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○国民年金法等の一部改正に伴う厚生年金基金の事務処理等について

(平成七年三月二九日)

(企国発第四一号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局企業年金国民年金基金課長通知)

国民年金法等の一部を改正する法律(平成六年法律第九五号)の一部、国民年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成七年政令第七二号)及び国民年金法施行規則等の一部を改正する省令(平成七年厚生省令第二〇号)が平成七年四月一日から施行されることに伴い、厚生年金基金における育児休業期間中の加入員の掛金の取扱い及び在職中の老齢年金の支給停止方法の取扱いが変更されることとなるので、貴管下の厚生年金基金の指導に遺憾のないように配慮されたい。

なお、この通知においては、厚生年金基金を「基金」と略称する。

第一 育児休業期間中の掛金等の免除の取扱いに関する事項

育児休業法に基づく育児休業期間中の掛金等の加入員負担分が、加入員から基金への申出により、その申出をした日の属する月からその育児休業を終了する日の翌日が属する月の前月までの期間について免除されることとなったこと。

なお、加入員が免除保険料相当額を超える掛金等を負担している基金において、育児休業期間中の加入員に対し当該掛金等を免除することについては、基金毎に定めてよいものであること。

おって、育児休業期間中の加入員負担分の掛金等のうち、免除保険料相当分についてのみ免除するときの規約の変更は、法令改正に伴う一律の規約変更に該当することから、厚生大臣の認可を要しないが届出の必要があること。

育児休業期間中の掛金等免除に係る標準的な事務処理は次の(1)~(6)のとおりであること。届書については、事務の簡素化を勘案して、社会保険事務所へ提出する申出書と同時複写により作成しても差し支えないこと。

(1) 掛金等免除の申出について

育児休業期間中の掛金等(加入員負担分)の免除の申出は、次の①~⑥の記載されている申出書(以下「育児休業掛金等免除申出書」という。)を、事業主を経由して基金に提出することにより行うものであること。

① 性別及び生年月日

② 加入員番号

③ 使用されている設立事業所の名称及び所在地

④ 育児休業を開始した年月日

⑤ 育児休業に係る子の氏名及び生年月日

⑥ 育児休業を終了する年月日

この場合にあっては、④~⑥の事項に関する事業主の証明書を添える必要があること。

なお、育児休業掛金等免除申出書は、社会保険事務所への厚生年金の保険料の免除の申出と同時に行うよう、加入員及び事業主に周知すべきものであること。

(2) 掛金等免除の申出をした日について

掛金等免除の申出をした日とは、育児休業掛金等免除申出書が経由すべき事業主に到達した日とすること。

(3) 育児休業を終了する日について

労使間で定めた育児休業が当該育児休業の対象となる子の満一歳に到達する日後まで続く場合であっても、掛金等の免除の対象となる育児休業を終了する日は当該子が満一歳に到達する日とすること。

(4) 掛金等免除の決定通知について

基金が掛金等免除の決定をする場合には、掛金等免除予定期間等を事業主を経由して加入員あて通知するものであること。

(5) 掛金等免除の終了の申出について

育児休業掛金等免除申出書により加入員が申し出た育児休業終了予定年月日前に育児休業の終了の申出を行う場合には、終了届を事業主を経由して基金に提出することにより行うこと。

また、この届書には、育児休業終了予定日の変更又は育児休業の終了の事実に関する事業主の証明書を添える必要があること。

(6) 掛金等免除の終了の通知について

育児休業期間中の掛金等免除が終了した場合には、基金は事業主を経由して加入員あて通知するものであること。

なお、育児休業期間中に加入員資格を喪失した場合は、終了の通知は行わないものであること。

第二 在職中の老齢厚生年金等の支給停止方法の取扱いに関する事項

1 在職老齢年金の改善

(1) 基本的仕組み

六〇歳以上六五歳未満の被保険者に支給する老齢厚生年金については、標準報酬月額に応じ、次のとおり改正されたこと。

なお、女子等の六〇歳未満の被保険者にあっても同様の取扱いとなること。

ア 標準報酬月額と基金の加入がなかったとして計算した年金額(以下「総年金額」という。)の八割に相当する額を一二で除して得た額(基本月額)との合計額が二二万円以下である場合には、年金額(基金の加入を考慮して計算した額。以下「本体年金額」という。)の二割に相当する部分の支給を停止すること。

イ 標準報酬月額と基本月額との合計額が二二万円を超える場合には、次のそれぞれの場合に応じ、総年金額の二割に相当する額と次のそれぞれの額に一二を乗じて得た額の合計額(以下「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止すること。ただし、次のそれぞれの場合において、支給停止基準額が本体年金額以上である場合には、本体年金額の全部の支給を停止すること。

① 基本月額が二二万円以下であり、かつ、標準報酬月額が三四万円以下であるとき。

標準報酬月額と基本月額との合計額から二二万円を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額

② 基本月額が二二万円以下であり、かつ、標準報酬月額が三四万円を超えるとき。

三四万円と基本月額との合計額から二二万円を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額に、標準報酬月額から三四万円を控除して得た額を加えた額

③ 基本月額が二二万円を超え、かつ、標準報酬月額が三四万円以下であるとき。

標準報酬月額に二分の一を乗じて得た額

④ 基本月額が二二万円を超え、かつ、標準報酬月額が三四万円を超えるとき。

三四万円に二分の一を乗じて得た額に標準報酬月額から三四万円を控除して得た額を加えた額

(2) 従前額保障について

在職老齢年金制度の改善に伴い、昭和一〇年四月一日以前に生まれた老齢厚生年金等の受給権者については、改正前の規定による支給停止額と改正後の規定による支給停止額を比較して、いずれか低い方の支給停止額により支給停止することとされたこと。

2 基金等が支給する年金の取扱い

(1) この改正に伴い、基金が厚生年金保険の被保険者に支給する年金のうち、基金の加入員期間に係る老齢厚生年金等の報酬比例部分で標準報酬の再評価及び物価スライドがないものとして計算した年金額(以下「代行部分の総額」という。)について支給停止できる額が、代行部分の総額の二割と支給停止基準額から厚生年金保険の本体年金額を控除して得た額の合計額に、当該基金の代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額とされたこと。

また、連合会の支給する解散基金加入員に係る給付について支給停止を行う額が、代行部分の総額の二割と支給停止基準額から厚生年金保険の本体年金額を控除して得た額の合計額に、解散基金に係る代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額とされたこと。

(2) 従前額保障の対象となる者については、基金の代行部分の支給停止についても改正前と概ね同様の仕組みによることとされたこと。

(3) 各基金における支給停止額は、前記の各基金において支給停止できる額の範囲内において、各基金の判断により決定されるものであること。

(4) この改正に伴い、在職老齢年金については、結果として全額が支給停止される場合であっても、受給資格期間を満たしている者は受給権が発生することとなったため、これらの者については基金においても受給権を付与しなければならないものであること。

(5) 基金はこれらの改正事項について、加入員及び加入員であった者に周知すべきものであること。

3 その他の留意事項

(1) 各基金における支給停止のために必要となる厚生年金保険の年金額等のデータについては、「厚生年金基金が支給する年金の支給停止を行う場合の厚生年金保険の年金額等の確認方法について(平成七年二月二八日企国発第三〇号)」で示したとおり、社会保険業務センターから各基金に提供することとしたので、その活用を図られたいこと。

なお、このデータに基づき、本人の届出がなくても支給停止の処理を行っても差し支えないものであること。また、加入員以外の者について支給停止を行うことも差し支えないものであること。

(2) 支給停止方法を変更する場合には、既に基金の年金の受給権を有している者等に対して不利益な変更とならない等の配慮をすること。