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○雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律の一部施行(育児休業等に関する法律の一部を改正する法律の一部改正関係)について

(平成一〇年六月一一日)

(女発第一七一号)

(各都道府県女性少年室長あて労働省女性局長通達)

「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律(平成九年法律第九二号)」については、平成九年六月一八日付け労働省発婦第一六号により、労働事務次官より貴職あて通達され、また、同法の平成一一年四月一日施行分に関して、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係省令の整備に関する省令(平成一〇年労働省令第七号)」(別紙一参照)、「事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示(平成一〇年労働省告示第二二号)」(別紙二参照)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第一六条の二及び第一六条の三の深夜業の制限に関する指針(平成一〇年労働省告示第二三号)」(別紙三参照)はいずれも本年三月一三日に公布又は告示されたところであるが、同法第五条の規定により改正された「育児休業等に関する法律の一部を改正する法律(平成七年法律第一〇七号)」、同令第四条の規定により改正された「育児休業等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成七年労働省令第四〇号)」及び両告示については、平成一一年四月一日より施行又は適用されることとなっている。

これらの主たる内容及び取扱いに関し、平成七年九月二九日付け婦発第二七七号、職発第六九六号「育児休業等に関する法律の一部を改正する法律の施行(第二次施行分)について(以下「七年通達」という。)」の一部を下記のように改正することとしたので、その円滑な実施を図るよう配慮されたい。

Ⅰ 七年通達の記の第三の次に次のように加える。

第三の二 深夜業の制限(法第三章の二)

一 基本的考え方

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律(平成九年法律第九二号)により、労働基準法の女性労働者に係る深夜業の規制が解消されたことで、深夜に子を保育する者や家族を介護する者がいなくなる場合も生じうる。

このため、育児又は家族介護を行う一定の範囲の労働者について、深夜業の制限の制度を設けることとしたものであること。

なお、労働基準法第六六条第三項に規定する妊産婦の深夜業の制限は、母性保護の見地から設けられたものであり、妊産婦の深夜業の制限と法第一六条の二及び法第一六条の三に規定する深夜業の制限は、その趣旨、目的が異なるものである。したがって、両者の要件に該当する労働者は、任意に選択して請求することができるものであること。

二 育児を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第一六条の二第一項)

(一) 本文は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者(((一))雇入れ後一年未満の労働者、((二))深夜において常態として子を保育することができる同居の家族その他の者がいる労働者、((三))その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その子を養育するために請求した場合においては、事業主は、午後一〇時から午前五時までの間(以下「深夜」という。)において労働させてはならないこととしたものであること。

また、ただし書きは、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。

(二) 「事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第二の一(二)(三)参照)。

(三) 「小学校就学の始期に達するまで」とは、その子が六歳に達する日の属する年度(四月一日から翌年三月三一日までをいう。以下同じ。)の三月三一日までの意であること。

(四) 「午後一〇時から午前五時までの間において労働させてはならない」とは、午後一〇時から午前五時までの間においては、所定労働時間内であるか否かに関わらず、労働者の労務提供義務が消滅することをいうものであること。

(五) 「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、当該労働者の所属する事業所を基準として、当該労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものであること。

事業主は、労働者が深夜業の制限を請求した場合においては、当該労働者が請求どおりに深夜業の制限を受けることができるように、通常考えられる相当の努力をすべきものであること。

業務遂行上不可欠な人員について、通常考えられる相当の努力をしたとしてもなお代替者が確保できない場合は、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するものであること。

(六) 第一号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第二の三(八)(九)参照)。

(七) 第二号の「保育」とは、保護し育てるとの意であり、「養育」とは異なり、親以外の者による対応も含むものであること。

(八) 第二号の「同居の家族」には、一月未満の期間のみ同居が見込まれる家族を含まないものであること。

(九) 本項第二号及び第三号に該当するか否かの判断時点は原則請求時点であるが、制限開始予定日において請求時点と状況が異なることが明らかなときは、制限開始予定日における状況で判断すべきものであること。

(一〇) 則第三一条の二において「一六歳以上」としているのは、保育することができるとみなすには保育する者が一定の年齢に達していることが必要であると考えられることから、義務教育修了年齢を参考として「一六歳以上」としたものであること。

(一一) 則第三一条の二第一号の「就業」とは、原則として所定労働時間内の就業をいうものであるが、制限期間について所定労働時間を超える就業が深夜に及ぶことが明らかな場合には、当該就業は「就業」に含まれるものであること。

また、宿泊を伴う出張の場合は、「就業」に含まれるものであること。

(一二) 則第三一条の二第一号の「深夜における就業日数が一月について三日以下の者」に該当するか否かは、原則として請求時点までの一月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

また、「深夜における就業日数」の計算において、継続勤務が二暦日にわたる場合には、当該勤務は始業時刻の属する日の勤務として、当該「一日」の就業とすること。

(一三) 則第三一条の二第二号の「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」とは、負傷又は疾病による場合、負傷又は疾病にかかりなおった後障害が残った場合並びに先天的に障害を有する場合を含むこと。

また、老齢により身体機能が相当程度低下し子を保育することが困難である場合は、これに相当するものであること。

(一四) 則第三一条の二第三号の「六週間以内に出産予定であるか又は産後八週間を経過しない者」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第二の三(一八)参照)。

(一五) 則第三一条の三第一号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かは、原則として請求時点までの一月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

(一六) 則第三一条の三第二号の「所定労働時間」とは、就業規則等において労働者が労働契約上労働すべき時間として定められた時間の意であり、必ずしも労働基準法の規定による法定労働時間に限らないものであること。

(一七) 則第三一条の三第二号の「全部が深夜にある」とは、所定労働時間のすべてが午後一〇時から午前五時までの間にあるとの意であること。したがって、例えば、交替制勤務の場合や、所定労働時間の一部に午後一〇時から午前五時までの間以外の時間帯が含まれている場合は、「全部が深夜にある」には該当しないものであること。

三 育児を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第一六条の二第二項)

(一) 育児を行う労働者の深夜業の制限の請求は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を労働省令で定めることとしたものであること。

労働省令では、請求は所定の事項を記載した書面を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は書面の記載事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第三一条の四)。

(二) 「制限開始予定日の一月前」とは、制限開始予定日の属する月の前月の応当日をいい、前月に応当日がない場合はその月の末日をいうものであること。例えば、制限開始予定日が三月一日である場合には二月一日がその日に当たり、制限開始予定日が三月三一日である場合には二月二八日がその日に当たるものであること。

制限開始予定日の一月前の日よりも後に行われる請求は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないものであるが、各事業所において、当該請求を認める制度を設けることは可能であること。

(三) 「その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間」の解釈、則第三一条の四第一項の書面の様式、書面の提出先、特定の方法での書面の提出を求める場合、同項第一号の「請求の年月日」の記載すべき日、同項第五号の「養子縁組の効力が生じた日」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第二の二(二)及び(四)から(八)まで参照)。

(四) 則第三一条の四第一項第六号の「第三一条の二の者がいない事実」とは、その旨を記載すれば足りるものであり、その事実を証明する書類の添付は、則第三一条の四第二項により事業主からの請求がない限り、当然には要求されないものであること。

(五) 則第三一条の四第二項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

((一)) 妊娠の事実、出生の事実及び養子縁組の事実 第二の二(九)((一))から((三))まで参照

((二)) 子の一六歳以上の同居の家族がいない事実 住民票記載事項の証明書、出張命令書の写し

((三)) 家族が深夜において就業している事実 労働契約又は就業規則の写し

((四)) 家族が子を保育することが困難な状態の事実 身体障害者福祉法第一五条の身体障害者手帳の写し、医師の診断書

((五)) 家族が六週間以内に出産予定であるか又は産後八週間を経過していない事実 医師が交付する当該事実についての診断書、官公署が発行する出生届受理証明書

また、上記の証明書等にかわってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであることなどは、育児休業の場合と同様であること(第二の二(九)参照)。

(六)則第三一条の四第三項の「速やかに」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第二の二(一〇)参照)。

四 育児を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第一六条の二第三項)

(一) 請求後、制限開始予定日の前日までに、労働省令で定める事由(則第三一条の五で、子の死亡、子が養子である場合の離縁又は養子縁組の取消等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(二) 則第三一条の五各号に規定する事由が生じたときの効果、法第一六条の二第三項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第三一条の五第二号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法については、育児休業の場合と同様であること(第二の一一(二)から(五)まで参照)。

(三) 則第三一条の五第三号の「同居しないこととなったこと」とは、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も、制限期間の末日までの間同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(四) 則第三一条の五第四号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る子を養育することができない状態」とは、身体障害者福祉法第四条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、制限期間の末日までの間通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであり、このような状態であることが確定しない間は、当該請求はされなかったものとみなされないものであること。

五 制限期間の終了(法第一六条の二第四項)

(一) 制限期間中にその請求に係る子が死亡するなど労働省令で規定する事由(則第三一条の六で、則第三一条の五を準用する旨を規定した。)が生じた場合、子が小学校就学の始期に達した場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(二) 問題となる事由

イ 同居の家族が生じたこと

請求に係る子の同居の家族が生じた場合を当然終了事由とすることについては、事業主にとって要員管理が不安定なものとなるため、当然終了事由とはしていないところであること。

ロ 制限期間中の深夜における就労

イの場合を含め、制限期間中の労働者が一時的に子の養育をする必要がなくなった期間について、話合いの上、その事業主の下で深夜において就労することは妨げないものであること。この場合、当該労使で深夜業の制限を終了させる特段の合意をした場合を除き、一旦深夜業に復帰することをもって当然に深夜業の制限が終了するものではなく、一時的中断とみることが適当であって、当初の制限期間の範囲内で再び深夜業の制限を受けることは認められるものであること。

六 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第一六条の二第五項)

(一) 法第一六条の二第三項後段と同様、当該労働者に法第一六条の二第四項第一号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(二) 「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第二の一四(二)参照)。

七 家族介護を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第一六条の三において準用する法第一六条の二第一項)

(一) 要介護状態にある対象家族を介護する一定の範囲の労働者(((一))雇入れ後一年未満の労働者、((二))深夜において常態として対象家族を介護することができる同居の家族その他の者がいる労働者、((三))その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その対象家族を介護するために請求した場合においては、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者が請求した場合と同様に、事業主は、深夜において労働させてはならないこととしたものであること。

(二) 本条において準用する法第一六条の二第一項の「事業主」、「午後一〇時から午前五時までの間において労働させてはならない」及び「事業の正常な運営を妨げる場合」の解釈、同項第一号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点、同項第二号の「同居の家族」の解釈、同項第二号及び第三号に該当するか否かの判断時点については、育児を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(二(二)、(四)から(六)まで、(八)及び(九)参照)。

(三) 則第三一条の七において準用する則第三一条の二の「一六歳以上」の趣旨、同項第一号の「就業」の解釈、「深夜における就業日数が一月について三日以下の者」に該当するか否かの判断時点及び「深夜における就業日数」の計算、同項第二号の「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」の解釈、同項第三号の「六週間以内に出産予定であるか又は産後八週間を経過しない者」の解釈、則第三一条の八において準用する則第三一条の三第一号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点、同条第二号の「所定労働時間」及び「全部が深夜にある」の解釈については、育児を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(二(一一)から(一七)まで参照)。

八 家族介護を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第一六条の三において準用する法第一六条の二第二項)

(一) 家族介護を行う労働者の深夜業の制限の請求は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を労働省令で定めることとしたものであること。

労働省令では、請求は所定の事項を記載した書面を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は書面の記載事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第三一条の九)。

(二) 「制限開始予定日の一月前」の解釈については、育児を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(三(二)参照)。

(三) 「その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間」の解釈、則第三一条の九第一項の書面の様式、書面の提出先、特定の方法での書面の提出を求める場合、同項第一号の「請求の年月日」の記載すべき日、同項第四号の「当該対象家族と同居し、かつ、当該対象家族を扶養している事実」の解釈、同項第五号の「対象家族が要介護状態にある事実」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第三の二(二)(三)参照)。

(四) 則第三一条の九第一項第七号の「第三一条の七において準用する第三一条の二の者がいない事実」の解釈については、育児を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(三(四)参照)。

(五) 則第三一条の九第二項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

((一)) 対象家族と労働者との続柄、同居の事実、扶養の事実、要介護状態の事実 第三の二(四)((一))から((四))まで参照

((二)) 対象家族の一六歳以上の同居の家族がいない事実、家族が深夜において就業している事実、家族が対象家族を介護することが困難な状態の事実、家族が六週間以内に出産予定であるか又は産後八週間を経過していない事実 三(五)((二))から((五))まで参照

また、上記の証明書等にかわってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること、特に介護に関する情勢は様々に変化することがあるので臨機応変かつ柔軟な対応が望まれること、「扶養」の証明手段などは、介護休業の場合と同様であること(第三の二(四)参照)。

九 家族介護を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第一六条の三において準用する法第一六条の二第三項)

(一) 請求後、制限開始予定日の前日までに、労働省令で定める事由(則第三一条の一〇で、対象家族の死亡、対象家族と労働者との親族関係の消滅等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(二) 則第三一条の一〇各号に規定する事由が生じたときの効果、法第一六条の三において準用する法第一六条の二第三項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第三一条の一〇第二号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法、同条第二号の「親族関係の消滅」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第三の一〇(二)から(六)まで参照)。

(三) 則第三一条の一〇第三号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る対象家族を介護することができない状態」の解釈については、育児を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(四(四)参照)。

一〇 制限期間の終了(法第一六条の三において準用する法第一六条の二第四項)

(一) 制限期間中にその請求に係る対象家族が死亡するなど労働省令で規定する事由(則第三一条の一一で、則第三一条の一〇を準用する旨を規定した。)が生じた場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(二) 問題となる事由

イ いわゆる内縁関係の解消

いわゆる内縁関係の解消は、則第三一条の一一において準用する則第三一条の一〇第二号の「親族関係の消滅」に当たらないものであること。

ロ 対象家族の症状の緩和等による要介護状態からの離脱

対象家族が要介護状態から脱した場合を当然終了事由とすることについては、

((一)) 対象家族が再び要介護状態となることも当然予想され、労働者にとって酷であること。

((二)) 事業主にとっても、対象家族の不安定な状態に影響されることは好ましくないものであること。

から、適当ではなく、当然終了事由にはしなかったものであること。

ハ 基準看護体制の病院、特別養護老人ホーム、老人保健施設等への入院・入所対象家族が基準看護体制の病院、特別養護老人ホーム、老人保健施設等へ入院・入所した場合についても、その入院・入所が一時的となる場合もあるため、ロで述べたと同様の理由で、当然終了事由にはしなかったものであること。

ニ 同居の家族が生じたこと

請求に係る対象家族の同居の家族が生じた場合を当然終了事由とすることについては、事業主にとって要員管理が不安定なものとなるため、当然終了事由とはしていないところであること。

ホ 制限期間中の深夜における就労

イからニまでの場合を含め、制限期間中の労働者が一時的に介護をする必要がなくなった期間について、話合いの上、その事業主の下で就労することは妨げないものであること。この場合、当該労使で深夜業の制限を終了させる特段の合意をした場合を除き、一旦深夜業に復帰することをもって当然に深夜業の制限が終了するものではなく、一時的中断とみることが適当であって、当初の制限期間の範囲内で再び制限を受けることは認められるものであること。

一一 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第一六条の三において準用する法第一六条の二第五項)

(一) 法第一六条の三において準用する法第一六条の二第三項後段と同様、当該労働者に法第一六条の三において準用する法第一六条の二第四項第一号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(二) 「通知」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第三の一三(二)参照)。

一二 指針事項

(一) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第一六条の二及び第一六条の三の深夜業の制限に関する指針(以下「深夜業の制限指針」という。)は、深夜業の制限に関し、事業主が配慮すべき事項を定めたものであること。

(二) 深夜業の制限指針二(一)の「労働者の深夜業制限中における待遇(昼間勤務への転換の有無を含む。)に関する事項」とは、昼間勤務への転換の有無を含めて深夜業の制限を受ける労働者の配置、労働時間、賃金等に関する事項の意であること。

「定め」に当たっては、当事者間の合意に基づき行われることが望ましいものであること。

また、「定めるとともに、これを労働者に周知させる」ことと労働基準法第八九条との関係については、事業主が講ずべき措置の場合と同様であること(第四の一(二)参照)。

(三) 深夜業の制限指針二(二)の「制度の弾力的な利用」とは、週の特定の曜日や、深夜の特定の時間について深夜業の制限を受けること等の意であること。

(四) 深夜業の制限指針二(三)の「理由として」とは、深夜業の制限を請求したこと又は深夜業の制限を受けたことが事業主が労働者を不利益に取り扱うことと因果関係があるとの意であること。

「不利益に取り扱う」とは、合理的理由のない賃金の意図的な減額、長期間の昇給停止、著しい精神的、経済的負担を伴うと考えられる配置転換等、深夜業の制限を労働者の権利とした法の趣旨を没却するような取扱いが典型であること。

「あってはならない」とは、深夜業の制限指針自体によって当該行為を無効にするというような直接の民事的効果はないものであるが、一般法理に照らしても当然排除されるべきであると考えられる行為であるとの意であること。

Ⅱ 七年通達の記の第四の四(七)を次のように改める。

(七) 所定労働時間を超えて労働させない制度

則第三四条第一項第三号の「所定労働時間」の解釈については、深夜業の制限の場合と同様であること(第三の二の二(一七)参照)。

また、指針第五の四により、労働基準法の女性労働者に係る時間外労働の規制が解消されたことを踏まえ時間外労働に関する制度を見直す場合においては、所定労働時間を超えて労働させない制度を設ける必要性について検討するよう留意することが事業主に求められるものであること。

Ⅲ 七年通達の記の第四の六(二)のロを次のように改める。

ロ 小学校就学の始期に達するまで

「小学校就学の始期に達するまで」の解釈については、深夜業の制限の場合と同様であること(第三の二の二(三)参照)。

Ⅳ 七年通達の記の第八の六(三)の次に次のように加える。

(四) 深夜業の制限の制度

イ 非現業国家公務員

非現業国家公務員の深夜業の制限の制度については、現在人事院において検討中であること。

ロ 現業国家公務員

現業国家公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、所属長の承認を前提とした深夜業の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第五二条第七項及び第八項)。

ハ 地方公務員

地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、所属長の承認を前提とした深夜業の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第五二条第九項)。

なお、その内容については、現業国家公務員の特例規定を準用するものであること。