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○社内預金の利率の上限規制等について

(平成八年二月一六日)

(基発第六二号)

(各都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

標記について、左記一のとおり取り扱うこととし、この取扱いに伴い、左記二のとおり、昭和五二年一月七日付け基発第四号「社内預金制度の運用について」(以下「四号通達」という。)を改正することとしたので、了知の上、これが運用に遺憾なきを期されたい。

一 上限規制について

(一) いわゆる社内預金の上限利率については、昭和三〇年代後半に高利率を付した社内預金による資金調達が過剰に行われるなどの問題が認められ、著しい高利率は①市中金利体系との整合性を乱すこと、②預金の安全性の確保に問題があること等の弊害が生じたことから、昭和四一年以降、行政的措置として、毎年度、その年初の市中最高金利を基に上限利率を示し、社内預金制度を実施する事業場に対しては、預金の利率を上限利率以下とするよう指導を行ってきたところである。

しかしながら、

イ 平成六年をもって市中金利が完全に自由化されたこと

ロ 著しい高利率による預金の安全性の確保については、上限利率に係る指導による規制によってではなく、本来、保全措置の適正化によって図るべきものであり、賃金の支払の確保等に関する法律第三条に基づき、社内預金制度を実施している事業主に対して保全措置を講ずることが義務付けられており、また、当該保全措置中問題が認められている預金保全委員会方式については、従来から、その実効性に係る指導を行ってきていること

ハ 上限利率に係る指導の背景となった昭和三〇年から四〇年代に比し、現在、企業等においても金融機関からの資金調達が容易になった上に市中金利が低水準にあるなどの状況の変化により、著しい高利率の設定は予想されないこと

等現在の状況においては、上限利率を示し、それに係る指導を行う意義が乏しくなっていると認められることから、当面、上限利率を示すこと及び当該利率に係る指導は行わないものであること。

(二) 貯蓄金管理に関する協定における預金の利率について、これまで、労働省が毎年示す上限利率を参考としてきた労使もあることが考えられることから、当面、上限利率に係る指導を行わないものであることについて、あらゆる機会において、その旨の周知徹底を図ること。

(三) 従来、預金の利率について労働省の示す上限利率による旨を協定してきた労使等からの協定するに当たっての目安なり指標についての問合わせに対しては、今後は上限利率を意識することなく下限利率以上において労使の自主的な協議により利率を協定するものであり、労働省として目安や指標は示さないことを十分説明すること。

なお、その際、労働省が従来上限利率を示す際に指標としてきた利率について問われた場合には、これまで毎年一月一日現在における市中最高金利商品であった貸付信託の予想配当率又は定期預金の利率の最高値(これが下限利率を下回る場合には、下限利率と同率をもって上限利率としてきたこと。)であった旨説明すること。

二 四号通達の改正について

四号通達の記の第二の四を次のように改める。

預金の利率について、著しく高い利率を定めることは、市中金利体系との整合性及び預金の安全性の確保の問題がある等その弊害も黙視し得ないことから、これまで、毎年度ごとに行政指導上の基準としての預金の利率の上限(以下「上限利率」という。)を示し、預金の利率を上限利率以下とするよう指導してきたところである。

しかしながら、

イ 平成六年をもって市中金利が完全に自由化されたこと

ロ 著しい高利率による預金の安全性の確保については、上限利率に係る指導による規制によってではなく、本来、保全措置の適正化によって図るべきものであり、賃金の支払の確保等に関する法律第三条に基づき、社内預金制度を実施している事業主に対して保全措置を講ずることが義務付けられており、また、当該保全措置中問題が認められている預金保全委員会方式については、従来から、その実効性に係る指導を行ってきていること

ハ 上限利率に係る指導の背景となった昭和三〇年から四〇年代に比し、現在、企業等においても金融機関からの資金調達が容易になった上に市中金利が低水準にあるなどの状況の変化により、著しい高利率の設定は予想されないこと

等現在の状況においては、上限利率を示し、それに係る指導を行う意義が乏しくなっていると認められることから、当面、上限利率を示すこと及び当該利率に係る指導は行わないものであること。