アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○社会保険労務士法の施行について

(昭和四三年一二月二日)

(発社保第一九七号・発総第二九号各都道府県知事・各都道府県労働基準局長あて厚生・労働事務次官通達)

第五八回通常国会で成立した社会保険労務士法(昭和四三年法律第八九号)は昭和四三年六月三日に公布され、社会保険労務士法の施行期日を定める政令(昭和四三年政令第三二六号)により一二月二日から施行されることとなった。これに伴い、社会保険労務士法施行令(昭和四三年政令第三二七号)、社会保険労務士法施行規則(昭和四三年厚生・労働省令第一号)及び社会保険労務士の選考に関する基準(昭和四三年厚生・労働省告示第一号)が制定され、一二月二日から施行されることとなった。

本法は、事業主が労働及び社会保険に関する法令に基づいて作成し、行政機関等に提出する書類等の作成の業務並びに事業における労働及び社会保険に関する事項についての相談、指導の業務を行なう社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もって労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に寄与することを目的とするものである。

今日、社会経済の進展に伴い、労働社会保険関係諸法令はますますその重要度を高め、その内容も次第に複雑かつ専門的なものとなりつつある。一方、経済の成長と労働力不足の進行に伴い、労務問題の重要性は一層高まり、特に中小企業における労務管理の近代化はますます切実な問題となってきているが、中小企業では労務及び社会保険関係の専門担当者を企業内に持つ余力もないため、これらの専門家を部外に求めているのが現状である。ことに労働社会保険関係の事務は、事業主にとって的確に処理する必要があるだけでなく、労働者の権利・利益にも関係するものであるので、その労働社会保険関係事務の適正な処理を促進するため国の免許による社会保険労務士制度が創設されたものである。

本法の内容は、社会保険労務士の定義及びその行なう事務、社会保険労務士の資格及び免許、社会保険労務士試験、社会保険労務士業の開業手続及び事務所一か所の原則、報酬の制限、労働争議への不介入等開業者の遵守すべき義務、報告、検査、懲戒等社会保険労務士に対する監督、社会保険労務士でない者の名称使用及び開業の制限、社会保険労務士資格の特例等社会保険労務士制度の運営にあたって必要な事項全般を定めているが、本制度が今後円滑に運営されるためには、社会保険労務士の資質の向上及び報酬の制限、労働争議への不介入及び事務所一か所の原則の義務の遵守等その適正な業務の運営が不可欠であるので、特にこれらの者に対する監督指導に遺憾なきを期するとともに、制度の理解と普及に努め、法制定の目的の達成に万全を期せられたく、命により通達する。