添付一覧
○社会保険労務士法の一部を改正する法律等の施行について
(平成六年三月三〇日)
(庁保発第八号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて社会保険庁運営部長通知)
社会保険労務士法の一部を改正する法律(平成五年法律第六一号。以下「改正法」という。)の施行については、平成六年三月三〇日厚生省発社保第四一号・労働省発労徴第一九号をもって厚生事務次官及び労働事務次官から通達されたところである。また、本日、労働安全衛生法関係手数料令等の一部を改正する政令(平成六年政令第九九号)をもって社会保険労務士法施行令の一部が改正され、本年四月一日から施行されることとなった。これらに伴い、社会保険労務士法施行規則の一部を改正する省令(平成六年厚生省・労働省令第二号。以下「改正省令」という。)が本日公布され、本年四月一日から施行されることとなった。これらの改正法令の施行に当たって留意すべき事項及び改正法令の内容は左記のとおりであるので、その事務処理に遺憾のないようにされたい。なお、このことについては、労働省と協議済であり、労働大臣官房長から都道府県労働基準局長、都道府県労働主管部(局)長あて別途通知済であるので、念のため申し添える。
記
第一 職務内容の明確化について
改正法により、社会保険労務士法第二条第一項第三号の規定中の「労働に関する事項」を「労務管理その他の労働に関する事項」に改められたが、これは、社会保険労務士が行う相談・指導業務の重点が労務管理に関する相談・指導にあることを明確にしたものであり、社会保険労務士の行う相談・指導業務の範囲について拡大又は縮小したものではないことに留意すること。
第二 試験科目名の変更について
改正法により、社会保険労務士試験の試験科目中の「労働及び社会保険に関する一般常識」の試験科目名が「労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識」に改められたが、これについては以下の事項に留意すること。
(1) これは、いわゆる一般常識科目の試験内容を、前記第一に対応して充実させることを明確にしたものであり、出題範囲について拡大又は縮小したものではないこと。
(2) 改正法の施行の際、現に「労働及び社会保険に関する一般常識」について試験の免除を受けている者は、「労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識」について試験の免除を受けている者とみなすこととしたこと(改正法附則第七条)。
第三 帳簿の保存期間の延長について
改正法による改正後の社会保険労務士法(以下「法」という。)第一九条第二項の規定により、開業社会保険労務士は、その業務に関する帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から二年間保存しなければならないこととしたが、これは、改正法の施行日(平成六年四月一日)において帳簿閉鎖の時から一年を経過していないものから適用されることに留意すること(改正法附則第二条)。
第四 登録即入会制への移行について
法第二五条の八の規定により、社会保険労務士は、社会保険労務士名簿に登録を受けた時に、当然、社会保険労務士会の会員となること等とされたが、これについては以下の事項に留意すること。
1 新規入会(法第二五条の八第一項関係)
(1) 「登録を受けた時」とは、全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)に備える社会保険労務士名簿に登録を受けた日であること。
(2) 登録申請書を連合会に提出する際の経由社会保険労務士会は、登録を受けた時に所属することとなる社会保険労務士会であること(改正省令による改正後の社会保険労務士法施行規則(以下「規則」という。)第一二条第五項)。
(3) なお、社会保険労務士名簿への登録については、法第一四条の二第二項に規定する登録が同条第三項に規定する登録に優先するものであることから、他人の求めに応じ報酬を得て法第二条に規定する事務を業として行おうとする社会保険労務士は、同時に勤務社会保険労務士に該当する場合であっても、法第一四条の二第二項の規定により登録を受けるものであるので、当該登録に係る事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員となるものであること。
2 所属社会保険労務士会の変更(法第二五条の八第二項関係)
(1) 「当該変更登録を受けた時」とは、連合会に備える社会保険労務士名簿に変更の登録を受けた日であること。
なお、所属する社会保険労務士会の変更時期を、変更事由が生じた時ではなく、変更登録を受けた時と規定されているのは、所属する社会保険労務士会を客観的に明確にし、社会保険労務士会における事務の錯そうを避けるためであること。
(2) 変更登録申請書の連合会への提出は、所属社会保険労務士会を経由して行わなければならないものであること(規則第一二条の二)。
(3) 勤務社会保険労務士が、他人の求めに応じ報酬を得て法第二条に規定する事務を業として行おうとする場合(以下「開業しようとする場合」という。)は、1の(3)と同様の考え方により法第一四条の二第二項に規定する事項の登録を受けるための変更登録の申請を行わなければならない。この場合、当該変更登録を受けることにより所属する社会保険労務士会が変更となる場合があること。
3 登録抹消による退会(法第二五条の八第三項関係)
(1) 「該当することとなつた時」とは、登録が抹消された時ではなく、法第一四条の一〇第一項各号の一に該当した日であること。
(2) 登録抹消に該当することとなった旨の届出書の連合会への提出は、所属していた社会保険労務士会を経由して行わなければならないものであること(規則第一二条の四)。
(3) 登録が抹消されたときの社会保険労務士証票の連合会への返還は、所属していた社会保険労務士会(業務の停止の処分を受けたときは所属社会保険労務士会)を経由して行わなければならないものであること(規則第一二条の五第一項)。
4 その他
(1) 社会保険労務士証票の再交付申請書の連合会への提出は、所属社会保険労務士会を経由して行わなければならないものであること(規則第一二条の五第二項)。
(2) 登録即入会制への移行に伴い、入会届が不要となることから、入会届の規定を削除したものであること(改正省令による改正前の社会保険労務士法施行規則第二〇条。以下「旧規則」という。)。
第五 様式の改正について
社会保険労務士試験の試験科目名の変更等に伴い、所要の様式の改廃を行うこととしたこと(規則様式第4号、第5号、第9号及び旧規則様式第11号)。
第六 登録即入会制への移行に伴う経過措置について
社会保険労務士の登録即入会制への移行に伴い所要の経過措置が講じられたところであるが、これについては次の事項に留意すること。
1 社会保険労務士会の会員である社会保険労務士に関する経過措置(改正法附則第三条関係)
(1) 改正法の施行の際、現に社会保険労務士会の会員であり引き続き当該社会保険労務士会の会員である社会保険労務士は、新たに登録を受けたとしたならば法第二五条の八第一項の規定によりその者が所属することとなる社会保険労務士会(以下「所属することとなる社会保険労務士会」という。)が現に所属している社会保険労務士会と異なるときは、当該所属することとなる社会保険労務士会に入会届を提出して同会の会員となることができることとしたこと(改正省令附則第二項)。
この経過措置の対象となる社会保険労務士は、次の社会保険労務士に限られるものであること。
① 勤務社会保険労務士であって、改正法の施行の際、現にその者の住所地の属する都道府県(勤務する事業所の所在する都道府県と異なる場合に限る)に設立されている社会保険労務士会の会員である者
② 事業所に勤務するも法第一四条の二第一項に規定する事項の登録のみを受けている社会保険労務士であって、改正法の施行の際、その者の事業所の所在地の属する都道府県(住所地の都道府県と異なる場合に限る)の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である者
(2) 前記入会届を提出した社会保険労務士は、当該入会届を提出した時に、現に所属している社会保険労務士会を退会し、所属することとなる社会保険労務士会の会員となること。
(3) これらの経過措置は、前記(1)に該当する社会保険労務士についてはその便宜に配慮し、引き続き、現に所属している社会保険労務士会の会員となる途と所属することとなる社会保険労務士会の会員となる途との選択を可能ならしめたものである。
(4) したがって、前記(1)に該当する社会保険労務士は、変更登録を受けたときでも、改正法の施行前であれば所属社会保険労務士会が変更とならない場合には法第二五条の八第二項の規定の適用は受けないものであること。
具体的には、氏名及び本籍の変更の場合、①の者が勤務する事業所を変更した場合、②の者が住所地を変更した場合などは、現に所属している社会保険労務士会を変更しなくてもよいものであること。
これに対し、前記①及び②の者が現に所属している社会保険労務士会の所在地の属する都道府県以外の都道府県の区域に事務所を設けて開業しようとする場合、及び①の者が現に所属している社会保険労務士会の所在地の属する都道府県以外の都道府県の区域に住所地を移転した場合などには、法第二五条の八第二項の規定により所属社会保険労務士会が変更となるものであること。
2 社会保険労務士会の会員でない社会保険労務士に関する経過措置(改正法附則第四条関係)
(1) 改正法の施行の際、現に社会保険労務士会の会員でない社会保険労務士は、施行日から起算して三年を経過する日(平成九年三月三一日)までに、所属することとなる社会保険労務士会に入会届を提出することにより当該社会保険労務士会の会員となることができること。また、同日までに社会保険労務士会の会員とならなかったときは、その翌日において登録の抹消の申請があったものとみなして登録が抹消されること。
ただし、登録が抹消された場合であっても社会保険労務士となる資格を失うものではなく、再登録はいつでも可能であること。
(2) これは、登録即入会制への円滑な移行を図るために、社会保険労務士会の会員でない社会保険労務士に対して、三年間の猶予期間を与え、社会保険労務士会の会員になるか、社会保険労務士としての登録を抹消するか、その選択を委ねたものであること。
(3) なお、前記猶予期間中の社会保険労務士会の会員でない社会保険労務士に係る変更登録申請書、登録の抹消に関する届出書の提出、社会保険労務士証票の返還及び再交付申請書の提出については、従前の取扱いと同様であること(改正省令附則第四項)。
第七 社会保険労務士法施行令の一部改正の内容について
社会保険労務士試験受験手数料を二九五〇円から三六〇〇円に改定したものであること。