添付一覧
○国民年金法の一部を改正する法律の施行について
(昭和四一年七月一四日)
(庁保発第一七号)
(各都道府県知事あて社会保険庁年金保険部長通知)
国民年金法の一部を改正する法律(昭和四一年法律第九二号)及び国民年金法施行令の一部を改正する政令(昭和四一年政令第二○四号)別添は、ともに昭和四一年六月三○日をもつて公布されたが、その実施については、昭和四一年七月一四日庁発第一一号社会保険庁長官通達によるほか、次の事項に留意されたく通知する。
とくに、今回の改正は、国民年金制度の飛躍的な充実を図つたものであるから、これを機に積極的な広報活動を実施されたい。
なお、この通達において、今回の国民年金法の一部を改正する法律は「改正法」、改正後の国民年金法は「法」、今回の国民年金法施行令の一部を改正する政令は「改正例」、改正後の国民年金法施行令は「令」と、それぞれ略称する。
第一 拠出年金関係
1 年金額の引上げに関する事項
年金額は、昭和四二年一月分から大巾に引き上げられることとなり、その算出方法等が次のとおり改められたので、市町村、被保険者及び障害年金等の受給権者等に十分周知徹底を図るとともに、年金額の算定、既裁定年金の取扱い等の事務について適正を期されたいこと。
(1) 老齢年金等の額
ア 老齢年金及び通算老齢年金の額は、保険料納付済期間については、従来、二○年までの一年につき九○○円、二○年をこえる一年につき一、二○○円をもつて計算するものとされていたのが、一律一月につき二○○円(年額二、四○○円)をもつて計算するものと改められ、保険料免除期間については、従来一年につき三五○円をもつて計算するものとされていたのが、一月につき二○○円の三分の一(年額八○○円)をもつて計算するものと改められたこと(保険料納付済期間が二五年の場合六万円、四○年の場合九万六、○○○円)。また、従来、年金額の算定にあたつて算入されなかつた一年未満の端数月も算入されることとなつたこと(法第二七条、法第二九条の四、法第三三条第一項、法第四三条、法第五○条)。なお、昭和四二年一月以降に受給権が発生する受給権者の昭和四一年一二月以前の被保険者期間に係る保険料納付済期間及び保険料免除期間についても、改正後の年金額の計算方法によつて計算されるものであること(法第二七条)。
イ 年齢によつて受給資格期間を読み替えて支給する老齢年金及び特例支給の老齢年金についても、従来の年金額の規定が改められ、すべてアの計算方法により計算することとなつたこと。また、年齢によつて受給資格期間を読み替えて支給する老齢年金については、七○歳から支給する額について一万八、○○○円(月額一、五○○円)の最低保障が設けられたこと(法第七七条、法第七八条)。
(2) 障害年金の最低保障額等
障害年金の最低保障額については二万四、○○○円(月額二、○○○円)が六万円(月額五、○○○円)に、遺児年金の最低保障額については一万二、○○○円(月額一、○○○円)が三万円(月額二、五○○円)に、それぞれ引き上げられたこと(法第三三条第一項及び第四三条)。
また、障害年金の一級障害の加算額について六、○○○円(月額五○○円)が一万二、○○○円(月額一、○○○円)に引き上げられたこと(法第三三条第二項)。
(3) 母子年金等の額
母子年金及び準母子年金の額については、従来、支給要件となる子、孫又は弟妹(以下「子等」という。)が一人の場合、老齢年金の額の計算方法により計算した額の二分の一に四、八○○円を加算した額とされ、その額が一万九、二○○円未満のときは、一万九、二○○円(月額一、六○○円)とするものとされていたが、この額が一律五万五、二○○円(月額四、六○○円)と改められたこと(法第三八条及び第四一条の三)。
なお、加算対象となる子等一人につき四、八○○円(月額四○○円)が加算されることは、従来のとおりであること(法第三九条第一項及び第四一条の三)。
(4) 既裁定年金の額
ア 昭和四二年一月一日前に拠出年金の受給権を取得し、同日まで引き続きその受給権を有する者についても、昭和四二年一月分から、改正後の計算方法による年金額が支給されることとなつたこと(改正法附則第二条第一項)。
イ 既裁定年金額の改定は、本年一二月までに職権で行なわれたいこと。
なお、改定した者に対しては、国民年金法施行規則の改正により、新たな国民年金証書の交付に代えて年金額改定票が送付されることとなる予定であること。
2 年金給付の支給要件の緩和に関する事項
(1) 障害年金等の障害の範囲の拡大
障害年金の支給対象となる者の障害の範囲並びに母子年金、準母子年金及び遺児年金の支給要件又は加算対象となる者の障害の範囲が拡大され、すべての種類の障害がこれに含まれることとなつたが(法別表)、これに伴う障害等級認定基準等については別途通知する予定であること。
(2) 障害年金等の受給要件の緩和
障害年金、母子年金、準母子年金及び遺児年金の拠出要件については、従来、直近の基準月の前月まで引き続いて三年間被保険者であり、かつ、その期間のすべてが保険料納付済期間若しくは保険料免除期間で満たされているか、又は直近の基準月の前月まで引き続いて一年間被保険者であり、かつ、その期間のすべてが保険料納付済期間で満たされていることを要するものとされていたのが、被保険者期間が引き続いていなくても、直近の基準月の前月までの被保険者期間が合算して三年以上あり、その期間のうち最近の三年間が保険料納付済期間若しくは保険料免除期間で満たされているか、又は直近の基準月の前月までの被保険者期間が合算して一年以上あり、かつ、その期間のうち最近の一年間が保険料納付済期間で満たされていればよいことと改められたこと(法第三○条第一項第一号、法第三七条第一項第一号、法第四一条の二第一項第一号、法第四二条第一号)。したがつて、たとえば季節労務者で一年のある期間が国民年金の被保険者期間、その他の期間が厚生年金保険の被保険者期間であるような者についても、直近の基準月の前月までの国民年金の被保険者期間をみた場合に、その期間が引き続いていなくとも合算して一年以上あり、かつ、そのうち最近の一年間が保険料納付済期間で満たされている場合には、拠出要件に該当することとなるものであること。
(3) 事後重症
ア 障害年金は、従来、疾病認定日において疾病の状態が法別表に定める疾病の程度に該当する場合に限り、支給されることとされていたのが、今回の改正により、疾病認定日においては廃疾の状態が法別表に定める廃疾の程度に該当してなくてもその日後においてその傷病が悪化し、廃疾の状態が法別表に定める廃疾の程度に該当するに至つたときは、請求のあつた日の属する月の翌月から障害年金が支給されることとなつたこと(法第三○条の二第一項及び第三項)。
イ 初診日が、二○歳前又は昭和三六年四月一日前である傷病による廃疾の状態(以下「前発障害」という。)と初診日が被保険者となつた後である傷病による廃疾の状態(以下「後発障害」という。)とを併合認定して支給する障害年金の場合においても、前記と同様に、後発障害の廃疾認定日後において、前発障害若しくは後発障害のいずれか一方の障害又は両方の障害が悪化したことにより、法別表に定める程度の廃疾の状態に該当するに至つたときは、請求のあつた日の属する月の翌月から障害年金が支給されることとなつたこと(法第三○条の二第二項及び第三項)。
ウ 事後重症の場合においても、拠出要件の認定時期は、廃疾認定日の前日であり、廃疾認定日後にはじめて法別表に定める程度の廃疾の状態に該当するに至つた日の前日でもなく、また、請求のあつた日の前日でもないこと(法第三○条の二第一項及び第二項、法第三○条第一項第一号)。
(4) 支給要件の緩和に伴う経過措置
ア 障害年金
障害年金の支給対象となる障害の範囲の拡大に伴つて、従来除外されていた種類の障害のある者についても、改正法附則の拠出要件を満たし、かつ、廃疾認定日が昭和四一年一二月一日前である傷病により、同日において法別表に定める程度の廃疾の状態にある場合には、昭和四二年一月分から障害年金が支給されることとなつたこと。また、拠出要件の認定時期の改正及び拠出要件の緩和に伴い、初診日の前日において改正前の拠出要件に該当しないため障害年金が受給できなかつた者であつても、廃疾認定日の前日において改正後の拠出要件に該当し、かつ、昭和四一年一二月一日においてその廃疾の状態が法別表に定める廃疾の程度に該当する場合には、昭和四二年一月分から障害年金が支給されることとなつたこと(改正法附則第三条第一項及び第二項)。
また、初診日が昭和四一年一二月一日前で廃疾認定日が同日以後である者又は廃疾認定日が昭和四一年一二月一日前で同日以後に、はじめて法別表に定める程度の廃疾の状態に該当することとなつた者に対する拠出要件の認定は、初診日の前日においても行なうことができることとなつたこと(改正法附則第三条第四項)。
イ 母子年金及び準母子年金
(ア) 母子年金及び準母子年金の支給要件となる子等の障害の範囲の拡大に伴い、支給事由となる夫等の死亡の日が、昭和四一年一二月一日前であつても、従来除外されていた種類の障害のある子等が昭和四一年一二月一日に一八歳以上二○歳未満で法別表に定める程度の廃疾の状態にあれば、昭和四二年一月分から母子年金又は準母子年金が支給されることとなつたこと。
また、拠出要件の緩和に伴い、昭和四一年一二月一日前の死亡日の前日において改正前の拠出要件に該当しない場合であつても、死亡日の前日に改正後の拠出要件に該当すれば、昭和四二年一月分から母子年金及び準母子年金が支給されることとなつたこと(改正法附則第四条)。
(イ) 昭和四一年一二月一日前に母子年金又は準母子年金の受給権を取得し、同日まで引き続きその受給権を有する者が、従来除外されていた種類の障害のある子等を有する場合には、その子等が昭和四一年一二月一日において一八歳以上二○歳未満で、法別表に定める程度の廃疾の状態にあれば、昭和四二年一月分から、その子等一人につき四、八○○円が加算されることになつたこと(改正法附則第二条第二項)。
ウ 遺児年金
(ア) 遺児年金の支給要件の対象となる子の障害の範囲の拡大に伴い、支給事由となる父又は母の死亡の日が昭和四一年一二月一日以前であつても、昭和四一年一二月一日においてその子が、一八歳以上二○歳未満で法別表に定める程度の廃疾の状態にあれば、昭和四二年一月から遺児年金が支給されることとなつたこと。また、拠出要件の緩和に伴い、昭和四一年一二月一日前の父又は母の死亡の日の前日において改正前の拠出要件に該当しない場合であつても、死亡日の前日に改正後の拠出要件に該当すれば、昭和四二年一月分から遺児年金が支給されることとなつたこと。なお、この場合において、従来から他に遺児年金の支給を受けている者があるときは、その遺児年金の額は昭和四二年一月分から改定されるものであること(改正法附則第五条第一項から第三項まで)。
(イ) 改正法附則により昭和四一年一二月一日に遺児年金の受給権を取得する子は、同日前に死亡一時金の請求をした場合であつても、なお遺児年金を選択することができ、遺児年金を選択したときは、さきに支給された死亡一時金は遺児年金の内払とみなされることとなつたこと(改正法附則第五条第四項及び第五項)。
3 その他の年金給付に関する事項
(1) 未支給年金請求者の範囲の拡大
母子年金の受給権者が死亡した場合において未支給年金を請求することができる者の範囲に、その受給権者の死亡の当時その母子年金の支給要件又は加算対象となつていた夫の子が加えられたこと(法第一九条第二項)。
(2) 母子年金等の支給要件又は加算対象となる子等の要件の緩和
母子年金及び準母子年金の受給権者の子等であつて一八歳をこえる者が引き続きこれらの年金の支給要件又は加算対象となるためには、従来は、その受給権取得のときから終始改正前の法別表に定める程度の廃疾の状態に該当していなければならなかつたのが、子等が一八歳に達したときにおいて法別表に定める程度の廃疾の状態に該当していれば足りることとされたこと(法第三九条第三項、法第四一条の三)。
(3) 旧陸軍共済組合等の組合員であつた期間を有する者についての特例
ア 旧陸軍共済組合、旧海軍共済組合等の旧令による共済組合の組合員期間は、法律による共済組合又は船員保険において老齢・退職を支給事由とする年金給付の基礎となつている期間を除き、保険料免除期間とみなされ、老齢年金の受給資格期間に算入されることとされたこと(法附則第九条の三第一項本文、令第一三条及び第一四条)。
イ この改正規定は、昭和四二年一月一日から施行されることとなつていること(改正令附則第一条)。
ウ この改正規定により老齢年金が支給されるのは、保険料納付済期間、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間又は保険料免除期間が一年以上あり、かつ、この期間にこの改正規定により保険料免除期間とみなされる期間を加えた期間が二五年以上(昭和五年四月一日以前に生まれた者については法第七六条の規定により読み替えられた期間以上)ある場合であつて、老齢年金又は通算老齢年金の受給資格期間を満たしていないときに限られること(法附則第九条の三第一項)。
エ この改正規定により老齢年金を支給する場合の額の計算にあたつては、この改正規定により保険料免除期間とみなされた期間は、算入されないこと(法附則第九条の三第一項本文)。
(4) 繰上げ支給の老齢年金及び通算老齢年金の額並びに老齢年金及び通算老齢年金の裁定事務の都道府県知事に対する委任
ア 法第二八条及第二九条の五の規定による老齢年金及び通算老齢年金の繰上げ支給の受給権者が本年度から生じることとなるが、その裁定事務は、都道府県知事に委任されることとなつたこと(令第一条)。
イ 繰上げ支給される場合に本来の年金額から減ずべき額が規定され(令第三条の二)、本年六月三○日から施行されることとなつたこと(改正令附則第一条)。
ウ 法第七八条の規定による特例支給年金については、繰上げ支給に関する規定は適用されないこと。また、本年度受給権が生ずる老齢年金の支給は、昭和四二年一月一日以後において、被保険者期間と前記(3)の旧令共済組合の組合員期間とを合算して受給資格期間を満たすこととなる場合において繰上げ支給の請求を行なつたときに限られるものであること。
(5) 国外に居住する年金受給権者の裁定請求等の管轄都道府県知事
年金給付の受給権者が日本国外からその裁定請求支払請求等を行なう場合における管轄都道府県知事は、当該受給権者の日本における最後の住所地の都道府県知事とされ(令第三条)、本年六月三○日から施行されることとなつたこと(改正令附則第一条)。
4 保険料の改定に関する事項
(1) 保険料額の改定
保険料は、次のように段階的に引き上げられることとなつたこと(法第八七条改正法附則第一三条及び第一五条)。
昭和四一年一二月以前の 従来どおり(三五歳未満一
月分に係る保険料 ○○円、三五歳以上一五○
円)
昭和四二年一月から昭和 三五歳未満二○○円
四三年一二月までの間の 三五歳以上二五○円
月分に係る保険料
昭和四四年一月から昭和 三五歳未満二五○円
四六年四月以後で政令で 三五歳以上三○○円
定める月の前月までの間
の月分に係る保険料
(2) 保険料の前納
保険料の前納については、前納すべき額および前納することができる期間が改められたこと(法第九三条第三項及び第五項、令第七条及び第八条)。
なお、前納期間及び前納額については、近く社会保険庁長官から告示される予定であること。
5 既前納者の取扱いに関する事項
(1) 保険料
ア 昭和四二年一月一日前に同日以後の月分に係る保険料を改正前の額で前納している者(以下「既前納者」という。)については、追加納付が必要となるが、その追加額は、昭和四二年一月以後の当該前納期間(以下「既前納期間」という。)の各月について、一○○円(昭和四四年一月以後の各月については一五○円すなわち新旧保険料の差額(以下「差額保険料」という。)とされたこと(改正法附則第一四条第一項)。
イ 既前納者が差額保険料を納付することができない場合には、一般の保険料における場合と同様にその差額保険料の納付について免除が認められるものであること(法第八九条及び第九○条)。
ウ 差額保険料の納付方法については、一般の保険料の場合と同様に、現年度分については印紙により、過年度分については現金により納付されなければならないが、その差額保険料の前納及び追納の方法も一般の保険料の場合と同様であること(法第九二条)。
なお、その前納額等については、一般の場合における前納額の告示とあわせて社会保険庁長官から告示される予定であること。
(2) 年金給付の受給資格期間
既前納期間は、差額保険料の納付が行なわれなかつた場合でも、受給資格期間の算定にあたつては、保険料納付済期間として取り扱われるものであること(法第九三条第四項)。
(3) 年金給付の額
既前納期間について差額保険料の納付が行なわれなかつた月があるときは、その月に係る既前納者の年金給付の額は、次により算定することとなつたこと(改正法附則第一四条第二項)。
ア 差額保険料を免除された期間については、一月につき一、五○○円の一二分の一に相当する額
イ 差額保険料を滞納した期間については、一月につき一、○五○円の一二分の一に相当する額
なお、昭和四二年一月一日以後において既前納者の年金給付の額を計算する場合においては、通常の納付の場合と同様に同日前の月分に係る保険料納付済期間又は保険料免除期間についても改正後の年金額の計算方法により計算されるものであること(法第二七条)。
第二 福祉年金関係
1 年金額の引上げに関する事項
(1) 年金額
年金額は、昭和四二年一月分からそれぞれ二、四○○円(月額二○○円)引き上げられ、次のとおりとされたこと(法第五八条、法第六二条、法第六四条の四、法第七九条の二第三項)。
老齢福祉年金 一万八、○○○円(月額一、五○○円)
障害福祉年金 二万六、四○○円(月額二、二○○円)
母子福祉年金及び準母子福祉年金
一万四○○円(月額一、七○○円)
なお、加算対象となる子等一人につき四、八○○円(月額四○○円)が加算されることは、従前どおりであること(法第六三条第一項、法第六九条の四)。
(2) 既裁定年金の額
昭和四二年一月一日前に福祉年金の受給権を取得し、同日まで引き続きその受給権を有する者に対して支給する年金の額については、昭和四二年一月分から、改正後の年金額と同額に増額改定されることとなつたこと(改正法附則第六条第一項)。
なお、この年金額の改定に関する事務は、本年四月一六日庁保険発第二号「昭和四一年度の福祉年金所得状況届関係事務処理について」(以下「第二号通知」という。)をもつて通知した要領により、本年の定時の福祉年金所得状況届の事務処理にあわせて行なわれたいこと。
2 年金給付の支給要件の緩和に関する事項
(1) 障害福祉年金等の障害の範囲の拡大
障害福祉年金の支給対象となる者の障害の範囲の拡大並びに母子福祉年金及び準母子福祉年金の支給要件又は加算対象となる者の障害の範囲が拡大され、すべての種類の障害がこれに含まれることとなつたが(法別表一級)、これに伴う障害等級認定基準等については、別途拠出年金とあわせて通知する予定であること。
(2) 障害福祉年金等の受給要件の緩和
いわゆる補完的な障害福祉年金、母子福祉年金及び準母子福祉年金の拠出要件については、従来、拠出要件を規定した各事項の第一号及び第二号の両号のいずれにも該当しないことを要することとされていたのが、いずれか一方に該当すればよいことに改められ、あわせて法文の平明化が図られたこと(法第五六条第一項、法第六一条第一項、法第六四条の三第一項)。
(3) 事後重症
ア 障害福祉年金は、廃疾認定日又は二○歳に達した日において、廃疾の状態が法別表一級に定める程度の廃疾の状態に該当する場合に限り支給されることとされていたが、廃疾認定日又は二○歳に達した日においては廃疾の状態が法別表一級に定める程度の廃疾の状態に該当していなくても、その日後においてその傷病が悪化し、廃疾の状態が法別表一級に定める廃疾の程度に該当するに至つたときは、請求のあつた日の属する月の翌月から障害福祉年金が支給されることとなつたこと(法第五六条の二第一項、法第五七条第一項、法第七九条の三第三項、法第八一条第三項及び第五項)。
イ 前発障害と後発障害とを併合認定して支給する障害福祉年金の場合においても、前記と同様に、後発障害の廃疾認定日後において、前発障害若しくは後発障害のいずれか一方の障害又は両方の障害が悪化し、法別表一級に定める程度の廃疾の状態に該当するに至つたときは、請求のあつた日の属する月の翌月から障害福祉年金が支給されることとなつたこと(法第五六条の二第二項、法第七九条の三第四項)。
ウ 事後重症により障害福祉年金を支給する場合の拠出要件の認定時期は、廃疾認定日の前日であり、廃疾認定日後にはじめて法別表一級に定める程度の廃疾の状態に該当するに至つた日の前日でもなく、また請求のあつた日の前日でもないこと(法第五六条の二第一項及び第二項、法第五六条第一項)。
(4) 支給要件の緩和に伴う経過措置
ア 障害福祉年金
(ア) 障害福祉年金の支給対象となる障害の範囲の拡大に伴い、昭和四一年一二月一日において、二○歳をこえ七○歳未満である者で、廃疾認定日が同日前である傷病(改正前の法別表により障害年金又は障害福祉年金の受給権を取得したことがある者については、その傷病を除く。)により同日において廃疾の状態が改正後の法別表一級に定める廃疾の程度に該当するものは、昭和四二年一月から障害福祉年金が支給されることとなつたこと。ただし、次のいずれかに該当するときは、この限りでないこと(改正法附則第九条)。
ア) 初診日において被用者年金各法の被保険者又は組合員である等法第七条第二項第一号から第四号までのいずれかに該当しているとき。
イ) 初診日が昭和三六年四月一日(同日において二○歳未満であるときは二○歳に達した日)以後である二以上の障害を併合してのみ改正後の法別表一級に定める程度の廃疾の状態に該当するとき(ただし、明治四四年四月一日以前に生れた者を除く。)
ウ) 初診日が昭和三六年四月一日(同日において二○歳未満であるときは二○歳に達した日)以後である障害について、初診日又は廃疾認定日の前日において、拠出要件を満たしていないとき(ただし、明治四四年四月一日以前に生れた者を除く。)
エ) 前発障害と後発障害とを併合して法別表一級に定める程度の廃疾の状態に該当する場合において、後発障害が厚生大臣の定める程度以上でないとき。
(イ) 拠出要件の認定時期の改正に伴い、従前、初診日の前日における拠出要件に該当しないため受給権が発生していなかつた場合も廃疾認定日の前日において拠出要件を満たしていれば、新たに障害福祉年金の受給権が発生することとなつたこと(改正法附則第九条第二項)。
(ウ) 障害福祉年金の受給権者は、第一の2の(4)のア(改正法附則第三条)により障害年金の受給権を新たに取得する場合が考えられるが、この場合には法第二○条の併結調整が行なわれるものであること。
イ 母子福祉年金及び準母子年金
(ア) 昭和四一年一二月一日前であつても、従来除外されていた種類の障害のある子等が昭和四一年一二月一日に義務教育終了後二○歳未満で、法別表一級に定める程度の廃疾の状態にあれば昭和四二年一月分から母子福祉年金又は準母子福祉年金が支給されることとなつたこと(改正法附則第一○条)。
(イ) 昭和四一年一二月一日前に母子福祉年金又は準母子福祉年金の受給権を取得し、同日まで引続き、その受給権を有する者で、その受給権取得の当時において二○歳未満で除外されていた種類の障害のある子等がある場合には、その子等が昭和四一年一二月一日において義務教育終了後二○歳未満で法別表一級に定める程度の廃疾の状態にあれば、昭和四二年一月分から、その子等一人につき四、八○○円が加算されることとなつたこと(改正法附則第六条)。
(5) 国内居住要件の廃止
ア 従来、福祉年金の受給権の発生及び消滅についての要件とされていた国内居住要件は廃止され、受給権発生日において国内に住所を有しない場合にも受給権が発生することとなり、また受給権者が国内に住所を有しなくなつた場合にも受給権は消滅せず、その期間は支給停止されることとなつたこと(法第五六条第一項、法第五九条、法第六一条第一項、法第六四条第一項、法第六四条の三第一項、法第六五条第一項、法第七九条の二第一項)。
イ 国外に居住していたため福祉年金の受給権が発生しなかつた者及び国内に住所を有しなくなつたことにより福祉年金の受給権が消滅した者が、四一年六月三○日(改正法公布の日)に国内に住所を有している場合には、同日に受給権が発生し、また、同日後に国内に住所を有するに至つた場合には同日に受給権が発生すること。ただし、同日前又は国内に住所を有するに至つた日前において改正後の受給権消滅事由に該当する事実があつたとき(例えば、老齢福祉年金にあつては、七○歳に達した日後に日本国籍を喪失し、四一年六月三○日前に日本国籍を取得している場合。)は、この限りでないこと(改正法附則第八条)。
ウ 国内居住要件の廃止に伴う事務については、次の事項に留意すること。
(ア) 国内に住所を有しなかつたため福祉年金の受給権が消滅した者が、前記イに該当することにより、新たに受給権を取得した場合には、再度裁定請求書の提出を求め裁定を行なうこと。
(イ) 国内に住所を有するに至つた日は、住民登録法による住民票に記載されている転入年月日とすること。
(ウ) 国外に居住していた間に得た所得は、所得制限による支給停止対象とはならないこと(令第六条、令第六条の二)。
3 その他の年金給付に関する事項
(1) 未支給福祉年金請求者の範囲の拡大
母子福祉年金の受給権者が死亡した場合において未支給福祉年金を請求することができる者の範囲に、その受給権者の死亡の当時その母子福祉年金の支給要件又は加算対象となつていた夫の子が加えられたこと(法第一九条第二項)。
(2) 母子福祉年金等の支給要件又は加算対象となる子等の要件の緩和
母子福祉年金及び準母子福祉年金の受給権者の子等であつて、義務教育を終了した者が、引き続きこれらの年金の支給要件又は加算対象となるための要件は、従来は、その受給権取得のときから終始改正前の法別表一級に定める程度の廃疾の状態に該当していなければならなかつたのが、子等が義務教育終了時において法別表一級に定める程度の廃疾の状態に該当していればよいこととなつたこと(法第六三条第三項)。
(3) 夫婦受給制度の一部廃止
夫婦で同時に老齢福祉年金と障害福祉年金とを受けている場合の老齢福祉年金の三、○○○円の支給停止は、昭和四二年一月分から廃止されることとなつたこと(法第七九条の二第五項及び改正法附則第一一条第四項)。
なお、この事務処理は第二号通知により行なわれたいこと。
4 所得制限の緩和に関する事項
(1) 受給権者本人の所得による支給制限の緩和
受給権者本人の所得による支給制限の限度額は、市町民税の老年者等の非課税限度額の引き上げあわせて二二万円から二四万円に引き上げられ、昭和四○年以降の所得について適用されることとなつたこと。また、障害の範囲が拡大されたことにより、新たに受給権者本人の所得による支給制限の限度額の加算の対象となる子等がいる場合は、昭和四二年一月分から、その子等一人につき四万円が加算されることとなつたこと(法第六五条第六項、改正法附則第一一条第一項及び第二項)。
(2) 配偶者及び扶養義務者の所得による支給制限の緩和
ア 配偶者の所得による支給制限は、扶養義務者の所得による支給制限に吸収されることとなつた。
イ 扶養義務者の所得による支給制限が緩和されたこと。なお、昭和四○年の所得についてのその限度額は次のとおりであること(法第六六条改正法附則第一一条第二項及び第三項)。
扶養親族等の数 |
〇人 |
一人 |
二人 |
三人 |
四人 |
五人 |
六人以上 |
全額 |
円 三七一、五六三 |
円 四七四、五〇〇 |
円 五二一、七五〇 |
円 五六九、〇〇〇 |
円 六一七、五〇〇 |
円 六七〇、〇〇〇 |
六七〇、〇〇〇円に扶養親族等の数五人をこえる一人につき五二、五〇〇円を加算した額 |
ウ 配偶者の所得の計算については、従来の社会保険料控除及び生命保険料控除に代えて、三万円の定額控除が設けられたこと(令第六条の二)。
別添 略