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○「勤労青少年ホームの設置及び運営についての望ましい基準」の運用について
(昭和六二年一月二八日)
(基発第三六号)
(各都道府県知事あて労働省労働基準局長通達)
勤労青少年福祉法第一五条第三項の規定に基づく「勤労青少年ホームの設置及び運営についての望ましい基準」(昭和四八年労働省告示第三六号。以下「告示」という。)は、勤労青少年ホームを設置し又は運営するに当たつての指針を定めたものである。
告示の運用については、昭和四八年六月一日付け婦発第一七七号(「勤労青少年ホームの設置及び運営についての望ましい基準」の取扱について)をもつて実施してきたところであるが、会館等公共施設に係る臨時行政調査会の答申及び臨時行政改革推進審議会の意見並びに勤労青少年福祉の多様化等の現状を考慮し、勤労青少年ホームの機能の充実並びにその効率的な設置及び運営を図るため、新たに左記により告示の適切な運用を図ることとした。
ついては、貴管内において勤労青少年ホームを設置・運営し又は設置・運営しようとする地方公共団体に対し、この基準の周知徹底を図るとともに、その設置及び運営に関して、左記事項に十分留意のうえ、適切な指導を行われるよう特段のご配慮をお願いする。
なお、「勤労青少年ホームの設置及び運営についての望ましい基準」の取扱について(昭和四八年六月一日付け婦発第一七七号)は、廃止する。
記
1 告示制定の趣旨について
告示は、勤労青少年ホームが、勤労青少年福祉法第一五条第二項に定める目的の下に、勤労青少年の福祉の増進を図る公共的労働福祉施設として、十分にその機能を発揮できるようにするための望ましい基準を示したものである。
現在、告示の水準を下回る勤労青少年ホームについては、その設置又は運営を行う者は、告示の水準に到達するために必要な措置を講ずるように努め、また、今後勤労青少年ホームを設置し又は運営する者は、告示に沿つた設置及び運営を行うように配慮すべきものである。
2 設置について
勤労青少年ホームを、告示第二条各号の場所に設置するに当たつては、特に次の事項に留意されたい。
(1) 勤労青少年が勤労青少年ホームを利用する時間は、夜間が多いことにかんがみ、夜間における交通の利便、安全等を考慮すること。
(2) 勤労青少年ホームの設置地は、環境衛生、風紀等の観点から、勤労青少年の健全な余暇活動にふさわしい場所を選定するよう配慮すること。
(3) 勤労青少年ホームは、主として中小企業に働く青少年の多い地域に設置するよう配慮すること。
(4) 勤労青少年ホームの設置に当たつては、公共の労働福祉施設(たとえば、勤労者福祉会館、勤労者体育施設)、社会教育施設(たとえば、青年の家、公民館)等の設置状況、設置計画等を勘案して、勤労青少年ホームの機能とそれら施設の機能との重複を避け、あるいは相互の補完を考慮し、勤労青少年ホームがその機能を十分に発揮できるような場所に設置するよう配慮されたい。
このため、必要に応じ、勤労青少年ホームの事業が効果的に行われると考えられる場合には、複合施設としての設置や広域的見地からの均衡のとれた設置について配慮されたい。
3 事業について
告示第三条により勤労青少年ホームが行う事業の内容は、次のとおりである。
(1) 「レクリエーション等について場と機会を提供し、並びに必要な助言及び指導を行うこと」(同条第一号)とは、趣味、教養、スポーツ、談話等を求める勤労青少年に対し、その施設及び設備を利用に供するとともに、ガイダンスあるいは各種スポーツについての技術的指導等必要な助言及び指導を行うことをいうものである。
(2) 「クラブ活動について場と機会を提供し、並びに必要な助言及び指導を行うこと」(同条第二号)とは、親睦、趣味、教養、ボランテア、スポーツ等各種の勤労青少年の自主的なクラブ活動のために、その施設及び設備を勤労青少年の利用に供するとともに、グループづくりやクラブ活動への参加の助言、運営面における指導等必要な助言及び指導を行うことをいうものである。
(3) 「教養の向上のための講習会、研修会等を行うこと」(同条第二号)とは、勤労青少年に教養や知識を身につけさせるための料理、茶道、華道、絵画その他の講習会及び研修会、講演会、座談会、映画・演劇・音楽会等を主催することをいうものである。
(4) 「勤労青少年ホーム相互間における勤労青少年の交流について必要な助言、指導その他の援助を行うこと」(同条第四号)とは、勤労青少年ホーム間で行われる勤労青少年の交流を促進するために、勤労青少年友情旅行やスポーツ、レクリエーション交流会等を実施するとともに必要な助言、指導その他の援助を行うことをいうものである。
(5) 「勤労青少年の各種の相談に応ずること」(同条第五号)とは、勤労青少年の生活相談、職業相談その他の相談に応ずることをいうものである。
(6) 「前各号に掲げるもののほか、勤労青少年の福祉を増進するために必要な事業を行うこと」(同条第六号)とは、上記に掲げるもののほか、事業主団体等の行う勤労青少年のための激励会、研修会及び生活設計懇談会等について便宜を供与するとともに必要な助言、指導その他の援助を行うことをいうものである。
4 名称について
勤労青少年ホームの名称中には、「〇〇市勤労青少年ホーム」等のように、勤労青少年ホームの文字を用いるものとする。
ただし、愛称を活用することは、差し支えない。
5 建物について
(1) 勤労青少年ホームの建物の主要構造部については、鉄骨造り又は鉄骨鉄筋若しくは鉄筋コンクリート造りとするように配慮されたい。
(2) 勤労青少年ホームの面積については、少なくとも六〇〇m2を下回らないものとし、勤労青少年ホームの事業の効果的運営が行えるように配慮して定められたい。
6 施設及び設備について
告示第六条に掲げる施設及び設備の種類は、次のとおりである。
(1) 施設
ホール、講習室、図書室又は図書コーナー、音楽室、集会室、娯楽談話室、料理実習室、相談室又は相談コーナー、軽運動室、浴室又はシャワー設備等の施設
ただし、勤労青少年ホームの事業が効果的に行われると考えられる場合については、施設の一部を設けないとして差し支えないものとする。
(2) 設備
スポーツのための設備、料理、茶道、華道、絵画等の実習、講習等のための設備、楽器、映写器、図書その他の資料、机、椅子等の設備
7 利用者について
(1) 告示第七条第一項に基づく勤労青少年ホームを利用し得る勤労青少年は、雇用されている勤労青少年のほか、職業訓練を受けている青少年、家内労働者である青少年、求職中である青少年を含むものである。
なお、勤労青少年の利用に支障のない限り、勤労青少年ホームの施設及び設備を勤労青少年以外の者に利用させることができ、特に家族従業者又は自営業者である青少年については、勤労青少年に準じて利用させて差し支えない。
(2) 勤労青少年ホームの利用者は、通常、勤労青少年ホームの設置されている地方公共団体の区域内に居住し、又は勤務する勤労青少年であるが、それ以外の区域に居住し、又は勤務する勤労青少年についても、その利用について特段の配慮をすることとされたい。
なお、船員職業安定法第六条第一項に規定する船員である青少年についても勤務の特殊性を考慮し、同様に取り扱われたい。
(3) 告示第七条第二項に基づき、勤労青少年が勤労青少年ホームを利用するに当たつての登録その他の利用手続については、「勤労青少年ホームの手続について」(昭和五四年二月一日労発第二号)により取り扱われたい。
(4) 勤労青少年ホームは、勤労青少年の利用に支障がない限り、勤労青少年以外の者に利用させて差し支えないものであるが、その場合における利用手続については、前掲「勤労青少年ホームの手続について」により取り扱われたい。
8 職員について
(1) 告示第八条第一項に基づき、勤労青少年ホームに置かれる館長については、勤労青少年ホームの運営を円滑に行うことができる場合には、地方公共団体の実情に応じ、併任又は兼務であつても差し支えないものとする。
(2) 勤労青少年ホームに置かれる勤労青少年ホーム指導員については、これを専任とする。
ただし、複数の勤労青少年ホーム指導員を配置する場合には、専任の勤労青少年ホーム指導員は一人でも差し支えないものとする。
また、勤労青少年ホーム指導員の身分については、嘱託等であつても差し支えない。
(3) 勤労青少年ホーム指導員の数については、勤労青少年ホームの規模、利用者数、勤労青少年の欲求等に応じて、その数を定めるものとする。
(4) 館長及び勤労青少年ホーム指導員については、国又は地方公共団体の行う研修等に積極的に参加し、自ら進んで研さんに努めるとともに、地方公共団体等にあつては、そのような研修等に積極的参加ができるように配慮されたい。
9 運営委員会について
運営委員会の構成、人員等については、運営委員会が円滑に運営できるように地方公共団体の実情に応じ定めるものとする。
10 施設の管理、運営について
(1) 勤労青少年ホームは、原則として、地方公共団体が管理、運営するものとする。
なお、法人等に委託する場合には、設置目的に反しない範囲で、地方公共団体の責任において、これを行うものとする。
(2) 勤労青少年ホームは、勤労青少年のための公共の労働福祉施設であり、その設置の趣旨に反する利用に供してはならない。
11 他の福祉施設等との連絡、協力等
(1) 告示第十一条第一項により、密接に連絡し、協力を得べき施設には、勤労者体育施設、勤労者福祉会館等の労働福祉施設及び青年の家、公民館等の社会教育施設であり、そのほか事業内余暇施設を含むものである。また、勤労青少年の相互交流の拠点として勤労青少年フレンドシップセンター及び全国勤労青少年会館を十分活用し、勤労青少年ホームの活動を幅広く展開するように配慮されたい。
(2) 勤労青少年ホームは、勤労青少年福祉推進者、勤労青少年福祉員その他勤労青少年の育成指導に当たる者に対し、その活動のための場と機会を提供する等、地域における勤労青少年福祉事業の拠点的役割をも果たすように配慮されたい。
12 その他
(1) 勤労青少年ホームに対する協力態勢の整備
勤労青少年ホームの運営の充実を期するため、必要に応じ、事業主等関係者による協力態勢を整備するように配慮されたい。
(2) 勤労青少年ホーム相互の連絡協力
勤労青少年ホームの機能の充実と、効果的な運営を促進するため、全国の勤労青少年ホームが相互に密接に連絡し、協力するように配慮されたい。