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(注1) 原則として、異常検査所見があるもの全てについて、それに該当する心電図等を提出(添付)させること。

(注2) 「F」についての補足

心不全の原因には、収縮機能不全と拡張機能不全とがある。

近年、心不全症例の約40%はEF値が保持されており、このような例での心不全は左室拡張不全機能障害によるものとされている。しかしながら、現時点において拡張機能不全を簡便に判断する検査法は確立されていない。左室拡張末期圧基準値(5―12mmHg)をかなり超える場合、パルスドプラ法による左室流入血流速度波形を用いる方法が一般的である。この血流速度波形は急速流入期血流速度波形(E波)と心房収縮期血流速度波形(A波)からなり、E/A比が1.5以上の場合は、重度の拡張機能障害といえる。

(注3) 「G」についての補足

心不全の進行に伴い、神経体液性因子が血液中に増加することが確認され、心不全の程度を評価する上で有用であることが知られている。中でも、BNP値(心室で生合成され、心不全により分泌が亢進)は、心不全の重症度を評価する上でよく使用されるNYHA分類の重症度と良好な相関性を持つことが知られている。この値が常に100pg/ml以上の場合は、NYHA心機能分類でⅡ度以上と考えられ、200pg/ml以上では心不全状態が進行していると判断される。

(注4) 「H」についての補足

すでに冠動脈血行再建が完了している場合を除く。

(8) 心疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

一般状態区分表

区分

一般状態

無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの

軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

(参考) 上記区分を身体活動能力にあてはめると概ね次のとおりとなる。

区分

身体活動能力

6Mets以上

4Mets以上6Mets未満

3Mets以上4Mets未満

2Mets以上3Mets未満

2Mets未満

(注) Metsとは、代謝当量をいい、安静時の酸素摂取量(3.5ml/kg体重/分)を1Metsとして活動時の酸素摂取量が安静時の何倍かを示すものである。

(9) 疾患別に各等級に相当すると認められるものを一部例示すると、次のとおりである。

① 弁疾患

障害の程度

障害の状態

1級

病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級

1 人工弁を装着術後、6ヶ月以上経過しているが、なお病状をあわらす臨床所見が5つ以上、かつ、異常検査所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

2 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち2つ以上の所見、かつ、病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級

1 人工弁を装着したもの

2 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち1つ以上の所見、かつ、病状をあらわす臨床所見が2つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

(注1) 複数の人工弁置換術を受けている者にあつても、原則3級相当とする。

(注2) 抗凝固薬使用による出血傾向については、重度のものを除き認定の対象とはしない。

② 心筋疾患

障害の程度

障害の状態

1級

病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級

1 異常検査所見のFに加えて、病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

2 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち2つ以上の所見及び心不全の病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級

1 EF値が50%以下を示し、病状をあらわす臨床所見が2つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

2 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち1つ以上の所見及び心不全の病状をあらわす臨床所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

(注) 肥大型心筋症は、心室の収縮は良好に保たれるが、心筋肥大による心室拡張機能障害や左室流出路狭窄に伴う左室流出路圧較差などが病態の基本となっている。したがってEF値が障害認定にあたり、参考とならないことが多く、臨床所見や心電図所見、胸部X線検査、心臓エコー検査所見なども参考として総合的に障害等級を判断する。

③ 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)

障害の程度

障害の状態

1級

病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全あるいは狭心症状を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級

異常検査所見が2つ以上、かつ、軽労作で心不全あるいは狭心症などの症状をあらわし、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級

異常検査所見が1つ以上、かつ、心不全あるいは狭心症などの症状が1つ以上あるもので、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

(注) 冠動脈疾患とは、主要冠動脈に少なくとも1ヶ所の有意狭窄をもつ。あるいは、冠攣縮が証明されたものを言い、冠動脈造影が施行されていなくとも心電図、心エコー図、核医学検査等で明らかに冠動脈疾患と考えられるものも含む。

④ 難治性不整脈

障害の程度

障害の状態

1級

病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全の症状(NYHA心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級

1 異常検査所見のEがあり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

2 異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち2つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級

1 ペースメーカー、ICDを装着したもの

2 異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち1つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

(注1) 難治性不整脈とは、放置すると心不全や突然死を引き起こす危険性の高い不整脈で、適切な治療を受けているにも拘わらず、それが改善しないものを言う。

(注2) 心房細動は、一般に加齢とともに漸増する不整脈であり、それのみでは認定の対象とはならないが、心不全を合併したり、ペースメーカーの装着を要する場合には認定の対象となる。

⑤ 大動脈疾患

障害の程度

障害の状態

3級

1 胸部大動脈解離(Stanford分類A型・B型)や胸部大動脈瘤により、人工血管を挿入し、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

2 胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤に、難治性の高血圧を合併したもの

(注1)

Stanford分類A型:上行大動脈に解離がある。

Stanford分類B型:上行大動脈まで解離が及んでいないもの。

(注2) 大動脈瘤とは、大動脈の一部がのう状又は紡錘状に拡張した状態で、先天性大動脈疾患や動脈硬化(アテローム硬化)、膠原病などが原因となる。これのみでは認定の対象とはならないが、原疾患の活動性や手術による合併症が見られる場合には、総合的に判断する。

(注3) 胸部大動脈瘤には、胸腹部大動脈瘤も含まれる。

(注4) 難治性高血圧とは、塩分制限などの生活習慣の修正を行った上で、適切な薬剤3薬以上の降圧薬を適切な用量で継続投与しても、なお、収縮期血圧が140mmHg以上又は拡張期血圧が90mmHg以上のもの。

(注5) 大動脈疾患では、特殊な例を除いて心不全を呈することはなく、また最近の医学の進歩はあるが、完全治癒を望める疾患ではない。従って、一般的には1・2級には該当しないが、本傷病に関連した合併症(周辺臓器への圧迫症状など)の程度や手術の後遺症によっては、さらに上位等級に認定する。

・ 大動脈瘤の定義:嚢状のものは大きさを問わず、紡錘状のものは、正常時(2.5~3cm)の1.5倍以上のものをいう。(2倍以上は手術が必要。)

・ 人工血管にはステントグラフトも含まれる。

⑥ 先天性心疾患

障害の程度

障害の状態

1級

病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全の症状(NYHA心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級

1 異常検査所見が2つ以上及び病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

2 Eisenmenger化(手術不可能な逆流状況が発生)を起こしているもので、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級

1 異常検査所見のC、D、Eのうち1つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

2 肺体血流比1.5以上の左右短絡又は肺動脈収縮期圧50mmHg以上のもので、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

⑦ 重症心不全

心臓移植や人工心臓等を装着した場合の障害等級は、次のとおりとする。ただし、術後は次の障害等級に認定するが、1~2年程度経過観察したうえで症状が安定しているときは、臨床症状、検査成績、一般状態区分表を勘案し、障害等級を再認定する。

・ 心臓移植 1級

・ 人工心臓 1級

・ CRT(心臓再同期医療機器)、CRT―D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器) 2級

(10) 心臓ペースメーカー、又はICD(植込み型除細動器)、又は人工弁を装着した場合の障害の程度を認定すべき日は、それらを装着した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

(11) 各疾患によって、用いられる検査が異なっており、また、特殊検査も多いため、診断書上に適切に症状をあらわしていると思われる検査成績が記載されているときは、その検査成績も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

第12節/腎疾患による障害

腎疾患による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

腎疾患による障害については、次のとおりである。

令別表

障害の程度

障害の状態

国年令別表

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

 

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

厚年令別表第1

3級

身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

腎疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。

2 認定要領

(1) 腎疾患による障害の認定の対象はそのほとんどが、慢性腎不全に対する認定である。

慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態をいう。

すべての腎疾患は、長期に経過すれば腎不全に至る可能性がある。腎疾患で最も多いものは、糖尿病性腎症、慢性腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、腎硬化症であるが、他にも、多発性嚢胞腎、急速進行性腎炎、腎盂腎炎、膠原病、アミロイドーシス等がある。

(2) 腎疾患の主要症状としては、悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛等の自覚症状、浮腫、貧血、アシドーシス等の他覚所見がある。

(3) 検査としては、尿検査、血球算定検査、血液生化学検査(血清尿素窒素、血清クレアチニン、血清電解質等)、動脈血ガス分析、腎生検等がある。

(4) 病態別に検査項目及び異常値の一部を示すと次のとおりである。

① 慢性腎不全

区分

検査項目

単位

軽度異常

中等度異常

高度異常

内因性クレアチニン

クリアランス

ml/分

20以上30未満

10以上20未満

10未満

血清クレアチニン

mg/dl

3以上5未満

5以上8未満

8以上

(注) eGFR(推算糸球体濾過量)が記載されていれば、血清クレアチニンの異常に替えて、eGFR(単位はml/分/1.73m2)が10以上20未満のときは軽度異常、10未満のときは中等度異常と取り扱うことも可能とする。

② ネフローゼ症候群

区分

検査項目

単位

異常

尿蛋白量

(1日尿蛋白量又は尿蛋白/尿クレアチニン比)

g/日又はg/gCr

3.5g以上を持続する

血清アルブミン

(BCG法)

g/dl

3.0g以下

血清総蛋白

g/dl

6.0g以下

(5) 腎疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

一般状態区分表

区分

一般状態

無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの

軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

(6) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

前記(4)①の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級

1 前記(4)①の検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの

2 人工透析療法施行中のもの

3級

1 前記(4)①の検査成績が軽度、中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

2 前記(4)②の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

(7) 人工透析療法施行中のものについては、原則として次により取り扱う。

ア 人工透析療法施行中のものは2級と認定する。

なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。

イ 障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。

(8) 検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、腎疾患の経過中において最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて認定を行うものとする。

(9) 糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係があるものと認められる。

(10) 腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、前記(4)の検査成績によるほか、合併症の有無とその程度、他の一般検査及び特殊検査の検査成績、治療及び病状の経過等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

(11) 腎臓移植の取扱い

ア 腎臓移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する。

イ 障害年金を支給されている者が腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とする。

第13節/肝疾患による障害

肝疾患による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

肝疾患による障害については、次のとおりである。

令別表

障害の程度

障害の状態

国年令別表

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

厚年令別表第1

3級

身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

肝疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に、また、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものを3級に該当するものと認定する。

2 認定要領

(1) 肝疾患による障害の認定の対象は、慢性かつびまん性の肝疾患の結果生じた肝硬変症及びそれに付随する病態(食道・胃などの静脈瘤、特発性細菌性腹膜炎、肝がんを含む。)である。

肝硬変では、一般に肝は萎縮し肝全体が高度の線維化のため硬化してくる。

肝硬変で最も多いものは、B型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスによるウイルス性肝硬変であり、その他自己免疫性肝炎や非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変、アルコール性肝硬変、胆汁うっ滞型肝硬変、代謝性肝硬変(ウィルソン病、ヘモクロマトーシス)等がある。

(2) 肝疾患の主要症状としては、易疲労感、全身倦怠感、腹部膨満感、発熱、食欲不振、悪心、嘔吐、皮膚そう痒感、吐血、下血、有痛性筋痙攣等の自覚症状、肝萎縮、脾腫大、浮腫、腹水、黄疸、腹壁静脈怒張、食道・胃静脈瘤、肝性脳症、出血傾向等の他覚所見がある。

(3) 検査としては、まず、血球算定検査、血液生化学検査が行われるが、さらに、肝炎ウイルス検査、血液凝固系検査、免疫学的検査、超音波検査、CT・MRI検査、腹腔鏡検査、肝生検、上部消化管内視鏡検査、肝血管造影等が行われる。

(4) 肝疾患での重症度判定の検査項目及び臨床所見並びに異常値の一部を示すと次のとおりである。

検査項目/臨床所見

基準値

中等度の異常

高度異常

血清総ビリルビン

(mg/dl)

0.3~1.2

2.0以上3.0以下

3.0超

血清アルブミン

(g/dl)

(BCG法)

4.2~5.1

3.0以上3.5以下

3.0未満

血小板数

(万/μl)

13~35

5以上10未満

5未満

プロトロンビン

時間(PT)(%)

70超~130

40以上70以下

40未満

腹水

腹水あり

難治性腹水あり

脳症(表1)

Ⅰ度

Ⅱ度以上

表1 昏睡度分類

昏睡度

精神症状

参考事項

睡眠―覚醒リズムに逆転。

多幸気分ときに抑うつ状態。

だらしなく、気にとめない態度。

あとで振り返ってみて判定できる。

指南力(時、場所)障害、

物をとり違える(confusion)

異常行動

(例:お金をまく、

化粧品をゴミ箱に捨てるなど)

ときに傾眠状態(普通のよびかけで開眼し会話が出来る)

無礼な言動があったりするが、他人の指示には従う態度を見せる。

興奮状態がない。

尿便失禁がない。

羽ばたき振戦あり。

しばしば興奮状態またはせん妄状態を伴い、反抗的態度をみせる。

嗜眠状態(ほとんど眠っている)。

外的刺激で開眼しうるが、他人の指示には従わない、または従えない(簡単な命令には応じえる)。

羽ばたき振戦あり。

(患者の協力がえられる場合)

指南力は高度に障害。

昏眠(完全な意識の消失)。

痛み刺激に反応する。

刺激に対して、払いのける動作、顔をしかめるなどがみられる。

深昏睡

痛み刺激にもまったく反応しない。

 

(5) 肝疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

一般状態区分表

区分

一般状態

無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの

軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

(6) 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

前記(4)の検査成績及び臨床所見のうち高度異常を3つ以上示すもの又は高度異常を2つ及び中等度の異常を2つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの

2級

前記(4)の検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を3つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの

3級

前記(4)の検査成績及び臨床所見のうち中等度又は高度の異常を2つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの