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○金融機関等の業務停止に伴う勤労者財産形成貯蓄契約等の取扱いについて
(平成八年一二月二六日)
(労発第二五〇号)
(各都道府県知事あて労働省労政局長通達)
近年の金融機関を取り巻く情勢の変化の下、経営状況が悪化している金融機関に対しては、処理を先送りせず速やかに対処することが金融システムの早期の機能回復につながるという考え方にたち、業務停止等の措置が講じられているところであります。このような措置の法的枠組みは従来から講じられていたところですが、最近まで現実に活用される場面がなかったことから、その活用を念頭に置いた財形制度上の措置は講じられていなかったところであります。
先般、その業務の一部について停止を命ぜられた三福信用組合及び阪和銀行のケースにおいては、業務停止後の「新規の預入」はできないこととされ、勤労者財産形成貯蓄についても定期の預入ができず、結果として勤労者の財産形成に支障が生ずることとなっています。
このため、本日、勤労者財産形成促進法施行令の一部を改正する政令(平成八年政令第三四七号。以下「改正令」という。)が公布され、下記のとおり、金融機関等が業務停止命令を受けた場合における勤労者財産形成貯蓄契約等に係る預替え制度が創設され、本日から施行されましたので、よろしく御承知おきくださいますようお願いいたします。
記
一 業務停止命令を受けた財形貯蓄取扱機関等からの預替え制度の創設
(一) 本制度は、既に勤労者財産形成貯蓄契約等(勤労者財産形成貯蓄契約、勤労者財産形成年金貯蓄契約又は勤労者財産形成住宅貯蓄契約をいう。以下同じ。)を締結している勤労者が、
① 当該契約(以下「従前の契約」という。)の相手方である財形貯蓄等取扱機関(財形貯蓄取扱機関、財形年金貯蓄取扱機関又は財形住宅貯蓄取扱機関をいう。以下同じ。)が、従前の契約に基づく預入等に係る金銭の払込みの受入れに係る業務の停止を命ぜられたことにより、当該金銭の払込みを行うことができなくなった場合
又は
② 当該業務の停止を命ぜられた財形貯蓄等取扱機関から営業又は事業の譲渡を受けた財形貯蓄等取扱機関が、従前の契約に基づく預入等に係る金銭の払込みの受入れを行っていないことにより、当該金銭の払込みを行うことができなくなった場合に該当することとなった場合に、当該業務停止の日から一年以内に、他の財形貯蓄等取扱機関との間で、従前の契約に基づく預貯金等及びこれに係る利子等又は保険料若しくは共済掛金の払込みに係る金額の金銭その他の金銭により、他の財形貯蓄等取扱機関との間で締結した契約に基づく最初の預入等に係る金銭の払込みを行う旨その他の事項を定める契約(新契約)を締結した場合には、当該新契約は従前の契約に定める預貯金等の預入等、生命保険、生命共済又は損害保険に関しても約定した契約とみなし、当該みなされた契約は勤労者財産形成貯蓄契約等に該当するものとみなされるものである(勤労者財産形成促進法(以下「法」という。)第六条第六項(同条第七項において準用する場合を含む。)、改正令による改正後の勤労者財産形成促進法施行令(以下「新令」という。)第一四条の二三第五号など)。
なお、②の場合における法第六条第六項第一号等の適用に当たっては、当該営業又は事業の譲渡を受けた財形貯蓄等取扱機関が「従前の契約の相手方である財形貯蓄等取扱機関」となるものである。
(二) 従前の契約が勤労者財産形成年金貯蓄契約の場合であって、最終預入日後に当該契約の相手方である財形年金貯蓄取扱機関が上記(一)①又は②に該当することとなったときの取扱いについて
この場合においては、当該契約に基づく預入等は終了しているため、形式的には法第六条第七項で準用する同条第六項第二号及び第三号(新令第一四条の二八第二項)の要件を満たすことができなくなる。しかしながら、勤労者財産形成年金貯蓄契約は、法律上、当該契約に基づく預入等に係る金銭の払込みのみならず、年金としての支払の場面までを一体としてその契約要件を規定しているため、事実上新契約に基づく預入等(最初の預入等を除く。)はないものの、既に終了した当該金銭の払込みが同条第七項で準用する同条第六項第二号及び第三号に規定する要件を充足しているのであるから、必ずしもその預入等が事実上ないことのみに着目して新契約の要件を判定する必要はなく、この場合においても、(一)のとおり預替えを認めることとする。
なお、この取扱いは、勤労者財産形成年金貯蓄契約の相手方である財形年金貯蓄取扱機関又は業務の停止を命ぜられた当該財形年金貯蓄取扱機関から営業又は事業の譲渡を受けた財形年金貯蓄取扱機関について(一)の①又は②に該当することとなった場合に限られるものである。
二 施行期日等
改正令のうち本措置に係る部分は、公布の日から施行することとすること。