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○社会保険労務士法の一部を改正する法律等の施行について

(昭和五三年八月八日)

(庁文発第二〇八四号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて社会保険庁長官官房総務課長通達)

社会保険労務士法の一部を改正する法律(昭和五三年法律第五二号。以下「改正法」という。)及び社会保険労務士法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(昭和五三年政令第三〇八号。以下「改正政令」という。)の施行については、昭和五三年八月八日付厚生省発社保第一四四号・労働省発労徴第五五号をもつて厚生事務次官及び労働事務次官より通達されたところであるが、改正法及び改正政令の施行に伴い、社会保険労務士法施行規則の一部を改正する省令(昭和五三年厚生・労働省令第一号。以下「改正省令」という。)が本日公布され、本年九月一日から施行されることとなつた。

これらの改正法令の施行に当たつて留意すべき事項及び改正省令の内容は左記のとおりであるので、その事務処理に遺憾のないようにされたい。

なお、このことについては、労働省と協議ずみであり、労働大臣官房長より都道府県労働基準局長あて別途同文をもつて通知ずみである。

第一 提出代行事務について

改正法による改正後の社会保険労務士法(以下「法」という。)第二条第一項第一号の二の規定により、社会保険労務士は、労働社会保険諸法令に基づき事業主、使用者その他の事業者(以下「事業主等」という。)が行政機関等に提出すべき書類(以下「提出書類」という。)について、その提出に関する手続を代わつてすること(以下この事務を「提出代行事務」という。)ができることとされたが、これについては以下の事項に留意すること。

一 提出代行事務の内容

(一) 「提出に関する手続」とは、提出書類を行政機関等で受理するまでに必要な行為をいうものであり、提出代行事務には、行政機関等に対して説明を行い、行政機関等の質問に対し回答し、又は提出書類について必要な補正を行うなどの行為が含まれるものであること。

(二) 提出代行事務の対象となる提出書類の範囲については、法令上制限はないので、すべての提出書類がその対象となるものであること。

二 提出代行事務の表示

(一) 社会保険労務士は、提出代行事務を行う場合には、提出書類に「提出代行者」と表示するとともに、社会保険労務士の名称を冠して署名又は記名押印しなければならないこと(社会保険労務士法施行規則(以下「規則」という。)第一六条第二項)。

(二) 社会保険労務士法が提出書類について作成及び提出代行事務を行う場合は、規則第一六条第一項の規定により作成年月日を記載するとともに、併せて「提出代行者」と表示し、社会保険労務士の名称を冠して署名又は記名押印するものとすること。

(三) 社会保険労務士が事業主等から提出手続の代行の依頼を受けた場合は、法第一九条の規定により、業務に関する帳簿にその旨を記載しなければならないこと。

三 提出代行事務の取扱い

(一) 社会保険労務士が提出代行者となつている提出書類に関する質問、確認又は補正等は、当該社会保険労務士に対して行うこととなること。

ただし、提出書類の内容又は当該提出代行者の説明内容等から必要と認められるときは、直接事業主等に質問又は確認をし、若しくは補正をさせることとなること。

(二) 提出代行事務の性格は法律行為の代理とは異なるので、本来事業主等が意思決定すべき事項に及ばないものであること。

(三) 提出代行者が提出する提出書類においても、当然事業主等の記名押印が必要であること。

(四) 行政書士については、従来どおり提出書類等の作成のみで、提出代行事務はできないこと。

第二 社会保険労務士会の設立について

社会保険労務士会の設立については、以下の事項に留意し、関係者に対し適切な指導を行い、その事務を円滑に処理すること。

一 社会保険労務士会の構成員

各都道府県の社会保険労務士会は、社会保険労務士の免許を有する者のうち、当該都道府県の区域内に住所を有し、又は事務所若しくは勤務先を有するものをもつて構成員とするものであること。

二 設立委員

社会保険労務士会を設立するには、会員となろうとする社会保険労務士五人以上が設立委員となり、設立の準備を行うものであること。

(一) 設立参加の呼びかけ

設立委員は、社会保険労務士会が法に基づく唯一の団体であることにかんがみ、設立趣意書を作成し、当該都道府県の区域内の社会保険労務士に広く設立参加の呼びかけを行うものであること。

(二) 設立総会の準備

設立委員は、設立しようとする社会保険労務士会の会則案、事業計画案、収支予算案の作成及び設立総会の開催準備その他設立の準備を行うものであること。

三 設立総会

(一) 設立総会を開催するときは、(1)設立総会の日時及び場所、及び(2)会議の目的となる事項を会議の二週間前までに文書をもつて、設立に参加する社会保険労務士に対し通知するものとすること。

この場合、当該開催について報告させること。

(二) 設立総会の定足数

設立総会の定足数は、設立に参加する社会保険労務士の二分の一以上とすること。

ただし、賛否の意見を明らかにした委任状による出席を妨げないものであること。

(三) 設立総会の議決

設立総会の議決は、出席者(委任状によるものを含む。)の過半数により決するものとすること。

(四) 議事録の作成

設立総会について、設立に参加した社会保険労務士の数、出席者数及び議事の内容を記載した議事録を作成し、出席者のうち二人以上の者が署名すること。

四 設立認可申請

(一) 設立認可申請書

設立認可申請書は、設立しようとする社会保険労務士会の主たる事務所を管轄する都道府県知事及び都道府県労働基準局長あて(連名)に行うものとし、当該都道府県知事又は都道府県労働基準局長に「社会保険労務士会設立認可申請書」(以下「設立認可申請書」という。)を正副各二通を提出することにより行うものとすること(規則第一九条第一項)。

(二) 添付書類

設立認可申請書には、次の書類を添付すること。

(1) 会  則

(2) 会員となる社会保険労務士の名簿

(3) 設立総会の議事録

(4) 設立趣意書

(5) 事業計画書(昭和五三年度・昭和五四年度)

(6) 収支予算書(昭和五三年度・昭和五四年度)

(7) 財産目録(これを証明する書類を含む。)

(8) 役員となる者の名簿

(9) 役員就任承諾書及び略歴書

(10) 事務所賃貸借契約書(事務所を賃借している場合)

五 設立認可

社会保険労務士会の設立の認可は、当該都道府県知事及び都道府県労働基準局長が協議の上決定し、「社会保険労務士会設立認可書」(別紙一。以下「設立認可書」という。)を交付することによつて行うものであること。

設立認可書には、設立認可申請書副本を添付すること。この際、別紙二のとおり認証した設立認可謄本を併せて交付すること。

なお、設立の認可を行なつたときは、その旨を報告すること。

六 登記

設立された法人の登記は、組合等登記令により行うものであること。

なお、登記完了後速やかに報告を行わせること。

第三 社会保険労務士会の設立認可基準

社会保険労務士会の設立認可申請に対しては、次の基準に適合するものについて認可すること。

一 設立の手続

設立に関する手続きが、前記第二の二から四までに掲げるところにより行われたものであること。

二 目的

法第二五条の二第二項に規定するところを目的とするものであること。

三 会則

別添の社会保険労務士会会則審査基準に適合するものであること。

四 事業

前記の目的を達成するために必要な事業内容が会則上具体的に明確にされており、当該事業を円滑に行うことができるものであること。

五 資産及び会計

(一) 設立目的を達成するため、健全な事業活動を継続するに必要な確固とした財政的基礎を有していること。

(二) 収入の見積りが正確であり、事業計画にそつて事業を的確に遂行するための年間収支予算が計上されていること。

第四 社会保険労務士会の指導及び監督

社会保険労務士会の活動状況については、常時把握に努め、その適正な運営を図るため必要な指導監督を行うこと。

一 会則の変更

(一) 会則の変更は、社会保険労務士会の主たる事務所を管轄する都道府県知事及び都道府県労働基準局長の認可によつて効力を生ずるものであること(規則第二〇条第一項)。

(二) 会則変更の認可申請書には、変更前の会則及び変更後の会則並びに会則の変更が会則に定める手続により行われたことを証する書面(総会の議事録)を添付することが必要であること(規則第二〇条第二項)。

(三) 会則の変更の認可は、前記第二の五(設立認可)及び第三の三(会則)の取扱いに準じて処理すること。

二 役員の選任等の報告

社会保険労務士会は、役員を選任し、又は解任したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事又は都道府県労働基準局長に報告しなければならないこと(規則第二一条)。

三 会員の名簿の提出

社会保険労務士会は、毎年一回、最新の会員の名簿を都道府県知事又は都道府県労働基準局長に提出しなければならないこと。(規則第二二条)。

四 事業計画、収支予算等の報告

社会保険労務士会の事業計画及び収支予算並びに事業報告及び収支決算については、毎年度総会終了後堤出を求めること。

第五 その他の事項

社会保険労務士試験の試験科目の変更に伴い、昭和五四年度実施分の試験から変更後の試験科目により行われることとなること。これに伴い、社会保険労務士試験受験申込書及び免除申請書の様式が改正されたこと(規則様式第四号及び第五号)。

(別紙1)

(別紙2)

(別添)

社会保険労務士会会則審査基準

第一 名称及び事務所の所在地に関する事項

1 名称は、都道府県名を冠し、「○○都道府県社会保険労務士会」としていること。

2 事務所の所在地については、少なくとも、最小の行政区画(市町村(区))まで記載していること。

3 必要に応じて支部を設置することとして差し支えないこと。

第二 目的に関する事項

社会保険労務士法(以下「法」という。)第二五条の二第二項に規定する目的を記載していること。

第三 事業に関する事項

前記第二に掲げる目的を達成するために、少なくとも次に掲げる事項を事業内容としていること。

1 社会保険労務士の品位を保持するための指導及び連絡

2 社会保険労務士の資質向上のための研修、講習等

3 社会保険労務士業務の改善進歩のための調査研究

4 社会保険労務士制度の普及及び広報

第四 入会及び退会に関する事項

会員の資格及び入会、退会の手続を規定していること。

1 会員の範囲は、社会保険労務士の免許を有する者のうち、当該都道府県の区域内に住所又は事務所若しくは勤務先を有するものとすること。

2 入会、退会の手続及び入会、退会の時期が明記されていること。

3 退会については、本人の申出及び会員資格の喪失による退会のほか、退会事由が明記されていること。

(退会事由の例)

一 法第六条の規定に基づく免許の取消

二 法第二五条第一項の規定に基づく免許の取消

三 一定期間の会費の滞納

四 死亡

4 必要に応じて、賛助会員制、会友制を採用することとして差し支えないこと。

第五 役員に関する事項

役員の種類及び定数を定め、その職務、選任方法及び任期について規定していること。

1 役員の種類は、会長、副会長、理事及び監事とすること。

なお、必要に応じ、理事のうちから専務理事、常任理事を選任することとしても差し支えないこと。

2 役員の定数は、役員の種類ごとに定めることとし、会の規模に相応したものとすること。

3 会長、副会長の職務は、法第二五条の五第二項及び第三項の規定によるものとし、その他の役員の職務については、おおむね次のとおりであること。

一 理事は、理事会の構成員となり、会長を補佐して会務を執行すること。

二 監事は、会務の執行及び会計を監査し、総会に報告すること。

三 専務理事は、会長の命を受けて常務を執行すること。

四 常任理事は、常任理事会の構成員となり、会長を補佐して会務を執行すること。

4 理事及び監事は、総会において選任すること。

会長、副会長は、総会において選任するか又は理事会の互選により選任すること。

監事は他の役員を兼ねることができないこと。

専務理事及び常任理事は、理事のうちから、会長が選任するか又は理事会において選任すること。

5 役員の任期は、おおむね二年とすること。

ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とすること。

6 役員の解任及び退任の事由及び手続を明記していること。

第六 会議に関する事項

会議の種類、開催手続、成立要件、議決事項、議決方法等について規定していること。

1 会議は、総会及び理事会とし、必要に応じて常任理事会を設けることは差し支えないこと。

総会は、通常総会及び臨時総会とすること。

2 総会

一 総会の開催

ア 通常総会は、毎年開催することとし、その開催時期を明記していること。

イ 臨時総会の開催要件を明記していること。

二 総会の招集

総会は、会長が招集し、少くとも会日の一四日前までに、その日時、場所及び議案を記載した書面により会員に通知しなければならないこと。

三 総会の議事

総会の議事に関しては、少くとも次の事項を規定していること。

ア 総会の定足数は、会員総数の二分の一以上であること。

イ 総会の議事は、出席者の過半数で決すること。なお、可否同数のときは、議長の決するところによること。

ウ 会則の変更は、前記イにかかわらず、出席者の三分の二以上で決すること。

エ 総会の議長及び副議長の選任に関する事項を明記していること。

オ 総会に出席することができない会員は、あらかじめ、総会の議案について賛否の意見を明らかにした書面により、出席者に委任してその議決権を行使することができること。

カ 上記により議決権を行使する者は、総会に出席したものとみなすこと。

キ 総会の議事については、議事録を作成し、保存すること。

この場合の署名は、議長及び出席者二人以上とすること。

四 総会の議決事項

総会においては、会務に関する報告を行うほか、少くとも次の事項を審議決定することとしていること。

ア 事業報告及び事業計画

イ 予算及び決算

ウ 会則の変更

エ 理事及び監事の選任及び解任

オ 重要な財産の取得及び処分

五 代議員による総会

会員の数、地理的制約等により、全員による総会の開催が著しく困難であるような事情がある場合には、代議員による総会を開催することとして差し支えないこと。

この場合、代議員の選出手続を定めていなければならないこと。

なお、代議員の選出基準については、当面当該団体の実情を考慮したものであつて差し支えないこと。

3 理事会

一 理事会の構成

理事会は、会長、副会長及び理事をもつて構成すること。

二 理事会の招集

理事会は、会長が招集し、少なくとも開催の日の七日前までに書面によりその日時、場所及び会議の目的を、理事に通知しなければならないこと。

三 理事会の議事

理事会の議事に関しては少くとも次の事項を規定していること。

ア 理事会の定足数は、理事総数の二分の一以上であること。

イ 理事会の議長は、会長がこれにあたること。

ウ 理事会の議事は、出席者の過半数で決すること。

なお、可否同数のときは、議長の決するところによること。

エ 理事会の議事については、議事録を作成し、保存すること。この場合の署名は、議長及び出席者二人以上とすること。

四 理事会の議決事項

理事会においては、少くとも次の事項を審議決定することとしていること。

ア 総会に付議すべき議案

イ 総会において議決した事項の執行

ウ 会則による理事会の付議事項

エ 会則の施行に必要な細則の制定改廃

オ 会務の執行に関する重要事項

第七 社会保険労務士の品位保持に関する事項

社会保険労務士の品位保持については、少なくとも次の事項を規定しているものであること。

1 信用失墜行為の禁止

社会保険労務士としての信用を失墜又は品位を害するような行為をしてはならないこと。

2 事業主等との信頼関係の保持

事業主等との委託契約を遵守し、事業主等との間に紛議を生じないようにすること。

3 会則等の遵守

会則、社会保険労務士法及び同法政省令並びに労働社会保険諸法令を遵守すること。

4 非社会保険労務士との提携の禁止

社会保険労務士の名儀貸しを禁止していること。

第八 資産及び会計に関する事項

資産及び会計については、少なくとも次の事項を規定しているものであること。

1 事業年度は、四月一日から始まり、翌年三月三一日に終わるものとすること。

2 資産の構成はおおむね次に掲げるものであること。

一 入会金

二 会費

三 寄付金品

四 事業に伴う収入

五 資産から生ずる収入

六 その他の収入

3 資産は、会長が管理すること。

4 会長は、毎事業年度末における財務諸表(収支計算書、貸借対照表、財産目録)を作成すること。

5 会長は、毎事業年度の事業計画及び予算案を作成し、通常総会の承認を得ること。

6 会長は、毎事業年度終了後、事業報告及び収支決算書を作成し、監事の監査を受け、翌年度の通常総会の承認を得ること。

7 会長は、総会の承認を経て、特別の支出を目的とする特別会計を設けることができること。

第九 会費等に関する事項

会費等については、次の事項を規定していること。

1 会員が納入しなければならない会費の額を明記しなければならないこと。

なお、特別の支出にあてるため、特別会費を納入させることができること。

2 会員に入会金を納入させる場合には、その額を明記しなければならないこと。

第一〇 その他会の目的を達成するために必要な事項

その他次に掲げる事項を規定していること。

1 会員の監督及び懲戒

一 会は、会員から報告を求め、質問し、又は会員に対し必要な勧告をすることができること。

二 懲戒の種類及びその事由並びに手続を明記していること。

2 事務局

会務を遂行するため、事務局を置くこと。

3 補則

一 会則の施行について、必要な細則を定めることができること。

二 名誉会長及び顧問を置くことができること。

三 会長は、必要があると認めたときは、総会又は理事会の議を経て特別委員会を置くことができること。

4 附則

一 会則の施行日を規定していること。

二 入会金の徴収、役員の任期、設立時の事業年度等に関して必要な経過規定を置くこと。