添付一覧
○労働基準法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行について
(昭和六〇年四月一日)
(基発第一七五号)
(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)
労働基準法(昭和二二年法律第四九号)第四〇条の規定に基づく八時間労働制の原則に対する特例(以下「特例」という。)については、労働基準法施行規則の一部を改正する省令(昭和五六年労働省令第五号。以下「五六年省令」という。)に基づき基本的に廃止するとの方針のもとに、同省令附則により段階的、漸進的に廃止してきたところであるが、鉄道等の運送の事業における特殊日勤又は一昼夜交替勤務従事者及び常時一〇人未満の労働者を使用する商業・サービス業の事業に係る暫定措置に関しては、その延長の要否について、昭和六〇年三月三一日までに中央労働基準審議会の意見を聴き、その結果、必要がある場合には所要の措置を講ずるものとされていたところである。
標記労働基準法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令(以下「改正省令」という。)は、このような経緯等を踏まえ制定されることとなつたものである。
ついては、下記事項に留意の上、改正省令の円滑な施行に遺憾なきを期されたい。
記
第一 改正の内容等
今回の措置は、昭和五六年二月二六日付け基発第一一四号通達(以下「五六年省令施行通達」という。)にも示しているように、五六年省令制定の際、「暫定措置の期間の終了の時点における状況によつては、昭和六〇年四月一日以降も引き続きその措置を存続させておくことが必要な場合も考えられる」とされていたことから、実態調査の結果等を踏まえ、特例の暫定措置を再検討し、結論を得たことによるものである。
今回の省令改正は、特例は基本的に廃止するとの原則に基づき、運送の事業に係る暫定措置を廃止するとともに、暫定措置の対象事業の中でも、八時間労働制への移行に多くの困難が伴う一〇人未満の商業・サービス業の事業について、その廃止を段階的・漸進的に進めていくとの従来の方針を堅持するものであり、全般的な労働時間対策の推進の上で意義を有するものである。
一 運送の事業に係る暫定措置の廃止(五六年省令附則第二条第二項関係)
労働基準法第八条第四号の事業に使用される労働者(列車、気動車、電車、自動車、航空機等に乗務する者を除く。)で特殊日勤又は一昼夜交替の勤務に就くものについての暫定措置(一日九時間、一週五四時間)を廃止することとされたこと。
なお、五六年省令附則第二条第一項の暫定措置(特殊日勤又は一昼夜交替の勤務に就くものについては、当分の間、一二週間平均で一週間四八時間以内の変形労働時間制によつて労働させることができる。)は、存続するものであること。
二 商業・サービス業に係る暫定措置の延長(五六年省令附則第三条及び第四条関係)
(一) 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業、映画の映写、演劇その他興行の事業、病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業、旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業(常時一〇人未満の労働者を使用する事業に限る。)についての暫定措置を昭和六三年三月三一日まで延長することとされたこと。
(二) (一)により延長する暫定措置のうち、常時五人未満の労働者を使用する事業に係る暫定措置の延長の要否については、昭和六三年三月三一日までの間において、中央労働基準審議会の意見を聴き、その結果、必要がある場合には、所要の措置を講ずることとされたこと。(五六年省令附則第四条関係)
なお、常時五人以上一〇人未満の労働者を使用する事業については、昭和六三年三月三一日をもつて廃止することとされたこと。
三 施行期日
(一) 五六年省令附則第二条及び第四条の改正部分については、昭和六〇年四月一日から施行することとされたこと。
(二) 五六年省令附則第三条の改正部分については、公布の日(昭和六〇年三月二五日)から施行することとされたこと。
第二 改正の経緯等
労働省としては、特例は五六年省令施行通達で示したとおり、基本的には、社会経済情勢や労働の実態の変化等に応じて検討され、廃止されるべき性格のものであるとの観点に立つとともに、昭和五九年五月及び七月に実施した実態調査結果等を踏まえて検討をすすめ、次の事情等を総合的に勘案して、改正省令案要綱を昭和六〇年三月七日中央労働基準審議会に諮問した。同審議会においては、労働者側委員からは特例の暫定措置の廃止の意見が強く出され、使用者側委員からはその存続の意見が出されたが、最終的には、同要綱について、同年三月一五日、「本審議会は、おおむね妥当と認める。なお、労働側委員から、一〇人未満の商業・サービス業の八時間労働制の特例は、基本的に廃止すべきものである旨の意見が表明されたので申し添える。」との答申を得たものである。
一 運送の事業に係る暫定措置について
鉄道等の一昼夜交替勤務従事者等に係る暫定措置については、昭和五九年七月に実施した一昼夜交替勤務の実態調査結果によりその実態をみると、ほとんどが、勤務形態等の工夫により、一二週平均で一週間四八時間以内の所定労働時間になることなどから、八時間労働制への移行の困難性が少ないと考えられるので、昭和六〇年三月三一日をもつてこれを廃止することとしたものである。
二 商業・サービス業に係る暫定措置について
(一) 商業・サービス業に係る暫定措置については、①昭和五九年五月の実態調査の結果によると、八時間労働制への到達率が過去昭和五六年及び五八年に廃止をみた対象事業の到達率に比べ相当低率であること、②経営基盤がぜい弱である一〇人未満の事業が対象であること、③労働基準法が罰則を伴う強行法規であることなどを勘案すれば、昭和六〇年三月三一日をもつてこれを廃止することは、時期尚早と考えられた。
(二) しかしながら、特例は基本的には廃止するとの方針に基づき、暫定措置について、五~九人規模については三年後に廃止することとし、到達率も更に低く、また、零細規模のために労働時間管理の合理化(例えば、時差勤務、交替勤務)の余地が比較的乏しい一~四人規模の事業については、昭和六三年三月三一日までにこの暫定措置の再延長の要否について中央労働基準審議会で意見を聴いた上で対処することとしたものである。
第三 行政の推進等について
特例については、五六年省令施行通達に基づき基本的に廃止する方向でその条件整備を図つてきたところであるが、改正省令の周知徹底、行政指導等に当たつては、従前にも増して細かな配慮を必要とすることから、同通達で指示したことに加え、次の点に留意すること。
(一) 特例は、法制定当初の社会経済情勢を背景として特殊の必要が認められる業種、業態に限つて認められたものであり、基本的には社会情勢や労働の実態の変化に応じて検討、廃止されるべき性格のものであり、今回の一〇人未満の商業・サービス業に係る特例の暫定措置の延長もこの基本的考え方を変更するものではないこと。
(二) 今回延長された暫定措置に係る商業・サービス業の事業が、昭和六三年三月三一日までに八時間労働制へ円滑に移行できるように、集団指導等あらゆる機会をとらえて広報活動等を行い、業界全体の、このための気運の醸成をはかること。また、対象業種における労働時間管理の適正化、合理化に対する諸般の努力を従前にも増して行うとともに、特に「商業・サービス業等自主的労働条件改善モデル事業」を推進するに当たつては、主として一〇人未満の商業・サービス業を対象とすること。
(三) 労働基準法第一条第二項の趣旨にかんがみ、既に一日の所定労働時間が八時間以内となつている事業場において、特例の暫定措置の延長を理由に一日八時間を超える所定労働時間を定める等の労働条件を低下させるようなことがあつてはならないことは、もとよりであること。
(四) なお、各局における取組み及び業界等の自主的改善努力等により、八時間労働制へ移行した例を、監五〇五により報告すること。
