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○厚生年金基金の年金積立金の評価方法の変更について

(平成八年六月二七日)

(年発第三三二二号)

(各都道府県知事あて厚生省年金局長通知)

厚生年金基金の財政運営については、平成九年度から「厚生年金基金の財政運営について(平成八年六月二七日年発第三三二一号)」により取り扱うこととしているが、この移行にあたっては以下のとおり取り扱うこととしているので、貴管下の厚生年金基金の指導にあたっては遺憾のないよう配慮されたい。

第一 簿価評価からの移行に関する基準

一 資産評価の移行日

(一) 決算および財政計算

平成九年四月一日以降の日を基準日とする決算および財政計算においては、年金経理に属する固定資産の財政運営上の評価額(以下単に「固定資産の評価額」という。)は、「厚生年金基金の財政運営について(平成八年六月二七日年発第三三二一号)」の厚生年金基金財政運営基準(以下「財政運営基準」という。)に定めるところによること。なお、平成七年度および平成八年度決算においては、年金経理の貸借対照表に固定資産の時価を、損益計算書に時価ベース収益の額を注記すること。

(二) 予算

平成九年度予算は、別途定めるところにより、次の第二の一に掲げる移行に伴う評価損の額を見込んで、時価ベースで編成すること。

二 移行時の評価

平成九年度決算における固定資産の評価額は、基金において選択した評価方法の如何に関わらず、平成九年度末現在における時価とすること。

第二 移行に伴う評価損の償却に関する基準

一 移行に伴う評価損の額

次の(一)と(二)に定める額の合計額を移行に伴う評価損の額とすること。ただし、当該合計額に次の(三)に定める額の全部または一部を加えた額を移行に伴う評価損の額とすることができること。

(一) 平成九年度末において、流動資産、固定資産(時価)、特別掛金収入現価および繰越不足金の合計額が、流動負債、支払備金、過剰積立金残高、数理債務、給付改善準備金、繰入準備金および別途積立金の合計額を下回る額のうち、平成九年度末において固定資産の時価が簿価を下回る額を超えない額

(二) 平成六年度から平成八年度中に発生した利差損に相当する額のうち、平成九年度末までに行った財政計算において特別掛金に反映させることなく特別掛金収入現価に含めた額

(三) 平成六年度から平成九年度までに発生した利差損に相当する額のうち、平成九年度末までに行った財政計算の基準日後に発生した額

二 償却開始基準日

移行に伴う評価損は、次の(一)~(三)に掲げるところにより、できるだけ早く償却を開始すること。

(一) 平成九年度予算における償却開始

移行に伴う評価損は、平成九年度に償却を開始することができること。この場合、平成九年度予算において、移行に伴う評価損の推計額を基礎として特別掛金を算定し、規約に定めること。

(二) 平成一〇年度予算における償却開始

平成一〇年度中の償却開始を平成一〇年度予算において措置する場合には、移行に伴う評価損の見込額を基礎として特別掛金を算定し、規約に定めること。

また、前記(一)により平成九年度中に償却を開始した場合には、平成一〇年度の予算において、移行に伴う評価損の見込額から平成九年度の特別掛金の元利合計の見込額を控除した額を基礎として特別掛金を見直すことができること。

(三) 平成九年度決算を基礎とする償却開始

ア 原則的取扱い

前記(一)と(二)に定めるところにより償却を開始しなかった基金は、原則として、平成九年度決算において確定した移行に伴う評価損を基礎として特別掛金を算定し、遅くとも平成一一年四月から償却を開始すること。

また、前記(一)または(二)に定めるところにより、平成一〇年度予算において特別掛金を設定した場合には、平成九年度決算において確定した移行に伴う評価損から平成一〇年度までに拠出した特別掛金の元利合計を控除した額を基礎として特別掛金を見直すこと。

イ 移行調整金勘定

前記アにおいて、財政運営の健全性を確保することができると認められる場合には、移行に伴う評価損の一〇分の九を限度として移行調整金勘定に計上することができること。この場合、移行調整金勘定は、次の(ア)~(ウ)に定めるところにより取り扱うこと。

(ア) 平成一〇年四月以降の毎事業年度の決算において、当初計上額をその償却を開始する事業年度初から平成一九年三月末日までの年数で除した額以上の額をとりくずし、他の財政運営上の剰余不足と併せて処理すること。

(イ) 決算において当年度剰余金が計上され、繰越不足金の解消に充当してもなお残余がある場合には、これを移行調整金勘定の残高の処理に充てることができること。

(ウ) 平成一〇年度以降は、移行調整金勘定に新たな額を計上しないこととし、遅くとも平成一八年度末までに移行調整金勘定を解消すること。

(四) 平成一一年度以降の償却開始

特段の事情があり、かつ、財政運営の健全性を確保することができると認められる場合には、平成一〇年三月末日以降、基金において最初に行う財政再計算の基準日以前の日を基準日として行う財政計算(当該財政再計算を含む。)において特別掛金を設定し、移行に伴う評価損の償却を開始することができること。

この場合、償却を開始するまでの期間に係る決算においては、移行に伴う評価損の全額を移行調整金勘定に計上すること。また、移行調整金勘定の取扱いは前記(三)のイの(ア)~(ウ)に定めるところによること。

三 償却のための特別掛金の設定方法

(一) 移行に伴う評価損は、他の財政運営上の不足金とは区別し、三年以上二〇年以下の期間で償却するものとして特別掛金を設定すること。この場合において、特別掛金の具体的な算定方法は、財政運営基準の第四の三に定めるところによること。

(二) 前記(一)にかかわらず、移行に伴う評価損は、他の不足金と一括して取り扱うことができること。

(三) 決算において当年度剰余金が計上され、繰越不足金の解消に充当してもなお残余がある場合には、これを移行に伴う評価損の償却に充て、特別掛金を見直すことができること。

第三 移行年度の会計処理に関する基準等

一 貸借対照表

平成九年度決算における貸借対照表は、財政運営基準の別添一に定める勘定科目(以下「新しい勘定科目」という。)によって作成すること。

この場合において、資産の評価の変更等に起因して、評価損が生じた場合は、まず、特別掛金を設定して償却する額を「(大分類)未償却過去勤務債務残高(中分類)特別掛金収入現価(小分類)評価損償却掛金収入現価」に振り替え、次に別途積立金と相殺し、さらに評価損の残高があれば「(大分類)未償却過去勤務債務残高(中分類)移行調整金残高(小分類)移行調整金残高」に計上し、また、評価益が生じた場合には繰越不足金と相殺し、さらに評価益の残高があれば別途積立金に振り替えること。

二 損益計算書

(一) 平成九年度決算における損益計算書は、「厚生年金基金の決算事務の取扱いについて(昭和四二年一一月九日年発第九三四号)」の別記勘定科目説明に定める勘定科目(以下「従来の勘定科目」という。)により作成したうえ、平成一〇年三月末日において会計原則および勘定科目を変更することに起因して発生する損益を併せて記載すること。この場合の勘定科目は次のものを用いること。

大分類

中分類

小分類

 

特別支出

勘定科目

変更調整金

勘定科目

変更調整金

勘定科目の変更に起因する損失

特別収入

勘定科目

変更調整金

勘定科目

変更調整金

勘定科目の変更に起因する収益

(二) 勘定科目変更調整金の損益計算書への計上は、「(大分類)特別支出(中分類)勘定科目変更調整金(小分類)勘定科目変更調整金」と「(大分類)特別収入(中分類)勘定科目変更調整金(小分類)勘定科目変更調整金」の残高を比較し、額の大きい方にこれらの差額を計上すること。

(三) 資産評価方法の変更等に起因する評価損益については、平成九年度の損益計算書に特別収支等として計上する必要はないこと。