添付一覧
○労働組合法等の一部を改正する法律及び労働組合法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令について
(昭和六三年九月二〇日)
(労発第九五号)
(中央労働委員会会長・国営企業労働委員会会長あて労働省労政局長通知)
労働組合法等の一部を改正する法律(昭和六三年法律第八二号。以下「改正法」という。)の概要については、本日付け労働省発労第一二号をもつて労働事務次官より貴職あて通達されたところであるが、同法及び労働組合法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(昭和六三年政令第二六三号。以下「改正政令」という。)の内容等は、同通達によるほか、左記のとおりであるので、お知らせする。
記
一 中央労働委員会の組織等について
(一) 中央労働委員会の委員の任命手続等について
イ 委員の人数について(改正法による改正後の労働組合法(昭和二四年法律第一七四号。以下「新労組法」という。)第一九条の三第一項)
統合後の中央労働委員会(以下「中労委」という。)の所掌事務に国営企業職員の労働関係に関する事務が加わることになるため、中労委の使用者委員、労働者委員及び公益委員の数を各九人から各一三人(計三九人)に改めたものであること。
なお、委員の総数は現在の中労委の委員数(使・労・公益各九人、計二七人)及び国営企業労働委員会(以下「国労委」という。)の委員数(公益七人、使・労各五人、計一七人)の総計四四人より増加していないものであること。
ロ 委員の任命手続について(新労組法第一九条の三第二項)
(イ) 統合後の中労委では、国営企業職員の労働関係に関する事務を所掌することになるため、委員の任命権者を内閣総理大臣とするものであること。
(ロ) 公益委員については、国営企業関係の仲裁裁定への参与等重要な役割を果たすことを考慮して、その任命に際して両議院の同意を得るものとしたものであること。なお、これに伴い、統合後の中労委の公益委員は、特別職の国家公務員となるものであること(国家公務員法第二条第三項第九号)。
(ハ) 使用者委員及び労働者委員については、国労委において有していた国営企業関係労使の信頼を得つつ迅速に国営企業の労使紛争を処理できる仕組みを維持する観点から、国営企業及び国営企業職員が結成し、又は加入する労働組合による委員候補者の推薦枠(使・労各四人)を設けたこと。
なお、内閣総理大臣が使用者委員又は労働者委員の候補者の推薦を求めるときは、その旨を官報に公告すべきこと及び労働組合が委員候補者を推薦するときは、中労委の組合資格証明書を添えなければならないことが明記されたこと(改正政令による改正後の労働組合法施行令(昭和二四年政令第二三一号。以下「新労組令」という。)第二〇条第二項及び第三項)。
ハ 委員の常勤制について(新労組法第一九条の三第六項)
委員は非常勤としつつ、公益委員のうち二人以内を常勤とすることができることとしたが、この公益委員の一部常勤制は、統合後の中労委が国労委の機能を引き続き維持できるように国労委の公益委員の一部常勤制を引き継いだものであり、不当労働行為の審査の迅速化に役立つ場合もあると考えられること。
ニ 公益委員の欠格条項について(新労組法第一九条の四第二項)
公益委員は、公平中立性を保つて国営企業職員の労働関係に係る紛争調整等に携わらなければならないことから、一定の欠格条項を設けるものであること。
ホ 任期満了後の委員の身分について(新労組法第一九条の五第三項)
委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続き在任することとしたが、これは、従来「委員は、後任者が任命されるまでその職務を行う。」としていた規定よりも任期満了後の委員の身分関係が明確となると考えられたためであること。
なお、従来の規定と異なり、本項が適用される場合を委員の任期満了の場合に限定しているため、委員の死亡、失職、罷免及び辞職による退職の場合には当然本項の適用がないこと。
おつて、本項を定めたことに伴い、昭和三〇年一二月一六日付け労発第三一三号通達は廃止すること。
ヘ 公益委員の服務について(新労組法第一九条の六)
統合後の中労委の公益委員が特別職の国家公務員となり、国家公務員法の適用を受けなくなること等に伴い、公益委員の服務につき、他の特別職の国家公務員である委員会等の委員と同様の服務の規定を設けたものであること。
ト 会長代理について(新労組法第一九条の九第四項)
会長の職務の重要性にかんがみ、会長に故障がある場合において会長を代理する委員をあらかじめ定めておくべきこととしたこと。
(二) 地方調整委員の設置について(新労組法第一九条の一〇)
イ 設置の趣旨について
国労委に置かれている地方調停委員会(以下「地調委」という。)の処理対象となるべき企業が、かつての三公社五現業から四現業に減少したこと及び実際の取扱い件数も減少傾向にあることから、地調委を常設の合議体のまま存置するよりは、実質的に行政水準を維持できる地方調整委員の制度に置き換える方が行政組織の簡素化・制度運用の効率化の観点から妥当であると判断したためであること。
ロ 地方調整委員の参与する事務について
地方調整委員の参与する事務は、(1)中労委が処理すべき事件であつて、ハにいう担当区域のうち一の区域内のみに係るもの(二において「一区域内事件」という。)に係るあつせん又は調停(新労組令第二三条の二第一項)、(2)中労委に係属している不当労働行為事件に関する調査又は審問とするものであること。
ハ 地方調整委員の担当区域について
地方調整委員はその担当区域ごとに任命されるものとするが、その区域は、全国八区域に分けるものとし、その各区域の範囲は各地調委の管轄区域と同様のものとするものであること(新労組令第二三条の二第二項)。
ニ 地方調整委員の定数について
地方調整委員の定数は、地調委の調停委員の定数と同様とし、関東・中部・近畿の区域にあつては使・労・公益各三人、その他の区域にあつては使・労・公益各二・二・三人(計六二人)とするものであること(新労組令第二三条の二第三項)。
ホ 地方調整委員の任命手続について
地方調整委員は、中労委の同意を得て、ハの担当区域ごとに労働大臣が任命するものであること。
なお、労働大臣が使用者又は労働者を代表する地方調整委員の候補者の推薦を求めるときは、その旨を官報に公告すべきこと及び労働組合が委員候補者を推薦するときは、中労委の組合資格証明書を添えなければならないことが明記されたこと(新労組令第二三条の二第四項)。
(三) 地方事務所について(新労組法第一九条の一一)
国営企業労働委員会事務局支局の機能を引き継ぐため、統合後の中央労働委員会事務局に地方事務所を置くこととしたが、この地方事務所は、国営企業以外の企業(以下「民間企業」という。)に係る事件に関する事務の整理のための地方における事務も分掌するものであること。
なお、地方事務所の位置及び管轄区域は、国営企業労働委員会事務局支局のそれと同様としたが、関東については地方事務所を置かず、関東における事務は統合後の中央労働委員会事務局で直接処理するものであること(新労組令第二三条の三)。
(四) 地方労働委員会に関する改正について(新労組法第一九条の一二)
イ 委員の任命手続について
地方労働委員会(以下「地労委」という。)の任命手続につき、労働組合が委員候補者を推薦するときは、当該候補者の推薦に係る地労委の組合資格証明書を添えなければならないことが明記されたこと(新労組令第二一条第三項)。
ロ 任期満了後の委員の身分について
統合後の中労委の場合と同様、委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続き在任するものとしたこと(一(一)ホ参照)。
ハ 会長代理について
統合後の中労委の場合と同様、会長の職務の重要性にかんがみ、会長に故障がある場合において会長を代理する委員をあらかじめ定めておくべきこととしたこと(一(一)ト参照)。
ニ 地方調整委員及び地方事務所との関係について
地方調整委員及び地方事務所は、現在の中労委及び国労委が扱つている事件の一部を担当し、又はその処理のための事務の整理を行うものであるため、これらが統合後の中労委に置かれても、地労委の権限に影響を及ぼすものではないこと。
ホ その他
その他条文の文言の変更はあるものの、地労委に関する実質的変更はないものであること。
(五) 統合後の中労委の権限について(新労組法第二五条第二項)
統合後の中労委の権限は、現在の中労委の権限と国労委の権限とを合わせたものとなるが、新たに統合後の中労委が扱うこととなる国営企業職員の労働関係に係る事件のあつせん、調停、仲裁及び不当労働行為の審査等の処分は、中労委の専属管轄となり、従来と同様地労委が処理することはないものであること。
二 統合後の中労委における事務の処理について
(一) 労働争議の調整に関する事務の処理について
イ 民間企業の労働争議の調整に関する事務の処理について
(イ) 一般企業担当委員制度の新設について(改正法による改正後の労働関係調整法(昭和二一年法律第二五号。以下「新労調法」という。)第八条の三)
中労委が民間企業の労働争議の調整に関する一定の事務を処理する場合には、これらの事務の処理には、使用者委員のうち国営企業の推薦に基づき任命された四人の委員以外の委員、労働者委員のうち国営企業職員が結成し、又は加入する労働組合の推薦に基づき任命された四人の委員以外の委員並びに公益委員のうち会長があらかじめ指名する八人の委員及び会長(イにおいて「一般企業担当委員」という。)のみが参与するものであること。
このような担当委員制度を設けるのは、使用者委員及び労働者委員については、その推薦母体を民間企業関係労使と国営企業関係労使に分けるため、調整に関する事務への参与についてもこれに応じたものとすることが適当であり、公益委員については、使用者委員及び労働者委員との人数の均衡を保つ必要があること及びあらかじめ指名することにより事務分担を明確にし処理能力を維持することを勘案したためであること。
(ロ) 民間企業の労働争議のあつせん、調停及び仲裁について
① あつせん員の指名については、従来どおりとすること(新労調法第一二条第一項)。
② 調停委員は、一般企業担当委員又は特別調整委員のうちから会長が指名するものであること(新労調法第二一条第一項)。
③ 仲裁委員について関係当事者の合意による選定がなされなかつたときは、会長が公益を代表する一般企業担当委員又は特別調整委員のうちから指名するものであること(新労調法第三一条の二)。
(ハ) 地方における事件の処理について(新労調法第一二条第二項及び第二一条第一項)
一区域内事件に係るあつせん及び調停については、会長は、原則として地方調整委員のうちからあつせん員又は調停委員を指名するものであること。
ロ 国営企業の労使紛争の調整に関する事務の処理について
(イ) 国営企業担当委員制度の新設について(改正法による改正後の国営企業労働関係法(昭和二三年法律第二五七号。以下「新国労法」という。)第二五条)
中労委が国営企業の労使紛争の調整に関する一定の事務を処理する場合には、これらの事務の処理には、一般企業担当委員制度と同様の趣旨から、公益委員のうち会長があらかじめ指名する四人の委員及び会長、国営企業の推薦に基づき任命された四人の委員及び国営企業職員が結成し、又は加入する労働組合の推薦に基づき任命された四人の委員(ロ及びニにおいて「国営企業担当委員」という。)のみが参与するものであること。
(ロ) 国営企業の労使紛争のあつせん、調停及び仲裁について
① あつせんは、国営企業担当委員若しくは調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから会長が指名するあつせん員又は会長が委嘱するあつせん員によつて行うものであること(新国労法第二六条第二項)。
② 調停委員は、国営企業担当委員のうちから会長が指名するものであること。ただし、会長が必要があると認めるときは、調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから調停委員を委嘱することができるものであること(新国労法第二八条並びに第二九条第二項及び第四項)。
③ 仲裁委員会は、公益を代表する国営企業担当委員全員をもつて充てる仲裁委員又は会長が公益を代表する国営企業担当委員のうちから指名する三人の仲裁委員で組織するものであること(新国労法第三四条第二項)。
(ハ) 地方における事件の処理について
① 一区域内事件に係るあつせんについては、会長は、原則として地方調整委員のうちからあつせん員を指名するものとすること(新国労法第二六条第三項)。
② 一区域内事件に係る調停については、会長は、原則として地方調整委員のうちから調停委員を指名するものとすること。ただし、会長が必要があると認めるときは、調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから調停委員を委嘱することができるものであること(新国労法第二九条第三項及び第四項)。
(二) 不当労働行為の審査等の審査関係事務の処理について
イ 地方調整委員による不当労働行為の審査手続への参与について(新労組法第二七条第一三項)
現在、国営企業職員の労働関係に係る不当労働行為の審査について地調委の公益を代表する調停委員に調査又は審問を行わせることができることとしているが、この機能を統合後の中労委においても引き継ぐこととするため、公益を代表する地方調整委員にこの調査又は審問を行わせることができることとし、また、統合後の中労委における不当労働行為審査制度の効率的運用、紛争当事者の利便等を考慮して、民間企業に係る不当労働行為の審査についても、調査又は審問を行わせることができることとしたものであること。
なお、この場合において、使用者又は労働者を代表する地方調整委員は、当該審問に参与することができることとしたものであること。
ロ 国営企業職員の労働関係に係る不当労働行為の審査等について(新国労法第三条第二項及び第四条第四項)
国営企業職員の労働関係に係る不当労働行為の審査等については、その労働関係その他事件の背景・事情に関して共通する点が多いこと、これらの共通点が民間企業と比べてかなり特殊であること等を踏まえ、国営企業の実情をよく理解した者に審査等に当たらせて、合議の効率化を図るため、事件が重要と認められる場合その他審査委員会が処分をすることが適当でないと認められる場合を除き、会長及び公益を代表する国営企業担当委員四人(計五人)により構成する審査委員会を設けて命令等の処分を行わせ、その処分をもつて委員会の処分とすることができることとするものであること。
三 中労委の委員に関する経過措置等について
(一) 現在の中労委及び国労委の委員の地位について
国労委の設置の根拠となる規定が削除されるため、その委員は当然その地位を失うこととなるが、存続する中労委の委員についても、改正法の施行と同時にその地位を失うものであること(改正法附則第二条第一項)。
(二) 現在の中労委が定めた手続規則について(改正法附則第三条)
新労組法第二六条の規定に基づき新たに統合後の中労委が定める手続規則の公布の日の前日までの間、現在効力を有している現在の中労委が定めた手続規則が改正法の施行後も引き続き効力を有するものであること。
この場合において、国営企業職員の労働関係に関し引き続き効力を有するものとされた現在の中労委が定めた手続規則によることができないときは、現在効力を有している国労委が定めた国営企業労働委員会規則の例によるものであること。
(三) 国労委がした告示について(改正法附則第四条)
国営企業職員のうち使用者の利益を代表する者の範囲に関し、国労委が改正法の施行の際現に発している告示は、新国労法第四条第二項の規定に基づき統合後の中労委が発した告示とみなすものであること。
(四) 現在の中労委又は国労委がした処分等について(改正法附則第五条)
改正法の施行前に改正法による改正前の労働組合法、労働関係調整法及び国営企業労働関係法の規定により現在の中労委又は国労委がした処分その他の行為及び現在の中労委又は国労委に対してされている申請その他の手続は、それぞれ改正法による改正後のこれらの法律の相当規定により統合後の中労委がした処分その他の行為及び統合後の中労委に対してされた手続とみなすものであること。
四 日本電信電話株式会社に係る調停事件についての特例措置の廃止について(労働関係調整法附則第三条及び第四条)
日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)に関する事件に関しては、当分の間の措置として、一定の要件の下で労働大臣が中労委に対して調停の請求をしたときは、調停経過等の公表、調停期間中最大限一五日間の争議行為の禁止等の特例が適用されることとされており、この措置については創設時から三年後にその施行後の諸事情の変化を勘案して見直しを行うこととされていたものであること。
今般、本年四月一日をもつて三年が経過したが、NTTの労使関係はNTT発足後も安定的に推移していること等を踏まえ、この措置は廃止することとしたものであること。
五 国営企業職員の在籍専従の期間の上限の引上げについて(新国労法附則第三項)
国営企業の職員については、国営企業の許可を受けて五年の範囲内で公務員としての身分を有したまま労働組合の役員として専ら従事すること(以下「在籍専従」という。)ができる制度が設けられているが、この在籍専従の期間の上限は、国営企業の運営の実態にかんがみ、労働関係の適正化を促進し、もつて国営企業の効率的な運営に資するため、当分の間、「五年」とあるのを「七年以下の範囲内で労働協約で定める期間」とすることとしたものであること。
なお、現在の在籍専従の制度は、非現業の国家公務員及び地方公務員にも共通するものであるが、今回の改正は、国営企業の運営の実態にかんがみ、国営企業職員のみを対象とするものであること。
