該検査項目を省略することは適当でないこと。

(1) 白血球百分率

ア 白血球百分率が生理的範囲外である者

イ 業務上、1年間に250mSv以上の実効線量を受けたことのある者

ウ 業務上、1年間に100mSv以上の実効線量を受けて5年間程度の期間を経過していない者

エ 自他覚症状から白血球百分率に何らかの所見が認められることが疑われる者

オ 前回の健康診断において、白血球百分率に異常所見が認められた者

カ 業務内容からみて、大量の実効線量を受けていることが疑われる者

(2) 白血球数

ア 白血球数が生理的範囲外である者

イ 業務上、1年間に250mSv以上の実効線量を受けたことのある者

ウ 業務上、1年間に100mSv以上の実効線量を受けて5年間程度の期間を経過していない者

エ 自他覚症状から白血球数に何らかの所見が認められることが疑われる者

オ 前回の健康診断において、白血球数に異常所見が認められた者

カ 業務内容からみて、大量の実効線量を受けていることが疑われる者

(3) 赤血球数

ア 赤血球数が生理的範囲外である者

イ 業務上、1年間に250mSv以上の実効線量を受けたことのある者

ウ 業務上、1年間に100mSv以上の実効線量を受けて5年間程度の期間を経過していない者

エ 自他覚症状から赤血球数に何らかの所見が認められることが疑われる者

オ 前回の健康診断において、赤血球数に異常所見が認められた者

カ 業務内容からみて、大量の実効線量を受けていることが疑われる者

(4) 血色素量又はヘマトクリット値

ア 血色素量又はヘマトクリット値が生理的範囲外である者

イ 業務上、1年間に250mSv以上の実効線量を受けたことのある者

ウ 業務上、1年間に100mSv以上の実効線量を受けて5年間程度の期間を経過していない者

エ 自他覚症状から血色素量又はヘマトクリット値に何らかの所見が認められることが疑われる者

オ 前回の健康診断において、血色素量又はヘマトクリット値に異常所見が認められた者

カ 業務内容からみて、大量の実効線量を受けていることが疑われる者

(5) 眼

ア 業務上、眼に大量の放射線を受けたことがある者

イ 白内障を疑わせる自他覚症状のある者

ウ 前回の健康診断において異常所見が認められた者

エ 業務内容からみて、眼に大量の放射線を受けていることが疑われる者

オ 健康診断を行おうとする日の属する年の前年1年間に眼の水晶体に受けた等価線量が20mSvを超えており、かつ、当該健康診断を行おうとする日の属する1年間に眼の水晶体に受ける等価線量が20mSvを超えるおそれのある者

(6) 皮膚

ア 業務上、皮膚に大量の放射線を受けたことがある者

イ 皮膚疾患を疑わせる自他覚症状のある者

ウ 前回の健康診断において異常所見が認められた者

エ 業務内容からみて、皮膚に大量の放射線を受けていることが疑われる者

オ 前回の健康診断において、皮膚に外傷、熱傷、潰瘍等、放射性物質が体内に浸透しやすく、又は放射性物質により汚染されやすい疾患があると認められた者(非密封の放射性物質を取り扱う業務に従事する者に限る。)

(7) 各検査項目について、特に実施を希望する者

3 改正電離則第56条第4項に規定する健康診断の項目の省略等について

次の各検査項目ごとに掲げる者については、第56条第4項の規定にかかわらず当該検査項目を実施することが望ましいこと。

(1) 白血球百分率

ア 業務上、1年間に250mSv以上の実効線量を受けたことのある者

イ 業務上、1年間に100mSv以上の実効線量を受けて5年間程度の期間を経過していない者

ウ 自他覚症状から白血球百分率に何らかの所見が認められることが疑われる者

エ 前回の健康診断において、白血球百分率に異常所見が認められた者

オ 業務内容からみて、大量の実効線量を受けて、白血球百分率に異常所見が認められることが疑われる者

(2) 白血球数

ア 業務上、1年間に250mSv以上の実効線量を受けたことのある者

イ 業務上、1年間に100mSv以上の実効線量を受けて5年間程度の期間を経過していない者

ウ 自他覚症状から白血球数に何らかの所見が認められることが疑われる者

エ 前回の健康診断において、白血球数に異常所見が認められた者

オ 業務内容からみて、大量の実効線量を受けて、白血球数に異常所見が認められることが疑われる者

(3) 赤血球数

ア 業務上、1年間に250mSv以上の実効線量を受けたことのある者

イ 業務上、1年間に100mSv以上の実効線量を受けて5年間程度の期間を経過していない者

ウ 自他覚症状から赤血球数に何らかの所見が認められることが疑われる者

エ 前回の健康診断において、赤血球数に異常所見が認められた者

オ 業務内容からみて、大量の実効線量を受けて、赤血球数に異常所見が認められることが疑われる者

(4) 血色素量又はヘマトクリット値

ア 業務上、1年間に250mSv以上の実効線量を受けたことのある者

イ 業務上、1年間に100mSv以上の実効線量を受けて5年間程度の期間を経過していない者

ウ 自他覚症状から血色素量又はヘマトクリット値に何らかの所見が認められることが疑われる者

エ 前回の健康診断において、血色素量又はヘマトクリット値に異常所見が認められた者

オ 業務内容からみて、大量の実効線量を受けて、血色素量又はヘマトクリット値に異常所見が認められることが疑われる者

(5) 眼

ア 業務上、眼に大量の放射線を受けたことがある者

イ 白内障を疑わせる自他覚症状が前回の健康診断後初めて発生した者

ウ 業務内容からみて、眼に大量の放射線を受けて、白内障が認められることが疑われる者

(6) 皮膚

ア 業務上、皮膚に大量の放射線を受けたことがある者

イ 皮膚疾患を疑わせる自他覚症状のある者

ウ 前回の健康診断において異常所見が認められた者

エ 業務内容からみて、皮膚に大量の放射線を受け、皮膚疾患が認められることが疑われる者

オ 前回の健康診断において、皮膚に外傷、熱傷、潰瘍等の疾患が認められ、かつ、業務内容から見て、放射性物質が体内に浸透し、又は放射性物質により汚染されたことが疑われる者(非密封の放射性物質を取り扱う業務に従事する者に限る。)

(7) 各検査項目について、特に実施を希望する者