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○国民年金法の一部を改正する法律に基づく福祉年金の支給について

(昭和三六年一一月一一日)

(年福発第一一七号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局福祉年金課長通知)

標記法律の施行に関する基本的事項は、本年一一月六日厚生省発年第六四号各都道府県知事あて厚生事務次官依命通達をもつて示され、また、同日年発第五○九号当省年金局長通達をもつて示されたところであるが、福祉年金の支給にあたつては、以上のほか、特に左記の諸事項にご留意のうえ、福祉年金全般についての趣旨の普及徹底を図るとともに、支給事務の円滑かつ適確な推進を図られたい。

なお、この通知においては、国民年金法を「法」と、国民年金法の一部を改正する法律を「改正法」と、国民年金法施行令を「令」と、福祉年金支給規則を「規則」と、それぞれ略称する。

第一 法改正に関する事項

1 補完的老齢福祉年金に関する事項

拠出年金の発足日たる本年四月一日においてすでに二一歳をこえる者については、補完的老齢福祉年金の受給資格期間が短縮されることとなつている(法第七八条第一項)。これは、従来、保険料の免除を受けた者に対して補完的老齢福祉年金を支給するとする基本的な考え方にたつて、この短縮された受給資格期間も、その全部又は一部につき保険料免除期間があることが必要とされていたものである。今回、これを改め、保険料免除期間が皆無で、その期間の全部が保険料納付済期間であつても、受給権が発生することとしたこと(法第七八条第二項)。

なお、この改正の措置は、昭和一○年四月一日以前に生まれた者についてのみになされたものであるが、これは、同年四月二日以後に生まれた者について短縮される補完的老齢福祉年金の受給資格期間は二五年以上であるので、この期間がすべて保険料納付済期間であれば、拠出制の老齢年金の受給資格期間をみたすこととなるので、この部分については改正する必要がないものであること。

2 補完的障害福祉年金に関する事項

(1) 改正前の法第五六条第一項第一号ロにおいて、「初診日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続く三年間」とあるのは、「(その者が二○歳に達した後の期間に限る。)」とされていた。この趣旨は、国民年金の被保険者となつて保険料を納付し、又はその免除を受けることができることとなつた後において受給資格期間を決定するということに基づくものであるが、被保険者となつた時期及び年齢の如何を問う必要はないので、今回この点を明確にしたこと。これに伴い、改正前の法第七九条の規定は不用となつたので、この規定は削除したこと。

(2) 補完的老齢福祉年金の繰上げ支給の意義を有する補完的障害福祉年金は、拠出制の老齢年金の繰上げ支給の意義を有する拠出制の障害年金(法第三○条第二号)との均衡を考慮して、初診日において拠出制の老齢年金の支給開始年齢たる六五歳に達していないことが要件とされていたが(法第五六条第一項第二号)、福祉年金部門はこの部門において均衡を図るのが妥当と考えられるので、この年齢は、補完的老齢福祉年金の支給開始年齢たる七○歳に引き上げられたこと。

(3) 法第二八条の規定により老齢年金の特例支給を受けている者又は法第二八条の二の規定により老齢年金の特例支給の繰上げを受けている者が、法別表に定める一級に該当する程度の廃疾(以下「一級障害」という。)の状態になつたときは、法第二○条の規定によつて老齢年金と補完的障害福祉年金との併給選択をすべきものであつて、拠出制の障害年金の場合のように(法第三○条第一項ただし書及び第二項ただし書後段)、法第二八条の二の規定によつて老齢年金の繰上げ支給を受けている限り受給権が発生しないこととはならないものであること。

(4) 法第五六条第二項の規定によつて補完的障害福祉年金についても廃疾の併合認定が行なわれることとなつたが、これが取扱いについては、次の点に留意されたいこと。

(一) 併合認定は、二○歳に達する日の前後の廃疾についてのみなされるのではなくして、本年四月一日において二○歳をこえている者については、同日の前後の廃疾についても、経過的措置として行なわれるものであること(法第七九条)。

(二) 初診日が二○歳に達する日前又は本年四月一日前である傷病による廃疾(以下「前発障害」という。)は、二○歳に達する日前又は本年四月一日前においてその症状が固定しているものに限られず、これらの日後において症状が固定した場合又はこれらの日以後に新たに発した傷病による廃疾(以下「後発障害」という。)の初診日後において症状が固定した場合でも差し支えないこと。

(三)後発障害の程度及び範囲については、別途示されるものであること。

(四) 前発障害の程度については別段限定されてはいないが、前記(三)の程度の後発障害と併合認定して一級障害に該当することが必要であるので、結果的にみれば、通例としては、前発障害の程度は、法別表に定める二級に該当する程度の廃疾(以下「二級障害」という。)に限定されることとなること。

(五) 前発障害及び後発障害の廃疾認定日において被保険者たる資格がない場合であつても、後発障害の初診日において被保険者であるか、又は七○歳未満であつて、それぞれ所定の受給資格期間をみたしているときは、併合認定がなされ、補完的障害福祉年金が支給されること。ただし、前発障害の初診日において被用者年金各法の被保険者等である場合は、併合認定は行なわれないものであること(法附則第九条の二)。

(5) 改正前の法第五七条の規定による障害福祉年金の受給権者が、一級障害である前発障害のほかに後発障害を受けた場合は、ひとしく併合認定されるものである。即ち、その者が後発障害の初診日の前日において、拠出制の障害年金の支給要件を満たしているときは、法第三○条第二項の規定によつて併合認定され、その結果、一級障害に係る拠出制の障害年金が支給され、また、法第五六条第一項に規定する補完的障害福祉年金の支給要件を満たしているときは、同条の規定に基づいてその年金が支給されることとなる。いずれの場合であつても、従前支給されていた法第五七条の規定に基づく障害福祉年金は、法律上失権するものであつて、併合認定の結果、法第五七条及び法第三○条又は第五六条に基づき二箇の年金が支給されることとはならないこと(法第五七条第三項において準用する法第三一条第二項)。

(6) 前記の(5)の場合において、前発障害又は後発障害が業務災害に基づくものであるときの調整関係については、法第三二条の規定が準用されること(法第五七条第三項)。

3 補完的母子福祉年金に関する事項

(1) 補完的母子福祉年金の受給権は、従来、夫の死亡日において妻が現に被保険者である場合に限つて発生し、補完的障害福祉年金のように補完的老齢福祉年金の繰上げ支給のごとき措置がとられていなかつた次第である。これは、補完的母子福祉年金は一六歳未満の子をかかえていることが要件とされているので、六○歳以上の妻がこのような若年の子をかかえていることは極くまれであると考えられた結果に基づいた次第であるが、今般、高齢者が若年者をかかえている場合において準母子年金を支給する制度を設けたので、これとの平衡を図る意義において、被保険者資格を喪失した高齢の妻についても、補完的母子福祉年金を支給することとしたこと。

(2) 前記の2の(1)から(3)までに述べた事項は、補完的母子福祉年金についても、同様であること。

4 補完的準母子福祉年金に関する事項

(1) 補完的準母子福祉年金の基本的構造は、補完的母子福祉年金とほとんど同様であつて、死亡者、受給権者及び支給要件又は加算対象となる者が次のとおり異るものであること。

区分

死亡者

受給権者

支給要件又は加算対象となる者

補完的母子福祉年金

夫(父又は母の夫)

妻(母又は父の妻)

夫の子

妻の子

補完的準母子福祉年金

準父

(祖父)

準母

妻(祖母)

準子

(義兄)

妻(姉)

弟妹

男子たる子

妻(祖母)

父(父)

子(姉)

弟妹

祖父(祖父)

備考 (  )は、支給要件又は加算対象となる者からみた身分関係を示すものであること。

(2) 準父、準母及び準子の相互の対応関係は、民法第八七七条第一項に規定する扶養義務関係及び公的年金制度一般の遺族給付の死亡者及び支給要件又は加算対象となる者の相互の対応関係とほぼ同様なものであること。

(3) 準父の死亡の当時における準父と準母及び準子との生計維持関係、準母と準子との生計同一関係及び準子の年齢並びに準母の受給資格期間は、次の二点を除いて補完的母子福祉年金における父、母及び子についての要件と全く同様であること。

まず、第一点は、準母に夫がないことが必要であること。即ち、準母は未婚であるか、又は夫と死別若しくは離別していることが必要である。これは、補完的準母子福祉年金が、夫又はこれに準ずる者の死亡を支給事由とするものであること。つまり、他に夫的な役割を果す者がないことを前提としていることによるものであること。

第二点は、同様の事情により、準子の父又は生計を同じくする母若しくは父の妻がいないことが要件となつているものであること。

(4) 次に掲げる場合においては、一見いわゆる準母子状態に該当するとみられるが、(一)の場合にあつては、夫と死別したことにより補完的母子福祉年金の受給権が発生する機会があり、(二)の場合にあつては、曾祖母が老齢年金の受給権が発生しているか、又は曾孫の父母の死亡により遺児年金の受給権が発生していると考えられるので、補完的準母子福祉年金は支給しないものとされたこと。

(一) 夫と死別した妻が子を連れて実父の世話になつているうちに実父が死亡したとき。

(二) 曾孫の父等が死亡し曾祖母が曾孫をかかえているとき。

(5) 補完的準母子福祉年金の年金額及びその改定、失権及び適用除外規定の関係は、補完的母子福祉年金の場合と同様であること(法第六四条の四)。

また、補完的準母子福祉年金は準母子年金の一環であるので、法第四一条の三第二項及び第三項の規定並びに同条第一項において準用する第四一条第一項の規定は、当然に補完的準母子福祉年金についても、適用されるものであること。

(6) 補完的母子福祉年金にあつては、受給権者は単一個人であり、支給要件又は加算対象となる子は一人の受給権者と結合している単純な関係に止まるのに比較して、補完的準母子福祉年金にあつては、準父一人の死亡により二人以上の準母が同時に受給権者となり、又は一人の準母が二以上の補完的準母子福祉年金の受給権者となり、あるいは準子が二人以上の準母と結合するなど複雑多岐にわたる関係を生ずることもあり、更にまた、拠出制の準母子年金と補完的準母子福祉年金とが、あるいは、補完的母子福祉年金と補完的準母子福祉年金とがそれぞれ競合する場合がある次第であるので(法第六四条の五及び第六四条の六)、かかる場合においては、慎重を期し、過誤なきように処理されたいこと。

なお、補完的準母子福祉年金の年金額の調整及び他の年金との調整については、別途通知するものであること。

5 経過的障害福祉年金に関する事項

法第八一条第二項及び第三項の規定から「当該傷病により」が削られた結果、同項の規定により支給される経過的障害福祉年金であつても、法第八一条第一項の規定により支給される経過的障害福祉年金と同様、廃疾の併合認定がなされることとなつたこと。

6 経過的母子福祉年金に関する事項

補完的母子福祉年金において、夫の死亡日において七○歳未満である妻に対して補完的老齢福祉年金の繰上げ支給の意義を有する措置を図つたことに対応して、法第八二条第二項及び第三項に規定されている年齢制限を七○歳までに引き上げられたこと。

7 経過的準母子福祉年金に関する事項

拠出制の準母子年金及び補完的準母子福祉年金の創設に伴い、経過的準母子福祉年金の制度が設けられたのであるが、これは経過的母子福祉年金が設けられたことと同様の趣旨に基づくものである。即ち、法第八二条の二第一項は、拠出制年金の発足前に至る間に準父が死亡した場合の準母を対象とした規定であつて、これは経過的母子福祉年金についての法第八二条第一項及び第二項の規定を集約したものに相当するものであり、また、法第八二条の二第二項は、拠出制年金の発足後に準父が死亡した場合においてその発足後も被保険者とならない準母子を対象とした規定であつて、これは経過的母子福祉年金についての法第八二条第三項に相当するものであること。

8 給付制限に関する事項

(1) 公的年金受給制限

従前は強制適用被保険者の範囲から除外されていた執行吏は、今般、強制適用被保険者となつたのであるが、(法第七条第二項第一号)、執達吏規則に基づく年金たる給付は、従前と同様に公的年金給付に含まれているので、執行吏であつた者が福祉年金の支給を受ける場合は、なお公的年金受給制限を受けるものであること。

(2) 本人所得制限

本人所得制限を受ける場合の一三万円に加算される額の対象となる者の範囲の拡大は、準母子福祉年金についてのみになされるものではなく、老齢福祉年金、障害福祉年金及び母子福祉年金を通じてこの加算が行なわれるものであること(法第六五条第四項)。ただし、孫又は弟妹も、子の場合と同様に、義務教育終了前であり、かつ、受給権者によつて生計を維持されていたことが要件となつているので、老齢福祉年金の場合にあつては、弟妹が加算対象となることはほとんどありえないと考えられること。

(3) 扶養義務者所得制限

(一) 本年三月三一日法律第三五号をもつて所得税法の一部が改正され、被扶養者に対する所得控除の制度が改められ、被扶養者の種類別、有無、数及び年齢に応じてそれぞれ控除額が異なり、その結果、被扶養者の数が同じでも所得税額に大きな差が生ずることとなつたので、これに対応して扶養義務者所得制限の基準となる所得税額をその扶養義務者の世帯における被扶養者の構成状況に即して算定する方式を改めたこと(法第六六条第五項)。

(二) 前記の(一)の改正所得税法は、昭和三六年分以降の所得について適用され、昭和三五年分の所得税については、改正前の所得税法が適用されるものである。したがつて、昭和三六年五月から昭和三七年四月までの分の老齢福祉年金及び障害福祉年金につき法第六六条第五項の規定を適用する場合においては、昭和三六年の前年、即ち、昭和三五年分の所得税額が支給停止の基準となるものであるから、この所得税額の算定に当つては、改正後の法第六六条第五項の規定は適用できないので、この場合においては改正前の所得税法の規定に基づくものとされていること(改正法附則第六項)。

(4) 生計同一親族所得制限(最多収入者所得制限)

(一) 母子福祉年金の受給権者又はその亡夫の子で義務教育を終了した者と受給権者が生計同一関係にある場合において、その子のうちで、前年における所得が最も多額であつた者一個人(最多収入者)の所得税額が扶養義務者所得制限の基準となる金額以上であるときは、その年の五月から翌年の四月までの分の母子福祉年金は、全額が支給停止されるものであること。

(二)準母子福祉年金は、母子福祉年金の場合と同様に、受給権者と生計同一関係にある義務教育終了後の子、孫又は弟妹のうち最多収入者についての所得制限の措置がなされるものであること。

(三) 母子福祉年金又は準母子福祉年金についての生計同一親族所得制限が行なわれる場合における最多収入者は、原則として母子福祉年金又は準母子福祉年金の支給要件又は加算対象たる要件をみたすところの身分関係にある者の範囲に限られていること。即ち、母子福祉年金にあつては受給権者又はその夫の子、準母子福祉年金にあつては受給権者の子、孫又は弟妹のうちのいずれか一人であること。

なお、準母子福祉年金にあつては、その支給要件又は加算対象の範囲外であるところの子も、最多収入者として取り扱われることとなつているが、これは受給権者たる祖母又は姉とその子とは、身分関係においても、扶養義務関係においても、孫又は弟妹よりも一層密接な間柄にあることに注目したものであること。

(5) 支給停止の被災特例

これについては、本年七月一四日年福祉発第七七号貴職あて小職通知「福祉年金の支給停止に関する被災特例について」を参照されたいこと。

なお、被災特例の対象となる損害財産については、後記第二の2を参照されたいこと。

9 補完的福祉年金及び経過的福祉年金の給付についての共通事項

(1) 死亡の推定

(一) 母子福祉年金又は準母子福祉年金は、父又は準父の死亡を支給事由とするものであるが、海難等で行方不明となつても、死亡が明確でなければ戸籍から除籍されないまま放置されている。このような場合において、しいて裁定請求をするには、民法の規定による失そう宣告の裁判を請求しなければならないのであるが、これがためには相当の手数と費用とを要し、福祉年金の受給権者がよくなしうるところでなく、かつまた、失そう宣告の効果が発生するには七年間、又は三年間の長期間が経過することが必要であるので、その時は既にこれらの年金の支給要件となつている子等が成長し、受給権も消滅することが考えられる。以上の事情にもとづき、特に、死亡を支給事由とする年金給付の支給に関する規定の適用について死亡推定の規定が設けられたものであること。

(二)法第十八条の二の規定は、単に死亡の推定のみでなく、死亡時期をも推定するものであつて、これに基づき、母子福祉年金又は準母子福祉年金の支給開始期月が定まるものであること。

(三) 法第十八条の二の規定は、長期給付たる年金給付の支給規定の適用に限られるものであるので、福祉年金にあつては、母子福祉年金及び準母子福祉年金における受給権者の夫、男子たる子、父又は祖父の死亡の推定がなされるものである。しかして、短期給付たる未支給福祉年金の支給規定の適用、即ち、受給権者の死亡による未支給福祉年金の支給についての死亡推定はなされないものであること。

なお、母子福祉年金又は準母子福祉年金の支給要件又は加算対象となつている子、孫又は弟妹の死亡及び準母子福祉年金の支給要件又は加算対象となるべき孫又は弟妹の父又は母の死亡については、法第一八条の二の規定による推定は行なわれないものであること。

(四) 法第一八条の二の規定は、改正法施行前における行方不明又は死亡時期の不明の場合についても適用されるものであること(改正法附則第二項)。したがつて、改正法施行前に死亡推定がなされたときは、それぞれの支給制限条項に該当しない限り、その該当月分までにさかのぼつて福祉年金が支給されるものであること。

(2) 未支給福祉年金の支給

(一) 未支給福祉年金の支給を受けることができる遺族は、死亡者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であり、支給の順位はこの順位によるものであること(法第一九条第一項及び第四項)。しかして、この身分関係は、死亡者の死亡の当時に基づくものであつて、その後の身分関係が変つてもこれは問わないものである。したがつて、死亡者の死亡当時配偶者であつた者がその死亡後に婚姻したとしても、その者が第一順位者として未支給福祉年金の支給を受けるべきであつて、次順位者たるの子が当順位者として繰り上がるものではないこと。

(二) 先順位者が未支給福祉年金の支給を受けず死亡したとしても、次順位者はその未支給福祉年金の支給を受けることはできないものであること。ただし、本年四月一日以後この法律の施行前に死亡した年金の受給権者に係る未支給福祉年金は、改正法施行前にすべての先順位者が死亡しているときは、改正法施行時における次順位者が、これを請求できるものであること(改正法附則第四条)。

(三)未支給福祉年金は、受給権者の死亡日から六箇月以内その支給の請求をしなければ、支給されないものである。ただし、請求することができないことにつきやむをえない事由、たとえば、出稼ぎをしていたとか、長期入院していたとかの事情があれば、六箇月後でも支給されるものであること。

なお、未支給年金の支給についての消滅時効は、死亡した受給権者が有していた本来の年金の支給についての消滅時効の期間を引き継ぐものである。したがつて、受給権者が本来の年金の支分権についての会計法上の五年の消滅時効期間のうち三年間を経過して死亡したときは、その未支給年金は、死亡時から二年間以内に請求しなければ、消滅することとなるが、未支給福祉年金については、この残余の時効期間が、原則として六箇月間に短縮されているものであること。

(四) 法第一九条の規定による未支給福祉年金は、本年四月一日以後に受給権者が死亡したときに支給されるものであつて、同日前に死亡した年金の受給権者に係る未支給福祉年金については、改正前の法第一九条の規定によつて、従前の例により支給されるものであること。老齢福祉年金又は障害福祉年金の受給権が、その年金の裁定請求をしないまま、本年四月一日以後改正法施行前に死亡した場合の未支給福祉年金についても同様であること(改正法附則第三項)。

(3) 準母子福祉年金の支給開始期月等

(一) 改正法の施行日は本年四月一日とされているが、この日に受給権者の夫、男子たる子、父又は祖父が死亡したことにより準母子福祉年金の受給権が発生した場合においては、法附則第三条第二項のような格別の規定が改正法に設けられていないので、本年五月分から支給されるものであること(法第一八条第一項)。

(二) 法第六五条第四項の本人所得制限に関する規定及び法第六六条第六項の母子福祉年金及び準母子福祉年金に係る生計同一親族所得制限に関する規定は、本年五月以降の月分の福祉年金について適用し、同年四月以前の月分の福祉年金についての改正前の法第六五条第四項及び第六七条の規定が適用されるものであること(改正法附則第五項)。

10 その他

(1) 時効

所得制限、業務災害補償受給制限等の条項に基づき福祉年金の全額が支給停止されている期間は、基本権の裁定請求をしていなくても、基本権たる受給権の消滅時効は進行せず、その全額支給停止事由が消滅し、福祉年金の全額支給又は一部支給を受けることができるようになつてから五年間の消滅時効が進行するものと改められたこと(法第一○二条第二項)。

なお、法第八三条第二項の規定に該当している場合は、公的年金受給に基づく全額支給停止であるので、当然、法第一○二条第二項に該当するものであること。

(2) 資料の提供等

配偶者所得制限、扶養義務者所得制限及び生計同一親族所得制限並びに配偶者公的年金受給制限の措置を適確に行なうため、受給権者の配偶者若しくは扶養義務者若しくは義務教育終了後の子、孫若しくは弟妹の資産若しくは収入の状況又は受給権者の配偶者の公的年金の支給状況について官公署の資料の提供等を求めることができるように法第一○八条が改められたこと。

(3) 給付の支払

給付の支払は、その一部を、郵政大臣のほかに、政令で定める機関に行なわせることができるように法第一○九条が改正されたが、福祉年金については、従来どおりすべて郵政大臣が取り扱うものであること。

第二 令改正に関する事項

1 事務委任に関する事項

準母子福祉年金の創設に伴い、他の補完的福祉年金と同様、補完的準母子福祉年金の裁定に関する事務を都道府県知事に委任したこと(令第一条第一号)。

なお、経過的準母子福祉年金の裁定に関する事務については、他の経過的福祉年金と同様、法第八三条第一項の規定により、都道府県知事が行なうものとされていること。

2 被災財産の指定に関する事項

法第六七条第一項に規定する被災特例の対象となる財産を定めたこと。しかして、この財産は、主たる生業の維持に供する田畑、宅地、家屋又は厚生大臣が定める財産とされたこと(令第六条の二)。

なお、厚生大臣が定める財産については、昭和三六年一○月三一日厚生省告示第三七七号をもつて機械、器具、その他事業の用に供する固定資産(鉱業権、漁業権その他の無形減価償却資産を除く。)とされたこと。

以上の財産については、昭和三四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に際してとられた特別措置の場合と全く同様であること。

第三 規則改正に関する事項

1 趣旨

今回の改正においては、法改正に伴い、所要の改正を行なつたほか、制度発足以来の事務処理の実績等にかんがみ、所要の改正を行なつたものであること。

2 裁定手続に関する事項

(1) 準母子福祉年金の裁定に関する手続は、母子福祉年金の場合とおおむね同様であるが、準母子福祉年金の特殊性にかんがみ、年金額の調整及び支給の調整に関して、準母子福祉年金調整関係届(様式第一九号の二)を設けたこと。

なお、準母子福祉年金においては、同一の孫又は弟妹を支給の要件等として二人以上の者が受給権を取得する場合又はすでに母子福祉年金の受給権を有する者が準母子福祉年金の受給権を取得する場合が生ずる。かかる場合は、年金額等の調整をする必要がある。したがつて、準母子福祉年金の裁定請求に際しては、他の受給権者の関係、他に所有する年金の有無等をもれなく記載するよう指導し、また、裁定にあたつては、これら関係を十分に把握し、後日、遡つて年金額等の調整をすること等がないようにされたいこと。

おつて、この準母子福祉年金調整関係届は、福祉年金相互間についてのみ使用されるべきものであつて、拠出制の母子年金及び準母子年金との調整については、追つて定められるものであること。

(2) 母子福祉年金及び準母子福祉年金について、法第一八条の二の規定に該当した場合の手続を定めたこと(規則第二一条第五項、第二七条第三項)。

3 支給停止の手続に関する事項

(1) 法第六六条第五項又は第六項の規定による支給停止事由が消滅したことにより、福祉年金支給停止関係届を提出する場合において、他にもまだ扶養義務者又は義務教育終了後の子、孫若しくは弟妹がいるときは、その者の所得税額に関する証明書を添えるものとしたこと(規則第四条第三項後段、第一七条第三項後段、第二四条第三項後段)。この場合、証明書については、福祉年金所得状況届の様式を使用しても差し支えないこと。

(2) 法第六七条第一項の規定に該当した場合の支給停止の特例に関する手続を定めたこと(規則第四条第四項、第一七条第四項、第二四条第四項)。この場合、福祉年金被災状況届(様式第三号の二)を提出することとなるが、この届書は、法第六七条第一項の規定に該当した場合のほか、令第六条第二項の規定に該当した場合にも同様に使用するものであるから留意されたいこと。

(3) 福祉年金被災状況届の審査は、受給権者の住所地の市町村長が行なうものであるが、受給権者と被災者が異なり、かつ、同一市町村にない場合にあつては、当該被災者の住所地の市町村長により被災状況の証明を受け、この福祉年金被災状況届に添附することとされたいこと。この場合、当該市町村長の証明は、福祉年金被災状況届により行なうものであること。

なお、被災状況の届出は、支給停止の解除に係る該当時の場合、裁定請求の場合及び定時の所得状況の届の場合の三通りがあるが、いずれの場合にあつても、以上の関係は、同様に行なわれるものであること。

(4) 福祉年金支給停止関係届の様式に法第二二条に規定する第三者行為に基づく損害賠償の欄を設けたこと。もつともこれは、損害賠償の関係をこの欄のみによつてすべて把握するとする趣旨ではない。いうまでもなく、第三者行為に基づく損害賠償の態容は、千差万別であるから、その具体的内容については、個々の場合に応じて適切な措置をとる必要があること。

4 所得状況届の手続に関する事項

四月又は五月に受給権が発生したため、福祉年金裁定請求書に添えて、前年の所得又は所得税額に関する福祉年金所得状況届をすでに提出しているときは、あらためて定時の福祉年金所得状況届を提出する必要がないので、この点を明らかにしたこと(規則第五条、第一八条、第二五条)。

5 国民年金証書亡失届に関する事項

(1) 国民年金証書亡失届(様式第六号の二)に、今回新たに郵便局証明欄を設け、亡失に係る国民年金証書によつて最後に支払がなされた年月日の証明を受けることとしたこと。これに伴い、福祉年金都道府県事務取扱準則第三○条に定める国民年金証書亡失通知は行なう必要がなくなり、また、亡失に係る国民年金証書による支払の警戒も最終支払年月日の証明を受けたときから開始されることとなるものであること。

(2) 未支給福祉年金の支給請求者が未支給福祉年金支給請求書に添えるべき国民年金証書を所在不明等のため添えることができないときは、その旨の申立書をもつてこれにかえることとなつている(規則第一四条ただし書)が、この場合の申立書の様式は、国民年金証書亡失届の様式を使用することを予定している。したがつて、所在不明等の国民年金証書による支払の警戒は、この申立書の写し(国民年金証書亡失届の写し)によつて行なうこととなる。このため、かかる場合の申立書の届出者の氏名欄には、死亡した受給権者と届出者たる未支給福祉年金の支給請求者の氏名及び受給権者、請求者の標示をあわせて記載されたいこと。

6 国民年金証書の更新の申請に関する事項

国民年金証書の更新の申請は、従来、支払欄に余白がなくなつたときに限り、行なうことができることとされていたが、この事情は、国民年金証書の印鑑欄、住所欄等についても同様であるので、国民年金証書の記載欄に余白がなくなつたときは、すべて更新の申請ができることと改めたこと(規則第一○条)。

7 未支給福祉年金の請求に関する事項

(1) 法改正によつて、未支給福祉年金の支給範囲が拡大されたことに伴い、その支給請求の手続を改めたほか、未支給福祉年金支給請求書(改正前の様式第一○号)と福祉年金死亡届(改正前の様式第九号)の様式を一本化したこと(様式第九号)。

(2) 未支給福祉年金支給請求書の添附書類は、福祉年金裁定請求書の添附書類と同様、その支給決定に重要な意義を有するので、生存等の事実を明らかにすることができる書類を市町村長から受けるべき場合においても、これを省略できないものとしたこと(規則第四一条第一項)。

8 母子福祉年金の額の改定等に関する事項

(1) 法第四一条の五の規定に該当した場合の母子福祉年金の額の改定の請求の手続については、特に明文の規定は設けられていない。これは、当該改定が、準母子福祉年金の裁定請求を前提として行なわれる関係上、法第四一条の五の規定に該当した事実は職権により把握できるところから、特に受給権者による改定請求の手続は必要としないこととしたことによるものであること。

なお、同条の規定に該当する場合の準母子福祉年金の裁定請求にあつては、規則第二七条の四第一項において準用する第一四条の規定により、母子福祉年金に係る国民年金証書の添附を必要とすること。ただし、母子福祉年金及び準母子福祉年金の受給権が同時に発生した場合の如く、母子福祉年金に係る国民年金証書が交付されていない場合は、この限りでないこと。

(2) 準母子福祉年金及びこれに関連する母子福祉年金の額の改定の請求及び届出等に関する具体的手続については、追つて準母子福祉年金処理要領として示す予定であること。

9 印鑑の変更等に関する事項

(1) 福祉年金に関する事務のうちの印鑑又は同一市町村の区域内における住所若しくは支払郵便局の変更に関する国民年金証書の訂正についての事務を市町村長かぎりにおいて処理することとし(規則第三四条第二項)、その旨の報告をすることとしたこと(規則第二八条第二項)。

なお、この報告は、支払記録事務との関連もあるので、すみやかに行なうよう指導されたいこと。

(2) 印鑑等の変更に関しては、特に次の点について市町村を指導されたいこと。

(一) 印鑑変更に係る新印鑑が印鑑登録のなされているものであるときは、印鑑証明の提示を求めるか、又は印鑑登録簿と照合すること。

(二) 印鑑変更に係る新印鑑が印鑑登録のなされていないものであるときは、当該印鑑変更届の提出者が福祉年金の受給権者又はその家族であることを明らかにすることができる書類たとえば身分証明書等の提示を求めること。

(三) 住所の変更については、住民票との照合を確実に行ない、住民票の変更がない場合に住所変更に係る国民年金証書の訂正をすることのないよう注意すること。

(四) 支払郵便局の変更については、変更理由を十分確かめること。

10 その他

準母子福祉年金及び未支給福祉年金の支払並びに支払郵便局の指定については、福祉年金支払規則(昭和三五年郵政省令第三号)の改正により、近日中に定められる予定であること。