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○社会保険労務士法の一部を改正する法律等の施行について

(昭和六一年一〇月一日)

(庁保発第四〇号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて社会保険庁長官官房総務課長通知)

社会保険労務士法の一部を改正する法律(昭和六一年法律第六○号。以下「改正法」という。)の施行については、昭和六一年九月三○日付け厚生省発社保第一三五号・労働省発労徴第六二号をもって厚生事務次官及び労働事務次官から通達されたところであるが、改正法と併せて社会保険労務士法施行規則の一部を改正する省令(昭和六一年厚生省・労働省令第二号。以下「改正省令」という。)が、本年九月三○日に公布され、翌一○月一日から施行されることとなった。これらの改正法令の施行に当たって留意すべき事項及び改正省令の内容は左記のとおりであるので、その事務処理に遺憾のないようにされたい。なお、このことについては労働省と協議済みであり、労働大臣官房長から都道府県労働基準局長、都道府県労働主管部(局)長及び都道府県婦人少年室長あて別途通知されることとされているので、念のため申し添える。

第一 事務代理について

改正法による改正後の社会保険労務士法(以下「法」という。)第二条第一項第一号の三の規定により、社会保険労務士は、労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告その他の事項(主務省令で定めるものに限る。以下「申請等」という。)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関する主張若しくは陳述(主務省令で定めるものを除く。)について、代理すること(以下この事務を「事務代理」という。)ができることとされたが、これについては以下の事項に留意すること。

一 事務代理の意義

(一) 事務代理と法第二条第一項第一号の二の提出代行との相違は、提出代行が申請書、届出書、報告書その他の書類(以下「申請書等」という。)の提出手続に関して行政機関等に事実上の説明補正等を行い得るにとどまるのに対して、事務代理は社会保険労務士が本人(当該社会保険労務士に対して代理権限を与えた者をいう。以下同じ。)に代わって申請等を行うものであるから、委任の範囲内で内容の変更等を行い得るのみならず、申請等について責任をもって処理できるよう当該申請等に係る行政機関等の調査又は処分に関する主張又は陳述を行い得るものであること。

(二) 事務代理は、申請等について行われるものであり、行政機関等の行う当該申請等に係る許可、決定等の処分は本人に対して行われるものであること。また、金銭の受領については事務代理には含まれないこと。

(三) 社会保険労務士は行政機関等に対して行う申請等につき事務代理するものであるから、事務代理には申請等に先立ち労使協定の締結が義務づけられている場合における当該労使協定の締結は含まれないこと。

(四) 法第二条第一項第一号の三の「その他の事項」には、申込み、申出、提出、請求等が含まれること。

(五) 法第二条第一項第一号の三の「当該申請等に係る行政機関等に対する主張若しくは陳述」とは、行政機関等に対して意見を述べ、あるいは事実関係の説明を行うことをいうこと。

(六) 法第二条第一項第一号の三の「当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関する主張若しくは陳述」について社会保険労務士が事務代理を行う場合であっても、行政機関等が、労働社会保険諸法令に基づき直接本人に対して行う質問、検査等の権限の行使に影響を及ぼすものではないこと。

(七) 法第二条第一項第一号の三の「(主務省令で定めるものを除く。)」の「主務省令で定めるもの」は、当面定める予定がないこと。

二 事務代理の範囲

(一) 事務代理の対象となる申請等の範囲は、改正省令による改正後の社会保険労務士法施行規則(以下「規則」という。)別表に掲げる申請等であること(規則第一条)。

なお、告示又は通達で具体的に示されている申請等であっても含まれるものがあるが、詳細は別途指示すること。

(二) 規則別表第七号の職業安定法(昭和二二年法律第一四一号)に係る申請等のうち同法第一六条の求人の申込については労働大臣が定めるものを除くこととされているが、昭和六二年三月三一日までの間は同法第一六条の求人の申込のすべてを「労働大臣が定めるもの」とし、事務代理は行い得ないこと。

(三) なお、規則別表第三九号から第四七号までについては、労働社会保険諸法令に基づく報告の徴収等行政機関が行うもの等は、法の趣旨からみて本来の業務とはいえないので、そもそも含まれないこと。

三 事務代理の権限の明示等

(一) 社会保険労務士は、事務代理をする場合において、その権限を有することを証する書面を行政機関等に提出しなければならないこと。ただし、(2)に該当する場合はその必要はないこと(規則第一六条の二)。

規則第一六条の二の「権限を有することを証する書面」とは、具体的には委任状又は契約書を指すものであること。事務代理の権限を有することを証する書面には事務代理の範囲を具体的に記載させること。

(二) 社会保険労務士は、事務代理をする場合において、所要の様式に基づき申請書等を行政機関等に提出するときは、本人の記名押印した申請書等に「事務代理者」と表示し、かつ、社会保険労務士の名称を冠して記名押印しなければならないこと(規則第一六条の三)。

社会保険労務士の「事務代理者」の表示及び記名押印は、各申請書等ごとに行うこと。

なお、申請書等に記名押印をしている場合は、当該申請等に係る調査又は処分に関する主張・陳述について新たに委任状又は契約書を提出させる必要はないこと。

四 事務代理の取扱い

(一) 行政機関等は、社会保険労務士により事務代理されている事務について、事務代理の権限及び範囲が明確である場合には、原則として、事務代理をした社会保険労務士に対して当該事務の内容の確認を行うこととなるが、これにより十分な確認ができない場合、直接本人に対する確認を要する場合など必要があると認めるときは、当該事務の内容の確認等(事務代理の権限の有無、範囲を含む。)のため、直接本人に対し、報告又は出頭を求めて事情を聴くことができること(規則第一六条の五)。

なお、この規定によって、労働社会保険諸法令による質問、検査等の権限の行使に影響が及ぶものではないこと。

(二) 社会保険労務士は、事務代理をする場合において、行政機関等から当該事務代理に係る事務に関し指導等が行われたときは、その内容を本人に通知しなければならないこと(規則第一六条の四)。

なお、規則第一六条の四の「指導等」には助言も含まれること。

(三) 事務代理を行う社会保険労務士がこれを他の社会保険労務士にさらに代理又は代行させることは認めないものであること。

(四) 申請等の取下げについては、本人の利害に極めて大きな影響を与えるものであることにかんがみ、必要に応じ、特にその旨を記載した委任状を社会保険労務士に提出させることとすること等により、本人の取下げの意思を確認すること。

第二 勤務社会保険労務士について

法第一四条の二の「その他主務省令で定める事項」は、当面定める予定がないこと。

第三 社会保険労務士会の会則の変更等について

(一) 法第二五条の七第二項ただし書の「その他主務省令で定める事項」は、当面定める予定がないこと。

(二) 社会保険労務士会は、その主たる事務所の所在地を変更したときは、遅滞なく、所轄の知事又は労働基準局長に報告しなければならないこととしたこと(規則第一九条の二)。