アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○国民年金法の一部改正について

(昭和四〇年六月五日)

(庁保発第二一号)

(各都道府県知事あて社会保険庁年金保険部長通知)

標記のことについては、昭和四○年六月五日庁発第六号により社会保険庁長官から通達されたところであるが、その実施の細部については、次の事項に留意されたく通知する。

第一 年金額の引上げに関する事項

1 老齢福祉年金、障害福祉年金、母子福祉年金及び準母子年金の年金額は、本年九月分から次のとおり引き上げられるものであること。

老齢福祉年金  一万五六○○円

障害福祉年金  二万四○○○円

母子福祉年金及び準母子福祉年金  一万八○○○円(子、孫又は弟妹(以下「子等」という。)が二人以上あるときは、その子等のうち一人を除いた子等一人につき四八○○円を加算する。)

2 前記1の年金額の引上げに伴う国民年金証書の年金額改定等に係る事務処理は、本年四月二四日庁保険発第二二号「昭和四○年度の定時の福祉年金所得状況届関係事務の処理について」により通知した要領により、本年の定時の福祉年金所得状況届(以下「定時届」という。)の事務処理にあわせて行なうものであること。

3 母子年金及び準母子年金が公的年金給付と併給されることにより一部支給停止される場合の最低支給額は、本年九月分から一万八○○○円(子等が二人以上あるときは、その子等のうち一人を除いた子等一人につき四八○○円を加算する。)に引き上げられるので、当該受給権者から国民年金証書の提出を求めて、これと引換えに職権により新規の国民年金証書を作成交付するものであること。

第二 障害年金に関する事項

国民年金法(以下「法」という。)別表の改正により障害年金の支給範囲が拡大されたことに関連する取り扱いについては、次の各項に留意すること。

1 昭和四○年八月一日において、知的障害者が二○歳に達した日(昭和三六年四月一日において二○歳をこえた者については、昭和三六年四月一日とする。以下この項において同じ。)前の傷病による廃疾(知的障害以外の廃疾をも有する場合を含むが、初診日において法第七条第二項第一号から第四号までのいずれかに該当した者のその傷病による廃疾は除く。)と二○歳に達した日以後生じた傷病による廃疾(廃疾認定日が昭和四○年八月一日前のものに限る。)とを併合して、改正後の法別表に該当する程度の廃疾の状態にある場合は、昭和四○年九月分から障害年金が支給されるものであること。ただし、二○歳に達した日以後に生じた傷病による廃疾については、初診日の前日において法第三○条第一項第一号ロ又はハの要件を満たし、かつ、同条第二項ただし書に規定する厚生大臣の定める程度以上でなければならないこと(国民年金法等の一部を改正する法律(昭和四○年法律第九三号。以下「改正法」という。)附則第二条)。

2 昭和四○年八月一日において二○歳をこえ七○歳未満の者が、同日において知的障害により改正後の法別表一級に該当する程度の廃疾の状態(知的障害と廃疾認定日が同日前である他の廃疾(初診日において法第七条第二項第一号から第四号までのいずれかに該当した者のその傷病による廃疾を除く。)とを併合して法別表一級に該当する程度の廃疾の状態にある場合を含む。)にあるときは、昭和四○年九月分から障害福祉年金が支給されるものであること。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでないこと(改正法附則第八条)。

ア 知的障害又は知的障害を含む二○歳に達した日前のすべての廃疾と初診日が昭和三六年四月一日(同日において二○歳未満であったときは、二○歳に達した日とする。以下同じ。)以後である二以上の廃疾を併合してのみ改正後の法別表一級に該当するとき。

イ 初診日が昭和三六年四月一日前である傷病による廃疾と同日以後である傷病による廃疾とを併合して改正後の法別表一級に該当するときは、初診日が同日以後である傷病に係る廃疾の程度が厚生大臣の定める程度以上でないとき、又は、初診日が同日以後である傷病に係る当該初診日の前日において、法第五六条第一項第二号に該当しているとき若しくは法第七九条の二第一項の支給要件に該当していないとき。ただし、明治四四年四月一日以前に生れた者(昭和三六年四月一日において五○歳をこえた者)については、この限りでない。

3 今回の法別表の改正によりすべての精神障害が対象とされることとなったので、法別表上は精神病質及び神経症についても障害の対象となるものであるが、精神病質については、通常日常生活の用を弁ずることができるものであり、神経症については、通常その病状が長期にわたって持続することはないと考えられることから、原則として廃疾の状態と認定しないものとすること。

4 知的障害に係る廃疾認定診断書(以下「診断書」という。)は、原則として精神衛生鑑定医により作成されたものとすること。ただし、精神衛生鑑定医により診断を受けることが困難な場合は、精神科を標ぼうする医師による診断書でも差し支えないものであること。

5 知的障害者が二○歳に達した日の前日において、重度知的障害児扶養手当の受給対象となっていた場合における福祉年金の取扱いは、次によること。

(1) 重度知的障害児扶養手当において有期診断の扱いを受けていなかった者については、診断書を徴することなく法別表一級該当と認定すること。

(2) 重度知的障害児扶養手当において有期診断の扱いを受けていた者については、裁定請求時において診断書を徴することなく法別表一級該当として認定し、二○歳に達した月の二年経過後の直近の四月中に「定時の診断書」の扱いに準じて、診断書の提出を求めて再認定を行なうものであること。

6 知的障害者に係る裁定請求手続等については、従前の精神障害者の場合と同様に取り扱うものであること。

7 知的障害がとり入れられたことによる障害等級認定基準の一部改正及び前記5に関する内部事務処理については、別途通知するものであること。

第三 母子年金等の支給範囲の拡大に関する事項

母子年金、母子福祉年金、準母子年金又は準母子福祉年金の支給要件又は加算対象となる子等及び遺児年金の支給対象となる子(以下「母子年金の子等」という。)が知的障害であって、改正後の法別表に定める廃疾の程度(福祉年金については、一級に該当する程度に限る。以下同じ。)に該当するときは、二○歳に達するまで母子年金の子等として取り扱われることとなったが、昭和四○年八月一日において、新たに母子年金の子等となる要件を有するに至った者(以下「改正後の母子年金の子等」という。)がある場合の取り扱いは、次の各項に留意して行なうこと(改正法附則第三条、第四条、第五条、第六条及び第九条)。

1 現に母子年金、母子福祉年金、準母子年金、準母子福祉年金又は遺児年金(以下「母子年金等」という。)の受給権を有する者については、本年九月分から改正後の母子年金の子等の数に応じ、年金額が改定されるものであること。

2 昭和四○年七月三一日において母子年金等の受給権を有しない者については、昭和四○年八月一日に母子年金等の受給権が発生し、同年九月分から支給されるものであること。

3 今回の改正により、新たに遺児年金の受給権を取得する者が、すでに死亡一時金の請求をしている場合においては、遺児年金を選択することができるとされ、この場合死亡一時金と支払を受けているときは、遺児年金の内払とみなされるものであること。

4 改正後の母子年金の子等の廃疾の程度の認定は、昭和四○年八月一日における状態をもって、障害年金及び障害福祉年金の場合に準じて行なうものであること。

5 前記1により年金額の改定を要するもののうちの福祉年金受給権者については、年金額の改定に係る事務処理を本年の定時届の事務とあわせて行なうようとりすすめるものとし、この周知徹底を図ること。

第四 福祉年金と公的年金との併給限度額の引上げに関する事項

1 本年一○月分から併給限度額が引き上げられることに伴う事務処理は、すでに通知したところにより、恩給法に基づく公務扶助料及び戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく遺族年金に係る受給権者であって、改定後の公務扶助料又は遺族年金額があらかじめは握できるものは、本年の定時届の事務処理にあわせて行なうものであること。

2 前記1以外の公的年金受給者に係る事務処理は、改定された後の公的年金証書の写の提出を求めて行なうこととしているので、この事務処理を迅速に行なうための周知徹底を図ること。

第五 所得制限の緩和等に関する事項

1 受給権者の所得による支給制限の緩和

受給権者の所得による支給制限を行なう場合の二二万円に四万円を加算する対象となる子等の範囲の拡大は、本年九月分の年金の支給の停止から適用され、八月分以前については、従前どおりであること。

2 配偶者及び扶養義務者の所得による支給制限の緩和

受給権者の配偶者及び扶養義務者に係る昭和三九年分の所得による支給停止となる場合の限度となる額は、次のとおりであること。

なお、配偶者の所得により支給を停止する場合の限度となる額は、所得税法の改正により、自動的に緩和されているものであること。

ア 配偶者の所得により支給を停止する場合の限度となる額

扶養親族等の数

〇人

一人

二人以上

金額

一一八、九九九円

二二七、七九九円

二二七、七九九円に扶養親族等のうち一人を除いた扶養親族等一人につき五〇、〇〇〇円を加算した額

イ 扶養義務者の所得により支給を停止する場合の限度となる額

扶養親族等の数

〇人

一人

二人

三人

四人

五人

六人

七人

八人

九人以上

金額

三三一、二五〇円

四二九、一七〇円

四六九、一三〇円

五〇九、〇九〇円

五四九、〇五〇円

五八九、〇一〇円

六三〇、〇五三円

六七一、一二三円

七一四、六〇〇円

七一四、六〇〇円に扶養親族等の数八人をこえる一人につき、四四、四〇〇円を加算した額

3 昭和三八年分以前の所得による支給の停止については、なお従前の例によるものであること。

第六 その他

1 今回の改正により、新たに年金支給等の対象となる知的障害については、市町村その他の関係機関の協力を得て、改正の趣旨及び請求手続を周知徹底させ、すみやかに裁定請求を行なうよう特段の配意を行なうこと。

2 今回の改正により、知的障害者が母子年金、母子福祉年金、準母子年金又は準母子福祉年金の支給要件又は加算対象の子等となる場合は、重度知的障害児扶養手当の支給額に変更をきたすものが生じること及び重度知的障害児扶養手当を二○歳に達するまで受給している場合は、障害福祉年金に移行することとなるので、両制度間の連絡を密にするよう配意すること。

3 今回の改正により、新たに年金支給の対象となる知的障害については、この事務処理に従事する職員が、事務処理の過程において部外に洩らすことのないようその取扱いに慎重を期する要があるので、関係職員に対しその秘密保持について十分指導すること。