添付一覧
○国民年金法等の一部を改正する法律等の施行に伴う保険給付に関する事務等の取扱いについて
(昭和六一年三月三一日)
(庁業発第一三号)
(各都道府県民生主管部(局)保険主管・国民年金主管課(部)長あて社会保険庁年金保険部業務第一・二課長連名通知)
国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六○年法律第三四号)及び国民年金法施行令等の一部を改正する等の政令(昭和六一年政令第五三号)並びに国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(昭和六一年政令第五四号)の施行については、昭和六一年三月三一日庁保発第一二号をもつて社会保険庁医療保険部長・同年金保険部長から、都道府県知事あて通知されたところであるが、これらの法令の施行に伴う厚生年金保険、船員保険及び国民年金に関する事務のうち、業務第一課・業務第二課において取り扱うものについては、次によるものとしたので通知する。
なお、この通知において、国民年金法等の一部を改正する法律を「改正法」と、国民年金法施行令等の一部を改正する等の政令を「改正政令」と、国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令を「経過措置政令」と、改正法による改正前の厚生年金保険法、船員保険法及び国民年金法を「旧法」と、改正法による改正後の厚生年金保険法、船員保険法及び国民年金法を「新法」とそれぞれ略称する。
第一 旧法に関する事項
一 年金額の引上げについて
改正法及び経過措置政令の施行に伴い、厚生年金保険及び船員保険の年金たる保険給付並びに国民年金の年金給付のうち老齢年金及び通算老齢年金については、昭和六一年四月一日(以下「施行日」という)から年金額の引上げを行うこととされたところであるが、これらに伴う事務は、次により行うものである。
(一) 年金額の改定処理
年金額の改定は、厚生年金保険及び船員保険の受給権者にあつては昭和六一年三月一○日までに、国民年金の受給権者にあつては同年三月一一日までに業務第二課に到着した年金額の改定、年金の支給停止、受給権の消滅並びに住所及び氏名の変更等に係る届書等(以下「諸変更届」という)に基づく処理を行つた後の裁定原簿により、それぞれ一括して処理するものであること。
なお、船員保険の年金たる保険給付に係る標準報酬月額の上限の引上げに伴う職務上の事由による障害年金、遺族年金及び第二種特別支給金の年金額の改定処理は、最終標準報酬月額(昭和六○年実施の賃金スライド率を乗じたもの)が四七万円を超えている者について行うものであること。
(二) 年金改定通知書等の送付
年金額の改定等の通知は、年金改定通知書(別添1の1~別添1の11)により昭和六一年四月二五日にそれぞれ当該受給権者あて行うものであること。
また、社会保険事務所(船員保険の現業事務を取り扱う保険主管課(部)を含む。以下同じ)に対しては、年金額の引上げに係る計算基礎等を記載した改定者一覧表(別添2の1~別添2の4)を昭和六一年四月二三日に送付するものであること。
二 年金の支払いについて
引上げ後の年金額による支払いは、厚生年金保険及び船員保険にあつては昭和六一年五月定期支払から、国民年金にあつては昭和六一年六月定期支払から行うものである。
三 窓口装置への照写について
年金額の改定に伴う受給権者裁定原簿記録照会回答票の照写及び年金額試算システムの照写については、昭和六一年四月二五日より改正後の年金額で行うものである。
四 在職老齢年金等の支給限度額及び支給停止割合の変更について
経過措置政令の施行に伴い、厚生年金保険及び船員保険の被保険者に支給される老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金(以下「在職老齢年金等」という)の支給については、支給対象者の標準報酬月額の限度額が引上げられるとともに、年金の支給停止割合を定める標準報酬月額の区分も変更されたところであるが、これに伴う事務処理は、次により行うものである。
(一) 年金額の全部又は一部が支給停止されている者に関する支給停止割合の変更については、社会保険事務所からすでに進達された「在職老齢(通算老齢・特例老齢)年金受給権者の標準報酬月額変更報告一覧表」又はその後進達された「老齢年金・通算老齢年金・特例老齢年金受給権者の標準報酬月額変更報告書」による標準報酬月額に基づき行うものであること。
(二) 支給停止割合を変更した受給権者に対しては、年金支給額変更通知書を送付するものであること。
五 支給停止事由消滅、改定事由該当の届出
改正法の施行に伴い、厚生年金保険の被保険者の資格が六五歳未満の者とされたことから、今後六五歳に達する在職老齢年金等の受給権者については、当該受給権者が六五歳に達する月の前月に業務第二課から「老齢・通算老齢・特例老齢年金受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届六五歳喪失」を送付することとしたので、受給権者から同届書の提出があつたときは、同届書の「被保険者記録に関する管轄課所記入欄」に所要の事項を記載し業務第二課に進達するものである。
第二 新法に関する事項
一 裁定請求の取扱いについて
施行日以後に支給事由の生じた老齢、障害又は死亡については、新法に基づく給付が行われることとされたところであるが、これらに伴う事務は、次により行うものである。
(一) 新法に基づく給付の種別
ア 国民年金法及び厚生年金保険法による給付について、支給事由が同一であるものについては、共通の種別として取り扱うこととし、年金証書等における種別符号は、次のとおりとしたこと。
(ア) 老齢基礎年金・老齢厚生年金…………………「一一」
(イ) 障害基礎年金・障害厚生年金…………………「一三」
(ウ) 遺族基礎年金・遺族厚生年金…………………「一四」
(エ) 特例老齢年金(厚生年金保険法附則第二
八条の三)…………………………………………「一八」
(オ) 老齢年金(国民年金法附則第九条の三)……「一九」
(カ) 特例遺族年金(厚生年金保険法附則第二
八条の四)…………………………………………「二四」
(キ) 障害手当金(厚生年金保険法第五五条)……「三○」
イ 船員保険法による給付についての年金証書等における種別符号は、次のとおりとすること。
(ア) 障害年金…………………………………………「三三」
(イ) 遺族年金…………………………………………「三四」
(ウ) 障害手当金………………………………………「三○」
(エ) 遺族一時金………………………………………「四○」
(二) 裁定請求書の様式
裁定請求書は、三制度に共通したものとして老齢給付用、障害給付用及び遺族給付用(船員保険の遺族一時金を除く)の三種類の様式を用いることとし、国民年金法及び厚生年金保険法による給付について、支給事由が同一であるものについては、一枚の裁定請求書で対応するものであること。
なお、支給事由、権利発生の時期及び受給権者が同一であるときには、船員保険の裁定請求書も兼ねることができるものであること。
(三) 裁定請求書の受付、点検・補正、進達等の取扱い
裁定請求書の受付、点検・補正、進達等の取扱いについては、「国民年金・厚生年金保険・船員保険年金給付裁定請求書の進達事務の手引」(以下「裁定請求書進達手引」という)により行うものであること。ただし、次の事項について留意されたいこと。
ア 老齢給付
(ア) 「国民年金・老齢基礎年金/ 厚生年金保険・老齢厚生年金支給繰下げ申出書」を受付ける場合においては、他の年金の受給権が無いことを確認されたいこと。
(イ) 「国民年金老齢基礎年金支給繰上げ請求書」を受付ける場合においては、国民年金の被保険者で無いことを確認されたいこと。
イ 障害給付
障害基礎年金について、傷病に係る初診日が共済組合の組合員期間中にあるものについては、当該裁定請求書は共済組合で受理するものであること。
ウ 遺族給付
遺族厚生年金について、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている被保険者が死亡した場合等については、該当する要件により年金額に違いが生じるため、裁定請求書においていずれの要件によるかの意思表示をさせるものであること。
エ 進達番号の払出し
裁定請求書の進達にあたつては、裁定請求書ごとに進達番号を付すこととしているが、進達番号は、旧法分とは別管理とし市区町村受付分と社会保険事務所受付分とを区別することなく、連番で払い出すものであること。
(四) 「諸変更裁定」における裁定請求の取扱い
すでに年金を受給している者に対し、受給中の年金と支給事由が同一である他の年金の受給権が発生した場合には、前発の年金に対する諸変更の事務として処理するものであり、これらに係る請求書等の受付、点検・補正、進達等については、裁定請求書進達手引によらず後述の「国民年金・厚生年金保険・船員保険年金受給権者にかかる諸変更届の進達事務の手引」(以下「諸変更届進達手引」という)により取り扱うものであること。
この取扱いをするものは、次の場合であること。
ア 老齢給付
(ア) 厚生年金保険法附則第八条の規定による老齢厚生年金(以下「特別支給の老齢厚生年金」という)の受給権者が、六五歳に達した際に老齢基礎(厚生)年金の裁定の請求を行う場合
(イ) 特別支給の老齢厚生年金の受給権者であつた者が、老齢基礎(厚生)年金の支給繰下げの申出を行う場合
(ウ) 特別支給の老齢厚生年金の受給権者は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求を行う場合
(エ) 支給繰上げによる老齢基礎年金の受給権者が、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)の受給要件を満たしたことによつて、その年金の裁定の請求を行う場合
イ 障害給付
障害厚生年金(障害の程度が障害等級の三級に該当するものに限る)の受給権者について、その障害の程度が増悪して障害基礎年金が支給されることとなつた場合
ウ 遺族給付
遺族厚生年金の受給権者が妻である場合であつて、夫の死亡当時胎児であつた子が出生したことによつて、遺族基礎年金が支給されることとなつた場合
二 諸変更の取扱いについて
新法に基づく給付の受給権者に係る諸変更の事務は、次により行うものである。
(一) 届書の様式
諸変更届は、国民年金法及び厚生年金保険法に基づく給付について、支給事由が同一であるものについては一枚の届書で対応できるものとしたが、船員保険法に基づくものについては、別に様式を定めたこと。
(二) 諸変更届の受付、点検・補正、進達等の取扱い
諸変更届の受付、点検・補正、進達等の取扱いについては、「諸変更届進達手引」によるものであること。ただし、次の事項について留意されたいこと。
ア 障害給付
障害給付について、傷病の初診日が共済組合の組合員期間中にあるものについては、障害の程度の変更による年金額改定の請求は、共済組合に行うものであること。
イ 支給停止の解除の申請
併給調整によつて、支給が停止されている年金について、支給停止の解除を申請するときは、その年金の支払を行う保険者に対し、年金受給選択申出書を提出するものであること。
三 年金受給権者等に対する通知について
(一) 裁定に関する通知
新法に基づく給付の裁定を行つたときは、年金受給権者には年金証書及び裁定通知書を、裁定請求書の受付、点検・補正、進達を行つた社会保険事務所等には裁定者一覧表を送付するものであること。
(二) 諸変更に関する通知
諸変更の処理を行つたときは、年金受給権者には支給額変更通知書を、社会保険事務所等には支給額変更者一覧表を送付するものであること。
(三) 年金の支払に関する通知
年金の支払を行うときは、支払通知書又は振込通知書により受給権者あて通知するとともに、社会保険事務所等へは支払明細書等を送付するものであること。
(四) 共済組合に対する通知
共済組合の組合員期間を有する者について、基礎年金等の裁定を行つたときは、基礎年金裁定結果一覧表を、当該共済組合に送付するものであること。
(五) 各通知書の様式等
各通知書の様式等については、別途通知するものであること。
四 生計維持関係の認定
生計維持関係の認定については、その基準となるべき収入等が示されたところであるが、具体的な事務の取扱いについては、別途通知するものである。
五 窓口装置による年金額の試算
窓口装置による年金額の試算は、昭和六一年四月二五日から行うものである。
第三 その他
一 被保険者記録の進達等に関する事務については、原則として従来どおり取り扱うものであるが、新たに設けられた厚生年金保険の高齢任意加入被保険者に係る事務等については、次によるものである。
(一) 厚生年金保険の高齢任意加入被保険者に係る資格取得申出/申請書及び資格喪失/申出/申請書の進達については、厚生年金保険被保険者資格取得届及び資格喪失届の例によるものであること。
(二) 年金加入期間確認請求書により年金加入期間の確認の請求があつたときは、従来の通算対象期間確認請求書の例により取り扱うものであること。
(三) 厚生年金保険の船員である被保険者に係る記録の進達等に関する事務については、「厚生年金保険の船員被保険者資格記録関係手続」によるものであること。
なお、この内容については、船員保険の職務外部門が厚生年金保険に統合されたことに伴い、従来の船員保険被保険者資格記録進達関係手続を整理・再編したものであること。
二 旧法の規定が効力を有することとされている者については、裁定請求の取扱い及び諸変更の取扱いについては、引き続き従前の例によるものであること。
三 裁定請求書進達手引、諸変更届進達手引及び厚生年金保険の船員被保険者資格記録関係手続については、昭和六一年四月一六日に送付する予定である。
別添1の1~2の4 略