添付一覧
○厚生年金保険及び船員保険の障害年金の障害認定日の変更等に伴う事務の取扱いについて
(昭和五二年七月一五日)
(庁業発第八四四号)
(各都道府県民生主管部(局)保険課(部)長あて社会保険庁年金保険部業務課長通知)
厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(昭和五二年政令第二三三号)並びに厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令(昭和五二年厚生省令第二九号)及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令(昭和五二年厚生省令第三〇号)の施行については、昭和五二年七月一五日庁保発第一九号をもつて社会保険庁年金保険部長から都道府県知事あて通知されたところであるが、厚生年金保険及び船員保険の障害年金(船員保険の職務上の事由による障害年金を除く。以下同じ。)の障害認定日の変更等に伴う事務の取扱いについては、前記通知によるほか、左記により取り扱われたく通知する。
記
1 障害認定日の変更について
厚生年金保険及び船員保険の障害年金の障害認定日は、初診日又は健康保険若しくは船員保険の療養の給付を受けた日から三年を経過した日(その期間内にその傷病が治つたときは、その治つた日)とされていたが、昭和五二年八月一日以後は、初診日から一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つたときは、その治つた日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)に変更されることとされたところであり、これに伴い、裁定請求書には、初診日から一年六月を経過した日における障害の状態を明らかにする診断書(原則として、初診日から一年六月を経過した日以後三月以内の現症が記載されているものをいう。以下同じ。)を添付させること。
なお、裁定請求書を受理した日が障害認定日より一年以上経過ている場合には、その傷病が治つたことにより請求する場合を除き、障害認定日以後障害認定日に応答する毎年の当該日における障害の状態を明らかにする診断書を添付させること。
2 障害認定日の変更に伴う経過措置等について
昭和五二年八月一日から障害年金に係る障害認定日が変更されたことに伴い、同日前に初診日があり、当該傷病が治つていない者の取扱いは、次によること。
(1) 初診日が昭和四九年八月一日から昭和五一年一月三一日までにある者
本項に該当する者については、初診日から一年六月を経過した日において一定の障害の状態に該当している場合には、昭和五二年八月に障害年金の受給権が発生し、同月から支給が行われるものであり、その障害認定日は、初診日から一年六月を経過した日であること。また、受給要件としての被保険者期間は、障害認定日前に六月以上あることが必要であること。
したがつて、裁定請求書には初診日から一年六月を経過した日における障害の状態を明らかにする診断書も添付させること。
なお、障害認定日が昭和五二年八月一日から起算して一年以上前にある場合には、同日における障害の状態を明らかにする診断書も添付させること。
(2) 初診日が昭和五一年二月一日以降にある者
本項に該当する者については、初診日から一年六月を経過した日において一定の障害の状態に該当する場合は、その日に障害年金の受給権が発生するものであること。また、受給要件としての被保険者期間は、初診日が昭和五一年一〇月一日前である者については障害認定日前に被保険者期間が六月以上、初診日が昭和五一年一〇月一日以後である者については初診日前に公的年金期間を合算した期間が六月以上あることが必要であること。
したがつて、裁定請求書には初診日から一年六月を経過した日における障害の状態を明らかにする診断書を添付させること。
3 事後重症制度について
障害認定日においては障害年金を受ける程度の障害の状態ではなかつた者が、初診日から五年を経過する日までにその障害の程度が増進し、障害年金を受けることができる程度の障害の状態に該当したときは、その者の請求により障害年金を支給する、いわゆる事後重症制度が昭和五二年八月一日から実施されることとされたところであり、これに伴う事務は次により行うものであること。
(1) 事後重症による障害年金は、請求した日において一定の障害の状態にあるときに受給権が発生するものであるから、裁定請求書には請求時における障害の状態を明らかにする診断書(原則として、請求日以前三月以内の現症が記載されているものをいう。以下同じ。)を添付させること。
(2) 既に障害年金の不支給処分を受けている場合、障害認定日においては明らかに障害年金を受ける程度の障害の状態にはなかつた場合等明らかに事後重症による障害年金に該当すると認められる場合には、事後重症の障害年金として請求するよう指導すること。
なお、事後重症による障害年金として請求されなかつた障害年金の裁定請求であつても、障害認定日においては一定の障害の状態になかつたと認められるものであつて、請求時において一定の障害の状態にあることが確認できるものについては、当課においては事後重症による障害年金の請求として取り扱うものであること。
(3) 事後重症による障害年金は、初診日から五年を経過すると、その請求を行うことができないものであることを周知すること。
4 若齢老齢年金について
老齢年金を受けるに必要な被保険者期間を満たした者が、被保険者の資格を喪失した後に発した傷病について、初診日から三年を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合には、その治つた日)において一定の障害の状態にあれば、いわゆる若齢老齢年金を支給することとされていたが、昭和五二年八月一日以後は、障害の原因となつた傷病の発生した時期を問わず、一定の障害の状態にあるとき(その傷病が治らない場合(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態にある場合を除く。)は、その傷病について、初診日から一年六月を経過した日以後、一定の障害の状態にあるとき)は、その者(請求の日において、被保険者である者を除く。)の請求により若齢老齢年金を支給することとされたところであり、これに伴う事務は次により行うものであること。
(1) 診断書の添付
若齢老齢年金は、請求した日において一定の障害の状態にあるときに受給権が発生するものであるから、裁定請求書には請求時における障害の状態がわかる診断書を添付させること。
(2) 併給の調整
若齢老齢年金の支給要件の緩和により、障害年金と若齢老齢年金の二つの受給権が発生することがあること。したがつて、当該二つの受給権が発生した場合には、受給権者に対し併給の調整がある旨を熟知させるとともに、選択の申出書を提出させること。
5 障害手当金について
障害手当金(船員保険の職務上の事由による障害手当金を除く。)は、初診日又は健康保険若しくは船員保険の療養の給付を受けた日から三年を経過する日までの間におけるその傷病が治つた日に、一定の障害の状態にあれば支給することとされていたが、昭和五二年八月一日以後は、初診日から五年を経過する日までの間におけるその傷病が治つた日に、一定の障害の状態にあれば支給することとされたところであり、裁定請求書には、従前どおり傷病が治つた日における障害の状態を明らかにする診断書(原則として、傷病が治つた日以後三月以内の現症が記載されているものをいう。)を添付させること。
なお、この改正については、次の点に留意されたいこと。
(1) この規定は、昭和五二年八月一日以後に当該傷病が治つた者について適用されるものであること。
(2) 初診日が昭和四七年八月一日から昭和五一年九月三〇日までにある者については、障害認定日前に被保険者期間が六月以上、初診日が昭和五一年一〇月一日以後にある者については、初診日前に公的年金期間を合算した期間が六月以上あることが必要であること。
6 遺族年金について
被保険者の資格を喪失した後、被保険者である間に発した傷病により、その初診日又は健康保険若しくは船員保険の療養の給付を受けた日から三年を経過する日前に死亡した場合、遺族年金を支給することとされていたが、昭和五二年八月一日以後は、初診日から五年を経過する日前に死亡した場合に支給することとされたこと。
なお、この規定は、昭和五二年八月一日以後に死亡した者に係る遺族年金について適用されるものであるので、この点留意されたいこと。
7 裁定請求書の様式の改正等について
(1) 裁定請求書の様式の改正
事後重症制度の実施等に伴い、障害年金・障害手当金の裁定請求書の様式を別添一~二のとおり改正したこと。
なお、新様式中「この請求は事後重症によるものですか。」欄の点検・補正に当たつては、記載もれ又は記載誤りがないかどうかを十分確認すること。
(2) 診断書の様式の設定
多様化している疾病について、医学的検査数値に基づき、客観的に審査できるようにするとともに、医師が作成しやすいよう国民年金診断書と同様に診断書の様式を別添三~八のとおり定めたこと。
なお、船員保険の診断書については、厚生年金保険と共用することに改めたこと。ただし、別添四については、船員保険の特殊性から別添四―二を用いることとしたこと。
(3) 病歴書の様式の改正
障害年金の裁定に当たつては、その正確な裁定を期するため、従来より必要に応じて請求者に対し病歴書や日常生活状況申立書の提出を求めていたが、今般、これを別添九のとおり病歴・就労状況等申立書として改正したこと。
なお、今後は、裁定の迅速化を図るため、すべての裁定請求書に当初からこの申立書を添付させることとしたこと。
(4) 新様式の管理換えについて
新様式の裁定請求書、診断書及び病歴・就労状況等申立書については、近く管理換えすることとしているので、管理換えをされた後は、すべて新様式により取り扱うこと。
なお、既に旧様式で交付しているものにあつては、そのまま受理し、進達して差し支えないこと。
8 生計維持証明について
裁定請求書に添付することとされている受給権者及び加給年金額(加給金)の対象者に係る生計維持を証する書類については、昭和四七年六月五日庁業発第七一一号通知により、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を除く。)及び子に係るものにあつては、同居していることが明らかとなる住民票の謄本等を添えた請求書の申立てをもつて足りる取扱いとしていたところであるが、今後は、事実上婚姻関係と同様の事情にある者についても、同居している場合に限つて同様に取り扱つて差し支えないものとすること。
なお、裁定請求書に係る「生計維持証明」欄については、障害年金・障害手当金の裁定請求書にあつては今回の改正分から、老齢年金及び遺族年金の裁定請求書にあつては次回の管理換え分から請求者の生計維持に関する申立欄を設けることとしたこと。
9 その他
(1) 裁定者一覧表及び裁定通知書の記載事項の表示について
事後重症制度の実施等に伴い、裁定者一覧表及び裁定通知書の記載事項の一部を次のとおり改正したこと。
ア 裁定者一覧表
事後重症で裁定した者については、裁定者一覧表中「請」欄に「*」を記載することとし、裏面にその説明を加えたこと。また、診断書の様式を六種類に設定したことにより、裏面の説明を変更したこと。
イ 裁定通知書
事後重症で裁定した者については、裁定通知書の該当条文欄の下部に「ジゴジュウショウトシテケッテイシマシタ」と記載することとし、今回の改正による経過措置の規定により昭和五二年八月に受給権の発生する者については、該当条文の欄に「五一フソク」と記載することとしたこと。
また、裏面については、診断書の様式を六種類に認定したことにより、その説明の変更等を行つたこと。
(2) 進達事務の手引の改正について
今回の改正に伴う進達事務の手引の改正については、別途通知するものであること。
(3) 広報用パンフレットの送付について
今回の改正事項について、その内容を被保険者等に周知させるため、現在広報用パンフレットを作成中であり、別途送付することとしているので、社会保険事務所の窓口に常備する等活用すること。
別添一~九 略