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○労働基準法の一部を改正する法律等の施行について

(昭和二七年九月二〇日)

(基発第六七五号)

(各都道府県労働基準局長あて労働基準局長婦人少年局長通達)

労働基準法の一部を改正する法律(昭和二七年法律第二八七号)は、昭和二七年七月三一日公布され、九月一日から施行されることとなり、これに伴い労働基準法施行規則の一部を改正する省令(労働省令第二三号)、使用者が労働者の預金を受け入れる場合の利率を定める省令(労働省令第二四号)、労働安全衛生規則の一部を改正する省令(労働省令第二五号)、女子年少者労働基準規則の一部を改正する省令(労働省令第二六号)及び事業附属寄宿舎規程の一部を改正する省令(労働省令第二七号)も昭和二七年八月三一日公布され、九月一日から施行されることとなつたが、本改正は、平和条約が発効しわが国が再び独立した機会に、わが国経済の民主化を図りかつ労働条件の国際水準を維持するという基本方針は、これを堅持するとともに、手続の煩瑣な点及びわが国の実状に合わず、五年間の法施行の経験に鑑み運用上摩擦を生じていた点を修正したものであるから、労働者、使用者はもとより一般国民に対しても、充分本改正の趣旨を徹底せしめるとともに、特に左記事項に留意して運用の万全を期せられたい。

法第一八条関係

(一) 本条は、貯蓄金管理について、労働者側の意思を充分反映させるとともに、監督官庁に対する手続を簡素化する見地から、従来の認可制を、法第三六条の時間外労働協定と同様に、労使協定の届出制に改めたものであること。

(二) 第三項にいう管理規程には、利率、利子の計算方法、貯蓄金の保管及び返還の方法等について規定させること。

(三) 利率を定める省令の制定により、貯蓄金の利率は、年利六分以上でなければならないから、年利六分未満の利率を定めていても、法律上当然に年利六分による利子をつけなければならないこと。

(四) 利子は、利率を定める省令によつて毎月末に月利五厘の割合で利子をつけなければならないこと。なお、利子の計算方法は単利であつても違法ではないこと。

(五) 第六項による貯蓄金管理を「その必要な限度の範囲内で」中止させることは、貯蓄金管理を委託している労働者の全部又は一部について中止させるとの意であり、当該貯蓄金の全部又は一部の返還を命ずるとの意ではないこと。

(六) 第七項の中止命令は、貯蓄金管理に伴う弊害排除のために定められた行政官庁の最終処分であるから、違反があつた場合には、この措置をとるまでに、注意を与える等によつて違反を是正せしめるようにすること。

(七) 廃止

(八) 従来認可を受けて貯蓄金管理をしていた場合には、改正法律附則第二項によつて改正後は労使協定の届出があつたものとみなされるから、改正法施行の際法第一八条第二項の手続をとる必要はないこと。しかし同条第三項乃至第七項は当然適用されるから、例えば年利六分未満の利率を定めていたものは、直ちに年利六分以上と改めなければならないこと。

法第二四条関係

(一) 第一項但書の改正は、購買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、労務用物資の代金、組合費等、事理明白なものについてのみ、法第三六条の時間外労働と同様の労使の協定によつて賃金から控除することを認める趣旨であること。

(二) 賃金を通貨以外のもので支払うことについては、従来通りであること。

(三) 協定書の様式は任意であるが、少くとも、〓控除の対象となる具体的な項目、〓右の各項目別に定める、控除を行う賃金支払日を記載するように指導すること。

法第三三条関係

本条は、非常災害の場合には、その必要の限度において時間外労働のみでなく休日労働をもさせることができることを明文化したものであること。

法第三六条関係

(一) 施行規則第一六条第二項但書により労働協約による場合には一年を超えない範囲の定をすることができることに改められたが、労働協約とは、労働条件に関する事項について労働組合と使用者の間に締結されたもので当事者の記名捺印があれば足りるものであるから、時間外、休日労働の協定が規則所定の様式により労働組合との間に締結されたものであれば、その協定が本条の労働協約と解されるものであること。但し、この場合の労働組合は、法第三六条の規定により、当該事業場の労働者の過半数で組織されているものでなければならないこと。

(二) 労使協定の有効期間は、労働協約の場合は一年の範囲内で、その他の場合は三ケ月の範囲内で自由に定めることができるものであること。

(三) 施行規則第一七条第二項の「引き続き」とは、前の時間外、休日労働協定とその次の時間外、休日労働協定との間に切れ目のないことであるが、協定締結交渉等のために若干の日数のずれがあつても、客観的に「引き続き」と認められるものであればよいこと。

(四) 施行規則第一七条第二項にいう協定の内容が同一であるとは、基本的な事項が同一であることをいい、例えば労働者数の多少の変動は同一性を失わないが、延長時間数の増加、男子のみの場合に対する女子の追加等は同一性を失うものと解されること。

(五) 施行規則第一七条第二項の「その旨」の届出でよいとは、協定届中に時間外又は休日労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数並びに延長すべき時間又は労働させるべき休日の記載を省略することができる趣旨であるが、なお、その旨の届出にあたつては、更新した前回の協定の締結の年月日を記入させるよう指導すること。

法第三九条関係

(一) 本条は、年次有給休暇の賃金について、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は健康保険法第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額の三者の選択を認め手続の簡素化を図つたものであること。

(二) 年次有給休暇の賃金の選択は、手続簡素化の見地より認められたものであるから、労働者各人についてその都度使用者の恣意的選択を認めるものではなく、平均賃金と所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金との選択は、就業規則その他によつて予め定めるところにより、又健康保険法第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額の選択は、法第三六条の時間外労働協定と同様の労使協定を行い年次有給休暇の際の賃金としてこれを就業規則に定めておかなければならないこと。又この選択がなされた場合には、必ずその選択された方法による賃金を支払わなければならないこと。

(三) 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金には臨時に支払われた賃金、割増賃金の如く所定時間外の労働に対して支払われる賃金等は算入されないものであること。

(四) 第四項の規定は、計算事務手続の簡素化を図る趣旨であるから、日給者、月給者等につき、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う場合には、通常の出勤をしたものとして取り扱えば足り、規則第二五条の二に定める計算をその都度行う必要はないこと。

(五) 就業規則その他によつて所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金によること。又は労使協定によつて健康保険法第三条の標準報酬日額に相当する金額によることが定められるまでは、改正法律附則第三項により従前通り平均賃金を支払わなければならないこと。

法第四〇条関係

(一)~(四) 廃止

(五) 規則第三三条の改正中「児童と起居をともにする者」とは、交替制或は通勤の者を含まない趣旨であつて、保母、看護婦、等で四六時中児童と生活をともにする者をいうこと。

(六) 休憩時間の自由利用の例外の許可の基準については、追つて通牒するが、それまでは許可を与えないようにされたい。

法第五章関係

A安全関係

(一) 労働安全衛生規則(以下安衛生規則という。)第一条の二関係

一 本条における傷害者の数とは、前年の一月一日から同年一二月三一日までに発生した業務上の休業傷害者及び死亡者の数をいうものであること。なお同一人が同期間中に二回以上負傷した場合は、負傷した回数に応じて異なつた者が負傷したものとして取扱うこと。

二 新設の事業で前年における操業が一年に満たない場合でも専任の安全管理者を選任する義務を免れるものでないこと。

三 本条の専任の安全管理者とは、第三条によつて選任された安全管理者であつて、通常の勤務時間を専ら第六条に規定する事項を行うために費す者をいい、例えば生産関係等の業務を兼任する者はこれに該当しないが、業務の一部に労働衛生の業務が含まれている場合には安全管理と密接な関係があるから、このような場合に限つてかかる関連業務を行うことを妨げるものでないこと。

四 現在専任されている安全管理者のうちから専任安全管理者を選任した場合は、様式第一号による選任報告の必要はないこと。

(二) 安衛規則第一〇条の二関係

一 本条第二項の適当な措置とは、安全装置の修理、調整、取換及びその安全装置を取り付けた機械器具その他設備の使用停止等の措置をいうものであること。

(三) 安衛規則第五六条関係

一 本条第三項の組立計画に関する書類とは、工事の段階毎の足場の構造、用途、組立位置、材料、使用期間、建地の固着方法、緊結材料、緊結方法等を記載する書類又は図面をいうものであること。

二 事業の附属寄宿舎(事業附属寄宿舎規程にいう第二種寄宿舎も含む。)、診療所等の附属建設物は、法第五四条第一項但書の規定の適用を受けず、従つてすべて本条による届出を必要とするものであること。

三 昭和二四年六月二一日付基発第六三六号通牒中記の(五)の(イ)号は廃止されるものであること。

(四) 安衛規則第五七条関係

一 本条は、法第五四条第一項但書の追加により、仮設の建設物につき手続の簡素化を図つたのに伴い、その細目を定めたものであり、当該建設物が一号乃至四号のすべての条件を充すものでなければならないこと。

二 事業に直接関連のある事務所、倉庫、食堂、休憩所、便所等は事業の建設物として取扱い、従つて仮設の場合は本条の適用を受けるものであること。

三 本条但書の足場板までの高さとは、足場の基礎から最上部の足場板までの高さをいい、足場板は金属板等を含むものと解すること。

(五) 安衛規則第五八条関係

本条第一号による様式第一八号が削除されたのは、落成したこと又は一部を使用しようとすることを書面又は口頭により行政官庁に報告すればよいとの趣旨であること。

(六) 安衛規則第七七条の二関係

本条との石車は、天然石で作られたものは含むものでないこと。

(七) 安衛規則第一一二条関係

本条の命綱には、腰綱を含むものであること。

(八) 安衛規則第一二〇条の二関係

本条の岩石の切取作業場とは、岩石の採収、道路建設工事、水力発電所建設工事等における岩石の切取作業場をいうものであること。

(九) 削除

(一〇) 安衛規則第三三八条の二関係

本条の追加に伴い、昭和二三年五月一一日付基発第七三七号通牒中第三二八条関係(二)は廃止されるものであること。

(一一) 安衛規則第三七六条の二関係

中圧アセチレン溶接装置の構造については、その構造規格の告示が制定施行されるまでは、昭和二六年一一月一日基発第七三三号通牒に示す基準によること。

(一二) 安衛規則第三一五条の二、第三七三条の二、第四〇一条の二及び四一〇条の二関係

一 免許証書換の手続については、別途通牒する予定であること。

二 免許証の再交付を受けた者についての安衛規則附則第三項による有効期間の算定についても免許資格を取得した日より起算するものであること。

B衛生関係

(一) 安衛規則第一一条関係

一 本条第二項は、事業場における衛生管理の円滑なる運営をはかるために従来の衛生管理者のほかに、新たに主任の衛生管理者を一名選任することを使用者に義務付けたものであること。

二 安衛規則第二三条の規定により使用者に主任の衛生管理者の選任を報告させる場合には、様式第四号衛生管理者選任報告中「担任すべき職務」欄に、主任の衛生管理者であることを記入せしめること。

(二) 安衛規則第一三条関係

一 その事業に専属の者とは、その事業場のみに勤務する者ということであつて、衛生管理の業務に専従することを意味するものではないが、他の業務を兼務する場合には、第一五条の規定に抵触するおそれがあるから留意すること。

二 主任の衛生管理者は、その事業に専属の者でなくとも差支えないこと。

三 昭和二三年一月一六日基発第八三号通牒中第一三条関係一は廃止されるものであること。

(三) 安衛規則第一四条関係

一 本条但書の衛生管理を主管する労務、厚生等職制上の責任者とは、事業場の衛生管理を担当する部課等例えば労務部、厚生課等の長をいう。

二 衛生管理に関する職制上の責任者が主任の衛生管理者になる場合には、衛生管理者の免許を与えるわけではなく、従つて、その地位を去つた場合に使用者が引き続きその者を主任衛生管理者にあてているときは、本法違反となるものであること。

(四) 安衛規則第一六条関係

本条第二項は、主任の衛生管理者の職務を定めたものであるが、旧条文第二項の規定は、主任の衛生管理者の職務の中に包含せられるので削除したこと。

法第五六条及び第六〇条関係

本条は六・三制の完全実施に伴い不用の規定を削除したものであること。

法第六一条関係

(一) 「決算」とは、毎事業年度における商法第三三条に規定する年一回又は年二回の決算をいうものであるが、商法第八条により商業帳簿作成の義務のない小商人についても、毎事業年度営業損益及び期末の財産状態を確めるために行う決算に準ずる業務については、本条但書によつて女子を労働させても違法ではなく、又官公庁等についても財政法第三七条、地方自治法第二四二条、日本国有鉄道法第四〇条、地方公営企業法第三〇条等の規定による決算のための業務は、本条に含まれるものであること。

(二) 決算に必要な業務には、株主総会事務、株主配当事務、毎月又は随時行われるたな卸又は仮決算等は含まれないが工場現場における決算のために行うたな卸及び試算表作成の業務、銀行等における決算のための利息決算事務又は決算のために必要な計算書類の作成等の業務に附随する雑務等も含まれるものであること。

(三) 決算業務においてみとめられる女子の時間外労働制限の例外は、一週間六時間の制限が二週間一二時間とされた点のみであつて、一日二時間、一年一五〇時間の制限は、従前の通りであること。

法第六二条関係

(一) 本条第四項の改正により、女子及び年少者の深夜業禁止の例外は、非常災害による時間外労働の場合のみならず、非常災害による休日労働の場合にも認められ、又女子の深夜業は社会通念上女子でなければならず、かつ女子の健康福祉に有害でない業務で、中央労働基準審議会の議を経て命令で定めるものについて認められることとなつたこと。なお女子年少者労働基準規則第一一条の二にかかげられている業務は、法施行の経験に鑑み認められたものであること。

(二) 航空機に乗り組むスチユアーデスの業務とはスチユアーデスが昇機前又は降機後当然しなければならない業務をも含むものであること。

(三) 女子を収容する寄宿舎の女子管理人の業務とは、紡績工場の女子寄宿舎の女子管理人、女子学生の寄宿舎の女舎監等をいうものであること。なお、本改正は、紡績工場の女子寄宿舎において自治会による管理を会社側の舎監におきかえる趣旨を含むものではなく現実に会社側の舎監の居る場合のための改正であつて、寄宿舎自治の問題は労使間で決定すべき問題であること。

法第七〇条関係

(一) 技能者養成は技能の向上と災害の減少に資するところが大であり、又技能者養成は年少の頃より行うのが効果的でもあるので、これを鉱山にも拡張し、年少者であつても満一六歳以上満一八歳未満の者に限つて坑内における業務についても技能者養成を行い得ることとしたものであること。

(二) 年少者の坑内における技能者養成の細目については、技能者養成規程の改正によつて定められるのであるが、現在技能者養成審議会において検討中であり、その改正規程施行後において通牒する予定であること。

法第七六条関係

(一) 法第七六条第二項及び改正法律附則第四項における「同種の労働者」とは、災害発生の日から改訂の基礎となる期の末日まで引き続き同一職種の同一条件のものをいうこと。なお、職種とは、昭和二五年国勢調査(統計法第三条第二項及び第一八条の規定により制定された昭和二五年国勢調査令に基く。)に用いられた職種分類中の小分類にかかげる職種をいい、同一条件とは、年齢、学歴、職歴、技能、経験、勤続年数賃金及び扶養家族数がほぼ同一であるものをいうこと。

(二) 法第七六条第二項及び改正法律附則第四項にいう「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」については、法第三十九条関係(三)によること。

(三) 法第七六条第二項及び施行規則第三八条の四にいう「平均給与額」については、当該四半期における各月ごとの労働者一人一箇月当りの賃金の合計を三で除したものとし、改正法律附則第四項にいう「会計年度における平均給与額」については、当該会計年度における各月ごとの労働者一人一箇月当りの賃金の合計を十二で除したものとすること。なお、一人一箇月当りの賃金の算定方法は、次の通りであること。

/(同種の労働者又は全労働者について当該月の所定労)/(働時間の労働に対して支払われた道常の賃金の総額)/÷/(当該月における同種の労/働者又は全労働者の延数)/×/(当該月の所/定労働日数)/

(四) 法第七六条第二項の規定による休業補償の額の改訂は、次の率によること。

1 改訂のため比較すべき四半期において当該事業場が常時一〇〇人以上の労働者を使用する事業場である場合には、負傷又は疾病にかかつた日の属する四半期(当該改訂が二回目以後の改訂であるときは前回改訂の際比較の対象とした四半期。以下同じ。)の同一事業場における同種の労働者の平均給与額と、比較すべき四半期の同種の労働者の平均給与額との比率。但し、同種労働者がいない場合においては、その事業場における全労働者の平均給与額の上昇又は低下の比率

2 改訂のため比較すべき四半期において当該事業場が常時一〇〇人未満の労働者を使用する事業場である場合には、負傷又は疾病にかかつた日の属する四半期の毎月勤労統計による平均給与額と比較すべき四半期の毎月勤労統計による平均給与額との比率

(五) その他細目については、追つて告示又は通牒される予定であること。

法第七七条関係

(一) 施行規則第四七条の改正により、障害補償は、障害補償の等級が決定した日から七日以内に行わなければならないこと。

(二) 施行規則第四七条にいう障害補償の等級の決定した日とは、当該障害につき該当すべき障害等級について労使間に異議のない時はその決定した日、労働者と使用者との間に意見が一致しなかつた時は行政機関の審査又は仲裁のなされた日又は裁判所において決定された日をいうこと。

法第七九条関係

(一) 施行規則第四七条の改正により、遺族補償は、受給権者が決定した日から七日以内に行わなければならないこと。

(二) 受給権者の決定した日については、第七七条関係(二)を参照すること。

法第八〇条関係

(一) 施行規則第四七条の改正により、葬祭料は、これを受けるべき者が決定した日から七日以内に支払わねばならぬこと。

(二) 葬祭料を受けるべき者の決定した日については、第七七条関係(二)を参照すること。

法第九六条関係(事業附属寄宿舎規程関係)

(一) 規程第四条の二にいう教養、娯楽、面会の室は、それぞれ一室設けられることが教養、娯楽、面会の本来の目的からいえば理想的であるが、それぞれ一室が設けられていなくても本条違反とはならないこと。

(二) 規程第九条及び第一八条の改正規定にいう「耐火構造」とは、鉄筋コンクリート造、れん瓦造等の構造で建築基準法に基づく政令で定める耐火性能を有するものをいい、建築基準法第二条第八号に規定する鉄網モルタル塗、しつくい等の防火構造のものを含まないものであること。なお「耐火構造」及び「防火構造」の詳細については、建築基準法施行令第一〇七条及び第一〇八条に別紙の如く定められているから、これによること。

(三) 規程第一八条の改正規定によつて中廊下が認められる場合の条件は、本条にかかげるすべての条件を充すものでなければならず厳格に適用すべきものであること。なお、本改正に伴い従来の昭和二六年一月二七日付基発第五五号通牒は廃止され、従つて許可の手続もとることを要しないことになつたこと。

(四) 規程第二八条の改正規定にいう水洗式便所とは、下水道につながる水洗式のものをいうものであること。

法第一〇五条の二関係

(一) 本条は、労働基準法の目的達成のために、労働大臣又は都道府県労働基準局長の労使双方に対する援助義務を規定したものであり、これが運用にあたつては差し当り、パンフレツト、リーフレツト等資料の提供を主として行われたいが本条が監督機関のサービス業務を規定した趣旨に鑑み、半強制的指導にわたることのないよう注意されたいこと。

法第一〇七条関係

(一) 施行規則第五三条の改正は、労働者名簿の記載事項を簡略にしたものであること。

(二) 常時三〇人未満の労働者を使用する事業場の労働者名簿の様式を簡素化し、様式第一九号の二によりうることとしたこと。

法第一〇八条関係

(一) 施行規則第五四条の改正は、賃金台帳の記載事項を簡略にしたものであること。

(二) 施行規則第五五条の二は、労働者名簿と賃金台帳とはその各々の必要記載事項を具備する限り、あわせて調製できることを明文化したものであること。

法第一一〇条関係

(一) 施行規則第五七条の改正は、適用事業報告の記載事項を簡素化するとともに、事業附属寄宿舎規程第五条の削除により廃止された法第九五条適用寄宿舎報告の中特に必要な事項を吸収したものであること。

(二) 施行規則第五八条第一号による適用事業の現状に関する報告(年次報告)は、これを簡素化し、様式第二三号の二によることとするとともに、土建等の有期事業について事務軽減を図つたものであること。

(三) 女子年少者労働基準規則第一九条の削除により、女子保護実施状況報告は廃止されたこと。

(四) 施行規則第五九条の二、事業附属寄宿舎規程第五条の二、女子年少者労働基準規則第一九条の二、労働安全衛生規則第五八条の二にいう「異なる様式」とは縦書のものを横書に、横書のものを縦書にし、又は漢字、数字、アラビア数字のいずれを用いることも妨げない等をいう趣旨であること。

法第一一四条関係

(一) 本条は、法第三九条の改正に伴う所要の条文整理であること。

法第一二〇条関係

(一) 本条は、法第一八条の改正に伴う所要の改正であること。

(二) 罰則は適用については、昭和二七年八月三一日までの違反行為については、改正前の規定によるものであること。

別紙

○建築基準法施行令抜萃

(耐火構造)

第一〇七条 法第二条第七号に規定する耐火構造は、左の各号に掲げるものとし、第一号、第三号及び第四号のそれぞれのハに掲げる鉄骨の部分を鉄網コンクリート、鉄網モルタル、コンクリート、モルタル又はしつくいでおおつた構造のものについては、その塗下地が不燃材料で造られていないものを、第二号イ若しくはロ又は第四号イ若しくはロに掲げる柱及びはりにあつては、その小径又は幅が二五センチメートル未満のものを除く。但し、かぶり厚さ又は第一号ハ若しくは第二号ハに掲げる厚さは、それぞれモルタル、しつくいその他これらに類する仕上材料の厚さを含むものとする。

一 壁にあつては、左のイからホまでの一に該当するもの

イ 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造

ロ 鉄筋コンクリート造で鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが三センチメートル以上のもの

ハ 軸組を鉄骨造とし、その両面を塗厚さが三センチメートル以上の鉄網コンクリート若しくは鉄網モルタル又は厚さが四センチメートル以上のれん❜❜瓦、石若しくはコンクリートブロツクでおおつたもの

ニ 無筋コンクリート造、れん❜❜瓦造、石造又はコンクリートブロツク造

ホ 鉄材によつて補強されたれん❜❜瓦造、石造又はコンクリートブロツク造で、その鉄材に対するれん❜❜瓦、石又はコンクリートブロツクのかぶり厚さが四センチメートル以上のもの

二 柱にあつては、左のイからホまでの一に該当するもの

イ 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造

ロ 鉄骨コンクリート造で鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが五センチメートル以上のもの

ハ 鉄骨を厚さが七センチメートル以上のれん❜❜瓦、石又はコンクリートブロツクでおおつたもの

ニ 無筋コンクリート造、れん❜❜瓦造、石造又はコンクリートブロツク造

ホ 鉄材によつて補強されたれん❜❜瓦造、石造又はコンクリートブロツク造で、この鉄材に対するれん❜❜瓦、石又はコンクリートブロツクのかぶり厚さが七センチメートル以上のもの

三 床にあつては、左のイからハまでの一に該当するもの

イ 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造

ロ 無筋コンクリート造、れん❜❜瓦、石造又は肉厚が三センチメートル以上のコンクリートブロツク造

ハ 鉄材によつて補強されたれん❜❜瓦造、石造若しくは肉厚が三センチメートル以上のコンクリートブロツク造で、鉄材に対するれん❜❜瓦、石若しくはコンクリートブロツクのかぶり厚さが四センチメートル以上のもの又はその鉄材を塗厚さが三センチメートル以上の鉄網モルタル若しくはしつくいでおおつたもの

四 はりにあつては、左のイからハまでの一に該当するもの

イ 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造

ロ 鉄骨コンクリート造で鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さが五センチメートル以上のもの

ハ 鉄骨造の小屋組でその直下に天井がないもの又はその直下に不燃材料で造られた天井があるもの

五 屋根にあつては、左のイからニまでの一に該当するもの

イ 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造

ロ 無筋コンクリート造、れん❜❜瓦造、石造又はコンクリートブロツク造

ハ 鉄材によつて補強されたれん❜❜瓦造、石造又はコンクリートブロツク造

ニ 鉄網コンクリート若しくは鉄網モルタルでふいたもの又は鉄網コンクリート、鉄網モルタル若しくは網入ガラスで造られたもの

六 階段にあつては、左のイからニまでの一に該当するもの

イ 鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造

ロ 無筋コンクリート造、れん❜❜瓦、石造又はコンクリートブロツク造

ホ 鉄材によつて補強されたれん❜❜瓦造、石造又はコンクリートブロツク造

ニ 鉄造

七 前各号に掲げるものを除く外、建設大臣が国家消防庁長官の意見を聞いて、これらと同等以上の耐火性能を有すると認めて指定するもの

2 建築物の最上階から数えて二つ目の階以上の部分又は階数が四以下の建築物における柱又ははりについては、建設大臣が指定する鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造又は鉄骨造は、前項の規定にかかわらず、同項の耐火構造とみなす。

(防火構造)

第一〇八条 法第二条第八号に規定する防火構造は、左の各号の一に該当するものとする。

一 鉄網モルタル塗又は木ずりしつくい塗で塗厚さが二センチメートル以上のもの

二 木毛セメント板張の上にモルタル又はしつくいを塗つたものでその厚さの合計が二・五センチメートル以上のもの

三 セメントモルタル塗の上にタイルを張つたものでその厚さの合計が二・五センチメートル以上のもの

四 セメント板張、マグネシヤセメント板張又は瓦張の上にセメントモルタルを塗つたものでその厚さの合計が二・五センチメートル以上のもの

五 土蔵造

六 土塗真壁造で、裏返塗りをしたもの

七 前各号に掲げるものを除く外、建設大臣が国家消防庁長官の意見を聞いて、これらと同等以上の防火性能を有すると認めて指定するもの

2 平家建の建築物における外壁で、軸組が不燃材料で造られ、表面に厚さが一・五センチメートル以上の木毛セメント板又は厚さが〇・九センチメートル以上の防火木材の板を張り、その上を金属板でおおつたものは、前項の防火構造とみなす。