○厚生年金保険法及び厚生年金基金令の一部改正に伴う厚生年金基金規約変更の取扱い等について
(昭和四八年一一月七日)
(年企発第六六号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局企画課長通知)
厚生年金保険法等の一部を改正する法律は、昭和四八年九月二六日法律第九二号をもつて公布されたところであるが、この改正に伴い、別添のとおり厚生年金基金令の一部を改正する政令が昭和四八年一〇月一三日政令第三〇八号をもつて、厚生年金基金規則の一部を改正する省令が昭和四八年一〇月二九日厚生省令第四四号をもつて公布されたところである。
厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行については、厚生事務次官通知(昭和四八年九月二六日厚生省年発第三九号)に示されているところであるが、今回の改正事項のうち、厚生年金基金に関連する事項及び改正に伴う厚生年金基金の規約変更の取扱い等については、次のとおりであるから、これらに十分留意のうえ遺憾のないよう貴管下の厚生年金基金を指導されたい。
なお、この通知においては、改正後の厚生年金保険法(昭和二九年法律第一一五号)を「厚年法」と、改正後の厚生年金基金令(昭和四一年政令第三二四号)を「基金令」とそれぞれ略称する。
第一 厚生年金基金に関連する改正事項
1 標準給与の基準の改正
標準報酬月額が昭和四八年一一月以降二万円から二〇万円までの三五等級に改められたことに伴い、標準給与の基準が改められ、月額が一九万五〇〇〇円未満の給与については、厚年法第二〇条の表のとおりとし、月額が一九万五〇〇〇円以上の給与については、給与の月額が一万円またはその端数を増すごとに標準給与の等級が一等級ずつ累進し、各等級の標準給与の月額はそれぞれ当該等級に属する給与の月額の最低額に五〇〇〇円を加えた額とすることと改められたこと。(厚年法第二〇条及び基金令第一七条)
2 在職老齢年金及び在職通算老齢年金(以下「在職老齢年金等」という。)の支給要件の緩和等
(1) 受給資格期間を満たしている六〇歳以上六五歳未満の被保険者で在職老齢年金等の支給を受けることができる者の範囲が標準報酬月額一万八〇〇〇円以下の者から、四万八〇〇〇円以下の者に拡大されたこと。(厚年法第四二条第三項)
(2) これに伴い、六五歳未満の者に支給される在職老齢年金等の支給停止の割合は、被保険者の報酬月額が二万七〇〇〇円未満の場合は二割、二万七〇〇〇円以上三万四五〇〇円未満の場合は四割、三万四五〇〇円以上四万三五〇〇円未満の場合は六割、四万三五〇〇円以上五万円未満の場合は八割と改められたこと。(厚年法第四六条第一項)
(3) 六五歳未満の在職老齢年金等の受給権者が六五歳に達した後においては、その者の請求により、六五歳に達した月の前月までの被保険者期間を在職老齢年金等の基本年金額の計算の基礎とするものとし、その請求をした日の属する月の翌月から当該年金の額を改定することとされたこと。(厚年法第四三条第五項)
3 福祉施設の実施
(1) 基金は、加入員及び加入員であつた者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができるとされたこと。(厚年法第一三〇条第三項)
(2) 連合会は、基金の加入員及び加入員であつた者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができるとされたこと。(厚年法第一五九条第三項)
4 脱退手当金の特例措置の延長
女子に対する脱退手当金の支給に関する特例措置については、その期間を二年間延長し、昭和五三年五月末日までとされたこと。(改正法附則第二四条)
5 年金たる保険給付を受ける権利の担保提供
保険給付を受ける権利は担保に供することができないこととされているが、年金たる保険給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合はこの限りでないこととされたこと。(厚年法第四一条第一項)
第二 規約変更等の取扱い
1 規約変更を行なうべき事項
(1) 標準給与の基準
標準給与の基準が改められたことに伴い、標準給与に関する規約の規定を改める必要があること。ただし、標準給与を厚年法第二〇条の規定の例によるものと定めている基金にあつては、この限りでない。
なお、標準給与の上限については、国家公務員共済組合法の一部改正により、給付の算定の基礎となる俸給の上限が改められたことに伴い、標準給与の上限を一八万五〇〇〇円から二二万円に引き上げるよう厚生年金基金設立認可基準を改め、既設の基金についても同様の取扱いをすることとしたので、その旨周知する必要があること。
(2) 在職老齢年金等の額の改定
厚年法第四三条第五項の規定により在職老齢年金等の受給権者が六五歳に達した後においてその者の請求により年金額を改定することができることとなつたことに伴い、関連規定を改める必要があること。ただし、すでにこの旨の規定を設けている基金にあつては、この限りでない。
(3) 福祉施設
基金が加入員及び加入員であつた者の福祉を増進するため必要な施設をすることができるとされたことに伴い、規約に福祉施設に関する規定を設けることができること。
(4) 特別脱退一時金
女子の脱退手当金の特例支給の期限が延長されたことに伴い、この脱退手当金の支給が行なわれる者について特別脱退一時金を支給する旨を規定している基金にあつては、支給率表を改める必要があること。
(5) 年金たる保険給付を受ける権利の担保提供
別に法律で定めるところにより、年金たる保険給付を受ける権利は担保に供することができることとされたが、これに関する規約上の取扱いについては、別途法律が定められた時点において通知する予定であり、それまでの間は規約変更を行なう必要はないものであること。
2 規約変更手続
規約の変更については、代議員会の議決を経てすみやかに都道府県を経由して当局に変更認可の申請を行なうこと。
なお、代議員会の議決を経ることができない事情があるときは、今回の法令改正に関連して規約変更をすべき事項のうち臨時急施を要するものについては理事長専決をもつて処分することもやむを得ないこと。ただし、この場合においては、理事長は次の代議員会においてこれを報告し、その承認を求めなければならないこと。
3 標準給与の改定事務の取扱い
昭和四八年一〇月における標準給与の月額が一万八〇〇〇円以下又は一三万四〇〇〇円以上である加入員については、同年一一月における標準給与の月額を、変更後の規約に規定する標準給与の月額の表により又は厚年法第二〇条に規定する標準報酬月額の表により改定する必要があるが、この改定事務の取扱いについては、次によるものとすること。
(1) 標準給与の改定
ア 算定基礎届による処理
本年の定時決定において決定された同年一〇月の標準給与の月額が一万八〇〇〇円以下又は一三万四〇〇〇円以上である加入員については、当該標準給与の月額の決定の基礎となつた厚生年金規則(以下「規則」という。)第一五条の規定に基づき届出られた届書(いわゆる「算定基礎届」をいう。)による給与の月額(法第二四条第一項の規定を準用することにより基金が算定したものについてはその額。以下イ、ウにおいて同じ。)を基礎として、標準給与の月額を改定すること。
イ 資格取得届による処理
本年七月一日から一〇月三一日までの間に加入員の資格を取得した者であつて、決定された標準給与の月額が一万八〇〇〇円以下又は一三万四〇〇〇円以上である加入員については、規則第一二条の規定に基づき届出られた届出書(いわゆる「資格取得届」をいう。)による給与の月額を基礎として標準給与の月額を改定すること。
ウ 月額変更届による処理
本年八月から一〇月までのいずれかの月から標準給与の月額が改定された加入員であつて、改定された標準給与の月額が一万八〇〇〇円以下又は一三万四〇〇〇円以上である加入員については、規則第一六条の規定に基づき届出られた届書(いわゆる「月額変更届」をいう。)による給与の月額を基礎として標準給与の月額を改定すること。
(2) 原簿等への記載
(1)により標準給与の月額を改定したときは、加入員台帳の一〇月((1)のイにあつては資格取得時、(1)のウにあつては月額変更の改定時とする。)の標準給与の月額等を記載した欄の次の欄に、一一月の標準給与の月額等を記入すること。
(3) 事業主に対する通知
前記(1)による標準給与の改定通知は、別紙様式により行なうものとすること。
4 福祉施設の実施について
福祉施設の実施については別途通知する予定であること。
5 年金数理計算の処理について
今回の法改正により標準報酬月額の上下限額の引上げが行なわれたが、これに伴う基金の昭和四八年度決算の年金数理計算については、別途通知する予定であること。
別添 略
別紙
参考