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○家内労働法の施行について

(昭和四五年一〇月一日)

(発基第一一五号)

(各都道府県労働基準局長あて労働事務次官通達)

家内労働法(以下「法」という。)は、本年五月一六日、昭和四五年法律第六〇号として公布され、その附則第一条の規定に基づき制定公布された「家内労働法の施行期日を定める政令(昭和四五年政令第一四九号)」によつて、家内労働に関する審議機関に関する規定および法の施行体制の整備に関する規定は本年六月一日から、その他の規定は本年一〇月一日から施行された。

これに伴い、「家内労働審議会令(昭和四五年政令第一五〇号)」、「家内労働法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(昭和四五年政令第一五一号)」および「労働省組織規程の一部を改正する省令(昭和四五年労働省令第一五号)」が五月三〇日に公布、六月一日から施行され、さらに、本法の施行に必要な省令は、「家内労働法施行規則(昭和四五年労働省令第二三号)」(以下「則」という。)として九月三〇日公布され、一〇月一日から施行された。

家内労働は、以前から広く行なわれてきており、最近では、労働力不足の進展などにより増加の傾向にさえあるが、家内労働者の労働条件は一般的に低く、最近の経済の発展により雇用労働者などの就業条件が向上しているなかにあつて、その改善も遅れがちの状況にある。

このため労働省は、昭和三四年以来、臨時家内労働調査会および引き続き家内労働審議会に対し、家内労働対策の検討を依頼してきたところであり、一〇年にわたる調査審議による答申に基づき家内労働法案を作成し、第六三回国会において本年五月八日その成立をみたものである。

本法は、工賃の最低額、安全および衛生その他家内労働者に関する必要な事項を定めて、家内労働者の労働条件の向上を図り、もつて家内労働者の生活の安定に資することを目的とするものであつて、最低工賃を除き、従来ほとんど法的保護の対象となつていなかつた家内労働者に対してあらたに法的保護を加えようとするものであるが、家内労働問題は、各般にわたる国難な問題を内包しているので、本法の運用にあたつては、とくに下記の留意のうえ、法制定の趣旨について関係者の十分な理解と協力を得て、実情に即しつつその円滑な実施に努められたく、命により通達する。

第一 本法の基本的考え方について(法第一章関係)

一 目的(法第一条関係)

本法は、工賃の最低額、安全および衛生その他の家内労働者に関する必要な事項を定めて、家内労働者の労働条件の向上を図り、もつて家内労働者の生活の安定に資することを目的とするものである。

また、本法で定める家内労働者の労働条件の基準は最低のものであるから、委託者および家内労働者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならないことを明らかにしたものであること。

二 定義(法第二条関係)

(一) 本法で「委託」とは、他人に物品を提供して、物品の製造または加工等を委託することおよび他人に物品を売り渡して、物品の製造または加工等を委託し、その製造または加工等に係る物品を買い受けることを約することをいうものであること。これらを本法における「委託」として法適用の対象としたのは、家内労働者が委託者以外のものから原材料等を購入して製造加工等に従事する自営業的なものと区別する趣旨であること。

なお、運搬等物品の製造または加工等以外の委託は含まないものであること。

(二) 本法で「家内労働者」とは、物品の製造加工等に従事する者のうち、物品の製造加工等もしくは販売またはこれらの請負を業とする者から委託を受けて、主として労働の対償をうるために、その業務について単独で、または同居の親族のみを使用して行なうことを常態とするものをいうこと。

なお、「家内労働者」の範囲は、実質的に改正前の最低賃金法(家内労働法附則第四条の規定により改正される以前の最低賃金をいう。以下同じ。)と同様であるが、同法にはなかつた「主として労働の対償を得るために」という文言が、加えられたのは家内労働者の労働者的性格をより明確にしたものであること。

(三) 本法で「委託者」とは、物品の製造加工等もしくは販売またはこれらの請負を業とするものであつて、業務の目的物たる物品の製造加工等を家内労働者に委託するものをいうこと。

なお、改正前の最低賃金法においては、家内労働者に委託をする者および委託者のために行為するすべての者を「委託者」と規定していたが、本法では責任の所在を明確にするため、「委託者」を家内労働者に委託する者に限定したこと。しかしながら、委託者のために行為する者が本法に違反する行為をしたときは、委託者の従業者として罰則の適用を受けるものであること(法第三六条参照)。

また、法第二条第二項および第三項において物品の製造、加工等もしくは販売またはこれらの請負を業とする者のほか、「これらの行為に類似する行為を業とする者であつて労働省令で定めるもの」も委託者となる旨定められているが、複雑かつ流動的な家内労働の実態にかんがみ、本法を適用する必要のある者が生じた場合に労働省令で指定しようとするもので、当面「労働省令で定めるもの」は予定されていないこと。

(四) 本法で「補助者」とは家内労働者の同居の親族であつて、その家内労働者の従事する業務を補助する者をいうこととし、就業時間、安全衛生および申告について直接本法の適用の対象としたものであること。

第二 家内労働手帳について(法第三条関係ならびに則第一条および則第三〇条関係)

一 家内労働手帳は、家内労働者の権利を保護し、不明確な委託関係から生じる当事者間の争いを防止するため、委託条件を文書で明確にさせようとするものであること。また家内労働手帳は委託者が家内労働者に交付し、および記入しなければならないものであること。なお、家内労働手帳の交付は、最初に物品を提供するときまでに行なわなければならないものであること。

二 他方、家内労働者においても、記入された事項に誤りがないか確認するとともに家内労働手帳を委託者が最後の記入をした日から二年間保存しなければならないものとしたこと。

三 家内労働手帳は、原則として様式第一号により作成するものとするが、必要な事項が記載されており、家内労働手帳制度の趣旨にかなうものである限りは、伝票形式など別の様式によつてもさしつかえないものであること。

四 資本金または出資額が一、〇〇〇万円をこえる法人たる事業者から製造委託または修理委託を受ける家内労働者は、親事業者との取引関係において下請事業者の利益を保護することを目的とする下請代金支払遅延等防止法(昭和三一年法律第一二〇号)(以下「下請法」という。)でいう下請事業者に該当するので、本法による家内労働手帳の交付義務と下請法による親事業者の書面の交付義務が競合して委託者の負担が過重となることをさけるため、下請法の書面に記載すべき事項は、すべて家内労働手帳の記入事項とし、家内労働手帳が交付された場合には下請法の書面の交付もあつたものと取り扱うことができるようにしたものであること。

第三 就業時間について(法第四条および則第二条関係)

一 法第四条第一項は、家内労働者が就業する場所の周辺地域、具体的には、家内労働産地などにおいて、同種の雇用労働者の通常の労働時間と比較して家内労働者および補助者に長時間にわたる労働を余儀なくさせるような委託をし、または委託をうけることがないように委託者または家内労働者が努めなければならないものとしたものであること。この場合、労働者の通常の労働時間とは、労働者の所定労働時間を意味するものではなく、時間外労働及び休日労働を含む通常の労働時間をいうものであること。

二 法第四条第二項は、具体的には、前記一の場合のように家内労働者と雇用労働者とが同様の業務を行なつているような特定の産地において、家内労働者または補助者が雇用労働者の通常の労働時間をこえて業務に従事している場合には、当該産地の家内労働者およびこれに委託する委託者に対して、一せい始業、一せい終業その他就業時間の適生化を図るために必要な措置をとることを勧告することができるものとしたものであること。

なお、この場合、勧告は個別的ではなく、当該特定産地における関係委託者および家内労働者全般に対して行なうものであること。

第四 委託の打切りの予告について(法第五条関係)

家内労働者が長い期間にわたつて、同一の委託者から委託を受けているような場合には、これが突然打ち切られると、その家内労働者は予定された生活設計の変更を余儀なくされることになるので、そのような場合には、委託者はその旨を遅滞なく家内労働者に予告するように努めなければならないものとしたものであること。なお、本条は、家内労働が雇用労働と異なり一般に委託量の変動が激しいという事情を考慮して、努力規定にとどめたものであること。

第五 工賃の支払いについて(法第六条、法第七条、法第一六条、法附則第二条および法附則第三条ならびに則第三条および則附則第三条から第六条まで関係)

一 家内労働者は、その工賃により生活を維持し、または生計を補助するため労働しているものであるから、工賃は原則として、通貨でその全額を、委託者が家内労働者から物品を受領した日から一月以内に、または毎月の工賃締切日から一月以内に支払わなければならないこととしたものであること。ただし委託者の営業所と家内労働者の作業場とが遠く離れている場合などには家内労働者にとつても便利な場合があることを考慮し、家内労働者の同意を得た場合には、郵便為替の交付、銀行等に対する預貯金への振込または郵便振替口座への払込みもしくは振替によることができるものとしたものであること。

二 法第六条第一項は、工賃の通貨による全額払いを規定したもので、工賃からの控除を禁止する趣旨であり、原材料等の代金その他委託者が家内労働者に対して持つ債権と工賃との相殺は認めないものであること。

三 検査をするかどうかを問わず一月以内に工賃を支払わなければならないこととしたのは、検査が完了していないことを理由として、工賃支払いを延引することを防止する趣旨であり、一月という期間の経過後に検査をして不良品が発見された場合にも工賃の支払義務を免れるものではないこと。ただし一月以内に検査をして不良品が発見された場合には、それに対応する工賃を支払わなくても本条の適用はないものであること。

四 工賃の支払期日は、法律上あらかじめ特定すべきことを明確には規定していないが、本法の目的からみて、製品の受領後一定期日払いまたは毎月一定期日払いの定めをすることが望ましいものであること。

五 工賃は原則として前記一により支払わなければならないものであるが、工賃の支払いについて手形による決済が慣習として行なわれている場合には、法第六条の原則による支払いを、ただちに委託者に義務づけるのは適当でない場合もあるので、法施行の際現に工賃について手形による決済を慣習としている委託者の代表者から申請があつた場合には、労働大臣または都道府県労働基準局長は、中央家内労働審議会または地方家内労働審議会(東京、愛知および大阪以外の都道府県労働基準局にあつては、地方労働基準審議会)の意見をきいて、当分の間、当該委託者について手形による決済ができるようにしたものであること。

六 家内労働者が所定の期日までに物品の製造または加工等を完了し、委託者に対し、履行の提供をしたにもかかわらず、正当な理由なく、委託者がその受領を拒否した場合には、委託者は当該物品を受領したものとみなされ、法第六条の原則が適用されるものであること。

七 法第六条第二項の「労働省令」は、複雑かつ変化に富む家内労働の実情にかんがみ、本規定の適用が困難な場合が生ずることを考慮した規定であり、当面「労働省令で定める場合」は予定されていないこと。

八 家内労働は雇用労働の場合と異なり、委託者の営業所と家内労働者の作業場とが遠く離れている場合があり、工賃の支払および物品の受渡しが委託者の営業所で行なわれると、家内労働者に経済的および時間的負担がかかるおそれがあるので、原則としてこれらを家内労働者の作業場所で行なうよう努めなければならないこととしたものであること。

第六 最低工賃について(法第八条から第一六条まで、法附則第四条および法附則第五条ならびに則第四条から第九条まで関係)

一 改正前の最低賃金法においては、家内労働者の労働条件の改善を図り、および最低賃金の有効な実施を確保するために必要があるときに限つて、したがつて同一または類似の業務に従事する雇用労働者に適用される最低賃金があるときに限つて最低工賃の決定ができることとされていたが、本法では、工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るため必要があるときは最低工賃を決定しうることとされ、これに伴い、改正前の最低賃金法の最低工賃に関する規定は削除されたものであること。

二 しかしながら、最低工賃は、最低工賃を決定しようとする家内労働者と同一の地域内で同一または類似の業務に従事する雇用労働者に適用される最低賃金がある場合には、当該最低賃金、そのような最低賃金が決定されていない場合には、最低賃金が決定されるとすれば、決められるであろう最低賃金との均衡を考慮して定められなければならないものであること。

三 最低工賃の決定にあたつての審議会等への諮問(法第八条)、最低工賃の決定についての審議会の意見に関する異議の申出(法第九条、則第四条および則第五条)、最低工賃の改正および廃止(法第一〇条)、最低工賃の決定等に関する関係家内労働者または関係委託者の意見の聴取等(法第一一条ならびに則第六条および則第七条)、最低工賃の公示および発効(法第一二条および則第八条)および最低工賃に関する職権等(法第一五条および則第九条)に関する各規定は、最低賃金法に基づく最低賃金の決定等の場合と同様のものであること。

第七 安全および衛生について(法第四章関係)

一 家内労働は、一般に家内労働者の自宅で行なわれているので、家内労働者みずから管理する作業環境から生ずる危害の発生についてすべて委託者に責任を課すことは困難であるが、委託者が家内労働者に一定の機械器具または有機溶剤等一定の原材料等を譲渡し、貸与し、または提供する場合には委託者は、安全装置の取付け(則第一〇条)、構造規格適合等の確認(則第一一条および則第一二条)、防護措置(則第一三条)、危害防止のための書面の交付(則第一四条第一項)および有害物について必要条件をみたした容器の使用(則第一五条第一項)の措置を講じなければならないこととしたものであること(法第一七条第一項)。

なお、このほか委託者は、家内労働者等が危害防止のために講じる措置について必要な援助を行なうよう努めなければならないこととしたものであること(則第二一条)。

二 家内労働者および補助者の生命身体を保護するためには作業の性質上委託者が必要な措置を講ずるだけでは、不十分であるので、家内労働者自身も危害防止のための書面の掲示(則第一四条第二項)、保護具等の使用(則第一九条)および危険物の取扱いにあたつて必要な事項の遵守(則第二〇条)などの措置を講じなければならないこととしたものであること(法第一七条第二項)。

なお、このほか家内労働が一般的に家内労働者自らが管理する作業環境において行なわれている事情にかんがみ、家内労働者は、危害防止のための書面に記載された注意事項の遵守(則第一四条第三項)、家内労働者が委託者以外から調達する有害物または機械器具についての必要な容器の使用または危害防止装置の取付け(則第一五条第二項および則第一七条)および有機溶剤等を取り扱う業務等に従事する場合における局所排気装置等の設置(則第一八条)などの措置を講ずるよう努めなければならないこととしたものであること。

三 補助者についても、危害防止のための措置がより効果のあるものとなるよう、守らなければならない事項として、保護具等の使用(則第一九条)および危険物の取扱い事項(則第二〇条)を定めたほか(法第一七条第三項)、危害防止のための書面に記載された注意事項を守るよう努めなければならないこととしたものであること(則第一四条第三項)。

四 このほか女子年少者労働基準規則(昭和二九年労働省令第一三号)第八条または第九条に就業制限業務として掲げる業務のうち、家内労働に関係のある業務については、委託者は満一八歳未満の家内労働者もしくは補助者(則第一六条第一項)または満一八歳以上の女子である家内労働者もしくは補助者(則第一六条第二項)を就業させることとなる委託をしないように努めなければならず、またこれらの家内労働者または補助者自身もこれらの業務に従事しないように努めなければならないこととしたものであること(則第一六条第三項および第四項)。

五 都道府県労働基準局長または労働基準監督署長は、委託者または家内労働者が前記一の前段または前記二の前段の措置を講じない場合には、当該委託者または家内労働者に対し、委託もしくは受託の禁止または機械器具、原材料等の使用停止その他必要な措置を命ずることができることとしたこと(法第一八条および則第二二条)。

第八 家内労働に関する審議機関について(法第五章ならびに家内労働審議会令、労働基準監督機関令(昭和二二年政令第一七四号)第二九条の二および最低賃金審議会令(昭和三四年政令第一六三号)第六条関係)

一 労働大臣または都道府県労働基準局長の諮問に応じ、家内労働に関する重要事項を調査審議し、およびこれに関し必要と認める事項を建議するため、労働省に中央家内労働審議会を、東京、愛知および大阪の都道府県労働基準局には地方家内労働審議会を置くものとしたものであること(法第一九条および法第二〇条第一項ならびに家内労働審議会令第一条第二項)。

なお、前記以外の都道府県労働基準局にあつては、最低工賃に関する事項は、地方最低賃金審議会が、その他の事項は地方労働基準審議会がつかさどることとしたものであること。

二 中央および地方家内労働審議会(東京、愛知および大阪以外の都道府県労働基準局に置かれている地方最低賃金審議会を含む。後記三において同じ。)は、最低工賃の決定等について調査審議を求められたときは、最低工賃専門部会を、また、東京、愛知および大阪以外の地方労働基準審議会は、家内労働に関する専門の事項を調査審議するため家内労働部会を、それぞれ置かなければならないものであること。

三 中央、地方家内労働審議会およびこれらの最低工賃専門部会、ならびに地方労働基準審議会家内労働部会は、いずれも家内労働者を代表する委員、委託者を代表する委員および公益を代表する委員各同数をもつて組織し、これらのうち家内労働者を代表する委員および委託者を代表する委員については、いずれも関係者に候補者の推せんを求め原則として推せんのあつた候補者のうちから任命するものであること。

四 このほか、委員の任期は、中央および地方家内労働審議会ならびに地方労働基準審議会家内労働部会については、二年、最低工賃専門部会についてはその任務終了により廃止されるまでとするものであり、委員の数は、中央家内労働審議会については一八人以内、地方家内労働審議会については一五人以内、ならびに地方労働基準審議会家内労働部会および最低工賃専門部会については九人以内とするものであること。

第九 その他の事項について(法第六章および法第七章関係)

一 国または地方公共団体の援助(法第二五条関係)

この法律の目的を達成するために国または地方公共団体は、家内労働者および委託者に対し、資料の提供、技術の指導、施設に関する便宜の供与その他必要な援助を行なうよう努めなければならないものであること。

なお、地方公共団体の運営する内職公共職業補導事業は、本条に基づく国または地方公共団体の努力の一環であると解されること。

二 届出(法第二六条、則第二三条および則附則第三条関係)

家内労働の現状の把握に資するため委託者の届出義務を明らかにするとともに、委託状況届および家内労働死傷病届の提出について定めたものであること。

なお、昭和四五年度における委託状況届については、必要な経過措置を設けたものであること。

三 帳簿の備付け(法第二七条および則第二四条関係)

委託関係を明確化し、労働基準監督機関の監督に便ならしめるため委託者の帳簿の備付け義務を明らかにするとともに、必要な記入事項および様式を定めたものであること。

四 報告等(法第二八条および則第二五条関係)

労働大臣、都道府県労働基準局長、労働基準監督署長または労働基準監督官は、委託者または家内労働者に対し、報告させ、または出頭を命ずることができるものとするとともに、その手続きを定めたものであること。

五 労働基準監督官の権限等(法第二九条から第三一条までならびに則第二六条および則第二七条関係)

家内労働に関する監督等本法の施行に関する事務は、労働基準監督署長および労働基準監督官がつかさどるが、これまで、ほとんど労働保護立法の対象にならなかつた分野についてのものであり、かつ、とくに家内労働が一般に家内労働者の自宅で行なわれているなどの事情を考慮して、立入検査等の権限の行使は、有効適切に行なうべきものであること。また、労働基準監督官は、本法違反の罪について、特別司法警察職員として司法警察員の職務を行なうものであること。

六 申告(法第三二条および則第二八条関係)

本法の遵守を一そう促進するため、委託者に法令に違反する事実がある場合には、関係家内労働者または補助者は、その事実を労働基準監督機関に申告できることとし、この申告を理由として委託者が家内労働者に不利益な取扱いをした場合には、労働基準監督機関は、その是正を命ずることができることとしたものであること。

七 罰則(法第三三条から第三五条まで関係)

法の施行を確保するために必要な罰則を設けたものであること。

八 両罰規定(法第三六条関係)

法第三三条から第三五条までの罰則については、法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人または人の業務に関して法違反の行為を行なつた場合には当該従業者等を罰するとともに、その法人または人に対しても罰金刑を科すことを定めたものであること。

なお、本規定による「従業者」には、委託者に使用される労働力のほか、委託に係る代理人(いわゆる代理的仲介人を含む。)も含まれるものであること。