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○国民年金基金制度の施行について

(平成二年一二月一九日)

(年発第五、八五三号)

(各都道府県知事あて厚生省年金局長通知)

国民年金法等の一部を改正する法律(平成元年法律第八六号)により、同法による改正後の国民年金基金制度が平成三年四月一日から施行されることとされたことについては、平成元年一二月二二日付け厚生省発年第六九号をもって厚生事務次官から通達されたところであるが、これに伴い、国民年金基金令(平成二年政令第三〇四号)及び国民年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成二年政令第三〇五号)が平成二年一〇月五日に、国民年金基金規則(平成二年厚生省令第五八号)が平成二年一二月一九日公布されたところである。ついては、これらの政省令の施行に当たっては、次の事項を十分了知のうえ、国民年金基金制度の施行に遺憾のないよう配慮されたい。なお、この通知においては、国民年金法を「法」と、国民年金基金令を「令」と、国民年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令を「整備政令」と、国民年金基金規則を「規則」と、国民年金基金を「基金」と、国民年金基金連合会を「連合会」と、それぞれ略称する。

 第一 設立に関する事項

1 設立を希望する旨の申出

地域型基金の設立を希望する旨の申出は、必要事項を記載した申出書を、都道府県知事を経由して厚生大臣に提供することによって行うものとすること。(規則第一条及び第六条)

2 創立総会

議長は創立総会で選任すること、書面又は代理人による出席が可能であること等の議事の手続き等を定めたこと。(令第一条から第四条まで及び規則第二条)

3 基金の設立認可申請

設立認可申請書に添付すべき書類を定めたこと。また、地域型基金の設立認可申請は、都道府県知事を経由して厚生大臣に提出するものであること。(規則第三条及び第六条)

 第二 管理に関する事項

1 規約

規約は、基金の行う年金事業についての基本的な規定であり、法令に基づく実体的内容を規定しているものであって、設立認可の際、一括して厚生大臣の認可を受けるものであること。なお、規約の変更の場合の厚生大臣の認可にあっては、地域型基金については代議員会及び役員に関する事項並びに組織及び業務に関する重要事項につき、厚生大臣でなく都道府県知事の認可を要することとし、また、事務所の所在地の変更等軽易な事項については、厚生大臣に対する届出をもって足りることとしているので、特に留意されたいこと。(令第五条及び第五三条)

2 公告

基金の設立、解散等に際しての公告は、官報に掲載して行うほか、基金の事務所の掲示板に掲示して行うものであること。(令第六条から第八条まで、第三六条及び第四二条)

3 代議員会

基金の意思決定機関である代議員会の招集及び議事の手続き等を定めたこと。(令第九条から第一六条まで)

 第三 加入員に関する事項

1 加入員

(1) 第一号被保険者が、基金に対し加入を申し出る際の申出書の記載事項及び添付すべき書類を定めたこと。(規則第七条)

(2) 加入員は、その資格の喪失、住所の変更等について基金に届け出なければならないこと。(規則第八条から第一三条まで)

2 加入員証及び加入員原簿

(1) 基金は、加入員が資格を取得したときは、加入員証を交付しなければならないこと。(規則第三九条)

(2) 基金は、必要事項を記載した加入員原簿を作成し、主たる事務所に備え付けて置かなければならないこと。特に、長期保険であることにかんがみ、加入員に関する記録は正確に、かつ、安全に保存するものでなければならないこと。(令第一七条及び規則第三八条)

 第四 基金の業務に関する事項

1 信託、保険又は共済の契約

基金は、信託会社(信託業務を営む銀行を含む。以下同じ。)、生命保険会社又は全国共済農業協同組合連合会(以下「全共連」という。)若しくは全国共済水産業協同組合連合会(以下「共水連」という。)と、年金及び一時金に要する費用に関し、信託、保険又は共済の契約を締結し、年金及び一時金に充てるべき積立金(以下「積立金」という。)の運用を委託するときは、その契約の内容は次のとおりであること。

(1) 年金及び一時金に要する費用に充てることをその目的とすること等の基準に該当するものでなければならないこと。(令第一八条)

(2) 基金が、信託、保険又は共済の契約に基づく権利を譲渡し、又は担保に供することを禁ずること。(令第一九条)

2 業務の委託

基金は、厚生大臣の認可を受けて、その業務の一部を、信託会社、生命保険会社、全共連、共水連のほか、連合会及び一定の要件に該当するとして厚生大臣が指定する法人(以下「指定法人」という。)に委託することができること。(令第二〇条)

3 年金及び一時金の給付

年金及び一時金の額の算定方法は、規約の定めるところによらなければならないが、その具体的内容は、次によるものであること。

(1) 年金及び一時金は、特定の者につき、不当に差別的な取扱いを行うものであってはならないこと。(令第二一条)

(2) 年金及び一時金の額は、加入員期間(納付された掛金に係る当該基金の加入員であった期間であって、国民年金の保険料に係る保険料納付済期間である期間をいう。以下同じ。)の各月の掛金及びその運用収入の額の総額に照らし、将来にわたって、財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならないこと。なお、算定に用いるべき基礎率については、おって定めるものであること。(令第二二条及び規則第三五条)

(3) 年金の額は、基金の加入員期間を付加保険料納付済期間として計算した場合の付加年金の額を超えるものでなければならないが、これは、受給権者が老齢基礎年金の支給を繰り下げ、又は繰り上げた場合に支給される年金についても同様であること。(令第二四条)

(4) 一時金は、受給権者が希望したときは、年賦払として支給することができるものであること。(令第二五条)

4 年金証書及び生存届

基金は、受給権者に対し年金証書を交付するものとし、受給権者は支給停止期間中を除き、毎年一回生存届を基金に提出するものであること。(規則第一五条及び第四五条)

 第五 財務及び会計に関する事項

1 事業年度

基金の事業年度は、事業開始の初年度を除き、毎年四月一日に始まり、翌年三月三一日に終わるものであること。なお、事業開始の日が一〇月一日以降の場合にあっては、特例が認められるものであること。(令第二六条)

2 予算

基金の予算は、毎事業年度開始前に厚生大臣に提出し、その認可を受けなければならないこと。(令第二七条)

3 決算

基金の決算は、毎事業年度終了後六月以内に厚生大臣に提出しなければならないこと。(令第二八条)

4 積立金の積立て

毎事業年度末日において基金が積み立てるべき積立金の積立ての基準は、加入員及び加入員であった者に係る責任準備金の額を下らない額とされたこと。(令第二九条)

5 積立金及び業務上の余裕金の運用

基金の積立金及び業務上の余裕金の運用は、次によるものとされたこと。(令第三〇条)

(1) 積立金の運用については、次の方法によること。

イ 信託会社への金銭信託(運用方法を特定するものを除く。)

ロ 生命保険会社への保険料の払込み

ハ 全共連又は共水連への共済掛金の払込み

(2) 業務上の余裕金の運用については、銀行預金、郵便貯金その他厚生省令で定める方法によること。

6 借入金

基金は、厚生大臣の承認を受けた場合に限り、借入金を借り入れることができること。(令第三一条)

7 その他

決算関係書類、業務上の余裕金の運用方法その他の基金の財務及び会計に関する事項については、おって別に厚生省令を定めること。

 第六 費用の負担に関する事項

1 掛金

掛金の額の算定方法は、規約の定めるところによらなければならないが、その具体的内容は次によるものであること。(令第三二条から第三五条まで並びに規則第三六条及び第三七条)

(1) 掛金の額は、年金及び一時金に要する費用の予想額並びに予定運用収入の額に照らし、将来にわたって、財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならず、かつ、少なくとも五年ごとにこの基準に従って再計算されるものであること。なお、算定に用いるべき基礎率については、おって定めるものであること。

(2) 掛金の額は、一月につき六万八〇〇〇円を超えてはならないこと。ただし、次に掲げる場合にあっては、特例として、一月につき一〇万二〇〇〇円まで納付できること。

イ 保険料追納者に係る特例

〔対象者〕

基金の加入員となった後で過去の免除期間分の国民年金の保険料を追納した者又は過去の免除期間分の国民年金の保険料を追納した後で基金の加入員となった者(免除であったために基金に加入できなかった期間の保険料の全部について追納した者)

〔一〇万二〇〇〇円まで納付できる期間〕

・期間の始期

追納を行った日の属する月又は加入員の資格を取得した日の属する月

・期間

追納が行われた免除期間のうちの基金制度が施行される平成三年四月一日以後の期間であって、最高五年間

ロ 中高齢加入者に係る特例

〔対象者〕

基金設立後二年以内に加入した者であり、かつ、加入時四六歳以上であるもの

〔一〇万二〇〇〇円まで納付できる期間〕

・期間の始期

加入員の資格を取得した日の属する月

・期間

次に掲げる要件を満たす期間

(1) 基金加入前の期間のうち、第一号被保険者としての保険料納付済期間に相当する期間

(2) 最高五年間。ただし、将来加入できる期間とあわせて一五年間を超えることのないよう、加入時四六歳の者にあっては最高一年間、加入時四七歳の者にあっては最高二年間、加入時四八歳の者にあっては最高三年間、加入時四九歳の者にあっては最高四年間

なお、基金の加入員期間の掛金の上限を一・五倍とする特例であるので、例えば加入時に既に五七歳であり、基金の加入員期間が最大三年間しかない者にあっては、仮に特例の対象となる期間が五年間あっても、当然、特例は三年間しか認められ得ないものであること。

2 国庫負担

基金の行う年金給付のうち、付加年金に相当する額に要する費用については、付加年金と同様に、四分の一の国庫負担が行われるものであるが、これは、受給権者が老齢基礎年金の支給を繰り下げ、又は繰り上げた場合に支給される年金についても同様であること。(整備政令第八条による国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令の一部改正)

 第七 解散及び清算に関する事項

1 解散

基金が解散したときは、解散した基金の加入員又は加入員であった者(連合会が年金を支給するものとされている者を除く。)に対する年金の支給は、付加年金に相当する額について政府(解散した基金が連合会の会員であるときは、連合会)が引き継ぐこととなるので、政府又は連合会が、必要な責任準備金相当額として基金から徴収する額の算出方法を定めたこと。(令第五二条)

2 清算

清算人による清算の手続等を定めたこと。(令第三七条から第四二条まで)

第八 国民年金基金連合会に関する事項

1 附帯事業

連合会は、会員である基金の中途脱退者及び解散基金加入員に係る年金及び一時金の支給等の事業のほか、基金事業の健全な発展を図るため、基金の行う事業の指導及び連絡、教育及び情報の提供、調査及び研究、基金から委託を受けた業務等の附帯事業を行うことができるものであること。(令第四三条)

2 業務委託

連合会は、厚生大臣の認可を受けて、その業務の一部を、信託会社、生命保険会社、全共連、共水連のほか、指定法人に委託することができること。(令第四四条)

3 中途脱退者に対する年金等の支給

(1) 中途脱退者の範囲

基金が連合会に年金の現価に相当する額(以下「現価相当額」という。)を交付しうる中途脱退者の範囲は、基金の加入員期間が一五年に満たない者とすること。(令第四五条)

(2) 交付の申出

基金が中途脱退者に係る現価相当額の交付を申し出る場合は、原則として中途脱退者が当該基金を脱退した日の属する月の翌月から起算して三月以内に、連合会に、必要事項を記載した申出書を提出しなければならないこと。(令第四六条及び規則第五五条)

(3) 再加入

現価相当額の交付により基金が年金及び一時金の支給の業務を免れた中途脱退者が、再びもとの基金の加入員となったときは、当該基金は、必要事項を記載した請求書を連合会に提出することにより、当該中途脱退者に係る年金の現価相当額の交付を請求するものであること。(規則第五八条)

(4) 現価相当額の計算

現価相当額の計算については、おって定めるものであること。(令第四七条)

4 解散基金加入員に係る年金等の加算

解散した基金から残余財産の交付を受けた場合に、連合会がその交付金を原資として解散基金加入員の年金等に加算する額の算定方法については、連合会の規約で定めること及びその算定の基準は、将来にわたって、財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならないこと。(令第四八条及び第四九条並びに規則第五九条)

5 国庫負担

連合会が支給する年金及び一時金に要する費用については、基金の場合と同様に国庫負担が行われるものであること。

 第九 その他の事項

1 権限の委任

次に掲げる厚生大臣の権限(地域型基金に係るものに限る。)は、都道府県知事に委任されたものであること。(令第五三条)

(1) 規約の変更の認可に関する権限のうち、代議員会、役員その他組織及び業務に関する重要事項に係るもの

(2) 基金からの報告徴収又は質問若しくは立入検査

(3) 基金に対する事業の是正命令又は改善措置命令

地域型基金が厚生大臣に提出すべき書類は、都道府県知事を経由して提出するものであること。(規則第四八条)

2 審査請求

基金又は連合会の処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができるが、これらの審査請求の手続きを定めたこと。(整備政令第二条による社会保険審査官及び社会保険審査会法施行令の一部改正)

3 業務報告

基金は、四半期ごとに厚生大臣に対し業務報告を行うものであること。(規則第四四条)