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○労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について

(昭和五二年一一月二五日)

(基発第六三五号)

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(昭和五二年労働省令第二九号)は、昭和五二年一〇月二七日公布され、昭和五三年一〇月一日から施行されることとなつた。

今回の改正の趣旨は、林業におけるチエーンソーの使用に伴い振動障害が発生している現状にかんがみ、その予防対策の実効をあげるためには、チエーンソーを用いて立木の伐木等の業務に従事する者が適正な知識と技能をもつて作業に当たることが必要であることからチエーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務を特別教育を必要とする業務としたものである。

なお、この改正に伴い、安全衛生特別教育規程(昭和四七年九月三〇日労働省告示第九二号)の一部を改正し(昭和五二年労働省告示第一〇〇号)、昭和五三年一〇月一日から併せて施行することとした。

ついては今回の省令等の改正の趣旨を十分理解し、関係者への周知徹底を図るとともに下記の事項に留意してその運用に遺憾のないようにされたい。

一 労働安全衛生規則(以下「規則」という)第三六条第八号の二として追加された業務は、チエーンソーを用いて行う次の業務をいうものであること。

立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務のうち、次の図に示す斜線の部分

二 安全衛生特別教育規程(以下「規程」という)の改正の内容は、次のとおりであること。

(一) 「規則第三六条第八号に掲げる業務」のうちチェーンソーを用いるものについては、学科教育に「振動障害及びその予防に関する知識」の科目を追加するとともに、当該業務に係る科目及び範囲について整備したこと。

(二) 規則第三六条第八号の二に掲げる業務について、学科教育及び実技教育のそれぞれの科目及び範囲を新たに定めたこと。

三 本改正省令の施行前に既に改正前の「伐木等の業務に係る特別教育」を受けた者についても、チェーンソーを用いる場合には、上記二の(一)に掲げる科目を追加教育する必要があること。

四 次のいずれかに該当する者は規則第三七条の「十分な知識及び技能を有していると認められる者」として取扱い上記三の追加教育を行えば足りること。

(一) 林業労働安全衛生確保特別対策として都道府県が模疑訓練施設によってチェーンソーに対する適正な知識と使用方法を習得させるために実施した教育訓練を修了した者

(二) 林業労働者技能向上対策として都道府県が実施する林業技能診断評価事業の技能審査の結果Aと評価された者

五 地方営林局において実施する「振動障害の予防のための研修に関する専門委員会確認」による伐木造材作業研修の修了者は規則第三七条の「十分な知識及び技能を有していると認められる者」とし、学科及び実技教育の全部を省略することができること。

六 林野庁が別添の林業労働力対策実施要領に基づき林業労働者安全衛生対策の一環として「チェーンソー作業従事者特別教育促進事業による特別教育」を林業労働災害防止協会都道府県支部を実施主体として昭和五二年度から三カ年計画で実施することとしているので、これが有効に活用されるよう周知を図ること。

「当該事業による特別教育の修了者」は、今回の改正に係る特別教育を受けた者とされるものであること。

別添

林業労働力対策実施要領

第一 趣旨

我が国経済の高度成長の過程で、農山村人口が都市へ流出したことに伴い林業者も大幅に減少するとともに、若年就業者の減少による高齢化等質的な劣弱化の傾向が進行しており、このことが将来の我が国森林・林業の維持、発展を図る上で大きな障害となってきている。また労働災害の発生率も依然として高率であり、特に最近、振動障害の発生が顕在化し、社会問題となっている。

このような情勢に対処して、林業労働者の福祉の向上、養成及び確保を図り、林業の安定した発展を期するためには、林業事業体の自主的努力のほか、国及び都道府県が一体となって、林業労働に関する諸施策を一層積極的に講ずる必要がある。

このため、国は、以下により林業労働者就業対策及び林業労働安全衛生対策の事業に対して指導、助成するものとする。

第二 対策の内容

Ⅰ 林業労働者就業対策

林業労務改善促進事業

一 目的

民間林業における林業労働者の雇用関係の近代化、就労の安定化、長期化、社会保険制度等への加入、労働安全衛生の確保等労務管理の改善を行うことによりその就労条件の向上及び雇用の安定を図り、もって林業労働者の福祉の向上及び林業労働力の安定的確保に資することを目的とする。

二 事業区分及び実施主体

この事業は、次の区分及び実施主体により実施するものとする。

区分

実施主体

(一) 地区林業労務改善促進事業

森林組合その他市町村の林業団体のうちから都道府県知事が三の(一)のアに規定する指導地区ごとに指定する団体(以下「地区林業団体」という。)

(二) 都道府県林業労務改善促進事業

都道府県森林組合連合会その他都道府県の林業団体のうちから都道府県知事が指定する団体(以下「都道府県林業団体」という。)

(三) 林業労務改善推進指導

都道府県

三 事業の実施

(一) 地区林業労務改善促進事業

ア 指導地区

(ア) 都道府県知事は、地区林業労務改善促進事業を効率的に実施するため、この事業を一体として実施することが適当と認められる一定の地域を指導地区として指定するものとする。

(イ) 指導地区の設定は、林業生産のウエイトの高い市町村を主体とし、林業労働力の需給圏(林業労働力の需給について相互に関連し、まとまった単位をなしていると考えられる数カ市町村からなる地域)、当該地域の林業事業体数、林業労働者数、就業構造の実態等を考慮して行うものとし、一都道府県当たりの指導地区数は、おおむね七地区を目途とする。

なお、中核林業振興地域育成特別対策事業等他の林業施策との関連に十分配慮するものとする。

イ 地区林業労務改善推進員

(ア) 地区林業団体の長は、都道府県知事と協議の上、地区林業労務改善推進員を選任するものとする。

(イ) 地区林業労務改善推進員は、当該指導地区に関し、次に掲げる事務を行うものとする。

a 林業労務改善指導計画及び林業労務改善指導活動報告書の作成

b 林業事業体カードの作成

c 林業労働力の動向等に関する情報、資料の収集及び提供

d 地区林業労務改善協議会の開催及び運営に関する事務

e その他林業労務改善に関し必要な事務

(ウ) 地区林業労務改善推進員は、当該指導地区の実態を勘案しながら当該指導地区内の林業事業に対し、次に掲げる事項のうち必要性の高いものから逐次指導を行うものとする。

a 林業労働者の雇用関係の近代化の促進に関する事項

b 林業労働者の就労の安定化、長期化の促進に関する事項

c 林業労働者の社会保険制度等への加入促進に関する事項

d 林業事業体の安全衛生管理体制の整備促進に関する事項

e その他林業労務改善に関し必要な事項

(エ) 地区林業労務改善推進員の指導業務の進め方は、別紙一のとおりとする。

(オ) 地区林業労務改善推進員は(二)のイの都道府県林業労務改善協議会に出席するとともに、(二)のウの研修を受講するものとする。

ウ 地区林業労務改善協議会

(ア) 開催

地区林業団体は、地区林業労務改善協議会を年二回開催するものとする。

(イ) 構成

a 地区林業労務改善協議会は、地区林業団体の長、地区林業労務改善推進員のほか、地区林業団体の長が次に掲げる者のうちから都道府県知事と協議の上、委嘱する者によって構成するものとし、その人数はおおむね一五人とするものとする。

(a) 国、都道府県の職員のうち林業労働に関する職務に従事している者

(b) 市町村の農林業担当職員

(c) 農業協同組合の役職員

(d) 森林組合その他市町村の林業団体の役職員

(e) その他の林業関係者

b 地区林業労務改善協議会の運営は、原則として地区林業団体の長がこれに当たるものとする。

(ウ) 協議事項

地区林業労務改善協議会においては、当該指導地区内における林業生産活動の動向及び林業労働力の需給に関する情報を交換するとともに当該指導地区の実態を勘案しながら、次に掲げる事項に関する基本的な方針について協議するものとする。

なお、安全衛生に関する協議に当たっては、Ⅲの三の安全推進会議との協調が図られるよう留意するものとする。

a 林業労働者の雇用関係の近代化に関する事項

b 林業労働者の就労の安定化・長期化に関する事項

c 林業労働者の社会保険制度等への加入に関する事項

d 林業事業体の安全管理体制の整備に関する事項

e その他林業労務改善に関し必要な事項

(エ) 報告

地区林業団体の長は、地区林業労務改善協議会における協議結果等を(二)のイに定める都道府県林業労務改善協議会に報告するものとする。

(二) 都道府県林業労務改善促進事業

ア 都道府県林業労務改善推進員

(ア) 都道府県林業団体の長は、(イ)に掲げる事務を処理するために必要があると認める場合には、都道府県知事と協議の上、都道府県林業労務改善推進員を選任することができるものとする。

イ 都道府県林業労務改善推進員は、次に掲げる事務を行うものとする。

a 地区林業労務改善推進員の活動の調整

b 都道府県内における林業労働力の動向等に関する情報・資料の収集及び提供

c 都道府県林業労務改善協議会の開催及び運営に関する事務

d 地区林業労務改善推進員の研修に関する企画及び実施事務

e その他林業労務改善に関し必要な事務

イ 都道府県林業労務改善協議会

(ア) 開催

都道府県林業団体は、都道府県林業労務改善協議会を年二回開催するものとする。

(イ) 構成

a 都道府県林業労務改善協議会は、都道府県林業団体の長、地区林業労務改善推進員、都道府県林業労務改善推進員のほか、都道府県林業団体の長が、国・都道府県職員のうち林業労働に関する職務に従事している者及び林業関係団体の役職員のうちから都道府県知事と協議の上委嘱する者によって構成するものとし、その人数はおおむね一五人とするものとする。

b 都道府県林業労務改善協議会の運営は、原則として都道府県林業団体の長が、これに当たるものとする。

(ウ) 協議事項

都道府県林業労務改善協議会においては、(一)のウの(ウ)に準ずる事項について協議するほか、地区林業労務改善協議会の情報及び協議結果の報告に基づき、当該指導地区を超える問題等について協議検討するものとする。

ウ 地区林業労務改善推進員の研修

(ア) 都道府県林業団体の長は、年二回地区林業労務改善推進員を招集し、研修会を開催するものとする。

(イ) 講師の選任及び研修内容の決定の方法は、別紙二のとおりとする。

エ 全国検討会への出席

都道府県林業労務改善推進員(都道府県林業労務改善推進員を選任しない都道府県林業団体にあっては、当該団体の長が指名する地区林業労務改善推進員)は、国が開催する全国検討会に出席するものとする。

(三) 林業労務改善推進指導

都道府県は、地区林業労務改善促進事業及び都道府県林業労務改善促進事業の円滑な実施が図られるよう指導を行うものとする。

Ⅱ 林業労働安全衛生対策

一 作業仕組改善促進事業

(一) 目的

チェンソー操作時間の適正化等に資するための作業仕組改善指針を策定するとともに、これを林業事業体に普及定着させることにより振動障害の防止を図ることを目的とする。

(二) 事業区分及び実施主体

この事業は、次の区分及び実施主体により実施するものとする。

区分

実施主体

ア 作業仕組改善指針の策定

都道府県森林組合連合会その他都道府県の林業団体のうちから都道府県知事が指定する団体(以下「都道府県森連等」という。)又は都道府県

イ 作業仕組改善検討会の開催及び作業仕組改善普及指導

都道府県

(三) 実施方法

ア 作業仕組改善指針

(ア) 対象事業体の選定

作業仕組改善指針策定対象事業体は、都道府県森連等が実施する場合にあっては、都道府県森連等の長がその構成員のうちから都道府県知事と協議の上選定するものとし、都道府県が実施する場合にあっては、都道府県知事が関係林業団体と密接な連絡をとりながら選定するものとする。

(イ) 実態調査の実施

都道府県森連等又は都道府県は(ア)で選定された事業体について、別紙三の作業仕組改善実態調査要領を参考に現行作業仕組の実態調査を行うものとする。

なお、調査は、学識経験者の指導のもとに行うものとする。

(ウ) 策定

a 作業仕組改善指針は、(ア)が選定された事業体ごとに、(イ)の調査結果に基づき、別記様式五の作業仕組改善指針様式を参考に策定するものとする。

b 作業仕組改善指針の策定に当たっては、各事業体の現場において当該事業体の関係者等による現地検討を行うものとする。

(エ) 要件

作業仕組改善指針は、次に掲げる要件のすべてを満たすものとする。

a チェンソーの操作期間が、「チェンソー取扱い作業指針」(昭和五一年二月九日付け五〇林野組第三九六号林野庁長官通達(昭和五〇年一〇月二〇日付け基発第六一〇号労働省労働基準局長通達))の三の(一)から(四)までを満たすものであること。

b 作業環境の改善、労働強度の軽減及び労働災害の防止について総合的な配慮がなされていること。

c 林業事業体への速やかな定着が可能であること。

(オ) 報告

都道府県森連等の長は、作業仕組改善指針を策定した時は、遅滞なく都道府県知事に報告するものとする。

イ 作業仕組改善検討会

(ア) 開催

作業仕組改善検討会は、年二回開催するものとする。

なお、この検討会は、三の安全推進会議と緊密な連けいのもとに運営するよう留意するものとする。

(イ) 構成

作業仕組改善検討会は、次に掲げる者のうちから都道府県知事が選定する者によって構成するものとし、その人数はおおむね一五人とするものとする。

a 国、地方公共団体の職員のうち、林業労働安全・林業機械に関する職務に精通している者

b 林業労働災害防止協会(以下「林災協」という。)及び林災協都道府県支部・分会の役職員

c 林業団体及び林業事業体の役職員

d 学識経験者その他特に林業に造けいが深い者

(ウ) 検討事項

作業仕組改善検討会は、次の事項について検討するものとする。

a 作業仕組改善指針の策定方針に関する事項

b 作業仕組改善指針策定対象事業体の選定方針に関する事項

c 普及すべき模範的な作業仕組改善指針事例の選定等に関する事項

d 作業仕組改善の普及指導方針に関する事項

e その他作業仕組改善に関し必要な事項

ウ 作業仕組改善普及指導

普及指導は、別記様式六を参考に、作業仕組改善普及指導実施計画を作成し、イの(ウ)のcで選定された作業仕組改善指針事例パンフレット等により、ブロック説明会及び個別指導等を通じて計画的かつ効果的に実施するものとする。

なお、普及指導に当たっては、模擬訓練施設による教育訓練等の事業との関連に十分配意するとともに、林災協都道府県支部等と密接な連けいを図るものとする。

(ア) ブロック説明会

ブロック説明会は、都道府県内の林業地域を適宜のブロックに分割し、原則として(イ)の個別指導の実施前に林業事業体の関係者を招集して開催するものとし、作業仕組の改善に対する関係林業事業体の認識を高めるものとする。

(イ) 個別指導

a 個別指導は、振動障害防止のため作業仕組の改善が必要な事業体のうち、振動障害の発生状況、事業規模等を勘案の上、緊急度の高い事業体から順次行うものとする。

b 個別指導は、原則として対象事業体の現場において、当該事業の実態に最も適した作業仕組改善指針事例により濃密な指導を行うものとする。

(ウ) パンフレットの配付等

作業仕組の改善、チェンソー操作時間の短縮等を内容とする振動障害の防止に関するパンフレットを作成し、林業団体、森林組合等を通じ素材生産関係の事業体・作業従事者に配付して振動障害の防止に対する関係者の認識を高めるものとする。

なお、Ⅰの地区林業労務改善推進員及び三の安全点検パトロール員によりその徹底を図るものとする。

二 チェンソー作業従事者特別教育促進事業

(一) 目的

チェンソー作業従事者に対し、チェンソー作業に関する特別教育を実施し、安全衛生知識、技能を修得徹底させるとともに、チェンソー作業の技能の水準を向上させることにより、振動障害の防止を図ることを目的とする。

(二) 事業区分及び実施主体

この事業は、次の区分及び実施主体により実施するものとする。

事業区分

実施主体

ア 特別教育

林災協都道府県支部

イ 技能審査

都道府県

(三) 実施方法

ア 特別教育

(ア) 実施計画の作成

林災協都道府県支部長は、別記様式七により実施計画を作成し都道府県知事に提出するものとする。

(イ) 講師の委嘱

講師は、次に掲げる者のうちから都道府県知事と協議の上、委嘱するものとする。

a 国・地方公共団体の職員のうち、林業機械及び林業労働に関する業務に精通している者

b 林災協が労働災害防止団体法(昭和三九年法律第一一八号)第一二条の規定に基づき選任した地区駐在安全管理士(以下「地区駐在安全管理士」という。)

c a又はbに掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者

(ウ) 教科及び時間

教科及び時間は別に定めるものとする。

(エ) 受講者の選定

受講者は、チェンソーを使用する林業労働に現に従事している者及び従事する見込みのある者のうちから選定するものとする。

(オ) チェンソー使用手帳の交付等

特別教育修了者に対し、別記様式八のチェンソー使用手帳を交付し、必要記入事項等に関して指導を行うとともに別記様式九の特別教育修了者名簿に記録しておくものとする。

(カ) 実施結果報告の作成

実施結果報告は、別記様式一〇により作成し都道府県知事に提出するものとする。

イ 技能審査

(ア) 審査員の委嘱

都道府県知事は、次に掲げる者のうちから適当と認める者おおむね六名を審査員に委嘱するものとする。

a 国・地方公共団体の職員のうち、林業機械・林業労働安全に関する業務に精通している者

b 地区駐在安全管理士

c その他a又はbに掲げる者と同等以上の能力を有する者

(イ) 審査対象者の選定

都道府県知事は、森林組合労務班員その他の林業労働者で、チェンソーによる伐木造材作業に従事している者のうちから、六〇名程度を選定するものとする。

(ウ) 審査の方法

審査は、現地におけるチェンソーによる伐木、造材作業の実技等を対象として、別表一の技能診断評価基準により公正に行うものとし、審査対象者一名につき、原則として審査員が二名一組で採点して、その平均点を別記様式一一の技能診断評価票に記入するものとする。

なお、審査の参考に資するため、審査対象者に対して、別記様式一二によるアンケート調査を実技実施前に行うものとする。

また、審査実施箇所の選定に当たっては、地形、立木度、径級等の自然条件が当該地域において、ほぼ平均的な林分を数箇所選定するものとする。

(エ) 審査事項及び審査時間

審査事項及び審査時間の標準は、おおむね別表二のとおりとする。

(オ) 技能の評価

技能評価の基準は、技能診断評価票の合計点数が八〇点以上のものをAとし、八〇点未満のものをBとする。

(カ) 改善点の指摘

審査対象者の技能の改善向上に資するため、審査終了後、技能診断評価票の写しを本人に交付するものとする。

三 労働安全衛生管理改善事業

(一) 目的

民間林業の作業現場において、施設・機械・作業動作等について安全点検パトロールを実施するとともに、林業機械整備指導員を養成し、ソー・チェンの目立て等チェンソーの整備の指導を行わせるほか、林業労働安全衛生対策の総合的、計画的な推進を図るための安全推進会議を開催すること等により、林業労働安全衛生に関する管理、指導体制の確立を図り、もって林業労働災害の防止の徹底を期することを目的とする。

(二) 事業区分及び実施主体

この事業は、次の区分及び実施主体により実施するものとする。

事業区分

実施主体

ア 安全点検パトロール事業及び機械整備巡回指導事業

林災協都道府県支部

イ パトロール員等研修事業

林災協本部

ウ 安全推進指導

都道府県

(三) 実施方法

ア 安全点検パトロール事業及び機械整備巡回指導事業

(ア) 実施計画の作成

林災協都道府県支部長は、別記様式一三により実施計画を作成し、都道府県知事及び林災協会長に提出するものとする。

(イ) 安全点検パトロール事業の実施

a 点検機械器具の整備

安全点検パトロールの実施に必要な機械・器具の補助対象品目は、別表三に掲げるものを標準とする。

b 安全点検パトロール対象作業

安全点検パトロールは、造林作業、伐木造材作業、各種集運材作業及びはい作業について実施するものとする。なお、製材作業についても併せて実施することができるものとする。

c 安全点検パトロール対象事業場の選定

災害の発生状況等を勘案し、安全対策推進上安全点検が必要と認められる事業場のうち優先度の高いものから選定するものとする。

d 安全点検パトロール員の委嘱

林業労働安全衛生に関する専門的知識を有する者のうちからおおむね二〇名を委嘱するものとする。

なお、安全点検パトロール員は、パトロールの際、林災協都道府県支部長が発行する委嘱証を携帯するものとする。

e 安全点検パトロール班の編成

安全点検パトロール員三名程度で編成するものとする。

f 安全点検パトロールの回数

安全点検対象事業場ごとに年一回を原則とし、必要により二回以上実施するものとする。

g 安全点検パトロールの方法

安全点検パトロール員は、別表四に掲げる安全点検表に基づき各作業現場における安全管理体制、施設、機械・器具及び作業動作等について点検を行い、その結果を別記様式一四の安全点検報告(以下「安全点検報告」という。)に記録するものとする。

h 改善措置

安全点検パトロールの結果、不安全状態及び不安全行動があると認められる場合には直ちに是正するよう適切な指導を行うとともにその内容を安全点検報告に記録しておくものとする。

i 安全点検パトロールの結果報告

安全点検パトロール員は、点検終了の都度安全点検報告を林災協都道府県支部長に提出するものとする。

(ウ) 機械整備巡回指導事業の実施

a 指導対象事業場の選定

チェンソー作業従事者の数、チェンソー使用期間等を勘案し、機械整備巡回指導が必要と認められる事業場のうち優先度の高いものから選定するものとする。

b 林業機械整備指導員の委嘱

林業機械整備指導員養成研修修了者を林業機械整備指導員に委嘱するものとする。

c 機械整備巡回指導の方法

林業機械整備指導員は、指導対象事業場を巡回し、ソー・チェンの目立ての濃密指導を中心にチェンソーの整備の指導を行うものとする。

d 機械整備巡回指導の結果報告

林業機械整備指導員は、巡回指導終了の都度別記様式一五の機械整備巡回指導結果報告を林災協都道府県支部長に提出するものとする。

(エ) 実施状況報告の作成

林災協都道府県支部長は、(イ)のi及び(ウ)のdにより提出された結果報告に基づき、別記様式一六により実施状況報告を作成し、都道府県知事及び林災協会長に提出するものとする。

イ パトロール員等研修事業

(ア) 実施計画の作成

a 林災協都道府県支部長は、別記様式一七のパトロール員等研修受講予定者名簿を作成し、都道府県知事及び林災協会長に提出するものとする。

b 林災協会長は、前項により提出されたパトロール員等研修受講予定者名簿に基づき、別記様式一八により実施計画を作成し、研修事業を計画的かつ効果的に実施するものとする。

(イ) 安全点検パトロール員研修の実施

a 講師の委嘱

講師は、林業労働安全衛生に関し専門的知識を有する者のうちから、林野庁長官と協議の上委嘱するものとする。

b 研修の内容

研修は、安全点検パトロール員が点検・指導する上で必要な知識・技能の修得及び向上に資するよう、林野庁長官と協議の上その内容を決定するものとする。

c 受講者の選定

受講者は、林災協都道府県支部長がその安全点検パトロール員及び林災協都道府県支部・分会の役職員のうちから適当と認める者を選定するものとする。

(ウ) 林業機械整備指導員養成研修の実施

a 講師の委嘱

講師は、ソー・チェンの目立てその他チェンソーの整備に関し専門的知識・技能を有する者のうちから、林野庁長官と協議の上委嘱するものとする。

b 研修の内容

研修は、林業機械整備指導員が現地指導する上に必要な知識・技能の修得及び向上に資するよう、林野庁長官と協議の上その内容を決定するものとする。

c 受講者の選定

受講者は、林災協都道府県支部長が次に掲げる者のうち、ソー・チェンの目立て等チェンソーの整備に関し技能・経験を有し、かつ、受講後林業機械整備指導員として委嘱することが適当と認められる者を都道府県知事と協議の上選定するものとする。

(a) 森林組合等林業事業体の職員

(b) 林災協都道府県支部、分会の役職員

(c) (a)又は(b)以外の者で、チェンソーの整備に関し技能・経験を有する者

d 修了証書の授与

林災協会長は、研修修了者に対しては、別記様式一九の林業機械整備指導員養成研修修了証書を授与するものとする。

ウ 安全推進指導

(ア) 安全推進会議の開催

都道府県は、都道府県林業労働安全推進会議(以下「安全推進会議」という。)を開催するものとする。

(イ) 安全推進会議の構成

安全推進会議は、次に掲げる者のうちから都道府県知事が委嘱するおおむね二〇名によって構成するものとする。

a 国・地方公共団体の職員のうち、林業労働安全・林業機械に関する職務に従事している者

b 林災協、林災協都道府県支部・分会の役職員

c 事業主及び林業関係団体の役職員

d 民有林労働者又はそれを代表する者

e 学識経験者

(ウ) 安全推進会議の運営

a 安全推進会議は、毎年、原則として四月及び、一〇月の二回開催するものとする。

b 安全推進会議は、次の事項について協議するものとする。

(a) 林業労働災害の防止に関する計画の策定に関すること。

(b) 林業労働安全衛生に関する総合的な管理・指導体制の整備に関すること。

(c) 林災協都道府県支部長から提出された実施計画及び実施状況報告に関すること。

(d) 関係各機関、各団体間における情報交換及び協調に関すること。

(e) その他林業労働災害防止に関して必要と認められる事項

(エ) 安全衛生に関する総合的な指導

都道府県は、林業労働災害の防止に資するため、関係法令、規則及び安全推進会議において協議された必要事項等についての周知徹底並びに安全衛生に関するポスターの作成・配布等による安全意義の高揚を図る等総合的な安全衛生指導を行うものとする。

第三 連絡協調等

都道府県は、本対策を円滑かつ効率的に実施するため、適切な助言、指導、必要な資料の提供その他の援助を行うとともに職業安定機関、労働基準局、労働基準監督署、営林局署、地方農政局、市町村及び林業関係団体等と密接な連絡協調を図るほか、林業労働力対策の対象となる事業体及び労働者の意見が十分反映されるよう配慮し、現地の実態に即した適切な措置が講ぜられるよう努めるものとする。

第四 国の助成

国は、都道府県が行う本対策の効果的実施を図るため指導を行うとともに、予算の範囲内において、都道府県が本対策の実施に要する別表五に掲げる経費につき補助するものとする。