添付一覧
○国民年金法の一部を改正する法律の施行について
(昭和四二年七月三一日)
(庁保発第一九号)
(各都道府県知事あて社会保険庁医療保険部・年金保険部長連名通知)
国民年金法の一部を改正する法律は、昭和四二年七月二九日法律第九六号として公布され、同法の趣旨及び要点については、昭和四二年七月三一日厚生省発年第三一号をもつて厚生事務次官から通達されたところである。
今回の改正は、福祉年金の内容充実を主眼に行なわれたものであるが、このほか国民年金、厚生年金保険及び船員保険について業務上の事故に係る労働者災害補償保険の給付との調整による支給停止の解除が行なわれているものであり、これが施行にあたつては、次の事項に留意して遺憾のないように取り扱われたい。
なお、この通達において、今回の国民年金法の一部を改正する法律を「改正法」、改正後の国民年金法を「法」と、略称する。
第一 福祉年金の改善に関する事項
1 年金額の引上げ
(1) 障害福祉年金、母子福祉年金、準母子福祉年金及び老齢福祉年金の年金額は、昭和四三年一月分から、次のとおりに引き上げられること(法第五八条、法第六二条、法第六四条の四、法第七九条の二第三項)。
障害福祉年金 三万円(月額二、五○○円)
母子福祉年金及び準母子福祉年金
二万四、○○○円(月額二、○○○円)
老齢福祉年金 一万九、二○○円(月額一、六○○円)
(2) 既裁定年金の額の改定
昭和四三年一月一日前に福祉年金の受給権を取得し同日まで引き続きその受給権を有する者に対して支給する年金の額については、昭和四三年一月分から改正後の年金額に増額改定されるものであること(改正法附則第三条)。
この年金額の改定に関する事務は、本年四月二六日庁文発第四、六八五号「昭和四二年度における定時の福祉年金所得状況届関係事務処理について」年金保険部福祉年金課長から都道府県民生主管部(局)長あて通知(以下「第四、六八五号通知」という。)に基づいて、本年の定時の福祉年金所得状況届(以下「定時届」という。)の事務処理にあわせて行なうものであること。
2 所得制限の緩和
(1) 受給権者本人の所得による支給制限の限度額は、地方税法における老年者等の非課税限度額の引上げを考慮して二四万円から二六万円に引き上げられ、またこの支給制限の限度額の加算の対象となる子・孫・弟妹がいる場合の加算額が四万円から六万円に引き上げられ、ともに昭和四一年以降の年の所得による支給停止について適用されることとなつたこと(法第六五条第六項、改正法附則第五条第二項)。
(2) 受給権者の配偶者及び主として受給権者の生計を維持する扶養義務者の所得による支給制限が緩和され、昭和四一年以降の年の所得による支給停止について適用されることとなつたこと。
なお、昭和四一年の所得について、その限度額は次のとおりであること(法第六六条第一項、改正法附則第五条第二項及び第三項)。
扶養親族等の数 |
〇人 |
一人 |
二人 |
三人 |
四人 |
五人以上 |
金額 |
四二万六、八一三円 |
五三万六、五〇〇円 |
五八万九、八四四円 |
六四万四、一八八円 |
七〇万一、二五〇円 |
七〇万一、二五〇円に扶養親族等の数四人をこえる一人につき五万八、七五〇円を加算した額 |
(3) 昭和四○年以前の所得による支給停止については、なお従前の例によるものであること(改正法附則第五条第二項)。
(4) この所得制限の緩和に伴う定時届の事務は、前記第四、六八五号通知に基づき処理すること。
3 福祉年金と公的年金給付との併給調整
本年一○月から恩給など公的年金の増額改定が行なわれることに伴い戦争公務に係る公的年金と福祉年金との併給限度額が一二万九、五○○円に引き上げられること(恩給法等の一部を改正する法律(昭和四二年七月二七日法律第八三号)第六条の改正規定により法第六五条第五項中の併給限度額が改正される。)となるので、この限度額引上げに伴う事務は第四、六八五号通知に基づき事務処理をすすめられたいこと。
4 その他条文の整理
改正法により。昭和四三年一月分から障害福祉年金、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額が二万四、○○○円以上となるため、いわゆる一般グループに属する公的年金給付との併給限度額に関して必要な条文の整理が行なわれたこと。なお、この改正は昭和四三年一月一日から施行されるものであること(法第六五条第三項、第四項及び第五項、法第七九条の二第六項及び第七項、改正法附則第五条第一項)。
第二 労働者災害補償保険法との調整による支給停止の解除
労働者災害補償保険法(昭和二二年法律第五○号)の規定による給付との調整により、現に支給停止されている国民年金の障害年金(障害年金を除く。)、母子年金(母子福祉年金を除く。)及び準母子年金(準母子福祉年金を除く。)について、本年八月分からその支給停止を解除することとされ、本年一一月期(八月、九月及び一○月分)から支払われることとなるが、支給停止が解除される月分の年金については、その裁定された額の三分の二に相当する額をもつて当該年金の額とすることとされたこと(改正法附則第六条第一項及び第二項)。
これに伴い、各都道府県においては、該当する受給権者を調査確認し、その者の年金の支給停止の解除に関する措置を行なうこととなるが、これが取扱いについては、別途指示するところによられたいこと。
また、厚生年金保険法及び船員保険法による障害年金又は遺族年金についても国民年金と同様の改正が行なわれ、支給停止が解除される月分の年金については、その裁定された額の一○分の八に相当する額をもつて当該年金の額とすることとされたこと(改正法附則第六条第三項)。
これに伴い、当庁において該当する受給権者の年金の支給停止を解除する措置を行なうこととなるが、貴職におかれても今回の改正の趣旨及び内容に関する広報、改正に伴う事務処理についての照会に対する回答等について十分配意されたいこと。
なお、災害補償との調整については、第五五国会において国民年金法の一部改正と併行して地方公務員災害補償法が新たに制定され、また公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律(昭和三二年法律第一四三号)の一部が改正されており、近く公布される予定であるが、これに伴う災害補償と国民年金法、厚生年金保険法及び船員保険法に基づく障害給付及び遺族給付との調整の取り扱いについては、別途通知するものであること。