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○住民基本台帳制度の実施に伴う国民年金事務の取扱いについて

(昭和四二年一〇月四日)

(庁保発第二三号)

(各都道府県知事あて社会保険庁年金保険部長通達)

住民基本台帳法は去る七月二五日昭和四二年法律第八一号をもつて、住民基本台帳法施行令は、昭和四二年九月一一日政令第二九二号をもつて、それぞれ公布され、昭和四二年一一月一〇日から施行されることとなつた。

この住民基本台帳制度は、国民年金行政の適用業務の面に関連をもち、市町村(特別区を含む。以下同じ。)における被保険者の住所変更等の事務処理に変更をもたらすこととなるものであるので、この制度の実施に伴う国民年金事務の取扱いについては、一〇月四日法務省民事局長、厚生省保険局長、社会保険庁年金保険部長、食糧庁長官、自治省行政局長連名通知「住民基本台帳事務処理要領について」によるほか、左記の事項に留意のうえ、関係組織間の密接な連けいのもとに、市町村の指導について遺憾のないよう特段のご配意を願いたい。

一 一般的事項

(一) 市町村における国民年金の適用にかかる業務のうち、適用対象者の把握、被保険者の移動の把握等については、従来から各種の対策を講じてきたが、住民基本台帳の制度化により、さらにその推進がはかられるものと期待されるので、この制度を十分活用するよう配意されたいこと。

(二) 市町村において行なうこととされている国民年金の事務のうち、住民基本台帳制度の実施によつて変更を生ずるのは、被保険者の資格に関する事項の記録、被保険者の住所の変更等の届出及びこれらに関連する事務であつて、その他の適用に関する事務、保険料の検認に関する事務、免除に関する事務、給付に関する事務、福祉年金に関する事務、広報に関する事務、民間地区組織の指導に関する事務等については、国民年金を担当する課、係等において従来どおり実施にあたることとなるものであること。

二 適用対策との関係

住民票には国民年金の被保険者の資格に関する事項、国民健康保険の被保険者の資格に関する事項等が記載されることとなり、かつ、住民票の記載は住民の実態を正確にあらわすものとなるように努めるべきこととされているため、国民年金の被保険者の把握については、推進が図られることが期待される。しかし、住民票は本来、住民の居住関係を公証し、住民としての地位を表示する帳簿であつて、国民年金の被保険者の資格の得喪は、国外から移住した場合及び国外に移住した場合を除いては、住所の変更等にかかわりなく、二〇歳に到達し、または他の公的年金から移行する等、国民年金独自の要件によつて行なわれるものであるから、被保険者の資格の得喪を住民基本台帳制度によつて完全に把握することは困難である。したがつて、後記4の措置を行なうほか、これによつて達成することができない面については、従来どおり被保険者の適用対策をすすめることとなるものであること。

また、住民基本台帳法による転入届及び転居届が国民年金の住所変更届とみなされることとなり、被保険者の移動の把握についても、より的確になることが期待されるが、転出地における住民票の消除は、転入地に転入した事実を確認したうえ行なわれることとされていないので、国民年金における被保険者の住所変更の処理は、住民票の消除にあわせて行なうものではなく、転入地の市町村又は社会保険事務所からの連絡、実地調査等により、転入地に転入した事実を確認してから行なうよう指導されたいこと。

三 被保険者名簿

(一) 国民年金の被保険者の資格についての事務の管理は、原則として住民票により行なうこととなるが、保険料の検認の記録、免除の記録等は国民年金の被保険者名簿によつて行なわれるものであり、又適用対策、給付、広報、民間地区組織の指導等の経常的な事務についても被保険者名簿を基準として行なうこととなるので、市町村の国民年金を担当する課、係等における被保険者名簿の設置及び管理については、従来どおり変るところはないものであること。なお、被保険者名簿の被保険者の資格に関する事項の記載は、前記の事務処理を経常的に行なうため必要なものとして、従来どおり記載するものとすること。

(二) 転出届の制度があらたに設けられたことにより、転出に伴う住民票の消除の処理が転出届に基づき転出予定年月日において行なわれることとなつたが、これは転出地の市町村における台帳整理の促進を図るための手続上の措置であつて、この処理は事後において転入通知により補正が行なわれることとされており、転入通知があるまでの経過的期間にかかる被保険者の資格についての事務の管理は、被保険者名簿により行なうこととなるものであること。

(三) 住民基本台帳の整備は、昭和四四年三月三一日までに行なうこととされており、各市町村において住民基本台帳を整備するまでの間は、旧住民登録法の規定による住民票等が住民基本台帳とみなされることとなり、その間は国民年金に関する事項の記載は省略することができることとされているが、その記載が省略されている間は、国民年金の被保険者の資格についての事務の管理は、被保険者名簿により行なうこととなるものであること。

四 住民票の記載事項

住民票の国民年金関係の義務的記載事項は被保険者の資格の得喪年月日、強制・任意の別及び国民年金手帳の記号番号とされたが、住民票には、これらの事項のほか、住民の福祉の増進に資する事項を任意に記載することができることとされていること。これは、市町村における関係行政事務の処理の適正化及び合理化のために、住民基本台帳を積極的に活用することができるようにすることを目的とするものであるので、この趣旨に基づき、国民年金の被保険者の資格に関する事項の記載の正確性を確保するため、他の公的年金の加入者について、その加入している公的年金の名称を記載させ、また国民年金(福祉年金を含む。)の受給者に関する事務の適正化を図るため、その受給者について、受けている年金の名称を記載させることが適当であるので、この点につき指導されたいこと。

五 届出

(一) 国民年金の被保険者について住民基本台帳法の規定による転入届又は転居届があつたときは、国民年金法の規定による住所の変更(国外からの移住又は国外への移住に伴う被保険者の資格の得喪を含む。以下同じ・)の届出があつたものとみなされることとなり、住所の変更についての国民年金法の規定による届出は従来どおり存続するが、実施上の措置としては、住所の変更についての届出はなるべく同一の様式により行なうことが望ましいこと。なお、転入届、転居届及び転出届には、国民年金手帳を添えて提出するものとされていること。

(二) 被保険者の住所の変更の届出以外の届出については、一元化についての法的措置は講じられていないが、被保険者の氏名の変更及び死亡の届出については、被保険者の利便及び窓口事務の合理化を図るため、様式の一元化を図ることが望ましいこと。また、被保険者の資格の得喪の届出等についても、同様の趣旨で様式の一元化を図ることは差しつかえないが、この場合においては、国民年金法施行規則に規定されている事項が遵守されるように留意し、かつ、適用対策等の業務に支障を及ぼすことのないよう十分配意のうえすすめられたいこと。なお、届書には氏名にふりがなを付する必要があるが、資格の得喪の届出については、特にこの点を注意されたいこと。

(三) 新たに転出届の制度が設けられ、転出届があつたときは、転出証明書を交付し、これを添付して転入届を行なうこととされたが、この転出証明書には、国民年金の被保険者については、国民年金手帳の記号番号を記載することとされたこと。

なお、この転出証明書の国民年金手帳の記号番号の記載は、住民基本台帳の整備が行なわれるまでの間は省略することができることとされているが、それまでの間においても、従来から食糧管理法の規定による転出証明書に国民年金手帳の記号番号を記入していた市町村はもちろん、その他の市町村においても国民年金手帳の記号番号を記入するよう指導されたいこと。

六 住民調査

住民基本台帳の正確性を確保するため、市町村は定期的に住民調査を実施することとされたこと。この調査においては、国民年金の被保険者の資格に関する事項についても調査することとなるものであるが、被保険者の資格の把握を適確に行なうため、被保険者でない者の他の公的年金加入の状況についても調査事項とするよう指導することが望ましいこと。

七 窓口職員の指導訓練と部内連絡方式の確立

(一) 住民基本台帳制度の実施によつて、住所の変更の届出等の一元化が図られ、市町村における届出受付の窓口の一本化がすすめられることとなるが、その結果、窓口職員は国民年金に関する知識をも必要とすることとなるので、今後は窓口職員に対する指導訓練について特に十分配意されたいこと。

(二) 住民基本台帳制度に関連する事務については、国民年金を担当する課、係等と住民基本台帳を担当する課、係等及び窓口との間の連絡通報を常に密接に行なう必要があるので、その処理方式を確立することについて市町村の指導を十分行なわれたいこと。