添付一覧
○国民年金法等の一部を改正する法律等の施行に伴う給付事務(地方庁処理分)の取扱いについて
(昭和六一年四月一日)
(庁保険発第二〇号)
(各都道府県民生主管部(局)国民年金主管課(部)長あて社会保険庁年金保険部国民年金課長通知)
国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六〇年法律第三四号。以下「改正法」という。)が本年四月一日から施行されることに伴い、関係政省令について所要の改正が行われたところであるが、国民年金の給付事務のうち地方庁処理分の実施に関しては、次の事項に留意し遺憾のないよう取り扱われたい。
なお、本通知においては、改正法による改正前の国民年金法(昭和三四年法律第一四一号)を「旧法」と、改正法による改正後の国民年金法を「新法」と、関係政令による改正後の国民年金法施行令(昭和三四年政令第一八四号)を「令」と、関係省令による改正後の国民年金法施行規則(昭和三五年厚生省令第一二号)を「規則」と、「都道府県民生主管部(局)国民年金主管課(部)」を「都道府県」とそれぞれ略称する。
第一 障害基礎年金等(地方庁処理分)の裁定支払事務等について
一 管轄社会保険事務所における裁定・支払事務
地方庁において処理する障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金及び特別一時金の裁定及び支払に関しては、左記二により都道府県において取り扱うものを除き、受給権者の住所地を管轄する社会保険事務所(以下「管轄社会保険事務所」という。)において、現行の社会保険事務所事務取扱準則に準じた事務処理を行うほか、次により取り扱うこと。
なお、年金証書記号番号等の払出しについては、左記二により都道府県において取り扱うものを含め、別添「新国民年金法に基づく年金証書記号番号等の払出しについて」によるものであること。
(一) 裁定結果登録処理票の入力処理
障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金及び特別一時金の裁定を行つたときは、裁定結果登録処理票を作成のうえ、窓口装置から昭和五八年一〇月二七日庁保険発第二二号「過渡期における年金業務取扱要領」に定める処理手順に準じ、所要の処理を行うこと。
(二) 診断書及び特別一時金裁定請求書の保管
障害基礎年金、遺族基礎年金の裁定請求書に添付され、又は障害の程度の再認定に伴い提出された診断書等については、その後の再認定に資するとともに、厚生年金保険の保険者等から年金給付の決定に関して資料の提供を求められた際に対応できるように保管すること。
(三) 障害基礎年金の受給権の削滅に係る通知等
厚生年金保険の保険者等から新法第三一条の規定に基づき障害基礎年金の受給権が削滅した旨の通知があつたときは、受給権者台帳に所要の記載を行い、受給権者にその旨を通知するとともに、受給権の削滅した国民年金証書の返付を求めること。
二 都道府県における裁定・支払事務
地方庁において処理する障害基礎年金及び遺族基礎年金のうち、新法第三〇条の四並びに改正法附則第二三条第二項及び第二五条の規定により支給する障害基礎年金の裁定及び支払に関しては、オンラインによる短期給付システムが本稼働するまでの暫定的な措置として、都道府県において次により取り扱うものであること。
(一) 裁定請求書の受付・審査等
ア 市町村における事務
市町村は、受給権者から裁定請求書等が提出されたときは、裁定請求書等に受付印を押印後、受付処理簿の所定欄に所要事項を記入する等所要の処理を行い、管轄社会保険事務所へ進達すること。
イ 社会保険事務所における事務
社会保険事務所は、市町村から裁定請求書等の進達を受けたときは、送付書に受付印を押印後、受付処理簿の所定欄に所要事項を記入し、当該請求書等の記載内容とその添付書類との照合・審査を行つた後、都道府県へ送付すること。
(二) 裁定・支払事務
都道府県は、社会保険事務所から送付のあつた裁定請求書等に係る審査等を行い、裁定請求のあつた給付を支給すべきものと決定したときは、次の処理を行うこと。なお、裁定請求を却下すべきものと決定したときは、現行の社会保険事務所事務取扱準則に準じ、国民年金裁定請求書却下通知書の作成、送付等所要の処理を行うこと。
ア 証書の記号番号を決定し、証書記号番号払出簿の所定欄に所要事項を記入するとともに受給権者台帳を作成する。
イ 国民年金証書、裁定通知書及び裁定結果登録処理票を作成すること。
なお、裁定通知書の通知者名は、都道府県国民年金課長とし、国民年金証書の裏面の「支給庁」欄には「○○都道府県国民年金課」と記入すること。
ウ 国民年金裁定通知書及び国民年金証書は、市町村を経由して受給権者へ送付すること。
エ 年金の支払は、都道府県に設置している資金前渡官吏が行うこと。
(三) 裁定結果登録処理票の入力
都道府県において、障害基礎年金及び遺族基礎年金の裁定処理を行つた場合には、受給権者の住所地の管轄社会保険事務所の窓口装置から裁定結果登録処理票に係る入力処理を行うこと。
(四) 診断書の保管等
診断書及び特別一時金裁定請求書の保管並びに障害基礎年金の削滅に係る通知等に関しては、一の(二)及び(三)と同様であること。
三 支払事務の簡素化
(一) 年四回の定期払に係る国庫金送金・振込通知書等の作成等支払事務の一部について簡素化することとするが、これに係る受給権者記録の切替事務については、昭和六一年四月一日付庁文発第一五八七号「給付の支払に関する事務処理の簡素化に伴う受給権者記録の切替業務の実施について」に基づいて実施すること。
(二) 本年八月から予定している国民年金の給付の支払機関の拡大に関し、郵便局における支払事務の取扱いについては、その概要を昭和六一年四月一日庁文発第一五八六号「国民年金の給付の支払機関の拡大等について」により通知したところであるが、その細部については、具体的な取扱いが定まり次第別途通知する予定であること。
四 裁定請求書及び診断書の様式
(一) 基礎年金に係る裁定請求書については、規則において記載事項が指定されたところであるが、従来どおり、都道府県において調製するものであること。
(二) 診断書については、規則において記載事項が指定されたところであるが、厚生年金保険等にも共通する様式として定める別途管理換えすること。
なお、診断書については、改正法附則第三二条の規定によりなお従前の例によることとされた旧法による障害年金受給権者が障害の程度に係る再診査を受ける場合等にも使用するものとすること。
第二 遡及した裁定請求等に係る事務処理について
新法施行日以降に障害福祉年金及び母子福祉年金等の裁定請求が遡及してあつた場合の裁定及び支払に関する事務並びに障害基礎年金等への裁定替に関する事務については、次により行うこと。
一 総説
新法施行日以降に障害福祉年金及び母子福祉年金等の裁定請求が遡及してあつた場合において、当該裁定請求につき受給権を認めるものであるときは、当該裁定請求に併せ、障害基礎年金又は遺族基礎年金の裁定請求があつたものとして取り扱つて差し支えないこと。
なお、障害基礎年金又は遺族基礎年金の裁定請求があつたものにつき、障害福祉年金又は母子福祉年金の受給権が認められる場合にも同様であること。
二 裁定請求等
(一) 受給権者は、裁定請求に当たり、現行の福祉年金裁定請求書及び福祉年金診断書等を提出することとされているが、当該裁定請求書の様式については、第一の四の様式を取り繕つたものでも差し支えないこと。
(二) 受給権者が、障害基礎年金等に裁定替される者であつて、引き続き一八歳未満の子(二〇歳未満の障害の程度が二級以上に相当する子を含む。)の生計を維持するものであるときは、その事実を証する書類を添付させること。
(三) 当該受給権者が障害基礎年金等に裁定替される者であるときは、障害福祉年金の支払郵便局における現金払による支払を希望する場合を除き、所要の証明を受けた「厚生年金等振替預入請求書」又は「国民年金払渡方法・払渡機関変更届」を添付させること。
三 裁定請求書の受付・審査
管轄社会保険事務所及び市町村は、受給権者から裁定請求書等の提出があつた場合、第一の一に準じて処理を行うこと。
四 裁定・支払事務
(一) 都道府県は、社会保険事務所から送付のあつた裁定請求書について、現行の福祉年金都道府県事務取扱準則に基づき、次の処理を行うこと。
(1) 受給権者名の記入及び証書の記号番号の決定
(2) 福祉年金受給権者台帳の作成
(3) 国民年金(福祉年金)証書の作成等
(二) 昭和六一年三月以前に係る年金の支払は、現行の国民年金(福祉年金)証書により行うこと。
五 障害基礎年金等への裁定替
障害福祉年金等を障害基礎年金等に裁定替すべきものであるときは、昭和六〇年一〇月一二日庁保険発第三三号「国民年金法等の一部を改正する法律の施行に係る国民年金関係の事前準備事務等の取扱いについて」の別添四「障害福祉年金等の障害基礎年金等への移行に関する事務処理要領」に準じて処理を行うこと。
第三 障害基礎年金等の裁定結果に係る登録事務について
一 裁定結果登録処理票の入力処理
障害基礎年金及び遺族基礎年金(障害福祉年金等を裁定替したものを含む。)を裁定したときは、裁定結果登録処理票を作成のうえ、受給権者の住所地を管轄する社会保険事務所の窓口装置から、「過渡期における国民年金業務取扱要領」に定める処理手順に準じ、所要の処理を行うこと。
二 国民年金の記号番号の確認事務
障害福祉年金等の障害基礎年金等への移行準備事務において国民年金の記号番号が不明なものについては、次による処理を行うこと。
(一) 昭和六一年一一月定期払に係る国庫金送金通知書等の送付等に併せ、国民年金の記号番号確認用はがき(以下「手番確認用はがき」という。)を送付し確認を行うこと。
なお、手番確認用はがきの用紙の調製は、都道府県で行うこと。
(二) 受給権者から国民年金の記号番号が記入された手番確認用はがきの提出があつたときは、一の処理を行うこと。
(三) 確認の結果、国民年金の記号番号が判明しなかつた裁定結果登録処理票は、生年月日順に配列し、都道府県において保管すること。
三 受給権者台帳の移管に伴う裁定結果登録処理票の送付
受給権者台帳の移管要求があつた場合において、国民年金の記号番号が確認できない等のため裁定結果登録処理票が未処理となつているときは、移管する受給権者台帳に添えて送付すること。
なお、都道府県内での住所変更の場合は、裁定結果登録処理票の備考欄に新住所地の市町村名を記入し、新住所地を管轄する社会保険事務所分として整理すること。
第四 未支給年金支給請求書の事務処理について
昭和六一年四月一日以降に受給権者が死亡したことに伴い発生する未支給年金の支給事務に関しては、次により取り扱うこと。
一 支給の請求
受給権者が昭和六一年四月一日以降に死亡した場合の未支給年金に係る支給請求に当たつては、次に掲げる書類を添付させること。
(一) 請求者と受給権者との身分関係を明らかにすることができる書類
(二) 受給権者の死亡を明らかにすることができる書類
(三) 昭和六一年三月分以前の福祉年金が未払であるときは、当該国民年金証書
二 支給請求書の受付・審査
管轄社会保険事務所及び市町村は、請求者から未支給年金支給請求書の提出があつたときは、第一の一に準じて処理を行うこと。
三 支給決定・支払事務
昭和六一年三月以前の期間の障害福祉年金等に係る未支給年金は現行の福祉年金都道府県事務取扱準則に基づき、昭和六一年四月以降の期間の障害基礎年金等に係る未支給年金は現行の国民年金社会保険事務所事務取扱準則に基づき、それぞれ処理を行うこと。
第五 障害福祉年金等から裁定替する障害基礎年金等の事務処理に係る留意事項について
一 所得制限
所得状況による支給制限に関しては、令に規定されたところであるが、改正法附則第二五条の規定により支給される障害基礎年金(以下第五において単に「障害基礎年金」という。)については、前年の本人所得の状況、また、改正法附則第二八条の規定により支給される遺族基礎年金(以下第五において単に「遺族基礎年金」という。)については、前年の本人所得又は扶養親族等の所得の状況によるものとされたこと。
二 公的年金受給に係る併給制限
(一) 障害基礎年金及び遺族基礎年金の受給権者が公的年金給付を受ける場合の政令で定めることとされた公的年金の範囲については、令第四条の九第二項において、現行の福祉年金に係る規定と同様の措置が行われたこと。
(二) 公的年金を受給する障害基礎年金及び遺族基礎年金の受給権者に係る支給停止処理については、当面、新法施行日の前日における公的年金受給額をもつて行い、国民年金裁定通知書及び国民年金証書の交付に併せ「支給停止額変更届」を交付する等により所要の処理を行うこと。
三 裁定通知書、国民年金証書の交付
(一) 市町村における事務
市町村は、都道府県から送付された国民年金裁定通知書又は国民年金証書に基づき、福祉年金受給権者名簿に新証書記号番号を記入のうえ、国民年金裁定通知書及び国民年金証書にパンフレットを添えて速やかに受給権者に送付すること。
なお、受給権者の死亡に関する届書又は国民年金裁定通知書及び国民年金証書の記載事項の変更に係る届書が都道府県に未進達となつているときは、当該届書に進達に併せ、国民年金裁定通知書及び国民年金証書を返戻すること。
(二) 都道府県における事務
都道府県は、市町村から送付された届書並びに国民年金裁定通知書及び国民年金証書に基づき所定の処理を行い、受給権者に交付すべき国民年金裁定通知書及び国民年金証書があるときは、パンフレットを添えて再度市町村へ送付すること。
なお、受給権者の死亡等により交付を必要としない国民年金裁定通知書及び国民年金証書は、無効の処理を行うこと。
四 障害基礎年金の選択替
(一) 障害福祉年金から障害基礎年金に裁定替になることに伴い、従来老齢年金の受給権者であつた者から障害基礎年金を選択する旨の申出書の提出があつたときは、当該申出書(写)の備考欄に新証書記号番号及び支給開始年月「六一・四~」を記入のうえ、昭和六一年四月末日までに社会保険庁年金保険部業務第二課長あて送付すること。
なお、申出書の様式は、従前の様式で差し支えないこと。
(二) 社会保険庁年金保険部業務第二課は、都道府県国民年金課から障害基礎年金を選択する旨の申出書(写)の送付を受けたときは、老齢年金の裁定原簿にその旨を表示し、昭和六一年四月以降の月分について当該老齢年金を支給停止する処理を行うものであること。
五 現況届の提出
(一) 障害基礎年金及び遺族基礎年金に係る現況届については、受給権者及び受給権者が生計を維持する子の生存に関する市町村長の証明書及び基礎年金所得状況届を添付のうえ、毎年七月三一日までに提出させることとし、本年度分の届出用紙については、国民年金裁定通知書等の交付に併せ、受給権者に対して送付されたいこと。
(二) (一)の基礎年金所得状況届については、昭和四四年三月一九日庁文発第二四七五号「定時の福祉年金所得状況届について」別紙様式「福祉年金受給権者定時届関係連名簿」(以下「連名簿」という。)をもつて代えることができること。
また、受給権者の生存に関する市町村長の証明に関しては、当分の間、連名簿による所得状況の届出があつた場合には市町村長の証明があつたものとして取り扱うこと。
(三) 昭和六一年度現況届に係る特例
障害基礎年金及び遺族基礎年金に係る本年度の現況届の添付書類については、新規裁定の例により、基礎年金所得状況届のみで差し支えないこと。
(四) 障害の程度の再認定
従前の障害福祉年金であれば本年度に再認定を行う予定となる障害基礎年金の受給権者からは、本年七月三一日までに診断書の提出を求め、所要の処理を行うこと。
第六 その他
一 障害福祉年金等の国民年金証書の取扱い
障害福祉年金等については、本年四月期の支払をもつて最終支払となるが、当該福祉年金に係る国民年金証書に関しては、返付を求めないこととしたこと。
二 障害福祉年金等から裁定替となつた者についての年金担保貸付に係る事務取扱い
改正法の施行に伴い、障害基礎年金又は遺族基礎年金の受給権者も年金担保貸付制度を利用できることとされたところであるが、年金担保の設定された障害基礎年金等に係る事務処理に関しては、現行の社会保険事務所事務取扱準則に準じて行うこと。