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○厚生年金基金における業務処理の機械化について

(平成元年三月三〇日)

(企年発第二五号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局企業年金課長通知)

厚生年金基金(以下「基金」という。)が行う業務を電子計算機組織(小型の電子計算機及び端末機を含む。以下「電子計算機」という。)を利用して行う場合、その取扱いについては従来から「厚生年金基金における事業運営基準の取り扱いについて(昭和四二年三月二八日年企発第二〇号)」により行うこととされていたところであるが、今後は次の事項に留意のうえ、データ保護の適正化等適正な事務処理を行うよう貴都道府県下の基金に対し指導願いたい。

なお、経理事務を機械処理へ移行しようとする時は、あらかじめ、三か月以上手作業による作業と並行して機械処理を行い、その間の機械処理について誤りのないことを検証し、機械処理によつて円滑な処理を行うことが可能であることを十分確認すること。

第一 電子計算機による業務処理に関する事項

1 基本的事項

電子計算機により業務の処理を行う基金においては、所要の事務処理体制を整備するとともに電子計算機の管理及び運用の方法を定め、データ保護及び事故防止に万全を期すこと。

2 管理体制

(1) 電子計算機の運用管理及びデータ保護管理の責任者(以下「保護管理者」という。)を置くこととし、常務理事がこれに当たること。

(2) 保護管理者は、電子計算機の運用管理及びテータ保護管理についての責任を総括すること。

(3) 電子計算機の運用管理及びデータ保護管理に関する事務の一部を処理するため、必要に応じて保護担当者を置くこととし、保護管理者がこれを指定すること。

(4) 保護管理者は、予め電子計算機を操作する者(以下「オペレータ」という。)を指定すること。

3 運用管理方法

保護管理者及び保護担当者は、次により電子計算機の適正かつ効率的な運用管理を行うこと。

(1) 入出力帳票等の管理

入出力帳票等については、滅失等を生じないよう所定の場所に保管すること。また、入出力帳票等を廃棄する場合には、焼却その他確実な方法によること。

(2) 磁気ファイルの管理

ア 磁気テープ、磁気ディスク等のデータを収録している媒体(以下「磁気ファイル」という。)については、保管場所を定めその保管に当たり必要な事項を台帳等に記録すること。

イ 磁気ファイルのうち特に保護管理者が必要と認めるものについては、予備ファイルを作成し、データの滅失等の事故防止に備えること。

ウ 磁気ファイルについては、障害の有無等について定期的又は随時に検査等を行うとともに、磁気ファイルに障害が生じたときは、速やかに適切な措置を講ずること。

(3) 電子計算機処理に関する書類の管理

システム設計書、プログラム説明書、オペレーション手順書等については、保護管理者は外部に知られることを適当としないものを指定するとともに、所要の保管措置を講ずること。

(4) 電子計算機の操作に関する管理

電子計算機の操作に当たつては、予め標準的な操作基準を定めること。また、電子計算機の操作は、保護管理者が指定したオペレータが行い、操作内容を詳細に操作日誌に記録すること。

(5) 電子計算機室、磁気ファイル等の保管施設の管理及び保安対策

ア 電子計算機室及び磁気ファイル等の保管施設への入退室に関する取扱いを規定するとともに、入退室の状況を管理するための措置を講ずること。

イ 火災その他の災害及び盗難に備えるための保安措置を講ずること。

(6) 事故発生の際の対策

保護管理者は、予め事故発生の際の対策を定めるとともに、事故の際には、速やかに復旧のための措置を講ずること。

4 電子計算機処理データ保護管理規程の作成

管理体制及び運用管理方法については、別添「電子計算機処理データ保護管理規程(例)」を参考に各基金において整備し、その管理の適正を期すこと。

第二 電子計算機による経理事務に関する事項

1 事故防止等の措置

経理事務を電子計算機を利用して行う場合には、事故防止等の観点から責任体制を確立するとともに、チェックを厳重に行う等により厳正な事務処理を行うこととし、特に次の事項に留意すること。

(1) 経理事務の厳正な執行を確保するため、電子計算機処理に係る経理担当責任者(以下「経理担当責任者」という。)を配置することとし、事務長若しくは経理関係の長が当たること。

(2) 経理担当責任者は、オペレータ(電子計算機を操作する者をいう。以下同じ。)の中から経理担当オペレータを指定すること。

(3) データの入力は、日々速やかに、伝票等に基づいて行うこと。また、入力したデータについては、入力結果リスト等と伝票等との照合、補正を行い、経理担当責任者の確認を受けること。

(4) 入力の処理を行う日前に入力したデータの訂正は、新たな伝票等に基づいて行うこと。

なお、入力の処理を行う日前に入力したデータについては、削除できないよう措置すること。

(5) 予算の執行を適正に行うため、予算科目ごとの予算残額を常に把握できるよう所要の措置を講ずること。

2 会計帳簿の取扱い

(1) 経理事務を電子計算機により処理する場合、帳票の様式が「厚生年金基金における事業運営基準の取り扱いについて(昭和四二年三月二八日年企発第二〇号)」に示す様式に沿つているものについては、帳票に通し番号(ページ)を附して編綴したものを帳簿として差し支えないものであること。

(2) この帳簿とするものは、会計年度終了時において出力して作成したものとすること。

(3) 前記(2)の帳簿が作成されるまでの間、経理事務を適正に行うため、各月毎に、月末の締切処理が終了した時点で年度当初から、当該月分までの記載内容を出力することとし、経理担当責任者の確認を受け、会計年度終了時まで帳簿として管理すること。ただし、電子計算機の処理能力等により各月毎に当該月分までの記載内容を出力することが困難な場合には、当面、各月毎に当該月分のみの記載内容を出力し管理することとしても差し支えないこと。この場合の帳票についても、通し番号を附して編綴すること。

(4) 月例監査等に対応するため、必要に応じて、監査日等の直近の内容を記載した帳簿を作成できるよう措置すること。

(5) 帳簿とするものの記載内容及び取扱いについては、電子計算機を利用しない場合と同様とすること。

別添

電子計算機処理データ保護管理規程(例)

第一章 総則

(目的)

第一条 この規程は、〇〇厚生年金基金(以下「基金」という。)における電子計算機処理に係るデータの保護及び管理について、管理体制、管理方法その他必要な事項を定めることにより、データの漏えい、滅失、き損等(以下「滅失等」という。)の防止を図り、もつて適正な事務処理に資することを目的とする。

(対象とするデータ等)

第二条 この規程で保護及び管理の対象とするものは、個人、基金に関し外部に漏れることを適当としないデータ又は事故等が発生した場合その復元等が著しく困難となるおそれのあるデータで次に掲げるものに記録されているもの並びにシステム設計書、オペレーション手順書、プロクラム説明書及びコードブック等(以下「ドキュメント」という。)とする。

(1) 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに類する媒体(以下「媒体」という。)

(2) 入力用原票及び出力帳票等(以下併せて「入出力帳票」という。)

第二章 管理体制

(データ保護管理者)

第三条 基金にデータ保護管理者(以下「保護管理者」という。)を置く。

2 保護管理者は常務理事とし、この規程の定めるところにより、その処理するデータを適正に管理しなければならない。

(データ保護担当者)

第四条 基金にデータ保護担当者(以下「保護担当者」という。)を置く。

2 保護担当者は、保護管理者が指定する。

3 保護担当者は、保護管理者の指示のもとに部下職員を指揮監督し、データの保護及び管理に関する事務を処理する。

(オペレータ)

第五条 保護管理者は、予め電子計算機を操作する者(以下「オペレータ」という。)を指定しなければならない。

第三章 データの管理

(入出力帳票及び媒体の管理)

第六条 入力帳票及び媒体(次条に規定するものを除く。以下本条において同じ。)は、処理後は直ちに所定の場所に格納しなければならない。

2 出力帳票及び媒体の保管にあたつては、滅失等を生じないよう所定の場所に格納しなければならない。

3 入出力帳票及び媒体を廃棄する場合には、焼却その他確実な措置を講ずるとともにその旨を記録しなければならない。

(マスターファイルの管理)

第七条 磁気テープ、磁気ディスク等のうちマスターファイル及びこれに準ずる重要なファイル(以下「マスターファイル」という。)の保管に当たつては、必要な事項を記録しなければならない。

2 マスターファイルは、所定の場所に格納して保管するとともに、その保管庫からの入出庫は、原則として保護担当者が取り扱うものとする。

3 保護担当者は、その指定する者にマスターファイルの保管庫からの入出庫を行わせることができる。

4 マスターファイルのうち、データの滅失等が生じた場合に復元が困難なものとして保護管理者が指定するものについては、予備ファイルを作成し、保管設備に隔離保管するものとする。

5 マスターファイルを複製する場合には、保護管理者の許可を得なければならない。

6 マスターファイルのデータの複製、クリーニング等に当たつては、データの滅失等を生ずることのないよう十分注意しなければならない。

7 マスターファイルの障害の有無等については、定期的又は随時に、点検等を行い、その結果を記録しなければならない。

8 保護管理者は、マスターファイルの重大な障害につき報告を受けた場合は、速やかにその状況につき調査し、必要な措置を講ずるものとする。

第四章 ドキュメントの管理

(ドキュメントの指定及び保管)

第八条 保護管理者は、ドキュメントのうち外部に知られることを適当としないものを指定するものとする。

2 ドキュメントは、所定の場所に格納して保管しなければならない。

3 ドキュメントを複製する場合には、保護管理者の許可を得なければならない。

第五章 電子計算機の運用及び管理

(電子計算機の管理)

第九条 電子計算機(端末機を含む。次条において同じ。)の管理は、保護担当者が行うものとする。

(電子計算機の運用)

第十条 電子計算機の運用は、保護管理者の指定を受けた保護担当者又はオペレータが行い、運用の内容を記録するものとする。

第六章 電子計算機室及びマスターファイル等の保管施設の管理及び保安

(電子計算機室への入退室の管理)

第十一条 電子計算機室及びマスターファイル等の保管施設へは、保護管理者の指定を受けた者を除き、立ち入ることができない。

2 指定された者以外の立ち入りについては、保護管理者の許可を得なければならない。

3 保護管理者は、電子計算機室及びマスターファイル等の保管施設への部外者の立ち入りに当たつて保護担当者等の立会等必要な措置を講ずるものとする。

(保安措置)

第十二条 保護管理者は、火災その他の災害及び盗難に備えて、電子計算機室及びマスターファイル等の保管施設に必要な保安施設を講ずるものとする。

(事故発生時の対策)

第十三条 保護管理者は、事故発生時の対策についての手続を定めるとともに、その内容を保護担当者等に徹底しなければならない。

2 保護管理者は、事故が発生した場合、速やかに事故の経緯、被害状況等を調査し、復旧のための措置を講ずるものとする。

第七章 雑則

(補則)

第十四条 この規程に定めるもののほか、電子計算機処理に係るデータの保護及び管理に関し必要な事項は、保護管理者が定める。

附 則

この規程は、平成  年  月  日から施行する。