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○雇用保険法等による給付と年金との調整に係る厚生年金基金の事務処理等について

(平成一〇年一月三〇日)

(企国発第四号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局企業年金国民年金基金課長通知)

国民年金法等の一部を改正する法律(平成六年法律第九五号)の一部、厚生年金保険法施行令等の一部を改正する政令(平成九年政令第三六一号)及び厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成九年厚生省令第八六号)が平成一〇年四月一日から施行されることに伴い、厚生年金基金において雇用保険法等の規定による給付との調整を行うことができることとなるが、これにより厚生年金基金における支給停止の取扱いが変更できることとなるので、貴管下の厚生年金基金に対し遺憾のないよう指導されたい。

第一 雇用保険法等の規定による給付と厚生年金との調整における仕組み

一 雇用保険法の規定による基本手当等との調整について

(一) 雇用保険法の規定による基本手当との調整

厚生年金保険法附則第八条の規定による老齢厚生年金(以下「特別支給の老齢厚生年金」という。)の受給権者が雇用保険法の規定による求職の申込みをしたときは、当該老齢厚生年金の支給を求職の申込みがあった月の翌月から以下のいずれかに至った月までの間停止すること。また、求職の申込みを既に行っている者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合については、受給権を取得した当該月の翌月から、以下のいずれかに至った月までの間、特別支給の老齢厚生年金の支給を停止すること。

① 当該求職の申込みに係る基本手当の受給期間が経過したとき

② 所定給付日数分の基本手当の支給を受け終わったとき

(二) 特別支給の老齢厚生年金の支給停止の解除

① 特別支給の老齢厚生年金の支給が停止される各月について、基本手当の支給を受けた日とみなされる日及びこれに準ずる日がない場合は、その月の特別支給の老齢厚生年金の支給停止を解除すること。また、特別支給の老齢厚生年金について在職支給停止が行われる場合には、支給停止はこれによることとし、厚生年金保険法附則第一一条の五第一項の規定は適用しないこと。

② 前記(一)により特別支給の老齢厚生年金の支給停止を受けた者が、(一)の①又は②に該当するに至った場合、特別支給の老齢厚生年金の支給が停止された月の数から、基本手当の支給を受けた日とみなされる日数を三〇で除して得た数を控除して得た数分の月数について、直近の各月における支給の停止を解除すること。

この場合において、三〇で除して得た数に一未満の端数が生じた場合は、これを一に切り上げるものとしたこと。

(三) 船員保険法の規定による失業保険金との調整

特別支給の老齢厚生年金の受給権者が船員保険法の規定による求職の申込みをした場合についても一の(一)と同様の措置を講ずること。

二 雇用保険法の規定による高年齢雇用継続基本給付金等との調整について

(一) 雇用保険法の規定による高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金(以下「高年齢雇用継続給付」という。)との調整

特別支給の老齢厚生年金の受給者で高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金(以下「高年齢雇用継続給付」という。)の支給を受ける者については、在職支給停止の仕組みにより支給停止することとされる額と以下の額との合計額に相当する部分の支給を停止すること。

① 雇用保険法の規定によるみなし賃金日額に三〇を乗じて得た額に対する標準報酬月額の割合が、一〇〇分の六四未満であるときは、標準報酬月額に一〇〇分の一〇を乗じて得た額

② 雇用保険法の規定によるみなし賃金日額に三〇を乗じて得た額に対する標準報酬月額の割合が、一〇〇分の六四以上で一〇〇分の八五未満であるときは、当該標準報酬月額の割合が逓増する程度に応じ、標準報酬月額に一〇〇分の一〇から一定の割合で逓減するよう厚生省令で定める率を乗じて得た額

③ 前記②の厚生省令で定める率は、高年齢雇用継続給付の支給割合が逓減することに応じて定めるものであり、具体的には以下のアに掲げる額からイ及びウに掲げる額の合計額を減じた額をイに掲げる額で除して得た率に二五分の一〇を乗じて得た率としたこと。

ア みなし賃金日額に三〇を乗じて得た額に一〇〇分の八五を乗じて得た額

イ 標準報酬月額

ウ アに掲げる額からイに掲げる額を減じた額に二一分の五を乗じて得た額

(二) 船員保険法の規定による高齢雇用継続基本給付金又は高齢再就職給付金(以下「高齢雇用継続給付」という。)との調整

特別支給の老齢厚生年金の受給権者が船員保険法の規定による高齢雇用継続給付の支給を受ける場合についても、一の(三)と同様の措置を講ずること。

三 一及び二による調整は、平成一〇年四月一日以降に、特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した者を対象としていること。

第二 基金等が支給する年金の取扱い

一 雇用保険法の規定による基本手当等との調整について

(一) 雇用保険法の規定による基本手当との調整

特別支給の老齢厚生年金が雇用保険法の規定による基本手当との調整により全額支給停止となった場合は、当該基金の代行部分について支給停止することができることとされたこと。

ただし、第一の(二)により当該老齢厚生年金の支給停止が解除になる場合は、この基本手当との調整に伴う基金の代行給付の支給停止はできないこととなること。

また、連合会の支給する解散基金加入員に係る代行部分について支給停止するとされたこと。

(二) 船員保険法の規定による失業保険金との調整

船員保険法の規定による失業保険金との調整に伴い、当該基金の代行部分について支給停止することができることとされたこと。

また、連合会の支給する解散基金加入員に係る代行部分について支給停止するとされたこと。

二 雇用保険法の規定による高年齢雇用継続給付等との調整について

(一) 雇用保険法の規定による高年齢雇用継続給付との調整

高年齢雇用継続給付との調整に伴い、特別支給の老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する代行部分の年金給付について支給停止できる額が、在職支給停止の仕組みにより支給停止することとされる額及び高年齢雇用継続給付との調整により停止することとされる額の合計額から厚生年金保険の本体年金額を控除して得た額に、当該基金の代行部分の額の代行部分の総額に対する割合を乗じて得た額とされたこと。

また、連合会の支給する解散基金加入員に係る給付について支給停止を行う額が、在職支給停止の仕組みにより支給停止することとされる額及び高年齢雇用継続給付との調整により停止することとされる額の合計額から厚生年金保険の本体年金額を控除して得た額に、解散基金に係る代行部分の額の代行部分の総額に対する割合を乗じて得た額とされたこと。

(二) 船員保険法の規定による高齢雇用継続給付との調整

船員保険法の規定による高齢雇用継続給付との調整に伴い、特別支給の老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する代行部分の年金給付について支給停止できる額が、在職支給停止の仕組みにより支給停止することとされる額及び船員保険法の規定による高齢雇用継続給付との調整により停止することとされる額の合計額から厚生年金保険の本体年金額を控除して得た額に、当該基金の代行部分の額の代行部分の総額に対する割合を乗じて得た額とされたこと。

また、連合会の支給する解散基金加入員に係る給付について支給停止を行う額が、在職支給停止の仕組みにより支給停止することとされる額及び高齢雇用継続給付との調整により停止することとされる額の合計額から厚生年金保険の本体年金額を控除して得た額に、解散基金に係る代行部分の額の代行部分の総額に対する割合を乗じて得た額とされたこと。

第三 関係通知の一部改正 (略)

第四 その他の留意点

一 各基金における支給停止の範囲については、各基金の判断により決定されるものであること。

二 各基金において支給停止を行うために必要となる厚生年金保険の年金額等のデータについては「厚生年金基金が支給する年金の支給停止を行う場合の厚生年金保険の年金額等の確認方法について(平成七年二月二八日企国発第三〇号)」で示している通知を一部改正し、各基金において雇用保険との調整を行うために必要な厚生年金保険の年金額のデータについても、これまでの在職老齢年金の支給停止の取扱いと同様、社会保険業務センターから各基金に提供することとなるので、その活用を図られたい。

三 当該データに基づき、本人の届出がなくても支給停止の処理を行っても差し支えないものであること。また、加入員以外の者についても支給停止を行うことも差し支えないものであること。

四 各基金への指導に当たっては、「国民年金法等の一部を改正する法律等による改正後の厚生年金保険法等の一部の施行について(平成九年一二月一七日、庁保発第二五号)社会保険庁運営部長通知」による厚生年金保険本体の扱いについても合わせて周知されたい。