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○事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針の一部改正について

(平成一一年二月二六日)

(基発第八九号、女発第三六号、職発第一二八号、能発第四一号)

(各都道府県労働基準局長、各都道府県女性少年室長、各都道府県知事あて労働省労働基準局長、労働省女性局長、労働省職業安定局長、労働省職業能力開発局長通達)

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七六号。以下「法」という。)第八条に基づく「事業主が構ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」(平成五年労働省告示第一一八号。以下「指針」という。)については、平成五年一二月一日付け基発第六六三号、婦発第二七二号、職発第八三九号、能発第二八〇号「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」(以下「基本通達」という。)により通達したところであるが、本日、「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針の一部を改正する件」(平成一一年労働省告示第六号。以下「改正指針」という。別紙。)によりその一部が改正され、平成一一年四月一日から適用することとされたところである。

改正の趣旨、概要等は下記のとおりであるので、その円滑な実施を図られたい。

I 改正の趣旨

平成一〇年二月二〇日の女性少年問題審議会建議において指針の所要の見直しについて指摘がなされたこと、労働基準法の一部を改正する法律(平成一〇年法律第一一二号。以下「改正法」という。)が公布されたこと等を踏まえ、必要な改正を行ったものであること。

Ⅱ 改正の概要

一 短時間労働者の適正な労働条件の確保関係

(一) 労働条件の明示(改正指針第二の一の(一)関係)

イ 改正法による改正後の労働基準法(昭和二二年法律第四九号)第一五条及び労働基準法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備に関する省令(平成一〇年労働省令第四五号)による改正後の労働基準法施行規則(昭和二二年厚生省令第二三号)第五条の規定を踏まえ、事業主は、短時間労働者に係る労働契約の締結に際し、当該労働者に対して、同法の定めるところにより、労働条件に関する事項を明らかにした文書を交付する必要があることを明らかにしたものであること(改正指針第二の一の(一)のイ関係)。

ロ 改正法による改正後の法第六条の規定を踏まえ、指針第二の一の(一)の規定について所要の整備を行うとともに、法第六条の規定に基づき「雇入通知書」により事業主が明示するように努めるべき労働条件に関する事項のうち主要なものについて具体的に示したこと(改正指針第二の一の(一)のロ関係)。

なお、精勤手当、勤続手当、奨励加金又は能率手当であって改正指針第二の一の(一)のロの(ロ)において定める以外のものについては、同イの(ニ)に掲げる「賃金」に含まれることに留意すること。

ハ 改正指針第二の一の(一)のイ及びロの文書については、そのモデル様式を平成一一年二月一九日付け基発第八一号の別添四(労働条件通知書)により示しているところであるが、これは「雇入通知書」の様式も兼ねるものであること。

(二) 就業規則の整備(改正指針第二の一の(二)関係)

法第七条所定の就業規則作成の手続の適正を図る観点から、指針の第二の一の(二)の規定を次のとおり改正したこと。

① 事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成する場合等において、当該事業所に短時間労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、当該労働組合がない場合においては短時間労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)の意見を聴くように努めるものとしたこと(改正指針第二の一の(二)のロ関係)。

② 過半数代表者の要件について具体的に定めたこと(改正指針第二の一の(二)のハ関係)。

③ 事業主は、労働者が過半数代表者であること等を理由として不利益な取扱いをしないようにするものとしたこと(改正指針第二の一の(二)のニ関係)。

(三) 労働時間(改正指針第二の一の(三)関係)

上記の(一)のイ及びロの改正に伴い、指針第二の一の(三)のハを削除したものであること。

(四) 年次有給休暇(改正指針第二の一の(四)及び別表関係)

短時間労働者に係る年次有給休暇に関する取扱いの一層の明確化を図るため、事業主が、短時間労働者に対し、労働基準法に定めるところにより付与すべき年次有給休暇の日数について、別表をもって示したこと。

(五) 期間の定めのある労働契約(改正指針第二の一の(五)関係)

改正法による改正後の労働基準法第一四条の規定を踏まえ、所要の整備を行ったこと。

(六) 解雇の予告(改正指針第二の一の(六)関係)

事業主が、短時間労働者を解雇しようとするときは、労働基準法の定めるところにより、少なくとも三〇日前にその予告をするものとする等の規定を新たに追加したこと。

(七) 退職時の証明(改正指針第二の一の(七)関係)

改正法による改正後の労働基準法第二二条の規定を踏まえ、事業主は、短時間労働者が、退職の場合において、退職の事由等について証明書を請求した場合においては、労働基準法の定めるところにより、遅滞なくこれを交付するものとする規定を新たに追加したこと。

(八) 健康診断(改正指針第二の一の(九)関係)

短時間労働者に係る労働安全衛生法(昭和四七年法律第五七号)上の健康診断に関する取扱いの一層の明確化を図るため、事業主が、短時間労働者に対し、労働安全衛生法の定めるところにより実施すべき健康診断及びその実施時期等について具体的に示したこと。

(九) 妊娠中及び出産後における措置(改正指針第二の一の(一〇)関係)

妊娠中及び出産後一年以内の短時間労働者に対し、事業主は、労働基準法及び雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四七年法律第一一三号。以下「男女雇用機会均等法」という。)の定めるところにより、産前及び産後の一定期間就業させないこと、健康診査等を受けるために必要な時間の確保及び健康診査等に基づく医師等の指導事項を守ることができるようにするために必要な措置等を講ずるものとする規定を新たに設けたこと。

なお、改正指針第二の一の(一〇)のハの措置としては、労働基準法第六四条の三に定める危険有害業務の就業制限、同法第六五条第三項に定める軽易業務転換、同法第六六条に定める時間外労働、休日労働及び深夜業の禁止並びに変形労働時間制の適用制限、同法第六七条に基づく育児時間等があること。

二 短時間労働者の教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善関係

(一) 育児休業及び介護休業に関する制度等(改正指針第二の二の(三)関係)

短時間労働者に係る育児休業及び介護休業に関する制度等に関する取扱いの一層の明確化を図るため、事業主が、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七六号。以下「育児・介護休業法」という。)の定めるところにより講ずべき措置の種類、当該措置の対象となる短時間労働者の範囲について示したこと。

なお、次の点に留意すること。

① 育児・介護休業法第六条第一項及び第二項並びに第一二条第二項の規定により、雇用期間が一年に満たない労働者等であって労使協定で育児休業及び介護休業をすることができないものとして定められたものについては、改正指針第二の二の(一)のイの措置の対象とはならないこと。

また、育児・介護休業法第二条の規定により、期間を定めて雇用される者は育児休業及び介護休業の適用対象となる労働者から除外されているが、平成七年九月二九日付け婦発第二七七号、職発第六九六号「育児休業等に関する法律の一部を改正する法律の施行(第二次施行分)について」の記の第一の二の(一)のハにおいて、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、経済的事情の変化による剰員の発生等特段の事情のない限り当然に更新されることとなっている場合は、実質上期間の定めなく雇用されている者として育児休業や介護休業の適用対象となり得ることとされていること。ただし、単に労働契約が更新されているという事実だけでただちに当該労働契約に係る労働者について育児休業や介護休業の権利が発生するものではないこととされていること。

② 育児・介護休業法第一六条の二第一項及び第一六条の三の規定により、雇用期間が一年に満たない労働者等については、指針第二の二の(三)の口の措置の対象とはならないこと。

③ 前記平成七年九月二九日付け婦発第二七七号、職発第六九六号の記の第四の四の(五)のロ及び五の(六)のロにおいて、勤務時間が一日六時間以下の労働者については、育児・介護休業法第一九条の育児休業又は介護休業をしない場合の勤務時間の短縮等の措置を講ずる必要は基本的にはないものとされていること。

(二) 通常の労働者への応募に係る情報の周知(改正指針第二の二の(六)関係)

指針第二の二の(六)の通常労働者への応募機会の付与の規定について、その適切な推進を図る観点から、当該規定について、事業主は、通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者に対し、あらかじめ当該募集を行う旨及び当該募集の内容を周知させるよう努めることを加えたものであること。

三 短時間雇用管理者の選任等関係

(一) 短時間雇用管理者の選任等(改正指針第二の四の(一)関係)

法第九条の短時間雇用管理者の選任及び同管理者による適切な業務の運営を図る観点から、新たに、短時間雇用管理者の選任等に係る規定を設けるものとしたこと。

イ 事業主は、常時一〇人以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、短時間雇用管理者を選任するとともに、次の業務を担当させるよう努めるものとしたこと。

① 指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項について、事業主の指示に従い必要な措置を検討し、実施すること、

② 短時間労働者の労働条件等に関し、短時間労働者の相談に応ずること。

ロ イの①の業務には、必要に応じ関係行政機関との連絡を行うことが含まれるものであり、また同②の業務には、短時間労働者の就業環境に関する事項等に係る相談が含まれるものであること。

(二) 短時間雇用管理者の氏名の周知(改正指針第二の四の(二)関係)

新たに、事業主は、短時間雇用管理者を選任したときは、その氏名を事業所の見やすい場所に掲示する等により、その雇用する短時間労働者に周知させるものとしたこと。

なお、短時間雇用管理者の氏名の周知の方法としては、短時間雇用管理者の氏名及び短時間雇用管理者である旨を事業所の見やすい場所に掲示することのほか、例えば、これらの事項を書面に記載し短時間労働者に交付することでも差し支えないこと。

Ⅲ 指針の周知及び啓発について

指針については、基本通達記の一四を踏まえ、都道府県女性少年室においては、全体のとりまとめという見地から指針に定める事項の指導等を分担する各機関及び(財)二一世紀職業財団と連携を図りつつ、集団説明会、事業所訪問、個別の相談等の機会を活用して、事業主等に対する周知及び啓発を図るとともに、指針に定める事項の指導等を分担する各機関においては、それぞれの分担に応じ、同様に事業主等に対する周知及び啓発を図ることとすること。