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○石炭鉱業年金基金の定款認可等について

(昭和四二年九月二九日)

(年発第八四二号)

(石炭鉱業年金基金理事長あて厚生省年金局長通知)

石炭鉱業年金基金(以下「基金」という。)の定款について、別紙指令書のとおり認可されたから通知する。

なお、基金の事業の運営にあたっては、別紙「石炭鉱業年金基金事業運営基準」によって、健全かつ円滑な運営を期されたい。

別紙

石炭鉱業年金基金事業運営基準

第一 基本的事項

1 石炭鉱業年金基金(以下「基金」という。)は、石炭鉱業の労働者の老齢について必要な給付を行なうことにより、その老後の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としていることにかんがみ、法令の定めるところにより適正な事業の運営を図るとともに、常に事業内容の充実向上に意を用い、自主的かつ効果的な運営を行なうようにつとめること。

2 基金は、その行なう年金事業が長期にわたる制度として適正な年金数理に基づいて設計し、常に健全な保険財政を維持することができるようにつとめること。

3 基金は、保険者たる権能を有していることにかんがみ、適正な業務執行を行なうようにつとめること。

4 基金は、事業主が共同して組織することとされていることにかんがみ、常に事業主の理解と協調が得られるよう留意すること。

5 基金の役員及び職員は、法令により公務に従事する職員とみなされていることにかんがみ、常に、責任をもってその任にあたり、業務の適正な運営を図るようつとめること。

第二 総会及び総代会

総会及び総代会は基金の運営上の重要事項を決定する議決機関たる性格を有し、基金運営の中核を占めるものである。したがって、会員及び総代は、制度の趣旨及び内容等を十分理解し、その有する機能を遺憾なく発揮できるようにつとめるべきであること。

1 会員において互選する総代の選挙については、定款に定めるもののほか、総代の選挙の執行に関する規程を制定し、民主的に、かつ、適正に行なうこと。

2 総会及び総代会の代理出席は、災害、傷病等やむを得ない事情がある場合に限るものとすること。

3 総会及び総代会の運営は、あらかじめ運営に関する規程を設ける等円滑な運営が期待できるよう措置すること。

4 総会及び総代会に提出する重要な議案については、あらかじめ関係資料を会員又は総代に配布する等事前に周知徹底を図ること。

5 総会及び総代会の会議録は、つとめて詳細に記録し、後日これを印刷して会員に配布すること。

第三 理事

基金の理事は、基金の業務の執行に直接関与する機関であって、会議により業務を執行することが原則であり、また、理事は、常に公務に従事する者としての責任と自覚をもってその任にあたり、適正な業務の執行につとめること。

1 理事の事務執行のため、理事をもって組織する理事会を設けること。

2 理事会は、毎事業年度少なくとも四回以上開催すること。

3 理事会における会議の状況及び決定事項については、つとめて詳細に記録し、整理保存すること。

4 理事長は、基金を代表し、基金の業務を総理する職責にあることにかんがみ、業務の内容に精通するとともに、積極的に事業運営にあたること。

5 理事長に事故があったとき又は理事長が欠けたときに理事長の職務を代理し、又はその職務を行なう理事については、あらかじめ指定しておくこと。

6 常務理事の選出にあたっては、年金制度に理解を有し、かつ、基金の業務運営に熱意を有する者をもってあて、基金の常務の処理に遺漏のないよう措置すること。

7 理事長の職務の一部を常務理事に委任する場合には、その委任すべき事項を文書で明確にしておくこと。

第四 監事

基金の監事制度は、専門的、技術的な基金の事業が長期にわたり健全に継続される必要上、自己監査機関として特に設けられたので、立法の趣旨を十分勘案して適当な者を選任し、その機能を十分活用するものであること。

1 監事の監査は、別紙「石炭鉱業年金基金監事監査規程要綱」を基準として、監事の監査規程を設け、これに基づき適正かつ厳正に行なうこと。

2 監事は、その職務を行なったときは、必ず記録を作成すること。

3 法第一〇条第四項の規定により、理事長に代って職務を行なう監事については、あらかじめ定めておくこと。

第五 運営審議会

運営審議会の制度は、基金の業務の運営に関する重要事項について、理事長の諮問に応じて審議し、意見を述べる機関として特に設けられたものであり、その運営に当たっては、立法の趣旨を十分理解して行なうとともに、委員は、基金の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから委嘱しなければならないこと。

1 運営審議会の審議に当たっては、必要に応じ、労使の意見を徴取し、円滑な運営を図ること。

2 運営審議会の運営については、別に規程を設け、これに基づき行なうこと。

第六 事務組織

基金の事務組織については、事務の執行が効率的、かつ、合理的に行なわれるように常に配意するとともに、責任分担の明確化を図ること。

1 従たる事務所を設置する場合にあっては、主たる事務所がその統括的事務を行なうものとし、それぞれの事務執行の範囲を明確にしておくこと。

2 事務職員については、次の点に留意すること。

(1) 事務職員には、つとめて有能な職員を配置し、配置換え等にあたっては、事務処理に支障をきたさないように慎重に行なうこと。

(2) 事務職員の数は、石炭鉱業を行なう事業場の分布状況、会員数、坑内員及び坑外員の数、受給権者の数、制度の内容等を十分勘案して必要な数とすること。

(3) 事務職員は、事務の処理にあたり専門的知識を必要とするので、常に法令その他年金制度に関する知識の習得につとめさせ、その資質の向上を図ること。

(4) 服務、給与、退職手当、旅費その他の実費弁償等については、あらかじめ規程を定めること。

第七 事務管理

基金の事務の管理については、長期保険のもつ特殊性を考慮し、確実かつ迅速な業務の執行を行なうことができる事務処理体制の確立を図ること。特に、坑内員及び坑外員に関する記録の作成及び管理に関しては、社会保険庁長官及び都道府県知事(社会保険事務所)と密接な連絡をとり、その正確性と安全性について万全を期する必要があること。

1 坑内員原簿及び坑外員原簿(以下「原簿」という。)は、石炭鉱業年金基金法(以下「法」という。)第三五条第一項の規定により会員から届け出る厚生年金保険被保険者の資格の取得、喪失及び種別の変更に関する事項と突合し、その記載事項の適正を期すること。

2 坑内員及び坑外員に関しては、会員単位に、常にその現況を把握しておくこと。

3 石炭鉱業年金基金法施行規則第二六条に規定する坑内員証又は坑外員証には、同条第一項各号に掲げる事項のほか、坑内員又は坑外員の資格取得年月日及び喪失年月日(坑内員又は坑外員がその資格を喪失した日に再び坑内員又は坑外員の資格を取得した場合を除く。)及び給付の裁定に関しても記載することが望ましいこと。

4 坑内員又は坑外員の番号は、一人につき一箇とし、種別の変更があっても変更しないものとすること。

5 受給権者の現況及びその異動については、受給権者単位に、常に的確に把握しておくこと。

6 坑内員又は坑外員に関する記録は、次により正確に記録し、安全に管理しなければならないこと。

(1) 坑内員又は坑外員の資格に関する記録は、坑内員又は坑外員の資格の取得年月日、喪失年月日、使用された厚生年金保険の適用事業所の名称、基礎年金番号等について、記録しておく必要があること。

(2) 年金給付及び一時金たる給付に関する記録は、年金額又は一時金額並びに裁定、失権及び支給停止の年月日等を記録しておくこと。

7 坑内員又は坑外員に関する記録を安全に管理するため、原簿は、副本を作成し、別に保管しておくこと。

8 業務の執行の細目に関しては、別に業務の執行に関する規程を定め、これにより行なうこと。

第八 財務及び会計

基金の財務については、適正な保険計算に基づく財政の安定性が要請されていることにかんがみ、常にその財政状態を的確に把握し、必要に応じ適切な方法をもって健全化につとめる必要があること。また、会計の処理にあたっては、これを厳正に行なうものであること。

1 資産の管理

(1) 基金の資産の価額は、時価によることを原則とすること。

(2) 基金の資産の保管は、その性質に応じ適切な方法によるものとし、常に良好な状態において管理すること。

(3) 基金の資産は、原則として、これを交換し、適正な対価なくして譲渡し、若しくは貸し付け、担保に供し又は支払の手段としてはならないこと。

(4) 基金の債権は、原則として、その全部又は一部を放棄し、又はその効力を変更することができないこと。

(5) 掛金等の債権は、文書により会員へ納入の告知を行なうこと。

(6) 掛金等の債権については、債権に関する帳簿を備え、会員ごとに分別し、確実に管理すること。

(7) 年金給付及び一時金たる給付に要する費用の原資である掛金等については、滞納等の状態を生じせしめないように適切な管理に特に留意すること。

2 資産の運用

年金経理の資産の運用は、基金の行なう年金事業が長期にわたり、円滑、かつ、健全に運営されていくために最も重要なものであることにかんがみ、その具体的な運用に当たっては、法令の定めるところにより、安全かつ効率的に行なわなければならないこと。

(1) 理事長は、資産の運用の全体計画について、あらかじめ理事会の承認を得なければならないこと。

(2) 理事長は、資産の運用に当たっては、必要に応じ学識経験者の意見を聴取し、適正な運用を図ること。

3 契約

(1) 契約は、一般競争契約によること。

ただし、契約の性質又は目的により一般競争契約によることが適当でない場合には、指名競争契約又は随意契約によることができること。

(2) 契約は、原則として、理事長でなければこれをすることができないこと。

(3) 契約しようとするときは、契約書を作成し、契約内容を明らかにしておくこと。

4 出納

(1) 基金には、出納員をおき、取引の遂行、資産の保管、帳簿等に関する事務を行なわせること。

(2) 現金の出納及び保管は、厳正かつ確実に行なうものであること。

(3) 支払の方法は、基金の取引金融機関を支払人とする小切手の振り出しによることを原則とすること。

(4) 掛金等の収入金の受領を取引金融機関に委託することができること。

(5) 基金の手許現金の保有は、必要最少限度に止めることが適当であること。

(6) 物品の出納については、物品出納簿により確実に行なうとともに、常に良好な状態で使用ができるように管理すること。

5 経理

(1) 基金の経理は、次の経理単位に区分して行なうものとすること。

ア 年金経理

年金給付及び一時金たる給付に関する取引

イ 業務経理

年金経理に属する取引以外の取引

(2) 基金の勘定区分は、各経理単位ごとに、資産勘定、負債勘定、基本金勘定、費用勘定及び収益勘定とし、取引の整理を行なうこと。

(3) 基金の勘定科目は、経理単位ごとに別表に基づいて設定するものとする。

(4) 基金の取引は、すべて伝票によつて処理すること。

(5) 基金は、総勘定元帳及び同補助簿を備え、経理単位ごとに、すべての取引を記入することとし、これらの記入は、決算整理に関するものを除くほか、伝票及び日計(月計)表により行なうこと。

(6) 基金は、毎月末日、総勘定元帳の口座の金額について関係帳票と突合し、記入の正確を確認すること。

6 決算

(1) 基金は、毎事業年度の末日において、総勘定元帳をしめ切り、経理単位ごとに、決算付属明細表を作成すること。

(2) 削除

(3) 基金の減価償却資産は、次の基準により行なうものとすること。

ア 有形固定資産については、原則として定額表により個別償却を行ない、その方法は間接法によること。

なお、残存価額は、記帳価額の二〇分の一までとすること。

イ 無形固定資産については、原則として均分して償却し、その方法は直接法によること。

なお、残存価額は、零までとすること。

(4) 基金は、決算の結果、厚生大臣が別に定める基準以上の剰余額又は不足額が生じたときは、再計算期を待たずに、ただちに再計算を行なうものとすること。

(5) 基金は、財務に関する統計資料を整備し、財政の健全化等業務の執行の適正化を図ること。

(6) 基金の財政及び会計については、別に財務及び会計に関する規程を定めること。

別紙

石炭鉱業年金基金監事監査規程要綱

1 監事の監査は、石炭鉱業年金基金法第一〇条第四項の規定に基づき、基金の業務の適正かつ能率的運営を図ることを目的として行なうものとする。

2 監査は、定例監査及び特別監査とし、書面、実地又はオンライン会議システム等のデジタル技術を活用した方式により実施するものとする。

3 定例監査は、少なくとも毎年一回、次に掲げる事項のすべてについて行なうものとする。ただし、(2)に掲げる事項については、少なくとも毎事業年度四回行なうものとする。

(1) 諸法令、諸規則等の実施状況

(2) 事業計画及び経理の実施状況

(3) 資産の取得、管理及び処分に関する事項

(4) 年金たる給付及び一時金たる給付の裁定等の処分に関する事項

(5) 貸借対照表、損益計算書及び業務報告書等の決算に関する事項

(6) 事務能率及び事業運営合理化の状況

(7) その他業務の執行に関する状況

4 特別監査は、特定の事項について、監事が必要と認める都度行なうものとする。

5 監事は、毎年度当初、当該年度の監査の回数、時期その他監査の実施に関する事項を定め監査の実施計画を作成し、これを理事長に通知するものとする。

6 監事は、いつでも理事又は理事長に対して、業務及び財務に関する報告を求め、又は業務及び財務の状況を調査し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査することができる。

7 監事は、貸借対照表、損益計算書及び業務報告書について監査したときは、これに意見を付さなければならない。

8 監事は、前記3に掲げる事項について監査を行なうほか、次の事項について調査、研究し、理事又は理事長に対し意見の具申をすることができる。

(1) 業務の改善に関する事項

(2) 予算の編成に関する事項

(3) 基金の財政計画に関する事項

(4) その他業務に関する重要事項

9 監事は、監査の結果文書をもつて理事長に通知するとともに、少なくとも年一回、総会又は総代会に報告しなければならない。

10 監事は、次の各号に掲げる文書の回付を受けるものとする。

(1) 監督官庁からの認可又は承認にかかる指令書、通知書その他の文書

(2) その他の業務運営に関する重要な文書

11 監事の職務は、合議により行なうものとすること。

(別表)昭和四三年三月一三日年発第二三四号通知別記参照