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○国民年金法等の一部を改正する法律等による改正後の厚生年金保険法等の一部の施行について

(平成九年一二月一七日)

(庁保発第二五号)

(各都道府県知事あて社会保険庁運営部長通知)

国民年金法等の一部を改正する法律(平成六年法律第九五号。以下「平成六年改正法」という。)による改正後の厚生年金保険法(昭和二九年法律第一一五号。以下「厚年法」という。)附則第一一条の五及び第一一条の六の規定並びに平成六年改正法附則第二五条及び第二六条等の規定は、平成一〇年四月一日から施行することとされているところであるが、これらの規定の施行のため、厚生年金保険法施行令等の一部を改正する政令(平成九年政令第三六一号。以下「改正政令」という。)及び厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成九年厚生省令第八六号。以下「改正省令」という。)が、それぞれ別添のとおり本日公布されたところである。

改正の内容は次のとおりであるので、その周知徹底を図るとともに、その実施に当たっては遺憾のないよう取り扱われたい。

なお、この通知においては、平成六年改正法による改正後の国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六〇年法律第三四号)を「昭和六〇年改正法」と、厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成八年法律第八二号)を「平成八年改正法」と、改正政令による改正後の厚生年金保険法施行令(昭和二九年政令第一一〇号)を「厚年令」と、改正政令による改正後の国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(昭和六一年政令第五四号)を「昭和六一年経過措置令」と、改正政令による改正後の厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成九年政令第八五号)を「平成九年経過措置令」と、改正省令による改正後の厚生年金保険法施行規則(昭和二九年厚生省令第三七号)を「厚年規則」と、それぞれ略称する。

おって、平成六年改正法の実施に伴う事務処理の細目については、別途通知する予定であることを申し添える。

第一 雇用保険法(昭和四九年法律第一一六号)による給付との調整

1 厚年法附則第八条の規定による老齢厚生年金(以下単に「特別支給の老齢厚生年金」という。)と雇用保険法の規定による基本手当との調整関係

(1) 特別支給の老齢厚生年金の支給停止

特別支給の老齢厚生年金の受給権者が雇用保険法の規定による求職の申込みをしたときは、当該老齢厚生年金の支給を求職の申込みがあった月の翌月から以下のいずれかに至った月までの間停止すること。また、求職の申込みを既に行っている者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合については、受給権を取得した当該月の翌月から、以下のいずれかに至った月までの間、特別支給の老齢厚生年金の支給を停止すること(厚年法附則第一一条の五第一項及び第五項)。

① 当該求職の申込みに係る基本手当の受給期間が経過したとき

② 所定給付日数分の基本手当の支給を受け終わったとき

(2) 特別支給の老齢厚生年金の支給停止の解除

① 特別支給の老齢厚生年金の支給が停止される各月について、以下に該当する基本手当の支給を受けた日とみなされる日及びこれに準ずる日がない場合は、その月の特別支給の老齢厚生年金の支給停止を解除すること。また、特別支給の老齢厚生年金について在職支給停止が行われる場合には、支給停止はこれによることとし、厚年法附則第一一条の五第一項の規定は適用しないこと(厚年法附則第一一条の五第二項)。

ア 基本手当の支給を受けた日とみなされる日(厚年規則第三二条の二)

現に基本手当の支給対象となった日については、本来は失業認定日(原則二八日に一回)において失業の認定を受けた日がこれに該当する。

しかしながら、雇用保険の支給記録においては、基本手当の支給を受けた者の失業認定日及び各失業認定日において失業の認定を行った日数については記録がなされているが、各失業認定日において具体的に何月何日について失業の認定を行ったかは記録されていない。

したがって、事後的に雇用保険の支給記録を確認しても、過去の期間について明確にどの月に失業の認定を受けた日があり、どの月に失業の認定を受けた日がないかが判別できないケースが生じ得る。

こうしたケースにおいても、制度の実行上、失業の認定を受けた日がある月とない月とを明確に区別できるようにする必要があることから、失業認定日(又は給付制限期間の初日)の直前に失業の認定を受けた日が連続しているものとみなすこと。

イ これに準ずる日(厚年令第八条の二の二)

以下の期間に属する日については、雇用保険制度における政策目的達成のために所得保障を行わないこととしているものであることから、当該期間中においては、雇用保険制度における政策目的の達成を阻害しないよう、特別支給の老齢厚生年金についても支給停止とすること。

(ア) 雇用保険法第二一条の規定により基本手当を支給しないこととされる期間(待期期間)

(イ) 雇用保険法第三二条第一項又は第二項の規定により基本手当を支給しないこととされる期間(職業紹介拒否及び訓練紹介拒否による給付制限期間)

(ウ) 雇用保険法第三三条第一項の規定により基本手当を支給しないこととされる期間(離職理由による給付制限期間)

② 前記(1)により特別支給の老齢厚生年金の支給停止を受けた者が、(1)の①又は②に該当するに至った場合、特別支給の老齢厚生年金の支給が停止された月の数から、(2)の①のアの基本手当の支給を受けた日とみなされる日数を三〇で除して得た数を控除して得た数分の月数について、直近の各月における支給の停止を解除すること。

この場合において、三〇で除して得た数に一未満の端数が生じた場合は、これを一に切り上げるものとしたこと(厚年法附則第一一条の五第三項)。

2 特別支給の老齢厚生年金と雇用保険法の規定による高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金(以下「高年齢雇用継続給付」という。)との調整関係

特別支給の老齢厚生年金の受給権者で、高年齢雇用継続給付の支給を受ける者については、在職支給停止の仕組みにより支給停止することとされる額と以下の額との合計額に相当する部分の支給を停止すること(厚年法附則第一一条の六第一項)。

(1) 雇用保険法の規定によるみなし賃金日額に三〇を乗じて得た額に対する標準報酬月額の割合が、一〇〇分の六四未満であるときは、標準報酬月額に一〇〇分の一〇を乗じて得た額

(2) 雇用保険法の規定によるみなし賃金日額に三〇を乗じて得た額に対する標準報酬月額の割合が、一〇〇分の六四以上で一〇〇分の八五未満であるときは、当該標準報酬月額の割合が逓増する程度に応じ、標準報酬月額に一〇〇分の一〇から一定の割合で逓減するよう厚生省令で定める率を乗じて得た額

(3) 前記(2)の厚生省令で定める率は、高年齢雇用継続給付の支給割合が逓減することに応じて定められるものであり、具体的には以下の①に掲げる額から②及び③に掲げる額の合計額を減じた額を②に掲げる額で除して得た率に二五分の一〇を乗じて得た率としたこと(厚年規則第三四条の四)。

① みなし賃金日額に三〇を乗じて得た額に一〇〇分の八五を乗じて得た額

② 標準報酬月額

③ ①に掲げる額から②に掲げる額を減じた額に二一分の五を乗じて得た額

第二 船員保険法(昭和一四年四月六日法律第七三号)の規定による給付との調整

1 特別支給の老齢厚生年金と船員保険法の規定による失業保険金との調整関係

特別支給の老齢厚生年金の受給権者が船員保険法の規定による求職の申込みをした場合についても、第一の1と同様の措置を講ずることとし、このために必要となる技術的読替え等を行ったこと(厚年法附則第一一条の五第四項及び第七項並びに厚年令第八条の二の三から第八条の二の五まで)。

2 特別支給の老齢厚生年金と船員保険法の規定による高齢雇用継続基本給付金又は高齢再就職給付金との調整関係

特別支給の老齢厚生年金の受給権者が船員保険法の規定による高齢雇用継続基本給付金又は高齢再就職給付金の支給を受ける場合についても、第一の2と同様の措置を講ずることとし、このために必要となる技術的読替え等を行ったこと(平成六年改正法附則第二六条第一三項、昭和六〇年改正法附則第六二条の三及び昭和六一年経過措置令第七六条の二)。

第三 平成八年改正法附則第一六条第三項の規定により厚生年金保険の管掌者たる政府が支給するものとされた特別支給の退職共済年金(以下単に「特別支給の退職共済年金」という。)と雇用保険法及び船員保険法による給付との調整

1 特別支給の退職共済年金の受給権者が雇用保険法又は船員保険法の規定による求職の申込みをしたときは、国家公務員共済組合法の規定を読み替えて適用し、特別支給の老齢厚生年金と同様の支給停止及び解除の措置を講ずることとしたこと(平成九年経過措置令第二三条第一項)。

2 特別支給の退職共済年金の受給権者で高年齢雇用継続給付の支給を受ける者のうち、平成八年改正法附則第一六条第一項及び平成九年経過措置令第二三条第一項の規定により読み替えて適用するものとされた国家公務員共済組合法第七九条第一項に規定する厚生年金保険の被保険者については、第一の2の措置と同様の措置を講ずることとしたこと(平成九年経過措置令第二三条第一項)。

第四 特別支給の老齢厚生年金の裁定請求関係

特別支給の老齢厚生年金と雇用保険法又は船員保険法による基本手当等との調整の実施に伴い、新たに老齢厚生年金の裁定請求書の記載事項に雇用保険被保険者番号を設けたこと及びこれに添付すべき書類等につき、必要な手続き規定を設けたこと(厚年規則第三〇条、厚年規則附則第一八条)。

第五 支給停止事由該当届の届出関係

特別支給の老齢厚生年金の受給権者は、雇用保険法又は船員保険法による基本手当等の支給を受けることができることとなったときは、支給停止事由該当の届出書を社会保険庁長官に提出することとしたこと(厚年規則第三三条第三項から第六項まで、厚年規則附則第二六条)。

第六 その他の事項

年金給付の適正化を図るため、厚生年金保険の被保険者である特別支給の老齢厚生年金の受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して一月を経過した場合に届出することとしていた改定事由該当の届出は要しないこととしたこと(厚年規則第三四条の三)。

第七 施行時期

平成一〇年四月一日から施行されるものであること。

別添 略