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○国民年金法に基づく補完的福祉年金の支給について

(昭和三六年三月二八日)

(年福発第三五号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局福祉年金課長通知)

標記の件については、本日年発第一一一号をもつて各都道府県知事あてに当省年金局長から通達されたところであるが、なお細部にわたる事務取扱等については左記の諸事項にご留意ありたい。

しかして、この通知においては、国民年金法を「法」と、改正後の福祉年金支給規則を「規則」と、前記の通達を「局長施行通達」と、それぞれ略称する。

1 補完的福祉年金の受給資格期間

(1) 補完的福祉年金の受給資格期間については、局長施行通達左記の1の(1)において示されたところであるが、この関係をいいかえれば、次のとおりであること。

過去において国民年金の被保険者たる資格が全くなかつた者は当然であるが、法第八九条及び第九○条の規定の適用の余地が全くないのにもかかわらず保険料を納付しなかつた者、即ち、保険料の拠出能力がある被保険者が保険料の納付を怠つたため、所定の保険料納付済期間を充足せず、かつ、保険料免除期間ともならないいわゆる保険料滞納期間が長期間ある者に対しては、補完的福祉年金といえども支給されないものであること。また、法第九○条各号のいずれかに該当すべき低所得階層に属する被保険者が、保険料の免除についての申請手続をとらないため、保険料滞納期間として漫然と徒過したときも、また同様であること。したがつて、補完的福祉年金は、この点においては、老齢、廃疾又は死亡という支給事由の発生に伴つて自動的に受給権が発生したいわゆる経過的福祉年金と趣を異にしているものであること。

(2) 局長施行通達左記の1の(2)により補完的福祉年金の趣旨の周知徹底を図るに際しては、補完的福祉年金の受給権者となるべき者が所定の保険料納付済期間又は保険料免除期間を欠くため、補完的福祉年金の支給を受けられない場合にあつては、経過的福祉年金の受給権も発生せず、本法による年金の保障は何等受けられないこともあわてせ周知されたいこと。

2 被保険者資格

補完的福祉年金の受給権は、強制適用被保険者であると任意加入被保険者であるとを問わず発生するものであること。そもそも、法第七五条の規定による任意加入被保険者は、老齢年金の受給を目途としているのが通常と考えられるが、この者が老齢年金の受給資格期間をみたさないうちに、かつ、その受給開始年齢前に、廃疾又は死亡の事故が生じ、補完的障害福祉年金又は補完的母子福祉年金の受給資格期間をみたしていれば、当然に補完的障害福祉年金又は補完的母子福祉年金が支給されるものであること。

3 請求及び受理

(1) 補完的福祉年金の裁定の請求にあたつては、国民年金手帳を裁定請求書に添付しなければならないのであるが、このことに関し、次の点につき、ご留意ありたいこと。

イ 補完的福祉年金の受給権者は、経過的福祉年金の場合と同様に、日本国民であり、かつ、所定の年齢に該当することが必要であるが、この事項は国民年金手帳によつて証明されるものであるから、別に受給権者の戸籍の抄本を裁定請求書に添附することを要しないものであること。

ロ 受給権者たる被保険者が国民年金被保険者資格取得届(以下「資格取得届」という。)を市町村に提出したが、まだ国民年金手帳の交付を受けていない等の事情によつて国民年金手帳を提出することができない場合にあつては、その者の被保険者たる資格の取得並びに保険料の納付及び免除に関する事項を明らかにすることができる書類として都道府県知事が指定した書類を裁定請求書に添えることをもつて足りるものであること(規則第四一条第六項)。

ハ 規則第四一条第六項に基づいて都道府県知事において指定する書類としては、別紙第1の様式に準ずる申立書とされたいこと。

なお、この申立書の指定は、都道府県告示等の制式によることは必要でなく、市町村及び受給権者に対して適宜の方法によつて周知されれば足りるものであること。

ニ 国民年金手帳を添附しない場合にあつては、受給権者において、裁定請求書の余白に、別紙第2のように国民年金手帳を添附できない旨を記入させること。

(2) 本年四月一日から七月末日までの間においては、国民年金の被保険者である者に、その期間内において、支給事由となる事故があつた場合、たとえば、初診日があつた場合は、すでに示してあるとおり、その障害の程度が法別表に定める一級に該当するものである限り、初診日の前日において保険料の納付又は免除の関係がどうであつたかを問うことなく、補完的障害福祉年金の受給権が発生するものである。したがつて、たとえば、本年四月一日以後に資格取得届が提出された場合であつても、その初診日がその資格取得届の提出日以後であれば、その者には、補完的障害福祉年金の受給権が発生するものであること。

問題となるのは、事故発生のときまでに資格取得届を提出していなかつた者が、事故が発生した後から事故発生の当時、みずからが被保険者であつたと主張して補完的障害福祉年金又は補完的母子福祉年金の裁定を請求しようとする事例である。このような場合であつても、法理論としては、もし、その者が、事故発生の当時国民年金の被保険者であつたことを完全に証明することができるならば、前記の理由により、この者に対しても、補完的障害福祉年金又は補完的母子福祉年金が支給されるという結論となる。

しかしながら、このためには、自己(被保険者たる請求者)又はその配偶者が、事故発生の当時において、公的年金各法の年金給付を受け得る者(年金の受給権が発生して待期中である者、年金の受給権は発生していないが受給資格期間を満たしている者及び年金の受給権があるにもかかわらずみずからはないと考えている者を含む。)でなかつたこと。被用者年金各法の被保険者又は組合員(いわゆる適用もれの被保険者又は組合員を含む。)でないこと並びにみずからが法第七条第二項第七号に規定する学校に在学する生徒又は学生でないことの全部を完全に証明しなければならないのであるが、このことは、事実上不可能に近いほど困難なことである。したがつて、そのような者から補完的障害福祉年金又は補完的母子福祉年金についての裁定請求書が提出されても、受給権ありとの裁定が行なわれる可能性は極めて少ない。

市町村当局に対しては、このような裁定請求書が提出されたときは、以上の理由から受給権ありと裁定される可能性の少ないこと、被保険者資格の取得を証明する書類は別に都道府県当局から指示されるところによつて補完すべきことを請求者によく説明して、これをそのまま都道府県知事に進達するよう指導されたいこと。

(3) 本年四月一日以後直ちに受給権が発生する補完的障害福祉年金又は補完的母子福祉年金についての裁定請求書にあつては、当分の間、受給権者において、現行の経過的障害福祉年金又は経過的母子福祉年金の裁定請求書の様式たる様式第一一号又は様式第一五号の標題の下部余白に、別紙第3のようにその者の国民年金手帳の記号及び番号を記入するものとすること(改正規則附則第二項)。

なお、もし、かりに、補完的福祉年金の受給権者が、その国民年金手帳の記号及び番号を記入することを失念し、かつ、国民年金手帳を添えずに裁定請求書を市町村長に提出し、市町村長がこれをそのまま都道府県知事に進達した場合においては、都道府県知事は通例の経過的福祉年金についての裁定請求書として取り扱うこととなる。そのため、経過的福祉年金の支給要件たる所定の生年月日及び年齢に該当しないものとして、都道府県知事はその裁定請求につき却下処分を行なう結果を招来することともなると考えられる。このような無用の混乱を生じないようにするためには、自今、市町村に福祉年金についての裁定請求書が提出された場合は、これに記載されている生年月日及び年齢からみて補完的福祉年金に関するものと判断されるときは、国民年金手帳の記号及び番号欄の記載並びに国民年金手帳の添附について特にこれを点検し、市町村の段階において、整備された裁定請求書を受理するように注意することが必要となること。

4 その他

(1) 補完的福祉年金の支給要件たる受給資格期間の詳細については、別添の「補完的福祉年金の支給要件(受給資格期間)」を参照されたいこと。

(2) 補完的福祉年金と経過的福祉年金とは、その受給権の発生要件についてその趣を異にするにすぎないものであつて、その他の事項はすべて経過的福祉年金のそれと軌を一にするものであるから、補完的福祉年金についての年金額及びその改定、失権、支給停止その他の給付制限並びに支給関係等については、従前の経過的福祉年金について示されたところによつて解釈、運営されたいこと。

別紙第1 略

別紙第2 略

別紙第3 略

様式第一一号(規則第一六条) 略