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○平成八年度勤労青少年福祉行政の運営について
(平成八年三月二九日)
(労発第四二号の二各都道府県知事あて労働省労政局長通達)
標記について、別添のとおり定めましたので、都道府県婦人少年室等関係行政機関との協力、連携を図りつつ、平成八年度の重点施策及び事業計画に示す事業内容を参酌の上、諸事業の実施及び市町村に対する指導等、勤労青少年福祉行政の円滑かつ効果的な推進について、特段の配慮をお願いいたします。
平成八年度勤労青少年福祉行政の運営について
第1 勤労青少年福祉行政を取り巻く情勢と課題
我が国経済社会は、戦後二番目の景気の長期後退を経験し、一部に回復に向けた動きが広がってきているものの依然雇用情勢は厳しい状況にある。また、技術革新、国際化、急速な少子・高齢化の進展等内外の諸情勢の変化により大きな構造的変革が求められているが先行きが不透明になっている。
一五~二四歳の労働力人口は、平成七年は八八六万人、うち雇用者は八〇一万人となっているが、完全失業率は、他の年齢層に比べ高まっており、新規学卒者の採用抑制など青少年に厳しい雇用状況になっている。その一方で転職率は他のどの年齢階級よりも高くなっている。
また、情報通信の高度化、OA・FA化の進展あるいは、雇用慣行の変化等により職場における人間関係が希薄化し、就業形態も多様化するなど勤労青少年の職業生活に変化が生じている。
こうした中で、青少年の職業観、自由時間の過ごし方、価値観などが個性豊かに一層多様化してきており、仕事より仕事以外のことに生きがいをもっている青少年が多い一方、自分の能力を発揮するために働く者が増える等自己実現意欲が高まっている。
さらに、少子・高齢社会へ移行する中で、経済社会の活力と発展を担う勤労青少年への期待が一層高まる一方で、世代間の相互理解を深めるため世代間交流の必要性が強まっている。
一方、グローバリゼーションの進展に伴い、次代を担う勤労青少年については、広い視野と国際感覚を培うことが期待される。
平成八年度は第六次勤労青少年福祉対策基本方針の初年度にあたるが、勤労青少年福祉行政の基本的方向としては、以上の経済社会の構造的変化、先行き不透明な中で、多様化する勤労青少年に対する社会の期待の変化を踏まえ、次の五点に重点をおいて行政運営を進めるものとする。
① 多様化する勤労青少年の個々人の可能性を尊重し、勤労青少年が職業の選択を始め、職業生活等の様々な場面で自主的に自分の物差しで選択し、選択結果についても自己責任をもてるように配慮しつつ、必要な情報を提供し、環境を整備する等支援すること。
② これからの産業社会の発展のためには、柔軟かつ高度の人材の育成とともに、産業の発展を担う優れた技能の維持・継承・発展が必要である。そのため、多様な勤労青少年の企画力、創造性、可能性を尊重し、自主的に伸ばそうとする努力に対する支援に努めること。
③ 職場以外にも地域、国際社会等様々な分野に社会の一員として参加し、貢献することが可能となるように支援すること。
④ 企業への帰属意識、職場における人間関係等が希薄化する中で、勤労青少年の悩みを受けとめ、心のふれあいを図る等交流・相談等の機会、場の確保に努めること。
⑤ 勤労青少年福祉対策をより効果的に推進するために、勤労青少年福祉行政機関を始めとする関係機関が連携を強化し、それぞれの機能を一層発揮すること。
第2 勤労青少年福祉行政実施事項
1 勤労青少年福祉の増進に関する気運の高揚
「勤労青少年の日」を中心として、勤労青少年、事業主等国民各層に対して広報啓発活動を実施することにより、勤労青少年福祉に関する気運の高揚及び勤労青少年自身の意欲の向上を図るものとする。
(1) 「勤労青少年の標語」の活用
平成八年の「勤労青少年の標語」は、「感動 創造 スーパートライ!」と決定された。
この標語は、勤労青少年が、主体的、積極的に自己を確立し、その個性を大切にして、可能性や創造性を伸ばすとともに、個人と社会とのバランスを考慮し、社会の一員としての役割を果たすことが期待されることから、こうした勤労青少年への大いなる期待を正面から捉え、感動が若者を動かし、それが若者の創造性や可能性を培い、若者の果敢な行動(スーパートライ)を促すというドラマ性を持たせたものとし、二一世紀へはばたく若者の行動力、機動力を願って定めたものである。
また、勤労青少年のこれらの行動、取組みに対して、事業主その他の関係者が、積極的な支援を行うことを併せて期待するものであり、年間を通じてあらゆる機会を捉えてこの標語を活用し、勤労青少年福祉の増進のための諸事業及び広報啓発活動を効果的に展開することとする。
(2) 「勤労青少年の日」を中心とした諸事業の実施
「勤労青少年の日」(本年度は七月二〇日(土))を中心として、この日の趣旨の広報に努めるほか、記念大会、スポーツ大会等の趣旨にふさわしい諸事業を積極的に展開することとする。中央では、社団法人日本勤労青少年団体協議会主催による「勤労青少年の日・中央大会」が開催されるほか、その一環として、「勤労青少年フォーラム」を、全国から幅広く選出した勤労青少年の参加を得て開催することとする。
2 職業生活の充実
勤労青少年の職業生活をより一層充実したものとするため、次により自律的な職業選択が可能となるような環境の整備、職業に必要な能力の開発、自己啓発のための機会の付与、適正な労働条件等の整備充実等に努めるものとする。
(1) 自律的な職業選択の援助及び職業相談体制の整備
勤労青少年が充実した職業生活を送るには、自分の能力・適性を発揮できる一生の仕事を求めて自主的に試行錯誤している勤労青少年も含め、青少年の適切な職業選択が可能となるような十分な情報提供体制の整備を行うとともに、企業の雇用管理の改善を図ることが重要である。
このため、職業安定機関において、学校等と協力し、新規学校卒業者が、職業講話、職場見学などの実施を含めた計画的な職業指導を行うこととされている。また、青少年が自律的な職業選択ができるよう学生職業センター等における情報提供、職業相談・指導の拡充を図ることとする。
更に、就職後においても、学校、保護者、事業主、勤労青少年指導者その他関係者との連携を図り、高卒移転就職者等を中心とした継続的な相談・指導等の実施に努めることとするとともに、職業ガイダンスセンター等勤労青少年に対する専門的カウンセリングのための施設及び勤労青少年の福祉施設の活用を図り、自律的な職業選択のための相談に一層努めることとされている。
これらのことに留意し、勤労青少年福祉推進者及び勤労青少年福祉員に対し、企業及び中小企業団体等において、勤労青少年の職業に関する種々の相談をきめ細かく行うほか、新規採用者に対する職業ガイダンスの実施等を積極的に行うように、適切な指導に努めることとする。
(2) 職業能力開発の促進
勤労青少年の職業能力開発については、職業に必要な基礎的能力を習得できるよう、適切な能力開発の機会を確保するとともに、経済社会の変化に的確かつ柔軟に対応できる高度な能力を持った人材を育成する必要がある。このため、公共職業能力開発施設、都道府県職業能力開発協会等において、職業能力開発に関するデータベースも活用して、事業主等に対する情報提供、相談援助に努めるとともに、事業主等の行う認定職業訓練に対する助成等を行うことにより、基礎的な職業訓練その他事業主等が行う勤労青少年に対する職業訓練の振興を図ることとする。
さらに、建設業、製造業を中心に技能労働者の確保・育成の必要性が高まっていることから、後継者となるべき若年技能者の確保・育成を図るため、公共職業能力開発施設において地域の勤労青少年の多様なニーズに対応した職業能力開発の機会を提供する一方、初級技能労働者がより受験しやすいよう技能検定の拡充を図るとともに、技能が尊重される社会の実現に向け、若年者を対象とした技能五輪全国大会の開催等や広報啓発を積極的に行い、技能尊重気運の醸成を図ることとする。
(3) 自発的な自己啓発の促進
職業能力開発に関する情報提供、相談援助、企業における有給教育訓練休暇の普及促進等を通じて勤労青少年の主体的な能力開発への取組の促進に努めることとする。
勤労青少年ホームにおいては、新規就職者等を対象とした講座、勤労青少年が将来の生活設計を行う上で必要な一般的知識習得のための講座及びパソコンや英会話等の勤労青少年のニーズに対応し、かつ、職場等で役立つ内容の講習等を講座として拡充・整備することにより、勤労青少年の自己啓発の促進に努めることとする。
これらのことに留意し、勤労青少年の自発的な自己啓発を促進するため、勤労青少年福祉推進者及び勤労青少年福祉員が、事業主及び勤労青少年に対し、自己啓発についての助言等の活動を積極的に行うよう適切な指導に努めることとする。
(4) 労働条件等の整備充実
ゆとりある勤労者生活の実現に向けて、平成九年四月からの全面的な週四〇時間労働制への円滑な移行のための総合的な対策の積極的推進等、労働時間短縮に向けた各種施策の推進が図られているところであるが、勤労青少年の福祉の増進を図る上からも、労働基準行政と適宜連携をとり、労働時間短縮に努めることとする。
また、勤労青少年は技能と経験に乏しく、安全と健康の確保について特別の配慮が求められることから、雇入れ時における安全衛生教育の充実等安全衛生対策について、労働基準行政と適宜連携をとり、事業主等に対する周知啓発に努めることとする。
年少労働者の保護については、引き続き、中学校及び高等学校生徒のアルバイト就業を中心に、深夜業の禁止等法定労働条件が遵守されるよう、必要に応じて労働基準監督機関と連携をとりつつ、学校等関係機関と協力して事業主に対する啓発指導を行うこととする。
更に、働きながら定時制・通信制高等学校等で学ぶ青少年、職業訓練を受けている青少年を雇用している事業主に対し、その教育等を受けるために必要な時間確保の配慮についての指導に努めることとする。
3 自由時間活動の充実
自由時間は心身ともに豊かな勤労者生活を送るために重要であり、今後自由時間は労働時間の短縮に伴い増大するとみられる。勤労青少年の自由時間の過ごし方は多様化が進んでおり、自主的にボランティア活動等社会に参加し貢献することをはじめとし、健全で有意義な自由時間活動の促進及び勤労青少年相互の交流、地域の実情に応じて、世代間交流、地域交流等の一層の促進を図るため、次の施策を推進することとする。
(1) ボランティア活動等の促進
勤労青少年のボランティア活動等への自覚や意欲を促し、その自主的参加への気運を醸成するため、「勤労青少年の日」に係る諸行事等あらゆる機会を捉えて、ボランティア活動等の推進に努めることとする。
ア 勤労青少年ホームにおけるボランティア活動の促進
勤労青少年ホームにおける「ボランティア体験講習会」、「ボランティアリーダー養成講座」の開催により、ボランティアリーダーの養成、ボランティアクラブ活動の一層の促進に努めることとする。
イ 企業、事業主団体等に対する啓発
近年企業等の社会に対する貢献の一環として、企業、事業主団体等の中には、社員等のボランティア活動等を奨励し、援助する例もみられているので、地域における代表的な企業、事業主団体等に対して勤労青少年指導者の連絡会議、各種講習会等の機会を捉えて、勤労青少年のボランティア活動等についての積極的な参加、これらの活動に対する企業からの援助等について、啓発に努めることとする。
また、地域社会や職場で勤労青少年のボランティア活動等の意義や実情についてを理解を深め、勤労青少年の参加が容易かつ可能となるよう、広報啓発活動に努める。
(2) 世代間交流の推進
ア 全国勤労者ふるさと交流会の効率化
次代を担う勤労青少年と現代の日本経済を中心となって支えている中高年勤労者とが、ふるさとを基盤としてスポーツを楽しみ、相互の連帯と交流を深めることにより、心身のリフレッシュを図り、活力と創造性に満ちた豊かな勤労者生活の実現に寄与することを目的として平成元年度から開催している全国勤労者ふるさと交流会を、本年度は全国八箇所において開催することとする。
なお、本年度は、この事業の効率的なあり方について検討することとする。
イ 勤労青少年ホームを拠点とした世代間交流の促進
勤労青少年ホームは、単に講座を受講するためだけの場ではなく、人と人との接触を通じて、交流を深め、連帯感や社会性を養う場でもある。そのため、勤労青少年ホームの利用者について、弾力的な運用を図ることにより、勤労青少年ホームを拠点とした世代間交流のより一層の促進に努める。
(3) 勤労青少年ホームを拠点とした広範かつ広域的な自由時間活動の促進
国、都道府県、勤労青少年ホーム等において、勤労青少年スポーツ交流会をはじめ各種のスポーツ、文化・教養事業を実施することとする。特に、働きながら学ぶ青少年等自由時間が十分に確保できない勤労青少年については、事業主等に対して自由時間の確保及びその活用の必要性を啓発するとともに、スポーツ・レクリエーション大会等広域的な自由時間活動へ参加しやすい環境を提供するよう配慮を促すものとする。
(4) 企業及び事業主団体等における自由時間活動相談支援体制の整備
企業及び事業主団体等において、自由時間活動を支援する活動の一環として、自由時間に関する情報提供、相談支援等の取り組みが積極的に行われるよう、啓発に努めるとともに、「勤労青少年余暇活動研究会」において、自由時間活動の一層の充実に資する調査研究を行うこととする。
(5) 勤労青少年健全育成のための正しいエイズ知識の啓発活動の実施
エイズ問題が勤労青少年にとって身近になっていることから、前年度に引き続き、国の「エイズ問題総合対策大綱」に基づき、勤労青少年層に対し、「正しいエイズ知識」の啓発活動を展開する。
4 国際交流の促進
勤労者が若い時期に広い視野と豊かな国際感覚を培うことにより、相互理解を深め、国際化時代にふさわしい職業人、社会人として成育することが重要な課題となっている。
このため、勤労青少年の国際交流の重要性について、広く労使をはじめ社会一般の認識を深め、勤労青少年の積極的参加を促す等、国際交流促進のための環境整備に努めることとする。
以上の観点に立ち、次の施策を推進することとする。
(1) ワーキング・ホリデー制度の円滑な推進
我が国とオーストラリア、ニュージーランド及びカナダの三か国との間で実施されているワーキング・ホリデー制度利用者の利便に供するため、社団法人日本ワーキング・ホリデー協会のきめ細かな相談・サービス機能の充実など、実施体制の一層の強化を図り、本制度の円滑な推進を図ることとする。
本制度の一層の普及に努めるため、一一月の「ワーキング・ホリデー制度啓発強化月間」を中心として、集中的に啓発活動を展開する。
また、本制度を利用している来日外国人青少年に対しては、勤労青少年ホーム等を中心に交流活動の充実を図り、相互理解の一層の促進を図ることとする。
さらに、労使及び有識者により構成する研究会を設け、勤労青少年が本制度を利用しやすい環境整備を図ることについて検討する。
(2) その他の国際交流の一層の促進と環境の整備
ア 二一世紀のための友情計画等
前年度に引き続き、アジア・太平洋諸国及びアフリカ諸国との友好関係及び相互理解を深めるために、勤労青少年団体の協力により、国際協力事業団が主体となって行う「二一世紀のための友情計画」により来日する勤労青年等の受入れ及び我が国の勤労青少年との交流について引き続き協力するものとする。
また、発展途上国に対する技術援助等を行うための青年海外協力隊、「世界青年の船」等各種交流事業への勤労青少年の現職参加についても、広くその周知を図ることとする。
イ 在日外国人勤労青少年との国際交流事業の促進
「勤労青少年の日」に係る諸行事をはじめ、全国勤労者ふるさと交流会、地域における勤労青少年ホームの事業等、国及び地方公共団体の事業について、在日外国人勤労青少年の参加を促す等あらゆる機会を捉えて、勤労青少年の国際交流の促進に努めることとする。
ウ 国際交流のための環境整備の促進
勤労青少年の国際交流の成果は、単に勤労青少年個人にとどまらず、企業にとっても、勤労青少年の自主性・創造性、発想の柔軟性を伸ばすとともに、国際感覚に優れた人材の育成に資するものであるので、国際交流の意義及び必要性について、企業の理解を一層深めるための啓発指導を行うとともに、各種国際交流事業への勤労青少年の現職参加を容易にするための休暇等の配慮を促し、国際的視野を持った職業人を育成するための啓発活動を行うこととする。
また、国際交流に係る各種事業の実施状況、企業の取組み状況等に関する資料、情報等の収集に努め、勤労青少年の国際交流の機会拡大のための環境整備に資することとする。
5 勤労青少年ホームの整備と機能の強化
勤労青少年ホームは、働く若者が、気兼ねなく立ち寄り、憩う場であるとともに、様々な悩みについて相談・指導を受けたり、また、クラブ活動、社会参加活動等に積極的に参加することにより、働く若者や地域社会と交流する場を提供する地域に密着した勤労青少年福祉事業の拠点となる労働福祉施設である。そこで、この機能をより発揮するため次の施策を実施することとする。
(1) 相談指導機能の強化
多様化・複雑化する勤労青少年の悩みに適切に応え得る相談指導の充実及び地域における勤労青少年福祉推進活動との有機的な連携を図るため、勤労青少年ホームと勤労青少年指導者、事業主等との間において、各種相談、指導、情報提供等に関する情報交換を積極的に行い勤労青少年ホームの相談指導機能の強化を図ることとする。
なお、勤労青少年ホームにおいて相談指導等を実施するに当たっては、職に就いていない青少年等も対象とする等の柔軟な対応についての配慮を促すこととする。
また、勤労青少年の職業生活を巡るストレスの増加等に伴う相談等(メンタルヘルスを含む。)に対応するため、昨年に引き続き、勤労青少年相談指導事業「ハート・ナビゲーション」を実施し、五箇所の勤労青少年ホーム等に、社団法人日本産業カウンセラー協会の登録会員である産業カウンセラーを派遣する。
(2) 各種講座等の育成及び振興等
個性と可能性を自主的に伸ばそうとする青少年の努力を支援するため、資格取得のための各種講座の拡充、クラブ活動等の育成及び振興、これらへの勤労青少年の積極的な参加の奨励を図るとともに、これらについて利用者による自主的な企画・運営の促進に努めることとする。また、地域住民との交流を深めるため、地域住民が勤労青少年ホームを利用できるような配慮をする等勤労青少年ホームの弾力的運営に努めることとする。
さらに、勤労青少年ホームの行事への地域住民の参加や地域の行事への勤労青少年ホーム利用者の参加等を促進し、勤労青少年ホーム間の広域的な連携による統一的なイベントの企画・実行等勤労青少年の社会参加の機会の拡大に向けて啓発に努めることとする。
(3) 特別施設の増設・改造等
勤労青少年ホームの新設又は増設・改造に当たっては、勤労青少年のニーズの高度化・多様化や地域特性に対応するため、大型勤労青少年ホームの設置、または多目的ホールの増設、若しくは社会参加活動のための施設、語学研修施設、トレーニングルーム、防音室等特別の施設の増設・改造を促進するものとする。
(4) 勤労青少年ホームの整備・方策の検討
勤労青少年のニーズに沿うような新しい機能・設備を備えた勤労青少年ホームのあり方について検討を行うこととする。
6 勤労青少年指導者養成等の充実及び指導体制の改善
今後、勤労青少年が充実した職業生活を送るとともに、心豊かな自由時間を過ごすためには、自律的な職業選択及び自由時間活動等についての相談の必要性が一層増大してきていることから、次の施策を実施することとする。
(1) 勤労青少年指導者の養成研修等の体系化の促進
ア 勤労青少年指導者実務能力向上研修の円滑な実施
勤労青少年指導者で選任時の研修を経て、一定期間以上の実務経験を経た者に対して必要な専門的知識及び能力を付与するため、勤労青少年指導者実務能力向上研修を、本年度は、東北、北関東・新潟、南関東・甲信、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州の九ブロックで、社団法人全国勤労青少年ホーム協議会に委託して実施することとする。
イ 勤労青少年指導者大学講座の実施
勤労青少年及びその指導者を指導するための高度な能力を持った専門的指導者を養成するため、本年度も「勤労青少年指導者大学講座」(一年コース)を財団法人勤労者福祉振興財団に委託し、実施することとする。
また、勤労青少年指導者の特定の専門分野における指導能力の一層の向上を図るため、勤労青少年指導者等を対象として、前記の「勤労青少年指導者大学講座」において特定のテーマについて短期集中公開講座を開催することとする。
ウ 勤労青少年ホーム館長・指導員相談事例研修会の開催等
勤労青少年ホームの弾力的な管理運営、勤労青少年ホームを拠点とした社会参加活動の促進等をテーマとして、ブロック別に「勤労青少年ホーム館長・指導員相談事例研修会」を社団法人全国勤労青少年ホーム協議会に委託して開催し、関係職員の計画的な参加を勧奨することとする。
(2) 勤労青少年指導者の選任時における講習の実施等
ア 勤労青少年福祉推進者及び勤労青少年福祉員に対する講習等
勤労青少年福祉推進者講習及び勤労青少年福祉員会議・講習会等の適切、かつ、効率的な実施、勤労青少年福祉推進者の選任状況の把握、未選任事業場に対する選任の指導等に努めることとする。
イ 勤労青少年ホーム指導員に対する講習等
勤労青少年ホームにおいて、指導員になろうとする者に対して、「勤労青少年ホーム指導員資格講習会」を実施することとし、本講習会の受講を、勤労青少年ホームの設置及び運営の主体に対して勧奨するとともに、この講習を受講しない者が指導員として選任されている場合には、同様に受講勧奨することとする。
さらに、勤労青少年ホームにおける指導体制の整備を図るため、勤労青少年ホーム指導員の適正配置、特に勤労青少年指導者大学講座の修了者等専門的な資質を有する者の配置に努めることとする。
(3) 勤労青少年指導者の活動の支援及び相互の連携の強化
勤労青少年福祉推進者連絡協議会及び勤労青少年福祉員連絡協議会の設置及び自主的な運営の促進を図ることとする。また、勤労青少年福祉推進者、勤労青少年福祉員及び勤労青少年ホーム館長・指導員相互の連携を図ることとする。
このため、勤労青少年指導者会議の効果的な開催に努めるとともに、日常的な活動においても勤労青少年指導者相互の理解及び協力関係を深めるものとする。
本年度の「勤労青少年福祉シンポジウム」においては、勤労青少年の雇用・就業形態の多様化、意識の変化等を踏まえ、勤労青少年指導者が勤労青少年に対する支援を行うことについて多角的に討論を行い、勤労青少年指導者の活動の参考に供することとする。
また、このシンポジウムの場において、勤労青少年福祉の向上のために特に功績が顕著である者に対して、「勤労青少年福祉功労者労働大臣表彰」を実施することとする。
(4) 事業主、管理監督者等のための勤労青少年福祉に関する研究会の開催等の促進
勤労青少年の有為な職業人としての成長を図るためには、企業の経営トップをはじめとする管理監督者が、勤労青少年福祉について理解を深めるとともに、適切な指導能力を備えて、勤労青少年に対する指導に当たることが重要であることから、全国的な勤労青少年団体等における自主的な勤労青少年福祉に関する研究会等の開催を促進するとともに、社団法人日本産業カウンセラー協会に委託してこれらの経営トップ、管理監督者を対象としたカウンセリングマインドの涵養のための指導マニュアル及び事例集を作成することとする。
7 勤労青少年福祉に関する実態調査の実施
勤労青少年福祉に関する実態調査を実施することとする。
8 関係機関、団体等の連携の強化
前記1から7までに掲げた勤労青少年福祉の増進に関する各種施策を具体的に展開していくために、パソコン通信等の活用を含め、情報化時代に即応したネットワークの構築について検討する等、国、地方公共団体、勤労青少年団体、事業主団体等の相互の連携を一層強化することとする。
勤労青少年福祉事業の推進に当たり、勤労青少年団体が果たす役割は大きく、また、時宜に即応した諸事業を円滑に展開する上でも重要であることからも、勤労青少年団体の基盤の充実のために、今後一層の指導及び援助に努めることとする。