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○クレーン等安全規則の一部を改正する省令の施行について

(昭和五一年一二月二三日)

(基発第九〇二号)

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

クレーン等安全規則の一部を改正する省令(昭和五一年労働省令第四三号)は、昭和五一年一二月一五日公布され、同月二〇日から施行された。

今回の改正は、昭和五一年八月五日付け労働省告示第八〇号及び同日付け労働省告示第八一号をもつて公布されたクレーン構造規格及び移動式クレーン構造規格との関連から改正されたものである。

ついては、改正の趣旨を十分理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、左記事項に留意の上運用に遺憾なきを期されたい。

Ⅰ 改正の要点

一 クレーン関係

(一) クレーンを使用するときは、設計の基準とされた負荷条件で使用することに留意させることとしたこと。(第一七条の二)

(二) フックの外れ止め装置を使用させることとしたこと。(第二〇条の二)

(三) 定格荷重をクレーンの運転者及び玉掛けをする者が常時知ることができるよう表示その他の措置を講じさせることとしたこと。(第二四条の二)

二 移動式クレーン関係

(一) 移動式クレーンを使用するときは、設計の基準とされた負荷条件で使用することに留意させることとしたこと。(第六四条の二)

(二) フックの外れ止め装置を使用させることとしたこと。(第六六条の二)

(三) 定格荷重を移動式クレーンの運転者及び玉掛けをする者が常時知ることができるよう表示その他の措置を講じさせることとしたこと。(第七〇条の二)

Ⅱ 細部事項

一 第一七条の二

構造部分を構成する鋼材等が交番荷重を受ける場合には、鋼材等が疲労破壊を起すおそれがあるので、クレーンの製造に当たつては、負荷条件を基準として設計されている。

本条は、使用時における鋼材等の疲労破壊を防止するため、設計の基準とされた負荷条件を超える負荷条件でクレーンを使用しないよう留意することについて規定したものであること。

なお、クレーンの使用条件を考慮した適正な設計を確保する上から、クレーンを設置使用する事業者は、クレーンの製造又は構造部分の変更の発注をするときは、製造者に対し負荷条件を明示し、かつ、設計の基準とされた負荷条件を確認するよう指導すること。

(一) 「鋼材等」の「等」には、クレーンの構造部分を構成する鋼材の接合部(溶接部、リベット部)が含まれること。

(二) 「荷重を受ける回数」とは、予想されるクレーンの耐用期間中にクレーンが荷重を受ける回数であり、一般に次のように分類されること。

荷重を受ける回数

105回未満

105回以上

6×105回未満

6×105回以上

2×106回未満

2×106回以上

使用状態

不規則的使用(長い休止期間を含む。)

ひん度が激しくない規則的使用

ひん度が激しい規則的使用

連続的使用

(三) 「常態としてつる荷の重さ」とは、定格荷重に対して常態として実際につられる荷の重さをいうものであり、一般に次のように区分されること。

(イ) 常態として定格荷重の三分の一以下の荷をつる。

(ロ) 常態として定格荷重の三分の一を超え三分の二以下の荷をつる。

(ハ) 常態として定格荷重の三分の二を超える荷をつる。

二 第二〇条の二関係

本条はフックに外れ止め装置が具備されているクレーンについては、当該外れ止め装置を使用することについて規定したものであること。

この場合、外れ止め装置を具備しなければならないクレーンは昭和五一年一一月一日以降に製造されたクレーンをいうものであること。

三 第二四条の二関係

本条は、クレーンの運転者及び玉掛けをする者が常時定格荷重を知ることのできる表示をすることについて規定したものであること。

「その他の措置」とは、クレーンの運転者及び玉掛けをする者が、定格荷重の表示を同時に見ることが困難な構造のジブクレーンにあつては、ジブの最大作業半径における定格荷重を適当な位置に表示するとともに、ジブの作業半径に応ずる定格荷重表を運転室に備え、かつ、同表を玉掛けする者に携帯させる等の措置をいうものであること。

四 第六四条の二関係

本条は、構造部分を構成する鋼材等の疲労破壊を防止するため、設計の基準とされた負荷条件を超える負荷条件で移動式クレーンを使用しないよう留意することについて規定したものであること。

したがつて使用条件を考慮した適正な設計を確保する上から移動式クレーンを設置使用する事業者は、移動式クレーンの製造、又は構造部分の変更の発注をするときは、製造者に対し負荷条件を明示し、かつ、設計の基準とされた負荷条件を確認するよう指導すること。

なお、本条にいう「鋼材等」、「荷重を受ける回数」及び「常態としてつる荷の重さ」の解釈は、記のⅡの一の第一七条の二関係と同様であること。

五 第六六条の二関係

本条は、フックの外れ止め装置を使用しなければならないことについて規定したものであること。

六 第七〇条の二関係

本条は、移動式クレーンの運転者及び玉掛けする者が常時定格荷重を知ることのできる表示をすることについて規定したものである。

「その他の措置」の解釈については、移動式クレーンの運転者及び玉掛けをする者が、定格荷重の表示を同時に見ることが困難な構造の移動式クレーンにあつては、記のⅡの三の第二四条の二関係において示した措置をいうものであること。