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○自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について

(平成元年三月一日)

(基発第九三号)

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

自動車運転者の労働時間等の労働条件については、これまで昭和五四年一二月二七日付け基発第六四二号「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」(以下「旧改善基準」という。)によりその改善を図ってきたところであるが、今般、昭和六三年一〇月七日の中央労働基準審議会の中間報告を踏まえ、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第七号。以下「改善基準」という。別添一(略))が告示され、今後はこれを中心として自動車運転者の労働時間等の労働条件の改善を図ることとしたので、下記の事項に留意の上その運用に遺憾なきを期されたい。

改善基準については、本職より別添二(略)により関係労使団体及び陸上貨物運送事業労働災害防止協会に対しその遵守方を、また、別添三(略)及び四(略)により荷主団体及び旅行業者団体に対しその協力方を要請したところがあるが、貴職においても管内における関係労使団体、荷主団体等に対し同様の要請をすることとされたい。

なお、改善基準及び本通達に基づく監督指導は、本年四月一日以降実施することとされたい。

おって、旧改善基準及び昭和五五年一月一六日付け基発第二一号「「自動車運転者の労働時間等の改善基準」運用上の留意事項について」は、本年三月三一日をもって廃止する。

第一 経緯

自動車運転者の労働時間等の労働条件については、これまで旧改善基準によりその改善指導に努めてきたところであるが、中央労働基準審議会においては、「自動車運転者の労働時間等の規制に係る問題については、関係労使等を加えた検討の場を設けて引き続き検討する」(昭和六一年一二月一〇日「労働時間法制等の整備について」の建議)こととされ、昭和六二年四月二四日、同審議会に関係労使の代表が参加する自動車運転者労働時間問題小委員会が設置された。

同小委員会は、トラック関係、バス関係及びハイヤー・タクシー関係の三つの作業部会を設け、一年余にわたり自動車運転者の労働時間等の規制に係る問題について検討を重ねた上、昭和六三年一〇月七日、旧改善基準のうち拘束時間、最大拘束時間、休息期間及び運転時間に係る事項については告示によることとすること、タクシーに乗務する自動車運転者について一日の拘束時間の基本を一四時間から一三時間に短縮すること等を内容とする中間的な報告(「自動車運転者の労働時間等の規制のあり方等について」)がまとめられ、同審議会から労働大臣あて報告がなされた。

改善基準は、この報告の趣旨に沿い策定されたものである。

なお、この報告では一般乗用旅客自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者の拘束時間等については触れられていないが、今回の報告は中間的なものであり、これらについては引き続き同小委員会において検討が行われることとされている。

第二 改善基準の内容(削除)

第三 労働時間等の取扱い及び賃金制度等に関する基準

一 内容

(一) 労働時間等の取扱い

イ 労働時間の取扱い

労働時間は、拘束時間から休憩時間(仮眠時間を含む。)を差し引いたものとすること。この場合において、事業場外における仮眠時間を除く休憩時間は三時間を超えてはならないものとすること。ただし、業務の必要上やむを得ない場合であって、あらかじめ運行計画により三時間を超える休憩時間が定められている場合、又は運行記録計等により三時間を超えて休憩がとられたことが客観的に明らかな場合には、この限りでないものとすること。

ロ 休日の取扱い

休日は、休息期間に二四時間を加算して得た、連続した時間とすること。ただし、いかなる場合であっても、その時間が三〇時間を下回ってはならないものとすること。

(二) 賃金制度等

自動車運転者の賃金制度等は、次により改善を図るものとすること。

イ 保障給

歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金の六割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めるものとすること。

ロ 累進歩合制度

歩合給制度のうち累進歩合制度は廃止するものとすること。

ハ 年次有給休暇の不利益取扱いの是正

法附則第一三四条の規定に従い、年次有給休暇を取得したとき、不当に賃金額を減少させないものとすること。

二 留意事項

(一) 労働時間等の取扱いに関する留意事項

イ 労働時間の取扱いについて

(イ) 自動車運転者の業務は事業場外において行われるものではあるが、通常は走行キロ数、運転日報等からも労働時間を算定し得るものであり、一般に法第三八条の二の「労働時間を算定し難いとき」という要件には該当しないこと。

事業場外における休憩時間については、就業規則等に定めた所定の休憩時間を休憩したものとして取り扱うこととしたが、休憩時間が不当に長い場合は歩合給等の賃金体系との関連から休憩時間中も働く可能性があるので、事業場外での休憩時間は、仮眠時間を除き、原則として三時間を超えてはならないものとしたこと。

なお、手待時間が労働時間に含まれることはいうまでもないこと。

(ロ) 自動車運転者の労働時間管理を適正に行うためには、運転日報等の記録の適正な管理によることのほか、運行記録計による記録を自動車運転者個人ごとに管理し、労働時間を把握することも有効な方法であること。

したがって、労働時間管理が不十分な事業場のうち、車両に運行記録計を装着している事業場に対しては、運行記録計の活用による適正な労働時間管理を行うよう指導するとともに、車両に運行記録計を装着していない事業場に対しては、運行記録計を装着する等により適正な労働時間管理を行うよう指導すること。

また、昭和六三年一〇月七日の中央労働基準審議会の中間報告においては、「自動車運転者の労働時間管理を適正に行うため、自動車運転者個人ごとの労働時間等を容易に把握し得る計器の活用が図られることが適当である。また、いわゆる流し営業を主体とするタクシーについては、現在運行記録計の装着を義務付けられていない車両についても、上記のような計器の活用が図られるべきである。」とされているので、留意すること。

ロ 休日の取扱いについて

法第三五条に規定する休日は原則として暦日を単位として付与されるべきものであるが、自動車運転者については、その業務の特殊性から暦日を単位として休日を付与することが困難であるため、休息期間に二四時間を加算して得た労働義務のない時間、すなわち通常勤務の場合には連続した労働義務のない三二時間を、隔日勤務の場合には連続した労働義務のない四四時間を休日として取り扱うこととしたこと。

また、休息期間を分割して付与した場合、二人乗務の場合及びフェリーに乗船した場合には、休息期間に二四時間を加算しても三〇時間に満たない場合があるが、この場合については、休息期間に二四時間を加算して得た時間ではなく、連続した三〇時間の労働義務のない時間を休日として取り扱うこととしたこと。

なお、休日が暦日を単位として付与されている場合であっても、当該時間が上記所定の時間に満たない場合は、上記一の(一)のロの要件を満たさないものであること。

(二) 賃金制度等に関する留意事項

イ 保障給について

上記一の(二)のイの趣旨は歩合給制度を採用している場合には、労働者ごとに労働時間に応じ各人の通常賃金の六割以上の賃金が保障されるようにすることを意図したものであって、六割以上の固定的給与を設けなければならないという趣旨ではないこと。

「通常の賃金」とは、原則として、労働者が各人の標準的能率で歩合給の算定期間における通常の労働時間(勤務割に組み込まれた時間外労働及び休日労働の時間を含む。)を満勤した場合に得られると想定される賃金額(上記の時間外労働及び休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われる賃金及び賞与を除く。)をいい、「一時間当たりの保障給」の下限は次の算式により算定すること。

なお、「一時間当たりの保障給」の実際の算定に当たっては、特段の事情のない限り、各人ごとに過去三箇月程度の期間において支払われた賃金の総額(すべての時間外労働及び休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われた賃金及び賞与を除く。)を当該期間の総労働時間数で除して得た金額の一〇〇分の六〇以上の金額をもって充てることとして差し支えなく、また、毎年一回等定期的にあらかじめ定めておく場合には、特段の事情のない限り、当該企業の歩合給制労働者に対し過去三箇月程度の期間に支払われた賃金の総額(すべての時間外労働及び休日労働に対する手当を含み、臨時に支払われた賃金及び賞与を除く。)を当該期間の延総労働時間数で除して得た金額の一〇〇分の六〇以上の金額をもって保障給として差し支えないこと。

ロ 累進歩合制度について

賃金制度は、本来、労使が自主的に決定すべきものであるが、上記一の(二)のロでは、歩合給制度のうち累進歩合制度を特に廃止すべきこととしたこと。

累進歩合制度には、水揚高、運搬量等に応じて歩合給が定められている場合にその歩合給の額が非連続的に増減するいわゆる「累進歩合給」(参考一)、水揚高等の最も高い者又はごく一部の労働者しか達成し得ない高い水揚高等を達成した者のみに支給するいわゆる「トップ賞」、水揚高等を数段階に区分し、その水揚高の区分の額に達するごとに一定額の加算を行ういわゆる「奨励加給」(参考二)が該当するものであること。

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第四 法定基準の確保

改善基準及び上記第三に定める基準は、自動車運転者の労働の実態にかんがみ、自動車運転者の労働時間等の労働条件の改善を図るため、法に定める事項のほかに必要な事項を定めているものであるが、割増賃金の適正かつ確実な支払い、実態に即した就業規則の整備、賃金台帳の適正な記録、仮眠施設の設置、健康診断の実施等法及び労働安全衛生法に定められた事項を遵守すべきことはいうまでもなく、特に割増賃金の支払について不適正な事例がみられるので、更に徹底させるよう監督指導を行うこと。

第五 重点対象 (削除)

別添1~4(省略)