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○厚生年金保険及び船員保険における障害認定について

(昭和五二年七月一五日)

(庁保発第二〇号)

(各都道府県知事あて社会保険庁年金保険部長通知)

厚生年金保険における障害認定については、昭和四○年三月二四日庁保発第八号及び昭和四九年九月一四日庁保発第二五号をもつて通知した基準に基づき取り扱つてきたところであるが、厚生年金保険法等の一部を改正する法律(昭和五一年法律第六三号)の施行により、障害認定日の変更、事後重症制度の創設が行われたことに伴い、かつ、医学の進歩等に即応するため、昭和五二年八月一日以後は別添「厚生年金保険の障害認定要領」に基づき取り扱うこととし、また、船員保険における障害認定についても、職務外の事由によるものについては、これに準ずる取扱いによることとしたので、通知する。

なお、船員保険の職務上の事由による障害認定については、従来どおり、原則として労働者災害補償保険における取扱いに準じて取り扱うものである。

おつて、昭和四○年三月二四日庁保発第八号及び昭和四九年九月一四日庁保発第二五号は、廃止する。

〔別添〕

厚生年金保険の障害認定要領

第一章 総則

一 目的

この要領は、厚生年金保険法(昭和二九年法律第一一五号。以下「法」という。)の障害年金及び障害手当金等の支給の対象となる障害の程度の認定の基準を定めるものである。

二 用語の定義

この要領において用いる用語の定義は、次のとおりとする。

(一) 障害

被保険者であつた間の疾病又は負傷(以下「傷病」という。)により、次のすべての要件を満たしている状態をいう。

ア 生理学的、解剖学的能力の欠損があること

イ 労働に制限を受けること

ウ ア及びイに永続性があること

(二) 初診日

障害の原因となつた傷病につき、始めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう。

(三) 傷病が治つたもの

次のいずれかに該当する場合をいう。

ア 器質的欠損若しくは変形又は後遺症を残している場合は、医学的にその傷病が治つたとき

イ その症状が安定し、長期にわたつてその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然経過により到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したとき

(四) 障害認定日

初診日から起算して一年六か月を経過した日(その期間内に傷病が治つたときは、その日)をいう。

三 障害等級の認定に当たつての基本的事項

(一) 障害の程度

障害の程度を認定する基準となるものは、法別表第一及び第二であり、その障害の程度の状態の基本は、次のとおりである。

ア 一級

傷病が治つたものにあつては、労働が不能であり、かつ、常時の監視又は介護を必要とするもの、また、傷病が治らないものにあつては、労働が不能であり、かつ、長期にわたる高度の安静と常時の監視又は介護を必要とするもの

イ 二級

労働が高度の制限を受けるか、又は労働に高度の制限を加えることを必要とするもの

ウ 三級

傷病が治つたものにあつては、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加える必要があるもの、また、傷病が治らないものにあつては、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とするもの(傷病が治らないものについては、第二章の障害手当金に該当する程度の障害の状態にある場合であつても三級に該当する。)

エ 障害手当金

傷病が治つたものであつて、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とするもの

(二) 認定の時期

障害の程度の認定の時期は、次のとおりである。

ア 障害認定日

イ 障害認定日において、法別表第一に定める程度の障害の状態になかつたものが、初診日から起算して五年を経過する日までの間において、その傷病により同表に定める程度の障害の状態に該当するにいたつた場合(事後重症)については、障害の状態が、法別表第一に該当し、その者よりの請求書を受理した日

ウ 障害手当金については、初診日から起算して五年を経過する日までの間において傷病の治つた日

(三) 認定の方法

ア 障害の程度の認定は、診断書及びX線フイルムにより行う。ただし、提出された書類のみでは、認定が困難な場合には、必要に応じ療養の経過又は日常生活状況等の調査、検診又は必要な調査等を実施した上で適正な認定を行う。

イ 障害の程度の認定は、「第二章 障害等級認定基準」による。なお、同一人について二つ以上の障害がある場合の障害の程度の認定は、第二章によるほか「第三章 併合等認定基準」により行う。

ウ 傷病が治らないものの廃疾の程度の認定に当たつては障害の程度の認定時期以後おおむね一年以内の予後を予測して行う。

エ 認定基準に明示されていない障害については、その障害によつて生ずる障害の程度を医学的検査結果等に基づき判断し、最も近似している認定基準の障害の程度に相当する等級を準用して行う。

第二章 障害等級認定基準

第一節 眼の障害

眼の障害による障害の程度は、次により認定する。

一 認定基準

眼の障害については、次のとおりである。

法別表

障害の程度

障害の状態

法別表第一

一級

両眼の視力が〇・〇二以下に減じたもの

二級

両眼の視力が〇・〇四以下に減じたもの

一眼の視力が〇・〇二以下に減じ、かつ、他眼の視力が〇・〇六以下に減じたもの

三級

両眼の視力が〇・一以下に減じたもの

法別表第二

障害手当金

両眼の視力が〇・六以下に減じたもの

一眼の視力が〇・一以下に減じたもの

両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

両眼による視野が二分の一以上欠損したもの又は両眼の視野が一〇度以内のもの

両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの

二 認定要領

眼の障害は、視力障害、視野障害、調節機能障害及び輻輳機能障害又はまぶたの欠損障害に区分する。

(一) 視力障害

ア 視力の測定は、万国式試視力表又はそれと同一原理によつて作成された試視力表による。

イ 屈折異常のあるものについては、矯正視力を測定し、これにより認定する。

矯正視力とは、眼科的に最も適正な常用し得る矯正眼鏡又はコンタクトレンズによつて得られた視力をいう。

ウ 屈折異常のあるものであつても次のいずれかに該当するものは、裸眼視力により認定する。

(ア) 矯正が不能のもの

(イ) 矯正により不等像症を生じ、両眼視が困難となることが医学的に認められるもの

(ウ) 矯正に耐えざるもの

エ 失明とは、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア) 眼球亡失(摘出)

(イ) 光覚弁(明暗弁)

(ウ) 眼前手動弁

(二) 視野障害

視野の測定は、フエステル視野計による。

(三) 調節機能障害及び輻輳機能障害

「調節機能及び輻輳機能障害に著しい障害を残すもの」とは、眼の調節機能及び輻輳機能の障害のため複視、頭痛等の眼精疲労が生じ、読書等が続けられない程度のものをいう。

(四) まぶたの欠損障害

「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは、普通にまぶたを閉じた場合に角膜を完全に覆い得ない程度のものをいう。

第二節 聴力の障害

聴力の障害による障害の程度は、次により認定する。

一 認定基準

聴力の障害については、次のとおりである。

法別表

障害の程度

障害の状態

法別表第一

二級

両耳の聴力が、耳殻に接して大声による話をしてもこれを解することができない程度に減じたもの

三級

両耳の聴力が、四〇センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの

法別表第二

障害手当金

一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの

二 認定要領

聴力の障害による障害の程度は、純音による聴力損失値(純音聴力損失値)及び語音による聴力検査値(語音明瞭度)により認定する。

(一) 「両耳の聴力が、耳殻に接して大声による話をしてもこれを解することができない程度に減じたもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

ア 両耳の平均純音聴力レベル値が九○デシベル以上のもの

イ 両耳の平均純音聴力レベル値が八○デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が三○%以下のもの

(二) 「両耳の聴力が、四○センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

ア 両耳の平均純音聴力レベル値が七○デシベル以上のもの

イ 両耳の平均純音聴力レベル値が五○デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が五○%以下のもの

(三) 「一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの」とは、一耳の平均純音聴力レベル値が八○デシベル以上のものをいう。

(四) 平均純音聴力レベル値は、次によるものとする。

ア 純音聴力レベル値の測定は、オージオメータによる。

イ 平均純音聴力レベル値の算出は、次式による。

平均純音聴力レベル値=((a+2b+c)/4)デシベル

なお、この算式により得た値が境界値に近い場合には、((a+2b+2c+d)/6)の算式により得た値を参考とする。

a:周波数500ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

b:周波数1000ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

c:周波数2000ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

d:周波数4000ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

(五) 最良語音明瞭度の算出は、次によるものとする。

ア 検査は、録音器又はマイク付オージオメータにより、通常の会話の強さで発声し、オージオメータの音量を適当に強めたり、弱めたりして最も適した状態で行う。

イ 検査語は、語音弁別能力測定用語音集により、二~三秒に一語の割合で発声し、語音明瞭度を検査する。

ウ 語音明瞭度は、次式により算出し、語音明瞭度の最も高い値を最良語音明瞭度とする。

語音明瞭度=(正解語音数/検査語数)×100(%)

第三節 鼻腔の障害

鼻腔の障害により障害の程度は、次により認定する。

一 認定基準

鼻腔の障害については、次のとおりである。

法別表

障害の程度

障害の状態

法別表第二

障害手当金

鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

二 認定要領

(一) 「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの」とは、鼻軟骨部の全部又は大部分を欠損し、かつ、鼻呼吸障害のあるものをいう。

(二) 嗅覚脱失は、認定の対象としない。

第四節 口腔の障害

口腔の障害による障害の程度は、次により認定する。

口腔の障害は、そしやく機能の障害又は言語機能の障害に区分する。

第一 そしやく機能の障害

一 認定基準

そしやく機能の障害については、次のとおりである。

法別表

障害の程度

障害の状態

法別表

第一

二級

そしやくの機能を廃したもの

三級

そしやくの機能に著しい障害を残すもの

法別表第二

障害手当金

そしやくの機能に障害を残すもの

二 認定要領

(一) そしやく機能の障害は、顎骨、舌、口唇、硬口蓋、頬、顎関節、そしやく筋、歯牙等の障害によるものである。

(二) そしやく機能の障害の程度は、摂取できる食物の内容によつて次のように区分するが、咬合、配列、開口運動、栄養等の状態も十分考慮して総合的に認定する。

ア 「そしやくの機能を廃したもの」とは、流動食以外は摂取できない程度のものをいう。

イ 「そしやくの機能に著しい障害を残すもの」とは、全粥又は軟菜以外は摂取できない程度のものをいう。

ウ 「そしやくの機能に障害を残すもの」とは、ある程度の常食は摂取できるが、そしやくが十分でないため、食事が制限される程度のものをいう。

(三) 歯牙の障害による場合は、補綴等の治療を行つた結果により認定を行う。

(四) 食道の狭窄、舌の異常等によつて生ずるえん下の障害については、そしやく機能の障害に準じて認定を行う。

(五) そしやく機能の障害とえん下の障害は、併合認定しない。

第二 言語機能の障害

一 認定基準

言語機能の障害については、次のとおりである。

法別表

障害の程度

障害の状態

法別表第一

二級

言語の機能を廃したもの

三級

言語の機能に著しい障害を残すもの

法別表第二

障害手当金

言語の機能に障害を残すもの

二 認定要領

(一) 「言語の機能を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

ア 四種の語音のうち、三種以上が発音不能なもの

イ 日常会話が誰が聞いても理解できない程度のもの

(二) 「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

ア 四種の語音のうち、二種が発音不能なもの

イ 日常会話が家族は理解できるが、他人は理解できない程度のもの

(三) 「言語の機能に障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

ア 四種の語音のうち、一種が発音不能なもの

イ 電話による会話が家族は理解できるが、他人は理解できない程度のもの

(四) 四種の語音とは、次のものをいう。

ア 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音等)

イ 歯 音(し、しゆ、じゆ等)

ウ 口蓋音(か行音、が行音、や行音等)

エ 舌 音(た行音、ら行音等)

(五) 本節でいう言語機能の障害は、主として下顎、舌、口唇、口蓋、歯牙等口腔の構音器官の障害によるものを指すが、その他咽頭又は喉頭と障害及び発声器官の障害により生ずる構音障害又は音声障害についても、これに準じて認定を行う。

(六) 言語機能の障害(特に構音障害)とそしやく機能の障害とは併存することが多いが、この場合には併合認定の取扱いを行う。

第五節 肢体の障害

肢体の障害による障害の程度は、次により認定する。

肢体の障害は、脊柱の障害、上肢の障害、下肢の障害又は肢体の機能の障害に区分する。

第一 脊柱の障害

一 認定基準

脊柱の障害については、次のとおりである。

法別表

障害の程度

障害の状態

法別表第一

二級

脊柱の機能に高度の障害を残すもの

三級

脊柱の機能に著しい障害を残すもの

法別表第二

障害手当金

脊柱の機能に障害を残すもの

二 認定要領

(一) 脊柱の機能障害には、荷重機能の障害と運動機能の障害がある。

ア 荷重機能障害

脊柱の支持機能の障害で労働に及ぼす影響が大きいので重視する必要があるが、実測して認定することはできない。

イ 運動機能障害

前屈・後屈運動を測定する。しかし、傷病の部位がゆ合してその部位のみについてみると運動不能であつても、他の部位が代償して脊柱の運動障害は軽度あるいはほとんど認められない場合が多いので、脊柱全体の運動機能により認定する。

(二) 「脊柱の機能に高度の障害を残すもの」とは、コルセツト等の装具を常時必要とし、かつ、身辺の処理等が辛うじて可能な程度のものをいう。

(三) 「脊柱の機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

ア 脊柱の運動範囲が正常可動域の二分の一以下に制限されている程度のもの

イ コルセツトは常時必要としないが、必要に応じて装着しなければ労働に従事することが不能な程度のもの

(四) 「脊柱の機能に障害を残すもの」とは、脊柱の運動範囲が正常可動域の四分の三以下に制限されている程度のもの

(五) 関節運動領域の測定方法については、日本整形外科学会及び日本リハビリテーシヨン医学会により決定された「関節可動域表示ならびに測定法」(以下「関節可動域表示ならびに測定法」という。)による。

(六) 神経機能障害との関係

認定に当たつては、単に脊柱の運動障害のみでなく、随伴する神経系統の障害を含め、総合的に認定する。

(七) 腰部軟性コルセツトは、原則としてコルセツト装着状態から除外する。

第二 上肢の障害

一 認定基準

上肢の障害については、次のとおりである。

法別表

障害の程度

障害の状態

法別表第一

一級

両上肢の用を全く廃したもの

両上肢を腕関節以上で失つたもの

二級

一上肢を腕関節以上で失つたもの

一上肢の用を全く廃したもの

両上肢のすべての指の用を廃したもの

三級

一上肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの

長管状骨に仮関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

一上肢のおや指及びひとさし指を失つたもの又はおや指若しくはひとさし指をあわせ一上肢の三指以上を失つたもの

おや指及びひとさし指をあわせ一上肢の四指の用を廃したもの

法別表第二

障害手当金

一上肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの

長管状骨に著しい転位変形を残すもの

一上肢の二指以上を失つたもの

一上肢のひとさし指を失つたもの

一上肢の三指以上の用を廃したもの

ひとさし指をあわせ一上肢の二指の用を廃したもの

一上肢のおや指の用を廃したもの

二 認定要領

上肢の障害は、機能障害、欠損障害又は変形障害に区分する。

(一) 機能障害

ア 「上肢の用を全く廃したもの」とは、上肢の完全麻痺、完全強直又はこれに近いものをいう。

イ 「関節の用を廃したもの」とは、関節の運動可能領域が正常可動域の二分の一以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。

ウ 「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が正常可動域の三分の二以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいう。

エ 「関節に機能障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が正常可動域の五分の四以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、イ以外の動揺関節、先天性を除く習慣性脱臼)をいう。

オ 「指の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア) 指の末節骨の長さの二分の一以上を失つたもの

(イ) 中手指節関節(MP)又は近位指節間関節(PIP)(おや指にあつては指節間関節)に著しい運動障害(運動可能領域が正常可動域の二分の一以下に制限されたもの)を残すもの

(二) 欠損障害

ア 「腕関節以上で失つたもの」とは、手関節(腕関節と同義)において手根骨以上で離断したものをいう。

イ 「指を失つたもの」とは、おや指については指節間関節、その他の指については近位指節間関節(PIP)以上を失つたものをいう。

(三) 変形障害

ア 「長管状骨に仮関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア) 上腕骨に仮関節を残すもの

(イ) 橈骨及び尺骨の両方に仮関節を残すもの

イ 「長管状骨に著しい転位変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア) 上腕骨に変形を残すもの

(イ) 橈骨又は尺骨に変形を残すもの

(ウ) 変形は外部から想見できる程度(一五度以上わん曲して不正ゆ合したもの)以上のものであり、長管状骨の骨折部が良方向に短縮なくゆ着している場合は、たとえその部位に肥厚が生じたとしても、長管状骨の変形としては取り扱わない。

(四) 関節運動領域の測定方法については、「関節可動域表示ならびに測定法」による。

(五) 各関節の最も主要な運動(屈伸等各関節において日常の動作に一番重要なもの)についての関節運動領域を重視し、他の運動については参考とする。

(六) 関節の運動機能障害の評価は、正常可動域と比較して患側の障害の程度を評価する。

(七) 切断又は離断による障害の障害の程度を認定する時期は、原則として創面が治ゆした日とする。

(八) 運動機能障害の評価に当たつては、単に関節運動領域のみでなく、次の諸点を考慮した上で評価する。

ア 筋力

イ 巧緻性

ウ 速度

エ 耐久性

(九) 不良肢位強直は、一関節の強直の場合であつても、総合認定の対象として認定する。

(一〇) 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、原則として次により取り扱う。

ア 一側の上肢の三大関節のうち、一関節又は二関節に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは三級と認定する。

イ 両側の上肢の三大関節のうち、一関節にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは三級と認定する。

ウ 障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日とする。

第三 下肢の障害

一 認定基準

下肢の障害については、次のとおりである。

法別表

障害の程度

障害の状態

法別表第一

一級

両下肢の用を全く廃したもの

両下肢を足関節以上で失つたもの

二級

一下肢を足関節以上で失つたもの

一下肢の用を全く廃したもの

両下肢をリスフラン関節以上で失つたもの

両下肢のすべての足ゆびを失つたもの

三級

一下肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの

長管状骨に仮関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

一下肢をリスフラン関節以上で失つたもの

両下肢のすべての足ゆびの用を廃したもの

障害手当金

 

一下肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの

一下肢を三センチメートル以上短縮したもの

長管状骨に著しい転位変形を残すもの

一下肢の第一趾又は他の四趾以上を失つたもの

一下肢の五趾の用を廃したもの

二 認定要領

下肢の障害は、機能障害、欠損障害、変形障害又は短縮障害に区分する。

(一) 機能障害

ア 「下肢の用を全く廃したもの」とは、下肢の完全麻痺、完全強直又はこれに近いものをいう。

イ 「関節の用を廃したもの」とは、関節の運動可能領域が正常可動域の二分の一以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。

ウ 「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が正常可動域の三分の二以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すものをいう。

エ 「関節に機能障害を残すもの」とは、関節の運動可能領域が正常可動域の五分の四以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、イ以外の動揺関節、先天性を除く習慣性脱臼)をいう。

オ 「足ゆびの用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア) 第一趾は末節骨の二分の一以上、その他の足ゆびは遠位指節間関節(DIP)以上を失つたもの

(イ) 中足指節関節(MP)又は近位指節関節(PIP)(第一趾にあつては指節間関節)に著しい運動障害(運動可能領域が正常可動域の二分の一以下に制限されたもの)を残すもの

(二) 欠損障害

ア 「足関節以上で失つたもの」とは、足関節において距骨以上で離断したものをいう。

イ 「リスフラン関節以上で失つたもの」とは、中足骨と足根骨とを離断したものをいう。

ウ 「足ゆびを失つたもの」とは、中足指節関節から失つたものをいう。

(三) 変形障害

ア 「長管状骨に仮関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの」とは、次に該当するものをいう。

(ア) 大腿骨に仮関節を残すもの

(イ) 脛骨に仮関節を残すもの

イ 「長管状骨に著しい転位変形を残すもの」とは、次に該当するものをいう。

(ア) 大腿骨に変形を残すもの

(イ) 脛骨に変形を残すもの(腓骨のみに変形を残すものについても、その程度が著しい場合はこれに該当する)

(ウ) 変形は、外部から想見できる程度(一五度わん曲して不正ゆ合したもの)以上のものをいい、長管状骨の骨折部が良方向に短縮なくゆ着している場合は、たとえその部位に肥厚が生じたとしても、長管状骨の変形としては取り扱わない。

(四) 短縮障害

下肢長の測定は、腸骨前上棘と脛骨内果を結ぶ直線距離の計測による。

(五) 関節運動領域の測定方法については、「関節可動域表示ならびに測定法」による。

(六) 各関節の最も主要な運動(屈伸等各関節において日常の動作に一番重要なもの)についての関節運動領域を重視し、他の運動については参考とする。

(七) 関節の運動機能障害の評価は、正常可動域と比較して患側の障害の程度を評価する。

(八) 切断又は離断による障害の障害の程度を認定する時期は、原則として創面が治ゆした日とする。

(九) 運動機能障害の評価に当たつては、単に関節運動領域のみでなく次の諸点を考慮した上で評価する。

ア 筋力

イ 巧緻性

ウ 速度

エ 耐久性

(一〇) 不良肢位強直は、一関節の強直の場合であつても、総合認定の対象として認定する。

(一一) 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、原則として次により取り扱う。

ア 一側の下肢の三大関節のうち、一関節又は二関節に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは三級と認定する。

イ 両側の下肢の三大関節のうち、一関節にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは三級と認定する。

ウ 障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日とする。

第四 肢体の機能の障害

一 認定基準

肢体の機能の障害については、次のとおりである。