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○通算年金通則法及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律の施行について

(昭和三六年一一月一八日)

(年発第五四四号)

(各都道府県知事あて厚生省年金局長通達)

通算年金通則法(昭和三六年法律第一八一号)及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律(昭和三六年法律第一八二号)は、ともに本月一日公布施行され、国民年金においても通算老齢年金制度が創設された。

国民年金における通算老齢年金の支給及び通算対象期間等の確認の事務は昭和四一年度から開始されることとなるが、これが運営に当つては本日厚生省発年第六五号をもつて示された厚生事務次官依命通達によるのほか、次の諸事項に留意して、その趣旨の普及及び適確な事務処理に遺憾なきを期せられたい。

なお、この通達においては、通算年金通則法を「通則法」と、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律及び一○月三一日公布施行された国民年金法の一部を改正する法律(昭和三六年法律第一六七号)による改正後の国民年金法(昭和三四年法律第一四一号)を「法」と、それぞれ略称する。

第一 一般的事項

一 通算対象期間

通算対象期間については、とくに次の点に留意されたいこと。

(一) 通則法第四条第二項の規定により、任意加入しなかつた期間が通算対象期間とされる者の範囲と、法附則第六条の規定により任意加入できる者の範囲とは、学生等について若干の相違があること。

(二) 任意加入しなかつた期間のうち、保険料徴収が開始された本年四月一日前の期間及び本年四月一日において五○歳をこえる者に係る期間は、通算対象期間とされないこと(通則法附則第二条第三項)。

二 期間の計算

(一) 通則法第六条第二項の規定の趣旨は、端数整理ではなく、一制度として一年又は六カ月に達しない短期の期間のみを排除する趣旨であること。

なお、受給資格要件又は任意脱退の要件の経過措置に関して、本年四月一日以後の通算対象期間を計算する場合において、一年以上の期間が同日の前後にまたがるため一年に満たない期間が生じたときは、その一年に満たない期間は算入されるものであること(法第七七条の二第二項及び第四項)。

(二) 通則法第六条第三項の規定の趣旨は、各種共済組合の組合員が国民年金、厚生年金保険又は船員保険の被保険者となつたときに、同一の月が双方の組合員期間又は被保険者期間となる場合、厚生年金保険の第四種被保険者又は農林漁業団体職員共済組合の任意継続組合員が同時に他の制度に加入している場合等においては、同一の月を二重に計算することなく、そのどちらか一つの期間についてのみを通算対象期間が最も長くなるように計算するという趣旨であつて、各制度の支給する通算老齢年金又は通算退職年金の額に影響するものではないこと。

三 通算対象期間の確認等

(一) 通則法第七条第一項の規定による通算対象期間の確認に係る事務手続については、おつて別に定める予定であること。

なお、通則法第七条第三項の規定による確認の請求は、通算老齢年金又は通算退職年金の受給権の裁定を請求するため必要がある場合に行なわれるものであるが、国民年金においては本年四月一日において五五歳をこえる被保険者は存在しないので、昭和四一年五月一日までは確認事務は生じないものであること。

(二) 通算対象期間又は保険料免除期間の確認は、これらの事実関係を法律上確定する効果を有するものであること。すななち、確認に関する処分については各制度の審査機関に審査請求を行なうことができるが(通則法第七条第四項)、通算対象期間が確認された後は、これについての不服を理由として通算老齢年金又は通算退職年金に関する処分について審査の請求を行なうことはできないものであること(通則法第九条及び法第一○一条第四項)。

四 その他

(一) 未支給の通算老齢年金については、通則法第一一条の定めるところによるものであるが、法第一九条の規定による未支給の拠出制年金の取扱いと同様であること。

(二) 通算老齢年金の受給権の消滅時効は、法第一○二条の規定にかかわらず、受給権者が現に他の公的年金制度に加入している期間は進行しないものとされているが(通則法第一二条)、これは受給権発生の有無が必らずしも明白でない場合があるからであること。

第二 通算老齢年金に関する事項

一 支給要件

(一) 通算老齢年金は、法第二九条の三に規定する支給要件を満たしていれば現に他の公的年金制度に加入している者に対しても支給されるものであることに注意されたいこと。

(二) 本年四月一日において三一歳をこえる者については、同日以後の通算対象期間について法第七六条の特例と同趣旨の読み替え規定が設けられていること(法第七七条の二)。

二 支給の繰り上げ

国民年金法の改正により、拠出制の老齢年金については六○歳からの支給の繰り上げに関する規定が設けられたが、(法第二八条の二)この規定は通算老齢年金についても準用されるものであること(法第二九条の五)。

三 特例による老齢年金との調整

拠出制の老齢年金の支給要件を満たさなかつた者であつて、補完的老齢福祉年金の支給要件を満たしているものに対しては、特例による老齢年金を支給する制度が設けられたが(法第二八条)、通算老齢年金と特例による老齢年金との二重支給を避けるため、いずれか一方の受給権者又は受給権者であつたことがある者には他の一方は支給されず、また同時に双方の受給権を取得した者には、その者の選択により、その一を支給することとされているものであること(法第二九条の七)。

第三 被保険者に関する事項

一 任意脱退

被保険者の任意脱退は、本来の老齢年金を受けるに必要な資格期間を満たし得ない場合にのみに認められていたが、通算年金制度の創設に伴い、これをさらに限定して通算老齢年金を受けるに必要な資格期間をも満たし得ない場合にのみ認めるものと改められた(法第一○条並びに法第七七条の二第三項及び第四項)。

なお、これに伴う事務処理については別に指示するものであること。

二 高齢任意加入被保険者の特例

法附則第七条に係る改正規定は、高齢任意加入被保険者の範囲を拡大したものではなく、現に任意加入している者について、その者が他の制度からの老齢年金等を受けられるようになつても、被保険者の資格を当然には喪失しないようにしたものであること。